シンガポールのエクスペリメンタル・ロック・バンド ジ・オブザーヴァトリー。2000年代初頭より活動を始め、デビューアルバム『Time of Rebirth』(2004)以降、現在に至るまで精力的なリリースや世界各国でのライヴを展開。現メンバーであり、シンセサイザー/エレクトロニクス担当のユエン・チー・ワイは、大友良英氏の呼びかけで結成されたインターナショナル即興グループFEN(Far East Network)のメンバーとしても名を連ねております。現在進行形でジャンルの越境を続けており、その実験的な作風はアルバムごとに変化。『Gezeitentümpel』(2013)ではフィールドレコーディング/ドローンを、『Oscilla』(2014)では長尺のヘヴィ・ロックを、『Continuum』(2015)ではガムランからの影響を色濃く投影したサウンドスケープを展開してきた彼らですが、本作『August is the Cruellest』では、ポストロックのメロウな興趣にも富んだ内容。また、レコーディングの大部分はノルウェーで敢行されており、MOTORPSYCHOなどの北欧ヘヴィ・ロック勢にも近いドライヴ感が生まれています。タイトルは「四月はもっとも残酷な月だ」という有名な一節ではじまるエリオットの長編詩「荒地」に共鳴したもの。彼らは八月がもっとも残酷な月だと掲げており、公式サイトでは「残り火は輝くかもしれないが、燃焼の悪夢は決して終わらない。破壊を調査し、突破口を形成するときが来ている」という一文が添えられております。これは、シンガポールやマレーシアが焼畑農業を介して長年被っている越境大気汚染問題が根っこにあるものと思われます。
「――ドラマはいつも、最前線でつくられる」。ガンハザード発売前に流れたTVCM(30秒)。ナレーターは中田譲治氏。燃える実物大ヴァンツァー(下半身基礎部分だけで6メートルあったとのことなので、全長は10メートルくらいでしょうか)、そして実写アルベルト。けっこうお金がかかっております。撮影場所は、アメリカ・ネヴァダ州のトノパという、軍の演習場などがある広大な砂漠地帯。監督は、当時「ロマンシング・サガ3」などのCMも手がけられていた臺佳彦氏(近年は『The World of GOLDEN EGGS』のディレクター/プロデューサー、映画『Present for You』の監督なども務められております)。映像はMisha Suslov。美術は「ターミネーター2」や「ロボコップ」などを担当したClarence Major。放映期間は1996年2月11日、2月16日~25日の計11日間。また、50秒のトレイラー映像も存在します。
ウサギの品種のひとつであるネザーランド・ドワーフをユニット名に冠した、日本のインストゥルメンタル・ユニット Netherland Dwarf。プロフィールは謎に包まれており、2008年ごろより活動をはじめたソロユニットであること、インタビューから、Electric Light OrchestraやVangelis、Emerson, Lake & PalmerやCOLLEGIUM MUSICUM、セバスチャン・ハーディーなどから影響を受けたということがわかるのみです。2010年にレコーディングしたアルバム『Moi Moi』を、2011年夏にフランスのMUSEA Recordsから全世界流通でリリース。作風はメロトロンのサンプリングも多用した、マルチ録音によるキーボード・プログレ&シンフォニック・ロック。多少の打ち込みっぽさはあるものの、全編を包み込むやわらかでファンタジックな雰囲気や、勢いのあるドラマティックな曲展開が十分過ぎるほどにフォローしており、とりわけポストロック meets シンフォニック・ロックといった趣でオープニングを飾る大曲"Alone In the Blizzard Dawn"や、シャープな爽快感に特化した"Salad Bowl" "Netherland Dwarf"の畳みかけは必聴。ミハイル・グリンカによるオペラ「ルスランとリュドミラ」序曲や、ヘンデルのオラトリオ 〈メサイア〉HWV 56 「ハレルヤ・コーラス」、カミーユ・サン=サーンスのオペラ〈サムソンとデリラ〉より「バッカナール」、ハイドンの交響曲第104番ニ長調〈ロンドン〉第四楽章のダイナミックなカヴァー・アレンジも収録されており、「バッカナール」には、スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンド KAIPAのフロントマン/キーボーディストのハンス・ルンディンがゲスト参加もしております。
その後、ユニットは2012年に『may the piper』、2014年に『tortoise walks forever』という二枚のアルバムをそれぞれフリーダウンロードでリリース。こちらはどちらもメロトロンを中心にしたミニマル・トイポップ作品で、キュートで人なつっこい箱庭的世界観がより追求された仕上がりです。
「ヒマラヤの頂」を意味する、ロシアのプログレッシヴ・ロック・バンド グリシャンカール。ギタリストのNomy AgransonとキーボーディストのDoran Usherを中心として2001年に結成され、ハードロック/ヘヴィメタル、ジャズ・ロック/フュージョン、シンフォニック・ロック、テクノ、デジロック、ニューエイジ、ワールドミュージックと、豊富な音楽要素とアイデアを盛り込み、新世代バンドらしい柔軟なセンスが発揮されたユニークなサウンドでシーンに話題を吹きこみました。2007年に2ndアルバム『2nd hands』をリリース後にヴォーカルとドラマーが脱退。2010年に新ドラマーのSvetoslav Bogdanovと英国人シンガー Jason Offenを迎えたものの、今度はオリジナルメンバーのDoranが個人的な事情により脱退と、相次いで大きな転機を迎えていたバンドですが、ついに本格的再始動。2015年にはbandcampアカウントを登録し、過去作のリマスターエディションもリリース。新作アルバムのレコーディングも着々と進められ、約10年ぶりに完成したのが本作『The World Unreal』。2016年2月時点ではデジタルリリースのみですが、後ほどCD/LPエディションのリリースも予定されております。
アルバムはNomy、Svetoslav、Jasonのトリオを主体に、ヴァイオリンやトランペット、バッキングヴォーカルのパートなどでセッション・ミュージシャンを起用して制作。Doran脱退後は後任を迎えず、Nomyがキーボードパートも請け負う形になっています。そのぶん、楽曲はこれまでと比べるとだいぶソフトなつくりになったと感じるのですが、むしろJasonのジェントリーなヴォーカルを活かす路線にシフトしたと言えます。持ち前の抜けの良さはそのままですし、要所でのアレンジの妙も健在。いくつかの楽曲ではDoranのアイデアが組み込まれてもいます。穏やかなインストゥルメンタル"Intro - Fate"で開幕し、続く"Order And Chaos"ではエスニックなヴォーカリゼーションも交えたエレクトロ・ジャズ・ロックともいうべきサウンドで硬質さをアピール。そして、"First Rush" "Let It Go"と、ポストロック サイドに強くアプローチをかけた浮遊感のある楽曲が続きます。クリアーなテクニカル・ロック・チューン "Place For Everything" "Heartland"、そして本作最長の12分の長尺曲"Truth Stays Silent"は、バンドとコーラスアレンジの絶妙な間のある駆け引きが繰り広げられるユニークな一曲。万感の想いすら感じさせるミドルテンポのシンフォニック・ロック"World Unreal"と、スロウなドリーミー・ポップ"Time Follows"を経て、ラストは2パートで構成されたポストロック meets プログレ大曲"Pleasure And Suffering"。じっくりと構築を重ねるかのような聴き応えの「Part.1」、メカニカルなフレーズとピアノソロを満載した「Part.2」と、それぞれのパートの対比の妙とともに幕を閉じます。
"人間蒸発"は本作のハイライトで、前述の荒井田メルの動向を描きながらアジったり啓蒙したり感極まったりするミクスチャーな詞のドライヴ感が、ズルズルとヘヴィに引き摺ったシャッフル・ビートのオルガン・ロックに妙にマッチ。どう控えめに言ってもこれは怪曲です。ラストの"ハザード"は、英詩のモノローグが載ったピアノ・インストゥルメンタル&ダークアンビエントという、いままでの特撮とはまったく趣を異にしたシリアスな一曲。訳詩を手がけたDaniel S. Burnstein氏のプロフィールは不明なのですが、一方のKenji Shimoda(下田健二)氏はCOALTAR OF THE DEEPERSのアルバムにエンジニアや作詞などのクレジットでみかける方ですね。とんでもないオチがついた感のある本作ですが、終わってみればなんだかんだでバランスが取れているなと。力の抜きどころを設けながらも手応えのあるものを提示しており、筋肉少女帯と同じく良好なコンディションが保たれています。
今年のMAGfestの出演者のラインナップを見ていて、ふと目に止まったのがこのユニット、「NINJA SEX PARTY」。一体、ニンジャセックスパーティーってなんなんだよといったところなんですが、デジタルゴリラミュージックばりのパワーのほとばしりを感じました。NINJA SEX PARTYは、Skyhillというロック・ユニットでヴォーカリストだったダニー・セックスバング(Leigh Daniel Avidan)と、音楽ディレクターとして活動していたニンジャ・ブライアン(Brian Wecht)の二人が2009年にニューヨークで結成したコメディ・ユニットです。だからニンジャ・セックス・パーティー。YouTubeでのPRやライヴはもちろん、SXSWやコンベンション、フェスなどへの参加も活発に行い、その出で立ちとパフォーマンスで着々とファンを獲得。『NSFW』(2011)、『Strawberries and Cream』(2013)、『Attitude City』(2015)と、これまでに3枚のアルバムをリリースしており、一作目/二作目はbandcampアカウントで聴くこともできます。やたらとキャッチー、そしてメロディアスなエレクトロ・ポップ/ロックであり、ふざけているようで行き届いたアレンジのイイ曲が満載されております。
ちなみにダニーとブライアンの二人は、ゲームを肴に愉快なトークなどを繰り広げる番組「Game Grumps」のレギュラーでもあり、同番組の出演者で結成されたナードコア&シンセポップグループ Starbombでも活動中。2013年と2015年にアルバムをリリースしております(著名なゲームキャラがアホなやり取りを繰り広げるPVも必見)。また、ギンギラギンにグラムなハード・ロック・バンド Steel Pantherとのコラボレーションも過去に行っており、スタンド使いは惹かれあうのかなどと納得してしまいました。2015年には、ピーター・S・ビーグルの傑作ファンタジー『最後のユニコーン』のアニメーション映画(1982)の主題歌"The Last Unicorn"のカヴァーをbandcampにてフリーダウンロードでリリース。これがまたオフザケ一切なしの良カヴァーなのが心ニクイ。3月4日には同曲を含むカヴァーアルバム『Under the Covers』のリリースを予定しています。選曲が絶妙。
《収録曲》 ①Take On Me (A-ha) ②Everybody Wants To Rule The World (Tears For Fears) ③Subdivisions (Rush) ④Your Love (The Outfield) ⑤Misunderstanding (Genesis) ⑥Rock With You (Michael Jackson) ⑦Madrigal (Rush) ⑧The Burning Down (King's X) ⑨Jump (Van Halen) ⑩We Close Our Eyes (Oingo Boingo) ⑪The Last Unicorn (America) ⑫Wish You Were Here (Pink Floyd)
ゲーム本編はTo be announced状態ではあるものの、同作のサウンドトラックは既にリリースされており、プロローグ版のサントラ『Sounds From The Future』(全18曲/2014年8月リリース)と、本編サントラ『Second Round』(全44曲/2016年1月リリース)の二つが、コンポーザーのGaroadことMichael Kelly氏のbandcampアカウントからそれぞれダウンロード購入できます。煌びやかなメロディが彩るシンセ・ポップ/アンビエント/AOR/フュージョンの宝庫であり、深夜の都市のイメージとアダルティーなムードを演出するインストゥルメンタルが、クレバーな雰囲気に浸らせてくれます。オススメ。
イタリアのメタル・オペラ・プロジェクト GABRIELSの新作アルバム『Fist of the Seven Stars Act1 - Fist of Steel -』が2日7日付けでデジタルリリースされました。CD盤は4月リリース予定。アルバムタイトルやジャケットの時点で明白ですが、同作は「北斗の拳」をコンセプトにした作品。公式サイトでは「This is a Rock-opera dedicated and freely adapted from "Hokuto no ken" by Tetsuo Hara and Buronson!!! 」と高らかに宣言しています。イタリアのメタルシーンでは過去にHIGHLORDが"TOUGH BOY"をカヴァーし、DGMが"愛をとりもどせ!"をカヴァーしていますが、北斗の拳そのものをコンセプトにしてアルバムを制作したのは彼らが初ではないでしょうか。ちなみに試聴トレイラーではいきなり「No Boy No Cry」「Keep You Burnin'」と高らかに歌い上げる曲を耳にすることができますが、もちろん"TOUGH BOY"へのオマージュです。「Vol.1」とついている以上、少なくとも「Vol.2」の制作が予定されていると思われるので、期待いたしましょう。
GABRIELSはキーボーディスト/コンポーザーのゲイブリエルズ・シローを中心として2000年代半ばより活動を展開しているプロジェクト。2009年に三枚のシングル/EPをリリース。その後、DENIEDやMetaphysicsといったメタルバンドなどのスタジオワークの合間を縫って、2010年に1stアルバム『The Legend of a Prince』をリリース。一方、ゲイブリエルズが「Soundimension Records」という自身のレコーディングスタジオを立ち上げたことでプロジェクトとしての活動もより本格化し、2013年リリースの2ndアルバム『Prophecy』ではマーク・ボールズ(ex.YNGWIE MALMSTEEN、RING OF FIRE etc)をはじめ十数名が参加。約3年ぶりとなる3rdアルバム『Fist Of the Seven Stars Act1 - Fist of Steel -』ではレコーディングメンバーもより増員し、Bare Infinity、Darkest Sins、Drakkar、Platens、Metatrone、Dark Avenger、Metaphysics、Vision Divineのメンバーを含む六人のヴォーカリストと七人のギタリストが名を連ねています。
『Fist of the Seven Stars Act1 - Fist of Steel -』
《Line-up》 Gabriels(All the Keyboards, Piano, Synth, Hammond and background vocals) Wild Steel 【Shadows of Steel】(Vocals) Dario Grillo 【Platens】(Vocals) Marius Danielsen(Vocals) Ida Elena 【Bare infinity】(Vocals) Dave Dell'Orto 【Drakkar】(Vocals) Iliour Griften(Background Vocals) Glauber Oliveira 【Dark Avenger】(Guitars) Stefano Calvagno 【Metatrone】(Guitars) Giovanni Tommasucci(Guitars) Francesco Ivan Sante'Dall'O(Guitars) Angelo Mazzeo(Guitars) Tommy Vitaly(Guitars) Dino Fiorenza 【Metatrone】(Bass) Christian Cosentino(Bass) Simone Alberti(Drums)
《Guest》 Andrea "Tower" Torricini 【courtesy of Vision Divine】(Bass and Guitars) Davide Perruzza 【Metaphysics】(Guitars)
アレハンドロ・ホドロフスキーが、フランク・ハーバートのSF叙事詩『デューン/砂の惑星』を壮大な構想と破格のスタッフ/キャストのもと映像化するべく70年代に制作に取り組むものの、ついに幻に終わってしまった経緯を追ったドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」(監督:フランク・パヴィッチ)。クルト・シュテンツェルの作曲による、同作の劇伴を収録したサウンドトラックが、昨年11月13日にLight in the Attic RecordsのCINEWAXレーベルよりリリースされました。クルト氏の来歴、そしてパヴィッチ監督とクルト氏の出会いについては、当ブログの昔のエントリもご覧いただければ幸い。映画公開(2014年3月)からサントラのリリースまでに一年半ちょっともの間が空いたのは、制作途中でクルト氏が脳梗塞で倒れ、リハビリに取り組んでいたこともあってのこと。氏の回復と、晴れてサントラがリリースされたことをまずは喜びたいです。LP(二枚組/ダウンロードコード付き)、CD、MP3の各種形式でそれぞれ販売されており、Amazonでも購入可能です。
ASIA、BUGGLES、ICON、YES、その他数々のプロジェクトに名を連ねる多忙なキーボーディスト/コンポーザーのジェフ・ダウンズと、トレヴァー・ホーンやロル・クレームらが名を連ねるプロデューサーバンド Producersに参加し、現在は同バンドのアッシュ・ソーン、IT BITESのリー・ポメロイと共にメロディアス・ポップス・トリオ This Oceanic Feelingを立ち上げ活動しているクリス・ブレイド(ブリトニー・スピアーズやビヨンセ、マーク・アーモンドなどへも楽曲を提供しているヒットメイカーでもあります)が2012年に結成したデュオ・ユニット ダウンズ・ブレイド・アソシエイションの2ndアルバム。ピアノ/シンセプログラミングに、クリスのヴォーカルを載せて仕上げられたメロディアスなポップ・アルバムです。あくまでシンプル、あくまでオーソドックス。しかし、「ふーん、よくあるサイドプロジェクトでしょう?」と思ってスルーしちゃあいけませんよ! 方や60代、方や40代と、年齢もキャリアもひとまわり異なれど、ともにメロディメイカーとして第一線での活動を続けている二人なだけに、どこをどうすれば聴き手の琴線に触れるのかということを熟知した音づくり/曲づくりが一切の気負いのない形で提示されており、たまらないです。
前作でも組曲形式の楽曲を収録していましたが、本作でも三つのパートを設けたアルバムタイトル曲を収録。全体的にはよりコンパクトで、よりウェットなメロディを追求した仕上がりになっており、ニューウェイヴ・ポップ調の"Machinery of Fate"からマジカルなポップセンスが滲み出ております。切ないメロディーラインに往年のBUGGLESも浮かびますが、どこまでもポップ職人的な面でALAN PARSONS PROJECTにも通じるものがあります。全曲が珠玉であり、そのなかでも特筆すべきは前述の"Machinery of Fate"や"Suburban Ghosts Part.1~3"、甘酸っぱいメロディとヴォーカルラインが詰まった"Time Goes Fast"。そして2014年のレコード・ストア・デイに際してLPシングルとして限定リリースもされた"Dreaming of England"でしょうか。同曲はブリティッシュ・ポップの魅力全部載せといった感のある楽曲で、リー・ポメロイがベースで、元XTC~現Big Big Trainのデイヴ・グレゴリーがギターソロで参加し、興趣を添えています。
鈴木このみさんをフィーチャーした"星の名は絶望"は、メタリックなリフとドコドコした疾走感といい、クワイアコーラス風の挿入といい、頻出する「滅び」「荒野」のワードといい、完全にメタル。そもそも彼女の2012年のデビューシングル"CHOIR JAIL"からしてメタルでしたし(畑&田代コンビによる一曲でもありました)、キバオブアキバとのコラボや、Dragon Guardianのアルバムへのゲスト参加など、なにかとメタルやハードエッジな曲に縁のある彼女にピッタリなオーダー。ドラムスは城戸氏、ベースは田淵氏。そして、ギターと編曲を担当されたのは新井弘毅氏(ex.serial TV drama)なので、エッジの効いたサウンドはお手のものといったところ。対する"「ごめんね」のシンデレラ"は、幅広いフィールドと多岐に渡るジャンルで活動を展開している中西亮輔氏を編曲者に迎えた、バンドスタイルによるポップチューン。ギターは遠山哲朗氏、リズム隊は黒須氏と城戸氏。オーソドックスな曲ほどプロデュースの手腕が問われるわけですが、見事なトータルサウンドに仕上がっています。
ミュージシャン、コンポーザー自由参加型の活動形態をとり、エレクトロ/アンビエントを中心とした多作なリリースを展開しているロシアの音楽集団「Tunguska Electronic Music Society(Tunguska EMS)」。同グループに参画するサウンドデザイナーであるニコライ・ペトロフスキーとオルガ・スコットランドの二人を中心として、2011年に結成されたインストゥルメンタルバンド Мыс Луны(Lunar Cape)のデビューアルバム。アルバムタイトルの英訳は“Just Lunatics”。フルートやリコーダーを主軸に、ワールドミュージック、ジャズ/フュージョン、ニューエイジなどのジャンルをミックスした楽曲集です。Tunguska EMSではシリアスなインストが多めですが、こちらは牧歌的でユーモラスな印象。アコースティック、室内楽スタイルなのかと思えば、ヘヴィな表情を垣間見せる"Southern Harbor"や、白熱のツバ吐きフルートプレイを交えた"The Realm of Sleep"、「擬似ライヴ」的趣向で加速度的なソロの応酬を繰り広げる"Blizzard"のように、ロックなスタイルにもフレキシブルに対応してくるのがまたユニークです。たとえばリコーダーアンサンブルの栗コーダーカルテットや、ニューエイジユニットの姫神、古楽の要素を交えたイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド GRYPHONが好きな人にも薦めたいサウンド。アルバムは$3よりダウンロード購入できます。
1. Distant Dream
2. White Pulse
3. Persia Rising
4. Angel's Asylum
5. Hofner Dawn
6. Windy Death
7. Dark Blues
8. Virtual Survivor
9. Bela Lugosi
10. Last Sunrise
11. Utopian Facade
12. Real Xeno (Bonus Track)