2013年6月16日日曜日

Alain Goraguer『La Planete Sauvage(ファンタスティック・プラネット) Original Soundtrack』(1973)

ファンタスティック・プラネット [DVD]ファンタスティック・プラネット [DVD]
(2001/03/23)
不明

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フランスの作家 ステファン・ウルのSF小説『オム族がいっぱい(Oms en Série)』を原作とし、フランス・アニメーション界の巨匠 ルネ・ラルーや、イラストレーター/作家のローラン・トポールらが組んで1973年にフランス&チェコ共同で製作されたカルトなSFアニメーション映画 『ファンタスティック・プラネット』のサウンドトラック。巨大な体躯と青い肌と赤い目を持ち、高度な文明を築き上げているドラーグ族と、彼らの十分の一の身長ゆえにいいように虐げられ続けている、人間によく似た姿形のオム族という、タイプの全く異なる二つの種族がとある惑星を舞台に繰り広げる数々の戦いや駆け引きを描いた作品です。かの宮崎駿氏は本作の世界観やローランによるデザインから多大な影響を受け、『風の谷のナウシカ』に反映させたのでは?…という指摘もあり、実際本編を見ればなるほどと頷けるのですが、そんな情報を抜きにして見ても非常に面白い作品です。独特の世界観とキャラクターの造型、シュールレアリスティックな演出でたちまちのうちに惹き込まれてしまいます。

La Planete SauvageLa Planete Sauvage
(2012/11/06)
Various Artists

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本作の劇伴を担当されたのが、フランスのジャズ・ピアニストにして、作編曲家のアラン・ゴラゲール。氏は初期のセルジュ・ゲンズブールや、『うたかたの日々』などで知られる作家/詩人にしてジャズ・トランペット奏者でもあったボリス・ヴィアンの楽曲のアレンジも担当されており、ヴィアンの「J'irai cracher sur vos tombes(墓にツバをかけろ)」を原作とした映画(1960)では、瀟洒なジャズのスコアを提供していました。ファンタスティック・プラネットでは、本編のカルトでシュールな内容に呼応し、さらなる拍車をかけるが如く、影のあるムードを湛えつつも、いつ切れるかわからない緊張感も孕んだ秀逸なスコアを作曲されています。ジャジーでありながらファンキーで、サイケデリック/プログレッシヴなニュアンスも混然としたバンドサウンドが滲ませる腹に一物のあるテイストも非常にたまらないのですが、時折り交えられるコーラスがさらに気だるさと物悲しさをそそり、退廃的な色合いを与えています。この異様なまでに尾を引く味わいは、劇伴マニアのみならずサイケ/プログレ系リスナーにも聴いていただきたい1枚。サントラは国内盤/海外盤ともに久しく廃盤状態でありましたが、昨年の11月にイタリアのレーベルからリマスター盤が出たようです。とはいってもこちらもいつ廃盤になるかわからないので、入手はお早めに。



※【追記】なんとその後、ブルーレイが出ました。
ファンタスティック・プラネット [Blu-ray]ファンタスティック・プラネット [Blu-ray]
(2013/09/27)
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ファンタスティック・プラネット - Wikipedia
ルネ・ラルー - Wikipedia
Alain Goraguer - Wikipedia