2013年5月29日水曜日

PEAK『Ebondàzzar』(1980/1983)



時代の流れの中に埋もれてしまった様々なバンドやアーティストの作品が近年数多く復刻されており、中には「ええっ、こんなのも!?」といったモノまで復刻しちゃう世の中ですが、それでもまだ世の中にはLPリリースのみでCD化すらしていない作品というのも沢山あるわけで、YouTubeを漁るとそういった掘り出し物的音源に辿り着くことが多々あります。物持ちのいい人は結構いるもんなんだなあと。

さて、今回ご紹介するPEAKも、未だにCD化がされていないシロモノの一つ。サンプラザ中野くんとタモリを足して二で割って外宇宙にアブダクションしたようなジャケットからして、既にカルト的な匂いがしますでしょう?PEAKはロバート・リークス・パーソンズとポール・フィッシャーという二人のマルチ・ミュージシャンを中心として、オーストラリアのアデレードで(恐らく70年代末期あたりに)結成されたプログレッシヴ・ロック・ユニットです。1980年にオーストラリアのCement Recordsからリリースされたアルバムが彼らの唯一の作品になるのですが、同作品はクラウス・シュルツェが70年代末から80年代初頭にかけて主宰していたレーベルInnovative Communicationから1983年に再発されております。TANGERINE DREAMやASH RA/マニュエル・ゲッチングあたりのエレクトロニックなジャーマン・ロック系バンドからの流れも汲んだ彼らのサウンドは、なるほどシュルツェのレーベルが目をつけるのも納得の内容であります。

冷ややかなシーケンスが連続する"Nightmist"や、シンセのメロディアスなフレーズと後ろの方で控えめに鳴っているマーチングドラムが対照的な"Ocean Of Dreams"、メルヘンチックでポジティヴなニュアンスをたっぷりと含みこんだ"Penguin"を聴いていると、いつの間にか音の波の中に心地良く浸れてしまいます。また、ささくれだったギターが所狭しと空間を暴れ回るヘヴィ・プログレ・チューン"Encounter"や、スペイシーなムードの中でエコーがかったギターがゆるゆると垂れ流される"Along For The Ride"などで聴ける、ロバート・フリップやマニュエル・ゲッチングからそれぞれ影響を受けたであろう音響的ギタープレイも非常に耳を惹くところであります。うめきに近いシャウト(ちょっと津久井教生 似)も飛び出すサイケデリック・ロック"The Hunt"、アコースティック・ギターとつつましやかなシンセの音色が牧歌的な趣を演出する"Snail's Pace"、疾走感にまかせてラフにドライヴするブルース・ロック"Agent's Lunch"と、アルバム終盤はロック/フォーク的アプローチが強まります。中盤までエレクトロ・ミュージック路線だっただけに方向性にブレを感じざるを得ないのですが、そんな詰めの甘いところもまた魅力というか、どこか嫌いになれないんですよねえ。



余談ですが、Innovative CommunicationにおけるPEAKのカタログナンバーはKS 80.044で、その一つ前のKS 80.043は、数日前のエントリでご紹介したMark Shreeveの1stソロアルバム『Assassin』であります。

Progarchives - PEAK
Progarchives -『Ebondàzzar』
discogs - Innovative Communication

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