2013年1月21日月曜日

イタリアン・ロックの様式と洗練されたセンスが融合した技ありの一枚― BAROCK PROJECT『Coffee In Neukolln』(2012)

Caffee in NeukollnCaffee in Neukolln
(2012/04/24)
Barock Project

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 2004年に結成されたイタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド バロック・プロジェクトの3rdアルバム。いわゆるシンフォニック・ロック系バンドであり、YouTubeで"BAROCK PROJECT"と検索すると、彼らの音楽的ルーツであるEL&PやGENESIS、NEW TROLLSのレパートリーを達者にカヴァーしている動画を見ることができます。バンド名が示すようなバロック様式の曲調はもちろん、70年代イタリアン・プログレやジャズのフレイバーを現代的なセンスでミックスさせたサウンドには泥臭さ・野暮ったさが全くなく、非常に洗練された仕上がり。コーラスやストリングス・アレンジも大々的に盛り込みつつ、変拍子を絡めた複雑な楽曲展開もお手のものいったところ。トリオとは思えぬサウンドのうねりと厚みを生み出す、フロントマンのルカ・ザッビーニ(kbd)の巧みなアレンジ・センスは一目置くべきものがあります。

 タイトル曲はその好例であり、甘い耳ざわりのヴォーカルが耳を惹くウェットな質感のピアノ・バラードかと思いきや、中盤でドぎついシャウト入りのプログレ・ハードになるという意表を突いた展開を見せてくれます(ちょっとアメリカのMAGELLANに近いものがあるかも)。また、「Back To You」は、EL&PやPFMからの影響を巧く消化した1曲で、アコースティック・ギターの爽やかな響きが楽曲全体にフレッシュな印象を与えています。10分の長曲「Fool's Epilogue」は、NEW TROLLSの『Concerto Grosso』を思わせる前半部と、疾走感抜群のプログレ・ハードな後半部をバロック・クラシカルなムードで纏め上げた1曲。カラリとしたプログレ・ハード「Streets Of Berlin」「Starfull Jack」は、ポップなエッセンスもさることながらフルートやアコースティック・ギターが良いアクセントになっている佳曲。QUEENの「Bohemian Rhapsody」(の終盤)を思わせるリフで幕開けする「Inside My Dreamer's Eyes 1&2」は動と静の二部作。プログレ、クラシック、そしてジャズと、かなり込み入った楽曲ながら、それを微塵も感じさせない構築の妙が冴え渡っております。いやもう脱帽。そしてダメ押しとばかりに続く「The Lives Of Others」がまた素晴らしい。情緒を感じさせるヴォーカル/アレンジでしっとりと始まり、GENESISチックな展開となる中盤からはドラマティックなオーケストレーションやギターソロがこれでもかと盛り上げる、アルバムのフィナーレを飾るにふさわしい大曲。練りに練られた楽曲、巧みなアレンジがたっぷりと詰まっており、最後まで聴き手を飽きさせないお見事な良作です。昨年のうちに聴いておけばよかったなあと、今さらながら後悔しております。



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