2009年11月13日金曜日

FIRE BOMBER『Re.FIRE!!』(2009)

Re.FIRE!!
Re.FIRE!!
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Fire Bomber
flying DOG (2009-10-14)
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 「マクロス7」放映15周年記念アルバム。アニメの関連アルバムはドラマCDやら編集盤やらオムニバスや らでかなりの数が出ましたが、FIRE BOMBER名義のフルアルバムとしては、98年の『Dynamite Fire!』を勘定に数えるなら実に11年ぶり(マクロス7の設定上では13年ぶり)となる通産4thアルバム。マクロスFが出た今となってはマクロスシ リーズの中では異色の存在として扱われることもなくなった(?)本作ですが、こちらも歌モノや楽曲に本編以上に力が入っていたのは言うまでもなく、 1st~3rdアルバムの頃のFIRE BOMBERの作編曲はKAI FIVEの田中裕千氏やKUWATA BANDの河内淳貴氏、子供ばんどの湯川トーベン氏といった手練の方々が関わっておりました。楽曲の80年代歌謡ハードロック的な雰囲気も 彼らに因るところが大きかったと思います。本作『Re.FIRE!!』には彼らの名前がクレジットされていないのは残念ですが、元CORE OF SOULや、JAZZIDA GRANDEのメンバー等を起用して新味が伺えます。

 アルバムのオープニングを飾る「弾丸ソウル」のヘヴィメタリックな勢いや、続く「Burning Fire」のメロディック・パンクめいた明快な爽快感は、FIRE BOMBERにおいてこれまでになかった曲調で、良い意味で期待を裏切られたという感じ。福山芳樹氏もチエ・カジウラ氏も十数年前と変わらぬ健在ぶりを見せていますが、特に福山氏のヴォーカルはこの十数年でかなりパワーアップしているのを強烈に実感した次第。より煽情的で熱の込もったヴォーカルで突き抜ける「ビッグバン」 を聴いていると特にそう思います。年月の経過もあってか、彼の声はかつての「歌バサラ」のソレというよりはもはや「福山芳樹そのもの」になってしまってい るのですが、これも嬉しいご愛嬌というところでしょうかね。 「LOVE IT」「突撃ラブハート」のリメイクヴァー ジョンの編曲にはレピッシュの杉本恭一氏やトルネード竜巻の曽我淳一氏が参加、また、外人部隊の永井ルイ氏とACKO氏の参加は(「トップをねらえ2」の ED曲起用という前例がありますが)まさかといったところで、提供曲「MAGIC RHAPSODY」は実にストレートな正統派ハードロックに仕上がっています。

2009年11月1日日曜日

Diablo Swing Orchestra『Sing-Along Songs For The Damned And Delirious』(2009)

Sing-Along Songs for the Damned & DeliriousSing-Along Songs for the Damned & Delirious
(2009/09/22)
Diablo Swing Orchestra

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 スウェーデンのアヴァンギャルド・メタル・バンド、ディアブロ・スウィング・オーケストラの2ndアルバム。怪しくうねるチェロや喧しいブラスサウンドが大々的にフィーチャーされ、ヘヴィなリフの疾走と共に非常に愉快にスウィングしまくるハイブリッドなメタルサウンドが特徴。楽曲のひねくれぶりもさることながら、ドスの効いた男性ヴォーカルと女性ソプラノヴォーカルがやたらとオペラティックかつ大袈裟な歌い回しで、脅かしにかかるかのようにズンズン迫ってくるという子供が泣くようなタチの悪さも兼ね備えていると言う有様。ラテンミュージック的な陽気さやムーディーなジプシーサウンド、チープなサーフィンサウンドも随所で顔を覗かせ、さながらサーカスの舞台にガンマンやらサーファーやらストリップダンサーが入り乱れて大道芸を繰り広げているような、どうしようもなく猥雑でカオティックな印象を抱かせてくれます。横ノリのビッグバンドサウンドと縦ノリのメタルサウンドがいかがわしくもクールに融合したハイテンションなオープニングナンバーの「A Tapdancer's Dilema」や、さながらミュージカルのようにヴォーカルの息もつかせぬ応酬が繰り広げられる「A Rancid Romance」「Bedlam Sticks」、実にストレートなタイトル通りの愉快なスラッシュ・ポルカ「Vodka Inferno」などの楽曲は実に単純明快なインパクト。変態的なハッタリ感ではカナダのUNEXPECTやアメリカのMr.Bungle、ユーモラスさではフィンランドのALAMAAILMAN VASARAT、おバカさ加減では日本の赤犬に相通ずる、といった感じ。これらのバンドが好きな人にはもちろん、B級フォークメタル好きにもかなり引っ掛かりまくるところがあるんじゃないでしょうかね。キワモノではありますがゲテモノにはならない絶妙なラインをキープしているのも面白い。肩肘張らずにゲラゲラ笑いながら聴ける抱腹絶倒な一枚。



Diablo Swing Orchestra:公式