2015年4月12日日曜日

BIGLIETTO PER L'INFERNOのキーボーディスト、三十数年ぶりの新作 ― Baffo Banfi & Matteo Cantaluppi 『FrontEra』(2015)

FronteraFrontera
(2015/03/17)
Baffo Banfi

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 かつて70年代にイタリアで活動したヘヴィ・プログレッシヴ・ロック・バンド BIGLIETTO PER L'INFERNO。同バンドでキーボーディストだったジュゼッペ・バンフィ(Giuseppe Banfi)が、同国でプロデューサー/サウンド・エンジニアとして活動しているマッテオ・カンタルッピ(Matteo Cantaluppi)と組んで新たに結成したユニットが、先ごろデビューアルバムをリリースいたしました。それが今回ご紹介する『FrontEra』です。バンフィはBIGLIETTO PER L'INFERNO解散後、'78年から'81年にかけて三枚のシンセサイザー・ソロアルバムをリリースしているのですが、そのうち二作目、三作目のアルバムは、かのクラウス・シュルツェ主宰のレーベル「Innovative Communication」からのリリースであり、プロデュースもシュルツェ本人が手がけておりました。その後はアルバムのリリースが途絶え('88年に前述の三作からの楽曲をセレクトしたコンピレーションアルバムはリリースされています)ていただけに、今回の新作は実に三十数年ぶりとなるわけです。

 アルバムは全6曲。バンフィによるエレクトロニクスと、カンタルッピによる管弦アレンジを基調とした楽曲は、最長で9分、最短で5分というコンパクトなつくりで、ニューエイジ/ジャーマン・エレクトロの流れを汲んだ、伸び伸びと壮大な仕上がり。スペイシーではありますが、サイケデリックではなく、醒めた高揚感があるというのがミソでしょうか。往年のニューエイジ・サウンドといった懐かしさすら感じさせる"Kalu Pia"や、ストリングスアレンジも効いた"Front Era Valley"、太いシーケンスと堂々たるムードで貫かれた"Nuova Era"など、クラウス・シュルツェの諸作に通じるアンビエントな空気感はもちろん、TANGERINE DREAMのロマン性、そしてヴァンゲリス・パパサナシュー(「炎のランナー」「ブレードランナー」あたりの)やジョルジオ・モロダー、ジョン・カーペンターあたりにも通じるエッセンスを持っております。80年代のエレクトロ・ミュージック好きなら多分に琴線に触れるポイントの多い作品です。




なお、バンフィのsoundcloudアカウントでは、前述のソロ時代の楽曲もいくつかあがっております。こちらは'79年リリースの『Ma, Dolce Vita』より、アンビエントな長尺トラックです。




Baffo Banfi & Matteo Cantaluppi 『FrontEra』 - progstreaming
全曲ストリーミングで視聴可能(※期間限定)

Baffo Banfi - italianprog
Baffo Banfi - discogs

〈関連〉
PEAK『Ebondàzzar』(1980/1983)
同じく、Innovative Communicationからリリースされていたオーストラリアのユニットの電子プログレ作品。