2016年8月20日土曜日
今年第二弾のソリッド・プログレ・フュージョン ― Ludrium (Cody Carpenter)『Through Sentinent Eyes』(2016)
コディ・カーペンターによるプログレッシヴ・インストゥルメンタル・ユニット Ludriumの約7ヶ月ぶりのリリースにして、通産四作目のフルアルバム。今年4月に発表された、父 ジョン・カーペンターの二作目のソロアルバム『Lost Themes II』での楽曲・演奏面での貢献、そしてカーペンターバンドの一員として、同作を引っさげての世界各国のライヴやフェス出演など、今年に入ってますます活発化した活動を展開しているコディ氏。本作の楽曲のほとんどは今年3月から5月にかけて書かれたもので、一部は古いマテリアルをリファインしたものとのこと。先行公開された"Years" "Last Line of Resistance" "Cave of Time" "Subtle Cosmos"の4曲をふくむ全12曲を収録。本作のマスタリングは、2015年に誕生したばかりのフランスのシンセウェイヴレーベル LASERDISCS RECORDSの筆頭アーティストであり、プロデューサー Absolute Valentine。ちなみにコディ氏は同レーベルが今年3月にリリースしたコンピレーション第一弾に新曲"Starlight Desire"を提供しております。
EL&P、GENESIS、スティーヴ・モーズ、ヴィンス・ディコーラ、細江慎治などからの影響を独自に昇華・ミックスし、ゲーム音楽、プログレ、フュージョン、シンセウェイヴの各要素を散りばめた四本柱のインストゥルメンタルサウンドはますます磨きがかかっており、冒頭を飾る"Last Line of Resistance"は、「慈悲のないはるか未来の世界で、人間が生んだ人工知能ロボットによる世界征服に立ち向かうのが、私達しかいない……」(コディ氏のコメント)というコンセプトのスリリングな疾走チューン。同曲しかり、"Misty is Our Love" "Jagged Hag" "Mind Over Matter"しかり、プログレとフュージョンが巧みにせめぎあうソリッドな楽曲展開がより練られた仕上がりです。FM音源とギターフュージョンをミックスしたノスタルジックな趣の"Cave of Time" "The Labyrinth"や、チャーチオルガンサウンドによるRPGライクな小品"Held"、80年代以降のポップ期GENESISに通じるきらびやかなメロディが躍動する"Subtle Cosmos"などを間あいだにはさみ、テンポよくまとめられています。
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https://soundcloud.com/john-cody-carpenter
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▽「Exclusive: Cody Carpenter talks Ludrium and tour with John Carpenter」
(from axs.com|2016.07.03)
▽受け継がれる音楽的遺伝子。ジョン・カーペンターの息子コディ率いるプログレッシヴ・ロック・バンド ― Ludrium『Zeal』(2012)
▽ゲーム音楽、フュージョン、プログレの折衷をより推し進めた、コディ・カーペンターの二作目 ― Ludrium『Pleasure of a False Past』(2015)
▽コンスタントなリリース、コンパクトなグッドメロディ ― Ludrium『Unity』(2016)
ところで、8月頭にiOSでリリースされたスポーツアクションゲーム「Tap Track Heroes」のBGMをコディ氏が手がけており、Ludriumが昨年リリースした2ndアルバム『Pleasure of a False Past』の収録曲が使われています。