2007年2月15日木曜日

植松伸夫&光田康典(仲野順也・浜渦正志)『フロントミッションシリーズ ガンハザード オリジナルサウンドトラック』(1996)

ガンハザード ― オリジナル・サウンドトラック
ゲーム・ミュージック
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 '96年に発表された、フロント・ミッション・シリーズ「ガンハザード」のサウンドトラック。2枚組。ジャンルがシミュレーションRPGではなくアクションRPGであったことと、本シリーズとはパラレルな世界観ということで、FMシリーズの中では今ひとつ評価の低い本作ですが、まごうことなき名作です。主人公のアルベルトを始めとしたキャラクターの味のある(ありすぎる)セリフ回しの魅力にとり憑かれた者も多く、今なお根強い(一部カルト的な)人気を誇っております。また、個人的なことを言わせてもらうと、FMシリーズで一番やりこんだのが本作でした。武器&機体の熟練度システムには熱を上げましたし、ラスボスが厄介過ぎてクリアするのに足掛け6年ほど掛かりましたが、今となってはいい思い出です(笑) さて本サントラですが、メインコンポーザーは植松伸夫氏と光田康典氏のお二人。また、仲野順也氏と浜渦正志氏が数曲担当されており、メイン・コンポーザー、サブ・コンポーザー共に豪華な顔ぶれのもとに制作されております。楽曲はゲームの内容を反映して、ヴァンツァーをイメージした硬質なもの、シナリオに沿ったシリアス&渋めなものが多く、ファイナルファンタジーやクロノトリガーと比べると華やかさはないのですが、楽曲の充実度はその二作に全く引けをとっていないと思います。ウネウネとしたリズムを無機質に展開してゆく植松曲、クリアなサウンドを押し出し、前向きに切り拓いていくような光田曲、両者の作風の違いを味わうことができるのはファンにとってはウレシイのではないでしょうか。

 また、植松曲の一部は、97年(翌年)に発表されるFFVIIの楽曲の雰囲気に繋がるものがあります(のどかな村落のテーマ「Centkrich」や、焦燥感を煽る「Warning Two」あたりを聴くとそれがよく伺えます)。一方の光田氏の楽曲も、ファンファーレ調のテーマ「Emotion」や、他の楽曲の旋律のモチーフを重ねて徐々に盛り上がっていく「Trial Zone」は、95年(前年)に発表されたクロノトリガーに、イベント戦闘などで流れる「A Running Fight」は96年(同年)にサテラビューで配信されたラジカルドリーマーズの楽曲を髣髴とさせる雰囲気を持っています。各氏の作風の変遷を知る、という意味でも興味深いものがあるのではないかと。

 光田曲でのオススメは、重苦しいベースラインがプレッシャーを与える「A・R・K」、否応なくテンションを高めさせてくれる「追撃」「Final Mission」、そしてエンディング関連の2曲「Emotion」「Trial Zone」。対する植松曲では、「Genoce」や「Escape」といったイベントバトル絡みのハイテンションな楽曲や、場末のムードを持った「Richard Millman」(こういう曲調の楽曲をひとつのゲームタイトルに必ず1曲入れるのが植松さんらしい)、最終ステージに使用されたバロック調の荘厳な楽曲「Atlas」(FFVIの「妖星乱舞」のコンパクト版といった印象もします)あたりが聴きものかと。仲野&浜渦の両氏も、出番は少ないながらも「敵襲」「Edel Ritter」「Approach To A Shrine」「焦燥」といった、淀んだ空間や張り詰めた緊張感を演出した曲を提供しており、水準が高いです。スクウェア黄金期の充実ぶりも感じられる1枚です。


GUNHAZARD:Wikipedia
SQUAREENIX:ガンハザード
植松伸夫:Wikipedia
光田康典:Wikipedia
仲野順也:Wikipedia
浜渦正志:Wikipedia
https://twitter.com/gunhazard_bot