海外で定期的に開催されている数日間のゲーム制作イベント「Ludum Dare」の2015年12月開催の第34回でプロトタイプが生み出され、好評とフィードバックを獲得したフランスのHeadbang Club開発によるシューティングゲーム「Double Kick Heroes」。荒廃した終末世界を舞台に、「ガンデラック」に乗り込んだメタルバンドが襲い来るゾンビ軍団をギンギンに演奏しながらガスガス撃ち殺しまくるという、パワーメタル(物理)なリズムシューティングゲームです(プレイヤーの好みの楽曲でゲームをプレイすることも可能)。同年末にSteam Greenlightでリリースされ、その後2017年8月にドイツのgamescomのインディーゲーム賞を獲得。2018年4月よりSteamで早期アクセスが開始されました。日本語ローカライズは架け橋ゲームズが担当しています。
同作のコンポーザーであり、ギターとヴォーカルも自ら担当している「Elmobo」ことフレデリック・モッテ氏はゲームミュージックシーンとメタルシーンの双方で実績を残している才人。80年代より「Moby」の名でデモシーンに参加し、90年代よりゲームミュージックを作り続け、「パックインタイム」「ナイトメア・クリーチャーズ」「Bakugan: Rise of the Resistance」(爆丸バトルブローラーズの北米版ソフト)など多数のタイトルを手がけてきた大ヴェテランである一方、プログレッシヴ・メタル・バンド「Plun-In」でも活動を展開しており、Bumblefoot(ロン・サール)のフランスツアーのサポートメンバーに抜擢されてもいるテクニシャン。Plug-Inの2011年のアルバム『Hijack』ではバンブルフットのほか、アンディ・ティモンズ、FREAK KITCHENのマティアス・エクルンド、SOILWORK、SCARVEのシルヴァン・コードレー、MÖRGLBLのクリストファー・ゴディンなどのテクニシャンがゲスト参加した超強力盤です。2004年にはレコーディングスタジオ「Conkrete Studio」を構え、多くのバンドのミキシングやマスタリングも手がけてもおります。
Steam Greenlightでのリリース時には5曲を収録したサウンドトラック(「Ludum Dare」の期間内に合わせ、作曲・レコーディング・ミキシング・マスタリングを72時間内で完了させています)が投げ銭でリリースされていましたが、このたびの早期アクセス開始に伴い、28曲(うちインストゥルメンタルver.が5曲)収録のサウンドトラック第一弾がシアトルのゲームミュージックレーベル Materia Collectiveよりリリースされました(正式リリース時には第二弾がリリースされることでしょう)。チップチューンメタルはもちろん、インダストリアル/エクストリーム/スラッシュ/グルーヴメタルもelmobo氏にとってはお手のものであり、まさにメタルジャンルのデパート状態。さらにPLUG-INをはじめ、LOKURAH、SAMSARA CIRCLE、HELL IN TOWN、ANTHEUS、GOROD、THE FUNDAMENTAL WISDOM OF CHAOSといった欧州メタル/ハードコア系バンドのギタリストやヴォーカリストが多数客演しているのも大きなポイント。elmobo氏の人脈の広さをうかがわせてくれます。ちなみに、SAMSARA CIRCLEのオッリ・サムサーラが作詞とヴォーカルを担当した「Die Untoten」は思いっきりラムシュタイン風であり、フランスのアヴァンメタルバンド THE FUNDAMENTAL WISDOM OF CHAOSのサブ・エルヴェニアが訳詞とヴォーカルを担当した「Don't Bite My Butt」は(妙な)日本語詞の楽曲になっています。
http://doublekickheroes.rocks/
http://www.elmobo.com/