タルカス&展覧会の絵 (2004/04/21) 黒田亜樹 商品詳細を見る |
クロアキの愛称でも知られるピアニスト 黒田亜樹さんの3枚目のアルバム。過去の二作ではアルベルト・ヒナステラやアストル・ピアソラのレパートリーを弾きこなしてきた彼女ですが、今作では題材をEmerson,Lake&Palmerにとり、プログレに急接近。EL&Pの長編プログレ組曲「TARKUS」を、作曲家のマウリツィオ・ピサーティが編曲した「ZONE-TARKUS」、そして、EL&Pもカヴァーしたムソルグスキー「展覧会の絵」を収録したのがこの作品。ジャケットもいい感じです。ちなみに録音はイタリアにあるマウロ・パガーニ(PFM)のスタジオだったそうな。たまたまだったそうですが、因果を感じます。かつてEL&Pは荒々しく暴力的なフレージングで「タルカス」をド派手にバキバキ鳴らしていましたが、こちらは繊細かつ冷ややかに迫りくるアンサンブルの展開でカヴァーしているので、正直、プログレ的なものを期待すると肩透かしかもしれません。EL&Pファンの賛否も分かれそう。しかし、ピアノ、パーカッション、ヴァイオリン、ギター編成による現代音楽的アプローチでどう見せるかというのが主題なので、その点を踏まえるとかなり楽しめます。オープニングの「噴火」、中盤の「アイコノクラスト」、終盤の「マンティコア」「噴火II(アクアタルカス込み)」のパートは、EL&Pのそれとは別種のスリルを味わえる良アレンジ。そして「展覧会の絵」、これはもう再結成EL&Pが94年に発表した意味不明のスタジオリメイク版よりはるかに良いし、丁寧かつ鳴らすところはしっかり鳴らしているので好感触。ちなみにライナーノーツには、EL&Pのキース・エマーソン、ピアニストのブルーノ・メッツェーナ、そして植松伸夫のお三方が推薦コメントを寄せています。植松氏は彼女のファンで、過去にFFXのピアノ・アレンジアルバムの奏者に彼女を指名しております。
●黒田亜樹:公式サイト クロアキネット