2013年9月8日日曜日

ASTURIAS『Cryptogam Illusion』(1993)

祝・再発


クリプトガム・イリュージョン(紙ジャケット仕様)クリプトガム・イリュージョン(紙ジャケット仕様)
(2013/09/04)
アストゥーリアス

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大山曜氏率いるプログレッシヴ・ロック・ユニット アストゥーリアスの3rdアルバム。エグベルト・ジスモンチからの影響をより強く押し出したと言うことで、今作には前作、前々作におけるマイク・オールドフィールドばりの長編曲はありません。弦楽隊をフィーチャーしたり、ヴォーカル曲を入れたりと、コンパクトな楽曲で様々な試みとアイデアを聴かせてくれます。サウンド面でも構築面でも洗練された分、曲調を多彩ととるか散漫ととるかで意見が分かれそうですが、アコースティックな味わいの比重が大きくなってきているので、後のアコースティック・アストゥーリアスへ繋がっていくものが本作で多く見出せるのではないかと。軽やかに弾け飛ぶかのようなピアノで幕を開ける"Distance"。ヴィオラとファゴット、そしてピアノの編成で奏でられる"Adolecencia"。ぬめるようなチェロの音色が楽曲の間を縫い、存在感を示す"Cryptogam Illusion"。軽くパーカッシヴなバックのサウンドに、シンセがささやかに煌く幕間的なナンバー"Mistral Island"。スタイリッシュに変拍子を刻みながらもなお燃え盛るアンサンブルがこの曲への意気込みを感じさせるパワフルなフュージョン・ナンバー"Phoenix"。悲しげながらも切なさを感じる冷たさに満ちた多重録音曲"Glacier"は、「シルヴァサーガ」(「ミネルバトンサーガ」の続編として、92年にセタから発売されたファミコンソフト)の楽曲のリメイク。"Cyber Transmission"は、クールなたたずまいの内に迸る勢いを秘めたエレクトロニック・インスト・ナンバー。そして"Dansa Das Borboletas"は、本作のハイライトと呼ぶにふさわしい1曲。熱を孕んだバックのアンサンブルにどこまでも涼しげなシンセ、慈愛に満ちたギターが交わり、地鳴りにも似た重厚な響きで聴き手を包み込んでいく佳曲。大山氏もこの曲はお気に入りなんだそうな。ラストは上野洋子さんのポルトガル語歌唱とアコースティック・ギターのシンプルな編成でしっとりたおやかに聴かせる"O Tempo Passa"。楽曲の終盤では"Cryptogam Illusion"のフレーズをリプライズしつつ、静かに幕を閉じてゆきます。本作をもってアストゥーリアスは活動を停止し、数年間の沈黙に入ります。



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Asturias Offical Web Site -「Cryptogam Illusion」 - 試聴/曲解説
ASTURIAS - Wikipedia
大山曜 - Wikipedia