トゥインクリング・ナサ(紙ジャケット仕様) (2013/10/09) ケネディ 商品詳細を見る |
現在はコナミの音楽ゲーム『ギタドラ』シリーズの人気コンポーザーの一人としても知られる泉陸奥彦氏がかつて在籍していたプログレッシヴ・ロック・バンド ケネディが1986年に発表した1stアルバム。昨年、キングレコードよりめでたく再発(初CD化)されました。ケネディの音楽性の母体となったのは、後にP-MODEL、4-Dなどでも活動される小西健司氏と70年代後半に結成されたエレクトロ・プログレ・ユニット「DADA」。同ユニットはTANGERINE DREAMやVANGELISからの影響を感じさせる実験的な方向性のシンセサイザー・ミュージックを展開しておりましたが、81年にアルバム『DADA』を発表した後に解散。泉氏は同ユニットで培った音楽性をさらに発展させるべく、ケネディを立ち上げます。本作は81年から85年にかけて録音された楽曲を収録したアルバムであり、楽曲ごとに奏者を迎えるというスタイルをとっているところから、この頃はまだ泉氏のソロ・プロジェクトの色合いが強かったことを感じさせます。また、当時TERU'S SYMPHONIAやPale Acute Moonで活動されていた仙波基氏や、ケネディの要とも言える存在だった北岡敦氏がそれぞれ作曲を手がけたコンパクトなシンセサイザー・インストも収録されています。
"Flying Ship Part 1" "Flying Ship Part 2"は、共にDADA時代の楽曲のリメイク・ヴァージョン。オリジナルのスペイシーなテイストはそのままに、さらに厚みが増したシンセサイザー/メロトロンのバッキングの上を、泉氏のギターソロが縦横無尽に駆け巡る熱気に溢れた仕上がり。ちなみに、前者でキーボードソロで参加されている深見誠一氏は、後に泉氏と共にコナミ矩形波倶楽部のメンバーに加わり、「プロフェット深見」としてスナッチャーやサンダークロス、グラディウスIIIなどの楽曲に携わられます。"Prelude"も同じくリメイク曲ですが、こちらはDADA時代の面影が色濃く残った仕上がり。浮遊感と軋みを伴ったギターソロがゆるやかに空間を支配してゆく、情緒的なメディテーショナル・ミュージックであります。偏執狂的なシンセサイザーのシーケンスの上を攻撃的なギターソロが攻め立てる"Boctok"は一触即発的なテンションの漲りを感じさせる1曲。"Explorer 1958 Alfa"は本作におけるハイライトであり、仙波基・北岡敦の両氏が左右で展開するキーボードソロや、フリーキーなサックスソロも絡んで白熱の一途を辿るパフォーマンスが聴きものです。プログレッシヴ・ハード・ロックな疾走感で攻め立てる怒涛の七分間がここにあると言っても過言ではありません。
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01. Twinkling Nasa [1981.12]
02. Burning Days [1985.1]
03. Flying Ship Part 1[1981.12 & 1984.12]
04. Elliptic Orbit [1982.4]
05. Explorer 1958 Alfa [1984.12]
06. Boctok [1982.4]
07. Prelude [1981.12]
08. Flying Ship Part 2 [1984.12]
09. Florida [1985.1]
※[]カッコ内は録音年
①③~⑧ composed by 泉陸奥彦
② composed by 仙波基
⑨ composed by 北岡敦
泉陸奥彦(syn.g.computer.arrange)
伊藤宏二(sax on ⑤⑧)
宇佐見斉(ds on ③⑥)
太田由美(voice on ⑤)
深見誠一(kbd solo on ③)
仙波基(kbd on ②.solo on ⑤[Right])
北岡敦(kbd on ⑨.solo on ⑤[Left])
LP盤: [K28P-597](1986)
CD盤: [KICS-91945](2013.10.09)
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●KENNEDY - Wikipedia
●泉陸奥彦 - Wikipedia
●泉陸奥彦 - VGMdb
●プロフェット深見 - VGMdb
■DADA(泉陸奥彦&小西健司)『DADA』(1981) / 『城壁/鏡の中の家』(1994)
■KENNEDY(泉陸奥彦)『Kennedy!』(1987)