音楽的な側面でみてみると、KING CRIMSON「Starless」のほぼフルコーラスで幕を開け、サイケデリック・フォークが耳をくすぐり、HEAVY METALが押し寄せ、ブラック・メタル的な終焉からの「静寂」で幕を閉じる。実にヘヴィで、エクストリームで、そしてビューティフルなんですよね。ヨハン・ヨハンソンによるエレクトロ・ドゥームな劇伴は全編に恐ろしいまでの緊張感をもたらし、シンセサイザーによるヘヴィネスを最奥から体現したような陰鬱さとヴァイオレンスをはらむ。本作がヨハンソンの遺作だということを抜きにしても、掛け値なしの傑作と断言したいです。さらに、追加劇伴はSUNN O)))やBorisなどとの仕事でも知られるランドール・ダン(本作の音楽プロデュースも兼任)や、ポスト・テクノの気鋭であるピピン・コードロン(KRENG)、ヤイール・エラザール・グロットマン(KETEV)。編曲・演奏はポスト・ロック・バンド For a Minor Reflectionのキャルタン・ホルムと、ヨハンソンがかつて在籍していたエレクトロニカ・バンド Apparat Organ Quartetのウルファ・エルジャン。そしてギター演奏は泣く子も黙るドゥーム/ドローン・メタル・バンド SUNN O)))のスティーヴン・オマリーが担当。界隈の錚々たる顔ぶれが集結しています。
ちなみに、本編でライナス・ローチ演じる教祖ジェレマイア・サンドがかけていた自作曲「Amulet of the Weeping Maze」は、今年の1月にデジタルシングルとして先行配信されていた楽曲でもあります。本編ではほんの少しだけの登場でしたが、全長版は7分あり、作曲は本職のサイケデリック・ロック・バンドであるMaster Musicians of Bukkakeのミルキー・バージェスが手がけ、ハンズ・トイバのフルートやMamifferのフェイス・コロッチアのコーラスをフィーチャーして相当に作りこまれたサイケデリック・フォークなのです。
『ラ レヴュー ド マチネ』には第1~3、5・6話のレヴュー曲を、『ラ レヴュー ド ソワレ』には第8~12話のレビュー曲と、戯曲「スタァライト」劇中歌「星摘みの歌」を収録。そして第3~11話の各エンディングに使用された「Fly Me to the Star」の8つのヴォーカル編成違いヴァージョン(&インストゥルメンタル版)が2枚に分かれて収録されています。サウンドトラックと一部レヴュー曲の作編曲は、「ラブライブ!」「宝石の国」の藤澤慶昌氏と、「Free!」「ラブライブ!サンシャイン!!」の加藤達也氏の二人が担当。共にクラシカルな編曲に定評があり、卓越した手腕の持ち主であります(加藤氏の作編曲の師は三枝成彰、服部克久、小六禮次郎、羽田健太郎の四氏)。また、サントラ・劇中歌ともに、全てのストリングスパートを真部裕ストリングスが担当しています。
11名のホーンセクションによる低音の響きがストリングスと重厚に絡む第2話レヴュー曲「The Star Knows」(作曲:中村康隆/編曲:小高光太郎・藤井亮太・谷ナオキ)は、舞台「-The LIVE- #1 revival」のレヴュー曲「私たちの居る理由」のリ・アレンジという興味深いポイントがあります。方や純那&華恋のデュオ曲、方やスタァライト九九組メンバー全員の歌唱曲。シーンや詞、そしてアレンジは全く異なれど、これまた「複数の解釈」の一例といえるものでしょう。作曲は、管弦楽隊やDJを擁する大編成のロック・オーケストラ 「夜長オーケストラ」のリーダーであり、舞台版のミュージカルパートの劇伴も手がける中村康隆氏。ここに小高光太郎、藤井亮太、谷ナオキの三氏による手厚い編曲が加わり、めまぐるしく怒濤にして、きわめて華麗なシンフォニック・チューンに生まれ変わりました。
間違いなく序盤のハイライトといえる第3話。華恋と天堂真矢(CV:富田麻帆)によるレヴュー曲「誇りと驕り」(作編曲:藤澤慶昌)は、はかり知れない昂ぶりをおぼえました。舞台経験に豊む富田氏の抜群にして朗々たる歌唱力が、高みを目指す天堂真矢の強さ、そして圧倒的存在感を示したシーンとダイナミックにシンクロしており、ヴィヴァルディ 四季「冬」を思わせるフレーズから迎える「より高く より輝く」クライマックスパートは圧巻の一言。This is 天堂真矢、彼女は天堂真矢、これぞ天堂真矢……。レコーディングメンバーのクレジットは20名を超え、編成も最大級です。ちなみに、第3話レヴューシーンの少し前に流れた劇伴は、四季「夏」を思わせる「ブリッジの上で」(※サントラ33曲目/作曲:藤澤慶昌)であったことにもハッとさせられました。
華恋と ひかりによる第12話レヴュー曲「スタァライト」(作編曲:藤澤慶昌・加藤達也)は、フィナーレを飾るにふさわしい8分を超える大曲であるとともに、サウンドトラックのアレンジで構成されたレヴュー曲でもあるというのが大きな特徴。「ブリッジの上で」「歯車」(※サントラ33曲目・11曲目/作曲:藤澤慶昌)、「Elle est belle: 美しい人」(※サントラ21曲目/作曲:加藤達也)、「星摘みの塔」(※サントラ31曲目/作曲:藤澤慶昌)が“再生産”され、メドレーとして再構築されています。レコーディングメンバーは「誇りと驕り」と同様、20名を超える大編成。真部裕ストリングスの真骨頂、ここにありといったところでしょう。
山本陽介(guitar)
神永大輔(尺八 from 和楽器バンド)
真部裕ストリングス(strings)
●06. Fly Me to the Star #3(神楽ひかり) ●07. Fly Me to the Star #4(愛城華恋、神楽ひかり) ●08. Fly Me to the Star #5(露崎まひる) ●09. Fly Me to the Star #6(石動双葉、花柳香子) ●10. Fly Me to the Star #7(Instrumental)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)
藤井健太郎(guitar)
真部裕ストリングス(strings)
※『ラ レヴュー ド マチネ』ブックレットでは「Guitar:―― Kentaro Fujii[M5]、Yohske Yamamoto[M6]」となっていますが、M5「花咲か唄」のギターが山本陽介氏で、M4「恋の魔球」とM6~10「Fly Me to the Star」のギターが藤井健太郎氏です。
●06. Fly Me to the Star #8(愛城華恋) ●07. Fly Me to the Star #9(星見純那、大場なな) ●08. Fly Me to the Star #10(天堂真矢、西條クロディーヌ) ●09. Fly Me to the Star #11(except 愛城華恋、神楽ひかり)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)
Music Composed & Arranged by 末廣健一郎
DISC 1:1~4、10~14、16、19~21
DISC 2:2、8~15、17~19
Music Composed & Arranged by MAYUKO
DISC 1:5~9、15、17、18、22
DISC 2:1、3~7、16
《MUSIC STAFF》
Sound Producer: 末廣健一郎・MAYUKO
Director: Lucy☆Diamonds
Recording & Mixing Engineer: 葛島洋一
Assistant Engineer: 房野哲士
Studio: Sony Music Studios Tokyo, 1 MUSiC STUDiO
1996年3月2日から1997年7月12日にかけて全61話が放送されたアニメ版「みどりのマキバオー」のサウンドトラック。コンポーザーは岩代太郎氏。キャリア初期の担当作品のひとつであります。1991年春に東京藝術大学大学院修士課程を修了するとともに、シルクロード国際管弦楽作曲コンクールに応募したソプラノ・サックスとオーケストラの為のコンチェルト「To The Farthest Land Of The World/世界のいちばん遠い土地へ」が最優秀賞を受賞。同年4月~5月に放送されたNHKスペシャル「ファッションドリーム」の音楽監督に起用され、劇伴作曲家デビュー。映画では「課長島耕作」(監督:根岸吉太郎/1992)、「あした」(監督:大林宣彦/1995 ※音楽は學草太郎と連名)。テレビドラマでは「君といた夏」(1994)、「東京SEX」「沙粧妙子~最後の事件~」(1995)の劇伴を手がけ、1994年4月にはファンハウスよりアルバム『It's』でソロアーティストとしてもデビュー。また、同作を起点(001)として、以降にCDパッケージ化された作品には「its」という独自のナンバリングが振られており、氏の公式サイトで一覧としてまとめられています。
同作のコンポーザーであり、ギターとヴォーカルも自ら担当している「Elmobo」ことフレデリック・モッテ氏はゲームミュージックシーンとメタルシーンの双方で実績を残している才人。80年代より「Moby」の名でデモシーンに参加し、90年代よりゲームミュージックを作り続け、「パックインタイム」「ナイトメア・クリーチャーズ」「Bakugan: Rise of the Resistance」(爆丸バトルブローラーズの北米版ソフト)など多数のタイトルを手がけてきた大ヴェテランである一方、プログレッシヴ・メタル・バンド「Plun-In」でも活動を展開しており、Bumblefoot(ロン・サール)のフランスツアーのサポートメンバーに抜擢されてもいるテクニシャン。Plug-Inの2011年のアルバム『Hijack』ではバンブルフットのほか、アンディ・ティモンズ、FREAK KITCHENのマティアス・エクルンド、SOILWORK、SCARVEのシルヴァン・コードレー、MÖRGLBLのクリストファー・ゴディンなどのテクニシャンがゲスト参加した超強力盤です。2004年にはレコーディングスタジオ「Conkrete Studio」を構え、多くのバンドのミキシングやマスタリングも手がけてもおります。
Steam Greenlightでのリリース時には5曲を収録したサウンドトラック(「Ludum Dare」の期間内に合わせ、作曲・レコーディング・ミキシング・マスタリングを72時間内で完了させています)が投げ銭でリリースされていましたが、このたびの早期アクセス開始に伴い、28曲(うちインストゥルメンタルver.が5曲)収録のサウンドトラック第一弾がシアトルのゲームミュージックレーベル Materia Collectiveよりリリースされました(正式リリース時には第二弾がリリースされることでしょう)。チップチューンメタルはもちろん、インダストリアル/エクストリーム/スラッシュ/グルーヴメタルもelmobo氏にとってはお手のものであり、まさにメタルジャンルのデパート状態。さらにPLUG-INをはじめ、LOKURAH、SAMSARA CIRCLE、HELL IN TOWN、ANTHEUS、GOROD、THE FUNDAMENTAL WISDOM OF CHAOSといった欧州メタル/ハードコア系バンドのギタリストやヴォーカリストが多数客演しているのも大きなポイント。elmobo氏の人脈の広さをうかがわせてくれます。ちなみに、SAMSARA CIRCLEのオッリ・サムサーラが作詞とヴォーカルを担当した「Die Untoten」は思いっきりラムシュタイン風であり、フランスのアヴァンメタルバンド THE FUNDAMENTAL WISDOM OF CHAOSのサブ・エルヴェニアが訳詞とヴォーカルを担当した「Don't Bite My Butt」は(妙な)日本語詞の楽曲になっています。
小説『Ready Player One』(邦訳版『ゲームウォーズ』)に登場するロック/ポップ・ミュージックの元ネタは、著者のアーネスト・クラインが2011年に自身のブログですべて明かしています。「ファミリータイズ」「スクールハウスロック」や「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」など、本編に登場する番組や映画のテーマも含めて網羅されているほか、ご丁寧にも3曲の「ボーナス・トラック」まで記載されています。パット・ベネターを入れているのは、作中でアルテミスの本拠地とされている惑星の名前が「ベネター」だからでしょう(下巻P11参照)。
01 - Oingo Boingo - Dead Man’s Party 02 - Billy Idol - Dancin’ With Myself 03 - Family Ties - Opening Theme 04 - Schoolhouse Rock - Verb 05 - Duran Duran - Wild Boys 06 - John Williams - Star Wars Soundtrack - The Throne Room End Title 07 - Midnight Oil - Beds Are Burning 08 - Howard Jones - Like To Get To Know You Well 09 - Basil Poledouris - Conan The Barbarian - Anvil Of Crom 10 - Ladyhawke Soundtrack - Main Title 11 - Richard Strauss - Also Sprach Zarathustra 12 - The Beepers - Video Fever 13 - Men Without Hats - The Safety Dance 14 - New Order - Blue Monday 88 Remix 15 - Duran Duran - Union Of The Snake 16 - Billy Idol - Rebel Yell 17 - Cyndi Lauper - Time After Time 18 - LA Style - James Brown Is Dead 19 - Blondie - Atomic 20 - Wham! - Wake Me Up Before You Go-Go 21 - The Plimsouls - A Million Miles Away 22 - Change - John Waite 23 - Peter Gabriel - In Your Eyes 24 - They Might Be Giants -Don’t Let’s Start 25 - Def Leppard - Pour Some Sugar On Me 26 - Bryan Adams - Kids Wanna Rock 27 - Buckner & Garcia - Pacman Fever 28 - Rush - The Temples of Syrinx 29 - AC/DC - Dirty Deeds Done Cheap 30 - Schoolhouse Rock - Three is a Magic Number 31 - Rush - Subdivisions 32 - Monty Python and the Holy Grail - End Music
Bonus Tracks: Pat Benatar - Invincible DEVO - Girl U Want Van Halen - Dance the Night Away
----------------------------------------------------- 小説『Ready Player One』 (2011)
原文を見ないとわからないネタです。「He is, as the saying goes, dancing with himself」という一節があります。「Dancing with Myself」は、ビリー・アイドルが在籍したパンク・バンドのGENERATION Xが活動末期の1980年にリリースした楽曲。ビリーと同じくフロントマンだったトニー・ジェームズの共作曲。その後、1981年にバンドは解散、ビリーはアメリカに渡ってソロデビューするのですが、その際に再度この曲をカヴァーしてシングルとしてリリースします。同曲は1981年リリースのEP『Don't Stop』、1982年リリースの1stソロアルバム『Billy Idol』にも収録。
ミッドナイト・オイルは1976年に結成されたオーストラリア・シドニーのロック/ポップス・バンド。2002年の解散までに11枚のアルバムを発表。その後も2005年、2009年、2016年とたびたび再結成しており、2017年には大規模なツアーを行っていました。リード・ヴォーカルのピーター・ギャレットは、現在は政治家としても活動中。「Beds are Burning」は世界的なヒットも記録したバンドの代表曲で、アルバム『Diesel and Dust』に収録されています。
http://www.midnightoil.com/
原文を見てみると「The subject line read“We Can Dance If We Want To”」で終わっており、「メン・アット・ワークの曲のタイトルだ」にあたる文は見当たりませんでした。また、Men At Workにそういうタイトルの曲はありません。これはMen Without Hatsのデビューアルバム『Rhythm of Youth』(1982)に収録された「Safety Dance」の冒頭の歌詞です。80年代に活動したオーストラリアのロック・バンドMen At Workと、同じく80年代に活動したカナダのニューウェイヴ/シンセポップ・バンド Men Without Hatsとで混同された可能性があります。
オランダのエレクトロ・デュオ L・A・スタイルのクラブヒット。1991年にシングルでリリースされ、1993年にアルバム『L.A. Style』に収録。この曲が発表された当時は、もちろんジェームズ・ブラウンは存命中。「○○ is Dead」というタイトルの走りとなった楽曲で、○○ is not Deadや○○ is Still Aliveといった亜種が続々と出ています。
アメリカのパワー・ポップ・バンド ザ・ナーヴスのメンバーであったピーター・ケイスを中心として1978年に結成された ザ・プリムソウルズの1982年発表のシングル。1983年発表の2ndアルバム『Everywhere at Once』に収録。この年に解散もしていますが、その後、断続的に再結成を繰り返しています。
ラッシュは、カナダを代表するロック・トリオ。アレックス・ライフソン、ゲディ・リー、ニール・パートの不動のトリオの名を知らしめた一大プログレッシヴ・ロック・アルバム『2112(西暦2112年)』。都市の中心にそびえる寺院「シリンクス」により、人民の生活がコンピュータ管理された社会で育った主人公が旧文明の遺物(ギター)に触れ、社会を脱するまでを描いております。 「The Temples of Syrinx」は、組曲2112の第二パートにあたる部分。小説版では『2112』はあるシーンの大ネタのひとつとして出てきます。それは読んでのお楽しみ。「Subdivisions」は、1982年にリリースされたバンドの9thアルバム『Signals』の収録曲。
▼Bob Dorough - Verb: That's What's Happenin'(1973)
▼Bob Dorough - Three is a Magic Number(1973)
「スクールハウス・ロック」は、1973年から1985年にかけてアメリカで放送された、音楽とともに算数や歴史などを学習するというコンセプトの子供向け教育番組。「Verb: That's What's Happenin'」「Three is a Magic Number」は、ともに劇中曲です。作曲者のボブ・ドローは、マイルス・デイヴィスやブロッサム・ディアリーなどのアルバム(ジョン・ゾーンのNaked Cityのアルバムにスペシャル・ゲストとして参加していたりもします)への参加や、ソフト・ロック・グループ Spanky and Our Gangなどのプロデュースなども手がけたジャズ・ピアニスト/シンガー。
http://www.schoolhouserock.tv/Verb.html
Jump - Van Halen
Walk This Way - RUN-DMC
Pump Up the Jam - Technotronic
Hungry Like the Wolf - Duran Duran
Dancing with Myself - Generation X
Sweet Dreams (Are Made of This) - Eurythmics
I Hate Myself for Loving You - Joan Jett and the Blackhearts
I Heard It Through the Grapevine - Marvin Gaye
Faith - George Michael