2013年8月31日土曜日

三回転とひとひねり『回覧盤』(2013)

回覧盤回覧盤
(2013/07/26)
三回転とひとひねり

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この夏、本当によく聴いた1枚でありました。

2008年に結成された長崎出身の男女4人組バンド「三回転とひとひねり」の1stアルバム。ひねりがあるのにひねりがないバンド名の程好い可笑味、『オタクじゃないよ。ふつうだもん』というアルバムの帯のキャッチフレーズも示しているように、彼らのサウンドは軽やかで小粋なインディー・ポップ。日々の戦いに明け暮れヤケクソまがいのファンネルを飛ばす本職軍人のメイド("稲荷~三回転とひとひねりのテーマ")。日々に忙殺され部屋のガンプラにホコリが被り、かつての情熱は憂いへと変わってしまった男のポエトリー("魚の延長コード")。子供の頃食べ切れずに残してしまったママのラーメンがフラッシュバックする雪山遭難者("雪山でラーメン")、ヱヴァンゲリヲン新劇場版の真希波嬢の心境("仮設五号機")など、ナードなワードも自然に散りばめられた楽曲群は、ユニークであり切なくもあり。みさき嬢の漂うようなヴォーカルが生み出す浮遊感がたまらない"レビ"、男のモノローグからバンドサウンドへと開ける趣向がドラマティックな"魚の延長コード"、印象的な詞がリフレインする"きりかえガールズ" "渇水"など、楽曲に流れる柔らかでゆるやかなエモーションは、マイペースなバンド活動で育まれてきたものなのでしょうか。ふとした瞬間に奥底に入り込んでくるような魅力があり、聴き返すほどに愛着が沸いてきます。今後の動向にもゆるやかに注目していきたいバンドです。

彼らと親交のあるノッツさんが手がけられた"稲荷~三回転とひとひねりのテーマ"ミュージックビデオも、可愛らしくて良いのです。オススメ。







三回転とひとひねり - 公式サイト
三回転とひとひねり | 術ノ穴 -Fragment-

2013年8月30日金曜日

今年下半期から来年上半期にかけて開催されるプログレ系クルージング・ツアー4種

海外の方では、船でクルージングしながらロック・フェスを楽しむというパッケージツアーが昨今の流行りのようで、羨ましい限りです。プログレッシヴ・ロック寄りのラインナップが集うクルージングも増えており、今年の下半期から来年上半期にかけては、既に以下のものが決定しております。(バンドのラインナップは2013年9月1日までに発表されたものです)

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「MELLOBOAT」
2013/9/6~9/8


http://www.melloboat.se/en/
https://facebook.com/Melloboat

こちらは間もなくスウェーデンのストックホルムで行われるクルージング。ロック・クラブ/レコード・レーベルの「MELLOTRONEN」が数年前から定期的に開催しているものです。今年の出演ラインナップは

OPETH
TRETTIOARIGA KRIGET
MORGAN AGREN ALL STAR TEAM
ICECROSS
Christer Stalbrandts SAGA
PANTA REI
CRESSIDA
EMMA NORDENSTAM & CECILIA KLINGSPOR
ANGLAGARD
LISA & PIU
PALLE SUNDLIN(LIFE)
PROMISE & THE MONSTER
JENNIE STABIS
NATALIE LORICHS featuring.Axenrot/Mendez


70年代に活動したブリティッシュ・ロック・バンドCRESSIDAは、近年再結成したばかり。LIFEPANTA REIは知る人ぞ知るスウェーデンの黎明期プログレッシヴ・ロック・バンド。また、MATS/MORGAN BANDのドラマーであるモルガン・オーギュレンによるALL STAR TEAMは、DEVIN TOWNSENT PROJECTのデヴィン・タウンゼント(g)、元MESHUGGAHのグスタフ・イェルム(b)、マッツ&モルガン・バンドの盟友であるロベルト・エーロヴソン(kbd)を迎えた非常にスペシャルなバンドであります。

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「Progressive Nation At The Sea 2014」
2014/2/18~2/22


http://www.progressivenationatsea.com/
https://www.facebook.com/progressivenationatsea

こちらはアメリカで行われるプログレッシヴ・メタル・クルージング(行程はマイアミからバハマまで)。マイク・ポートノイがDREAM THEATER在籍時の2008年、2009年に「PROGRESSIVE NATION」と銘打ったジョイントツアーを行っておりましたが、こちらはそのさらなるグレードアップ版です。ドイツのヘヴィ・メタル/プログレ・メタル系レーベルであるInside Out Musicが協賛しているので、出演バンドのカラーもInside Out寄りです。ラインナップは

JON ANDERSON
TRANSATLANTIC
PORTNOY SHEEHAN MACALPINE SHERINIAN
KING'S X
Adrian Belew's Power Trio
SPOCK'S BEARD
THE FLOWER KINGS
PAIN OF SALVATION
RIVERSIDE
TONY HARNELL & BUMBLEFOOT
BIGELF
BEARDFISH
PERIPHERY
THE DEAR HUNTER
JOLLY
NEXT TO NONE
Devin Townsend Project
ANIMALS AS LEADERS
THE SAFETY FIRE
HAKEN
ANATHEMA
Mark Mikel
Anneke van Giersbergen(ex THE GATHERING)


英国からはジョン・アンダーソンANATHEMAHAKEN、スウェーデンからはTHE FLOWER KINGSPAIN OF SALVATIONBEARDFISH、オランダからは元THE GATHERINGのアネク・ヴァン・ガースバーゲン、ポーランドからはRIVERSIDE、カナダからはDevin Townsend Projectが参加。ちなみにNEXT TO NONEはマイク・ポートノイの息子であるマックスが在籍しているバンド(メンバーの平均年齢は14歳)。

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「THE MOODY BLUES CRUISE」
2014/4/2~4/7


http://moodiescruise.com/
https://www.facebook.com/moodiescruise

こちらはカリブ海をクルージングしながらの、ムーディー・ブルースを囲む会的なフェス。ラインナップはほぼヴェテラン勢で固められております。

THE MOODY BLUES
THE ZOMBIES
Carl Palmer of EL&P
THE ORCHESTRA starring E.L.O
STARSHIP featuring Mickey Thomas
LITTLE RIVER BAND
LIGHTHOUSE
STRAWBS
Shawn Phillips
Joe Whillams of TOTO
GLASS HAMMER
Sound of Contact featuring Simon Collins


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「Cruise To The Edge 2014」
2014/4/7~4/14


http://cruisetotheedge.com/
https://www.facebook.com/cruisetotheedge

今年の3月に第一回が開催され、話題になった「Cruise To The Edge」の来年度版(マイアミ~ホンジュラス~メキシコ間のクルーズ)。前述のムーディーブルースクルーズの最終日が今回の出発日なんですね。ラインナップは

YES
Steve Hackett - Genesis Revisited
U.K.
Tangerine Dream
SAGA(from Canada)
RENAISSANCE
MARILLION
QUEENSRYCHE
THREE FRIENDS(former members of GENTLE GIANT)
Patrick Moraz
PFM
LIFESIGNS
Stick Men(feat TONY LEVIN)
IOEarth
STRAWBS
THE PINEAPPLE THIAF
SOFT MACHINE LEGACY
Sound of Contact featuring Simon Collins
ELECTRIC ASTURIAS
PRESTO BALLET
MOON SAFARI
Pamela Moore
SCALE THE SUMMIT
THE PROG ROCK ORCHESTRA
HEAVY MELLOW
CHEAP THRILL

The Art Of Roger Dean


26バンド参加とメンツも大幅増加。YESU.K.TANGERINE DREAMスティーヴ・ハケットIOEarthは第一回に引き続きの参加です。STRAWBSと、フィル・コリンズの息子サイモン率いるSound of Contactは、ムーディー・ブルース・クルーズに続いての参加。また、今回は日本からエレクトリック・アストゥーリアスが参加するというのもポイントでしょう。ニック・ベッグス率いるLIFESIGNSトニー・レヴィン擁するSTICKMEN、二人のスティック奏者のバンドが見られるというのも面白いなと。QUEENSRYCHEは昨年バンドが分裂し二つのQUEENSRYCHE(ジェフ・テイト側/スコット・ロッケンフィールド側)が存在する状況となっていますが、フェスに参加するのはスコットが率いる方のようです。

日本からツアーに参加するというのはなかなか大変ですが、これだけのメンツが一度に観られるというのは非常に魅力的であります。思い切って参加してみるのもアリでしょう。


2013年8月23日金曜日

「すごろクエスト ダイスの戦士たち」ほか、中野テルヲ氏についてとりとめのないアレコレ

テクノスジャパンが1991年に発表したファミコン用ソフト「すごろクエスト ダイスの戦士たち」。タイトル通り、すごろく形式のRPGであります。今年、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信もされました。



エンディングのクレジットによると、本作のサウンド担当は"MONOPOLY"KAMEOKA、"DAITIKUN" HIRASAWA、"SONIC SKY"NAKANOの3名。"MONOPOLY"KAMEOKAは、ゲームボーイ版「熱血高校ドッジボール部」などのサウンドに関わられていた かめおかよしひろ氏。"DAITIKUN" HIRASAWAは、ゲームボーイ版「ダブルドラゴン」や、ファミコン「いけいけ熱血ホッケー部」などのサウンドにも関わられていた平沢道也氏のようです。そして"SONIC SKY"NAKANOは、平沢進氏率いるP-MODELの80年代後期メンバーであり、有頂天のケラさんや元筋肉少女帯のみのすけ氏と組んだバンドLONG VACATION、そしてソロでの多岐に渡る活動でも知られる中野テルヲ氏です。中野氏は90年代にいくつかのゲーム作品のサウンドに関わられており、公式サイトのディスコグラフィーには、同じくテクノスジャパンの「WWFスーパースター」(1989)、また、セガの「バーチャファイター2」(1994)、「セガ・ラリー」(1995)、「完全中継プロ野球グレイテストナイン」(1995) のタイトルも記載されております。



・日本ゲームスタッフリスト協会 - すごろクエスト
http://www.geocities.jp/bgrtype/gsl/fc/sugoroquest/sugorokuest.html
・日本ゲームスタッフリスト協会 - バーチャファイター2
http://www.geocities.jp/bgrtype/gsl/ss/vf2/vf2.html

[ototoy] 特集: 中野テルヲインタビュー

ちなみに"SONIC SKY"NAKANOの"SONIC SKY"とは、元P-MODEL~有頂天の三浦俊一氏によるバンドの名前。当時中野氏がメンバーとして参加されていたのです。ニコニコ動画に、ソニックスカイの改名前のバンドであるステレオスコープのパフォーマンスが見られる動画がひとつありました。また、三浦氏のサイトに、一連のバンドの変遷が詳しく紹介されております。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3222/mue/sonic.html

ステレオスコープ「FREE FREE FREE」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14958912

ちなみに上の動画の冒頭で三浦氏が言っている「大槻ケンヂの食いしん坊バンザイ!」とは、こちら。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15875484

また、ゲームのサウンドに関わられているというわけではないのですが、1996年に発表されたセガサターン版「ザ・タワー」(高層ビル経営シミュレーションゲーム)の企画オムニバス・アルバムに、中野テルヲ氏が作曲(サエキけんぞう氏との共作)で参加されている曲が1曲収録されております。その他の顔ぶれも面白い。

ザ・サウンド・オブ・タワーザ・サウンド・オブ・タワー
(1996/03/13)
ゲーム・ミュージック、ブロンソンズ 他

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[1]オープニング(NA・角野華子)
[2]サウス・パシフィック~暁のテーマ(オノ・セイゲン)
[3]マイアミ2023~スイートルームの眺望(タイガー・マッド&ザ・ストレンジ・クラシックス)
[4]ふたり(戸川京子)
[5]ザ・チャーム・オブ・イングリッシュ・マフィン(セガサターン版3DOオープニングテーマ曲)(チョコレート・ファッション[高嶋ちさ子])
[6]トップ・オブ・タワー~結婚式のテーマ(サエキけんぞう&ルーガ)
[7]地下駐車場のテーマ(タワーオリジナル映画「モダンタイム」より)(暴力温泉芸者)
[8]熱帯ゾーン(熱帯バンド)
[9]タワー・オブ・ラヴ(東京タワーズ)
[10]荒野の通り雨(ザ・ブロンソンズ[みうらじゅん&田口トモロヲ])
[11]去年の今日も~タワーのクリスマス(パソコン版「タワーのクリスマスCD-ROM」より)(yes,mama ok?)


去る8月21日に、中野テルヲ氏の新作ソロ『Deep Architecture』がリリースされました。P-MODEL時代の「サンパリーツ」、LONG VACATION時代の「Legs」、ザ・スターリン「ロマンチスト」のカヴァーも含めた全8曲収録のアルバムです。
Deep ArchitectureDeep Architecture
(2013/08/21)
中野テルヲ

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[ototoy] 中野テルヲ『Deep Architecture』配信開始&インタビュー

すごろクエスト ダイスの戦士たち - Wikipedia
ニンテンドー3DS|すごろクエスト ダイスの戦士たち|Nintendo
中野テルヲ - Discography
中野テルヲ - Wikipedia

2013年8月21日水曜日

MOON SAFARI『Himlabacken Vol.1』(2013) 雑感

ヒムラバッケン Vol.1ヒムラバッケン Vol.1
(2013/08/21)
ムーン・サファリ

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「Lover's End」三部作の後ってことで内容的には大分落ち着いたけど、良い。甘酸っぱいサウンドはそのままに、ちょろっとだけヘヴィな展開も入れつつも、最終的にはあの極上のコーラスワークと共に爽やかに回帰していくので、たまらんですね。アルバムの中盤は甘々なコーラスとムード重点な展開や歌ものが続くので、結構リラックスした緩さは感じる。とは言っても、じわじわと盛り上がる曲展開が好きな手合いには、"Mega Moon""Sugar Band"は堪えられない味わいがある。コーラス・ポップな方向性に磨きをかけた分『Lover's End』よりさらに敷居は低くなったと思う。いよいよもってプログレ周りだけで聴かれるのは勿体無いなという思いが強くなってきたので、これまで以上に広く聴かれて欲しいですね。このバンドの前では身構える必要は一切ないですよホント。ちなみに、CD盤『Himlabacken Vol.1』のボーナス・トラックでは、"Kids"のコーラス・パートの練習段階のテイクを6分間に渡ってまとめたもの(Learning Track)が聴けるのだけど、これがまた素晴らしい。ご飯3杯食えます。いずれ出るであろう『Vol.2』には、引き続き期待したいです。







2013年8月18日日曜日

知久寿焼と栗コーダーカルテット LIVE@吉祥寺MANDA-LA2 1994.07.15

こんなレア極まる音源があるとは…。"吉祥寺MANDA-LA2 知久寿焼と栗コーダーカルテット 94年7月15日 夕方の部のライブ" たま・知久さんのレパートリーをリコーダーで。約90分。


2013年8月17日土曜日

「パイクを詠め」 Variation of "PIKE"




ニンジャスレイヤー公式が私家版サウンドトラック企画でヒカシューのパイクを挙げていて嬉しいなあ。というわけで、いろんなヴァージョンのパイクを聴きます。パイクを詠め、カイシャク(解釈)してやる(カヴァー的な意味で)。


「われわれは ニューウェイヴ精神にのっとり 正々堂々とテクノり 日本全国を狂気に導くことをここに宣言します」



LP『ベンチャーズ・スーパー・ライブ'80』に収録されている、ベンチャーズ with ヒカシュー + 近田春夫 + 加藤和彦のスペシャル編成での演奏によるパイク、めっちゃくちゃカッコイイ。
限コレ!:コレクション「THE VENTURES SUPER LIVE'80」


ニコニコ動画 - チェンジリング パイクバージョンエンディング
映画『チェンジリング』が80年に日本公開された際、日本の配給会社が話題づくりのためにエンディングをヒカシューのパイクに差し替えたという。そのエンディングを再現した動画。英語版パイク。



石野卓球リミックス版"パイク"。ミニマルテクノ、反復の美学。



POLYSICSカヴァー版。2ndアルバム『A・D・S・R・M!』に収録。しかしながら、もう15年くらい前の話になっちゃうのか。



小林写楽、戸田宏武のお二人によるテクノポップ/ニューウェイヴ ユニット FLOPPYによるカヴァー(3rdアルバム『Deus ex machina』収録)。



ボカロニューウェイヴの名手うどんゲルゲ氏の調声によるKAITOでのカヴァー。調声もオケも素晴らしい。巻上ダンスを踊るべし。

DRAGONFORCEのサム・トットマン率いるイーヴィル・ニンジャ・パンク・メタル・バンド「SHADOW WARRIORS」について

今私は小さな魚だけれど -
【特集】ニンジャメタルダイジェスト(デス/スラッシュ/グラインド等多め)

http://sciandeng.blog38.fc2.com/blog-entry-589.html

黒めだかさんのブログのニンジャメタル特集を読んでいたところ、DRAGONFORCEのギタリストであるサム・トットマンが、以前からエピックでイーヴィルなニンジャ・パンク・メタル・バンドをやっていると知り、大いに興味をそそられたので、バンドについて色々と調べてみました。また、公式サイトで無料公開しているアルバムをダウンロードして聴いてみました。

SHADOW WARRIORS - Evil Ninja Punk Metal!!!
http://shadowwarriors.alturl.com/

「Akimo」ことサムが率いるニンジャ・パンク・メタル・バンドSHADOW WARRIORSは、DRAGONFORCEがまだDRAGONHEARTと名乗っていた2000年ごろに結成されたとのこと。ちなみに、スウェーデンが誇るニンジャ・メタル・バンドであるNINJA MAGICが結成されたのが2004年ごろであることを考えると……SHADOW WARRIORS、彼らこそがニンジャ・メタルのパイオニアだった……!?そういえば、NINJA MAGICの象徴的な名曲"The Way Of Life"は、そのパンキッシュなスピード・メタル・サウンドに若干DRAGONFORCEっぽいと感じるところもなきにしもあらずでしたね。

SHADOW WARRIORSにはDRAGONFORCEの初代ヴォーカリストであるZP・サート「Naoki」という変名で一部の楽曲に参加していました。また、「Kazuma」という名のベーシストと「Jyuohki」(ネーミングの由来はセガが1988年に発表したアーケードゲーム「獣王記」でしょうか)という名のドラマーがクレジットされているのですが、実はこの二人は架空のメンバー。ギター、ベース、打ち込みは全てAkimoが一人で担当しております。そして、2001年に4曲入りのデモ『Power of the Ninja Sword』を発表します。ちなみに、このEPに収録されている"Feel the Fire"は、"Strike of the Ninja"とタイトルを変えて、2008年に発表されたDRAGONFORCEの4thアルバム『Ultra Beatdown』のスペシャル・エディションに、当時のDRAGONFORCEメンバーによるリ・レコーディングの上でボーナス・トラックとして収録されております。聴き比べてみましょう。



また、同EP収録の"Power of the Ninja Sword"は、DRAGONFORCEが2012年に発表した5thアルバム『The Power Within』の日本盤に、ボーナス・トラックとして収録されることになります。



2002年にはAngelfireにスペースを借りて今の形の公式サイトが作られ、2003年ごろに「Knightrider Of Doom」「Samurai Sweetie」という名のメンバー(こちらは架空の存在ではなく、生身の人間だったそうです)を加入させたそうですが、色々あって両人ともすぐに脱退してしまったとのこと。サムの方も、DRAGONFORCEでの活動が忙しくてこちらに注力する余裕がなかったのか、SHADOW WARRIORSの活動を休止させることになります。そして、数年の沈黙を破り、バンドは2012年の1月に突如として復活。インストゥルメンタル・デモ・アルバム『NINJA ECLIPSE』を公式サイトに発表し、今に至るというわけです。ちなみに現在もヴォーカリストを募集しているようなので、我こそはというツワモノは是非とも彼らのYouTubeチャンネルを覗いてみるといいんじゃないでしょうか。アナタもニンジャになれる!

shadowwarriors666
http://www.youtube.com/user/shadowwarriors666

NINJA MAGICもそうでしたが、SHADOW WARRIORSのサウンドも忍ぶ気がサラサラないメロディック・スピード・メタルであり、DRAGONFORCEとの差異化が図られているというわけでもありません。一部が打ち込みということもあって全体的に縮小再生産という印象は拭えないのですが、時たまエピックな輝きを放つ展開を聴かせてくれるあたりは、流石サムといったところでしょうか。"Black Destiny" "Light and darkness"は妙な胡散臭さを醸し出していることもあり、なかなか良いと思います。



そうそう、アルバムに収録されている"Blades and Blood"を聴いて、どこかで聴き覚えのあるメロディが流れてきたな…?と思ったら、テクモの名作ファミコンソフト「忍者龍剣伝」の名曲"鮮烈のリュウ"のカヴァーであるということに気づきました。ニンジャ繋がりでカヴァーしたんでしょうが、カヴァーであるという旨は特に明記されていないので、原曲を知らなければうっかりスルーしてしまうところでした。おのれ邪鬼王。おのれAkimo。ああ、韻が踏める。



Shadow Warriors - Official Site
Shadow Warriors - Metallum
Shadow Warriors - Wikipedia
Shadow Warriors - myspace

2013年8月16日金曜日

NINJA MAGIC アルバムディスコグラフィー

スウェーデンが誇るエピック・ニンジャ・メタル・バンドNINJA MAGIC彼らのfacebookの過去の記事を辿ると、これまでにリリースした音源の全てを無料でダウンロード出来てしまうのでありますが、彼らのアルバムはiTunes StoreやAmazon MP3からも購入が出来ます。実際安い。何故かiTunes StoreにはEP『Back In Business』(2007)だけないのですが、Amazon MP3の方にはあります。
iTunes Store - Ninja Magic
Amazon MP3 - Ninja Magic

せっかくなので、これからNINJA MAGICに触れるという奇特極まりない方に向けて、簡単なディスコグラフィーを。


『Ninja Nation』(2004)


記念すべき1作目。イントロ1曲+4曲の計5曲入りEP。バンドの代表曲"The Way Of Life"を収録。"Return of a Ninja(Final Approach)" "Speed Of Ninja" "Feel The Steel"も、突き抜けるようなキラーチューンであり、全曲耳をかっぽじって聴くべし。




『Catchy as a Ninja,Catch as the Night』(2005)
"The Way Of Life"に比肩するマスターピース"Evil Ninja Wrath"、メロコア色の濃厚な"Once you go Black"、入魂のニンジャコント"Ninja Meditation"、恋に破れたニンジャをエモーショナルに歌い上げるバンド屈指のパワーバラード"Heartbreak Ninja"を収録した妙にヴァラエティに富む4曲入りEP。




A deadly shuriken of love―
―Not even Ninja-magic could make her stay
She left and I don't know why
But I know that she has to die!

"致命的な愛の手裏剣―
―ニンジャの魔法でさえ彼女を引留めることはできなかった。
彼女は去った、その理由を私は知る由もない。
だが私は知っている、彼女は死なねばならないと!"



『Back In Business』(2007)
ヴォーカルのカワサケ・ヤマモト氏の最後の参加作品。"Oil business" "Mean machine" "The c00k" "Fury man vs the warrior"の4曲を収録。ちょっと渋めのハード・ロックEP。耳をつんざくカワサケ氏のハイトーン・ヴォーカルがノリにノリまくりな"Fury man vs the warrior"を是非ともお薦めしたいのであります。




『Lethal Ninjaction』(2012)
6人編成となった後の7曲入りアルバム。ニンジャとの関連は大分薄くなったものの、新加入の紅一点タマ・ゴッチ嬢による男気溢れるヴォーカルがパワフルにこだまするキャッチーなハード・ポップ作品として良質の仕上がり。




余談ですが、iTunes Storeには数年前まで『... Are You Ready for Ninja?』というタイトルのベストアルバムがありました(現在はアルバムのダウンロードページが消えています)。トラックリストは以下の9曲。全曲にアルバム・エディットと付いているのですが、何らかの手は加わっていたのでしょうか?

(1)The Way of Life (Album Edit)
(2)Once You Go Black (Album Edit)
(3)Evil Ninja Wrath (Album Edit)
(4)Oil Business (Album Edit)
(5)The C00k (Album Edit)
(6)Mean Machine (Album Edit)
(7)Heartbreak Ninja (Album Edit)
(8)Return of a Ninja (Album Edit)
(9)Speed of Ninja (Album Edit)


NINJA MAGIC:facebook
NINJA MAGIC:YouTubeアカウント
ワサビ・サンダーボーン氏のYouTubeアカウント

2013年8月13日火曜日

THUNDER YOU POISON VIPER

ザ蟹(三柴理/塩野道玄) 他「戦闘妖精雪風 オリジナルサウンドトラック Vol.1&2」(2002/2005)

●YUKIKAZE OP -Thunder You Poison Viper-
http://youtu.be/KbekVaEs9U8

三柴理氏作曲のOVA版戦闘妖精雪風のオープニング・テーマである「Engage」、昨年ライヴで演られていたのか…!内田雄一郎氏、長谷川浩二氏とのトリオ"THUNDER YOU POISON VIPER"での演奏、素晴らしい。昨年のTHUNDER YOU POISON VIPERのライヴのセットリストを調べてみたけど、すげーナイスな選曲だなあ。新東京正義之士の"俺は両刀使い"もこの編成で演ってたのか。
http://bollocks.co.jp/typv-setlist.html#h2_setlist


新東京正義乃士の貴重なライヴ映像。1984年7月21日 目黒鹿鳴館。

三柴さんと、元有頂天の佐々木さんと、ClalaさんのトリオTHE金鶴のYouTubeアカウント。
https://www.youtube.com/user/theKintsuruOFFICIAL

サントラがDVD6巻の初回盤にのみ付属ということで、今となっては雪風サントラ並みに入手困難品と化した感のあるアニメ「BLUE DROP」の楽曲のピアノ独奏動画もある。

●Offside from BLUE DROP - THE Kintsuru
http://youtu.be/Z2KKCCe1wYY

●Romarin from BLUE DROP - THE Kintsuru
http://youtu.be/_jbW-hG3AaU

favorite ANIME songs cover THE PIANO SIDEfavorite ANIME songs cover THE PIANO SIDE
(2012/05/23)
三柴理

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三柴さんのピアノアレンジによるアニソンカヴァーアルバムが出ていたのか。まさか神のみぞ知るセカイのGod Only Knowsをピアノカヴァーされていたとは。



2013年8月10日土曜日

前口渉、早見沙織 他『God only knows ‐Secrets of the Goddess‐(『神のみぞ知るセカイ 女神篇』オープニングテーマ)』(2013)

God only knows -Secrets of the Goddess-God only knows -Secrets of the Goddess-
(2013/07/31)
Oratorio The World God Only Knows

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アニメ『神のみぞ知るセカイ』第三期「女神篇」のオープニングテーマ「God only knows -Secrets of the Goddess-」を収録したシングル。2010年に放送された第一期のオープニングテーマ「God only knows」は、六部構成+α(「集積回路の夢旅人」)でトータル10分に及ぶものであり、数名のコンポーザーが分担する形で制作した各パートのトラックが次々と繋がっていくというリレー形式の展開もさることながら、これでもかと耳を惹く大仰なアレンジの数々にとてつもない衝撃を受けましたが、今回の"Secrets of the Goddess"はさらにスケールを押し広げ、全八部構成&トータル13分という、もはや他の追随を一切許さないシンフォニック・ロック・オラトリオと化しており、思わず開いた口が塞がらなくなりました。コンポーザー/アレンジャーも増員し、サウンドユニット「eyelis」の面々(前口渉/川崎里実/増田武史)、作詞担当の西田恵美さん、ギタリストの木村香真良氏、楽曲制作ユニット「mixakissa(ミキサキッサ)」が引き続き参加されている他、新たにMAGIC PARTY本田光史郎氏、江並哲志氏、青山シゲル&薫ル石塚玲依氏といったJ-POP/アニソン界隈で活躍されている方々が参加。また、一期、二期でヴォーカルを担当されたELISAさんに代わり、今回はハクア・ド・ロット・ヘルミニウム役の早見沙織さんがヴォーカルを務められております。

一期の「God only knows」では、各パートには「第○幕」という名称がつくのみでしたが、今回は"God(神)"を冠した序章を皮切りに、作中に登場する「ユピテルの姉妹」"ウルカヌス" "ディアナ" "アポロ" "ミネルヴァ" "マーズ" "メルクリウス"の名を冠した六つの章(詞の内容も、各キャラクターの心情を書いたものです)を経て、"Love And Revival(愛と復活)"を掲げた最終章で幕を閉じるというもので、トータル・コンセプトな部分にもさらなるこだわりを見せています。各パートのおおまかなタイムラインは以下の通り。

0:00~2:00 序章「神」
2:00~3:30 第一章「ウルカヌス」
3:30~4:40 第二章「アポロ」
4:40~6:00 第三章「ディアナ」
6:00~7:10 第四章「ミネルヴァ」
7:10~8:00 第五章「マーズ」
8:00~9:15 第六章「メルクリウス」
9:15~12:52 最終章「愛と復活」


打ち込みとストリングスを主軸に、壮麗なヴォーカル/コーラスとロック的なギターが要所で彩を添え、随所で叩き込まれるオーケストラ・ヒットがさらにテンションを高めてゆくという贅沢な趣向は一期とほぼ同じものですが、楽曲から感じる印象は少し違うものになりました。一期は、QUEENからの影響も少なからず感じさせた楽曲展開の派手さやめまぐるしさで耳を惹いた分、各パート間の切り替わりでちょっと苦しいなと感じるところもあったのですが、今回は前回と比べると格段にパート間の繋ぎが自然なものになっており、スケールの大きさはそのままに、最初から最後まで聴き手を包み込むかのような柔らかさとトータル感のあるシンフォニック・ロックに仕上がっております。また、今回はクラスタシアCMBなどの活動でも知られる室屋光一郎氏率いる"大先生室屋ストリングス"がストリングスパートを担っているのも見逃せないところです。朗々たるコーラス/ヴォーカルを2分間に渡ってたっぷりと聴かせる荘厳かつアップテンポな序章(ちなみに、序章のラスト1分から第一章冒頭部分までを抜粋したものがTVサイズとしてアニメのオープニングに使用されております)。アカペラパートに重点を置いた第二章。細やかで軽やかなドラムとアコースティック・ギターのカッティングに導かれ、6拍子/5拍子の展開が続いてゆく第五章。3拍子のリフレインが煌びやかにこだまし、静かな感動を呼ぶ最終章。トドメのダメ押しとばかりに「God only knows 第三幕」のイントロが登場し、回帰を予感させる趣向の幕切れなど、その妥協のない仕上がりにただただ脱帽です。

くどういようですが、まごうことなきシンフォニック・ロックの大作であり、これはもうプログレと言わずして何と言うかというくらいアイデアが詰め込まれた渾身の内容になっています。公式サイトのCD紹介文にも「次々と展開していくプログレ的なスタイル―」とあったり、音楽ディレクターである甲克裕氏が「プログレの域を遙かに超えた歌劇」とインタビューで語っているように、制作側もやはりプログレ的なものを意識したところはあったようです。また、「神のみぞ知るセカイ」の原作者であり、アニメ版楽曲への作詞提供もされている若木民喜先生はプログレ好きだそうで、氏の意向も少なからず反映されたところもあったのではないかと思います。それらを考えると、「God Only Knows」は出来るべくして出来た楽曲なんだなあと思わず納得してしまいました。菅野よう子さんやElements Gardenなどの活躍もあり、90年代、00年代と時代が進むにつれてプログレ/シンフォニック・ロック的なアプローチを見せるアニソンが増えてきましたが、その中でもある種の極みをこの曲は見せてくれました。公式サイトの謳い文句には"新たなる「神のみ曲」の金字塔になるであろう"とあるのですが、シンフォニックなアニソンの金字塔と言ってもいいのではないかと思います。それほどに、この曲に満ち溢れている外向きのエネルギーは並々ならぬものがあります。素晴らしいものを聴かせていただきました。



神のみぞ知るセカイ - アニメ公式サイト
神のみぞ知るセカイ - Wikipedia
God only knows~集積回路の夢旅人 - Wikipedia
Eyelis - Wikipedia

【アニメイトTV独占】『神のみぞ知るセカイ 女神篇』OPテーマについて、
作品プロデューサー&音楽ディレクターが語る!

http://www.animate.tv/news/details.php?id=1374564581

【アニメイトTV独占】『神のみぞ知るセカイ 女神篇』OPテーマの歌唱者がついに判明!
その歌姫に独占インタビュー!!

http://www.animate.tv/news/details.php?id=1374822238&p=1

2013年8月8日木曜日

FROST*の前身バンド「FREEFALL」の楽曲が、元メンバーのsoundcloudにて多数公開中

FROST*の初期メンバーであり、アルバム『Milliontown』にも関わられていたJohn Boyes氏のsoundcloudアカウントで、FROST*の前身とも言えるプログレッシヴ・ロック・バンドFREEFALLの楽曲が多数聴けるということを、つい最近になって知りました(音源は2年ほど前から公開されております)。一部を除いてダウンロードも可能。ファンにとっては興味深く、また貴重な音源でありましょう。

John Boyes - soundcloud
https://soundcloud.com/jonboyes





FREEFALLは、ジム・ハリスと、後にFROST*のフロントマンとなるジェム・ゴドフリーの二人が中心となり、1986年にロンドンで結成されたバンド。GENESIS、EL&P、RUSHといったプログレッシヴ・ロックの先達や、MARILLION、IQ、PENDRAGONといったネオ・プログレッシヴ・ロック勢からの影響も伺える華麗でキャッチーなサウンドを展開しておりました。1986年から1990年にかけてのバンドのラインナップは以下の通り。

Andrew J Lovatt(Vocal)
Jem Godfrey(Keyboards)
Jim Harris(Guitar)
Simon Godfrey(Drums)
Paul Worwood(Bass)


※メンバーの名前を見て既にお気づきの方もいるかもしれませんが、ドラムスのサイモン・ゴドフリーは、ジェム氏の兄弟です。彼も現在TINYFISHという自身のプログレッシヴ・ロック・バンド(結成は2004年)を率いて活動中です。また、ベースのポール・ワーウッドもTINYFISHのメンバーとして現在もバンドに在籍中であります。

FREEFALLは1990年ごろにメンバーチェンジがあり、ヴォーカルがJean Paul Orrに、ギターがJohn Boyesにそれぞれ代わっています。FREEFALLは『Fate Not Choice』(1988)、『Surface Tension』(1989)、『Deus Ex Machina』(1990)という三つのカセットEPと、『Thrown』という唯一のフルアルバム(1991/CD)を残しております。ただ、このアルバムはハード・ロック志向が強かったようです。目指す方向性に迷いが生じたためか、アルバム発表後しばらくして、バンドは解散を迎えてしまいます。

ジョン・ボイス氏はこの後Rookというバンドで(90年代半ばまで?)活動を続けていたようで、soundcloudにはその頃の音源も多数アップロードされています。こちらも、IQやPENDRAGONにも通じる歌もの寄りのネオ・プログレッシヴ・ロック・サウンド。GENESISの"Turn It On Again"のカヴァーもあります。







「Lazy Gun Records」内紹介ページ
FROST* - Wikipedia
TINYFISH - Wikipedia
John Boyes - Wikipedia

2013年8月4日日曜日

MELDAC(中潟憲雄・大久保高嶺)『暴れん坊天狗音楽集』(1990/2013)

謎の生命体により壊滅の危機に瀕したアメリカを、
極東から飛来した天狗(の面)が救う――

1990年にメルダックより発売された横スクロールのシューティングゲームであり、稀代のバカゲー『暴れん坊天狗』。ナムコ時代に『源平討魔伝』『超絶倫人ベラボーマン』『未来忍者 慶雲機忍外伝』などに関わられた源平プロの中潟憲雄がディレクター&サウンドを、同じく源平プロに所属していた大久保高嶺氏が企画&サウンドを担当され、何から何までエキセントリックな方向性で仕上がった怪作奇作であります。

暴れん坊天狗を創った男:中潟憲雄氏インタビューについて
- れとろげーむまにあ


暴れん坊天狗音楽集-Rom Cassette Disc In MELDAC-暴れん坊天狗音楽集-Rom Cassette Disc In MELDAC-
(2013/06/22)
ゲームサントラ

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そんな暴れん坊天狗ですが、2013年の今年、20年以上の時を経てまさかのサウンドトラック発売決定というニュースが飛び込んで来た時には、嬉しくて嬉しくて思わずエキサイテングしました。しかも暴れん坊天狗の楽曲だけでなく、中潟氏、大久保氏が関わられたメルダックのゲームボーイ用ソフト『天神怪戦』(1990)、『読本夢五誉身~天神怪戦2~』(1992)『平安京エイリアン』(1990)の楽曲も余さず収録という嬉しい内容。非売品の8cmプロモCDより"京の都でROCK'n ROLL!(VSモードBGM)" "検非違使のテーマ(中潟憲雄アレンジバージョン)"の2曲が収録されていて、抜かりもなし。発売元のクラリスディスクさんの大英断には大きな拍手を送りたいですし、心の底から感謝したいです。ありがとう!

ファミコンの怪作『暴れん坊天狗』を収録したサントラ『暴れん坊天狗音楽集 -Rom Cassette Disc In MELDAC-』が6月22日に発売! - 電撃オンライン

クラリスディスク - 公式サイト

サイトの紹介文や帯のタタキ文句には「狂気と混沌が交錯するプログレッシブでエキサイテングなサウンド」「ファミコン最高峰のサウンドが奏でるプログレミュージックを体感せよ!」とあるのですが、これは実際その通りで、一切の誇張なしであります。中潟氏のプログレ志向と、大久保氏のヘヴィ・メタル志向がガッチリと組み合わさっており、捨て曲なしです。ちなみに中潟氏はナムコに入社される前は、シンフォニックな方向性のプログレッシヴ・ロック・バンド「AQUAPOLIS(アクアポリス)」で活動されていたことがあり、その当時の音源もいくつか残っております(このことについては別のエントリで改めて語りたいと思います)。源平討魔伝や未来忍者の楽曲でもそういった方向性の楽曲があるのですが、暴れん坊天狗は中潟プログレの集大成とでもいうべき仕上がりになっています。何につけても"Tengulila"は、暴れん坊天狗を語る上ではハズせない不朽の名曲。



プログレ的なポイントとしては、"Cream Zone"(ステージ4ボス)に注目したいところです。CRIMSONと引っ掛けたタイトルといい、ポリリズム&変拍子な曲調といい、80年代のKING CRIMSON(『Discipline』発表以後)のサウンドを意識したのは明白でありましょう。



また、"Oyagi"(ステージ2ボス)はEmerson,Lake&Palmer…というよりは、The Niceの"America"あたりをオマージュしたのかなあと思うところがあります。鍵盤を弾き倒すキース・エマーソンの姿がおぼろげながら浮かんでくる…かも?



退廃的な"Strontium 90"(ステージ3前半)、躁鬱的なアップダウンを見せる"Delusion"(ステージ3後半)、屈指のテンションの高さを誇る"Streamer"(ステージ4)など、聴き手はシリアスなムードと不安を煽る音の流れに翻弄され幻惑されることしきり。また、ステージセレクトやコンティニュー時に流れる"Verge Of Danger"は、ループを繰り返すごとに1音ずつ際限なく上がっていくという仕様の楽曲なのですが、それを考慮してサントラにはたっぷり7分間に渡って収録されています。些細なものかもしれませんが、こういうこだわりもやはり大事なポイントですね。エンディングで流れるアメリカ国歌の疾走感溢れるアレンジ"Song For U.S.A"、ハイスコアを叩き出した者のみが聴く事が出来る驚異のファミコン・テクノ"Delta Rap"も、短いながら必聴です。

『天神怪戦』『読本夢五誉身~天神怪戦2~』『平安京エイリアン』は、ハードがゲームボーイということもありファミコンよりも小粒ですが、ツボを押さえた素晴らしき和風チップチューンの数々は流石の仕上がり。天神怪戦の"プロローグ・イベントシーン1"や、平安京エイリアンの"検非違使のテーマ"のメロディアスなフレーズ、また、ゲームボーイ2台を使っての対戦モードで流れるノリの良いロックンロール調のBGM(MMSS[マルチ・マトリックス・サウンド・システム]により、二台のゲームボーイから別々の音が出て楽曲が奏でられていたというのも非常に画期的だと思います。)は特に聴きものです。

ライナーノーツには各ゲームの解説や大久保氏へのインタビューをはじめ、当時のメルダックの販促計画(銀座の空を「暴れん坊天狗」宣伝気球が舞ったという衝撃のプロモーション)や販促用グッズの写真(ハイセンスなデザイン!)なども掲載されており、非常に興味深い内容。2002年に刊行された太田出版の「CONTINUE」Vol.4に掲載された「暴れん坊天狗を創った男:中潟憲雄氏インタビュー」と併せて読みたいところです。

CONTINUE(コンティニュー) vol.4CONTINUE(コンティニュー) vol.4
(2002/03/01)
太田出版

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ちなみに、中潟憲雄氏をして「正しく荒唐無稽な感性の持ち主」と言わしめた大久保氏が、暴れん坊天狗の発表からしばらく後に携わられた、1992年発表のPCエンジンのソフト『冒険男爵★ドン サン=ハート編』(発売:アイマックス/開発:漫充堂)も色々と必見のカルトなバカゲーたる内容であります。いわば、暴れん坊天狗の(正しく荒唐無稽な)後継作品。



冒険男爵★ドン サン=ハート編 - ゲームカタログ

暴れん坊天狗 - Wikipedia
中潟憲雄 - Wikipedia


2013年8月3日土曜日

Fecal Matter (Demo)


カート・コバーンがMELVINSのバズとデイルと80年代中頃に一時期だけ組んでたFECAL MATTERのデモカセットのジャケ……うーんこの……。

2013年8月1日木曜日

MASCHINE『Rubidium』(2013)

RubidiumRubidium
(2013/08/20)
Maschine

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 まだ二十歳半ばというイギリス出身の若手ギタリスト ルーク・マシン率いるプログレッシヴ・メタル・バンド「マシーン」のデビュー・アルバム。同国のヴェテラン・バンドTHE TANGENTが2011年に発表したアルバム『COMM』にギタリストとして参加したことで注目された彼は、かのガスリー・ゴーヴァンからギターの手ほどきも受けたという技巧派。2007年ごろからCONCRETE LAKEなるバンド(PAIN OF SALVATIONの2ndアルバム『One Hour By The Concrete Lake』から取られたのでしょうね)で活動を行っており、これがMASCHINEの母体となりました。バンドのベーシストであり、近年のTANGENTにもメンバーとして名を連ねているダン・マッシュは、この頃から彼と活動を共にしていたようです。音楽的影響としては師であるガスリーやPAIN OF SALVATIONの他、ジェフ・ベック、DREAM THEATER、PORCUPINE TREE、OPETHの名前も挙げているのですが、それら以上に、IT BITESとその元メンバーであるフランシス・ダナリーから受けた影響が強いようです。

 シュレッド系の速弾きにジャズ的なフレーヴァーも盛り込み、しなやかさに特化したマシンのギタープレイは、プログレ・メタルというよりはフュージョン/ジャズ・ロック寄りのフィーリングを多分に感じさせてくれます。アルバム全体の方向性は、時にフュージョン、ラテンなタッチを交えつつ、初期PAIN OF SALVATIONからの影響を強く感じさせるダークなプログレッシヴ・メタルを、澱みのないギタープレイを主軸にして聴かせるというもので、ダウナーな爽快感(というのも変な言い方ですが)のある仕上がり。PAIN OF SALVATIONフォロワー的な部分が多く耳につくため、個性が確立されているとは言い難いですが、プレイやアレンジのセンスは非凡なものがありますし、2パートに分かれた"Eyes"には、今後に繋がるものを少なからず感じるものがありました。若いというのは何より強みなので、ここからさらに化けてくれることに大いに期待したいです。ちなみに、ボーナス・トラックとして収録された"Chains" "Reach Out"の2曲には、THE TANGENTのフロントマンであるアンディ・ティリソンがキーボードでゲスト参加しております。ほんのりとソウルなテイストも感じさせる"Reach Out"はボーナスにしておくには惜しい佳曲です。






MASCHINE - Official Site
The Tangent - Wikipedia