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2019/01/15

西暦2000年のブギーポップ・メディアミックス~3枚の企画CDについて

 2019年1月より19年ぶり2度目のアニメ化が放送中の「ブギーポップは笑わない」。前回のアニメ版「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」は2000年1月から3月にかけて放送され、こちらはオリジナルストーリー(後日談)によるアニメ化でした。同年2月には小説『ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生』が刊行、同年3月には小説第1作の映画化「ブギーポップは笑わない Boogiepop and Others」が公開、さらに時期を同じくしてサウンドトラックやイメージアルバムが2か月連続で3タイトルリリースされるなど、ガッチリとしたメディアミックスが展開されていました。リリースから19年が経とうとしている今、この3枚の企画盤を改めて振り返ってみたいと思います。



『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~ブギーポップ・ヴァージョン~』

MNCM-2001(2000年2月25日発売)

『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom
オリジナル・サウンドトラック』

MNCA-3001[TGCS-836~837](2000年2月25日発売)

『Music Album Inspired by Boogiepop and Others
ブギーポップ 君に伝えたいこと』
MNCA-3003[TGCS-838](2000年3月25日発売)


※メディアワークス(現:アスキー・メディアワークス)の規格品番で「MNCM」が使用されたのはMNCM-2001のみ。また、「MNCA」のナンバリング3000番台が使用されたのはMNCA-3001とMNCA-3003のみで、以降のリリースでは9000番台が使用されており、「キノの旅」の初ゲーム化作(PS2用ソフト)のサントラ『キノの旅 -the Beautiful World- サウンドコレクション』(MNCA-9004/2003年3月)が最初のものとなっています。



ブギーポップは笑わない ― Boogiepop Phantom  /  ワーグナー,ニュルンベルクのマイスタージンガー第1幕への前奏曲(ブギーポップ・ヴァージョン)
TVサントラ 平野義久 梶浦由記 上遠野浩平
KADOKAWA メディアファクトリー (2000-02-25)
売り上げランキング: 79,394


『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲~ブギーポップ・ヴァージョン』は、表題曲と「口笛ヴァージョン」の2曲を収録したシングル。前曲は鈴木織衛氏が指揮、平野義久氏が編曲、後曲は浜田理恵氏が口笛、梶浦由記氏が編曲をそれぞれ担当しています。デジパック仕様パッケージのブックレットにはユージンとフォルテッシモが登場する20ページの短編「ブギートーク・ポップライフ」を収録。こちらは現在も文庫未収録であり、本CDでしか読めません。



『ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲~ブギーポップ・ヴァージョン~』

《収録曲》

01. ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~ブギーポップ・ヴァージョン~

02. ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲
~口笛ヴァージョン~



ブギーポップは笑わない ~Boogiepop Phantom ― オリジナル・サウンドトラック
TVサントラ
KADOKAWA メディアファクトリー (2000-02-25)
売り上げランキング: 31,753


『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom オリジナル・サウンドトラック』は、クラブミュージックに特化したCD2枚組のコンピレーション。Flare(ケン・イシイ)、SiLC(元M-AGEのMIYO-KEN[三代堅]のユニット)、Audio Active、ススム・ヨコタ、AOA(ボアダムスのHILAHとE-DA Kazuhisaによるユニット)、Ming & FS(アーロン・アルバーノ & フレッド・サルゴリーニ)、Sugar Plant、Sadesper Record(WATCHMAN & Goro Watari[NARASAKI])、サワサキヨシヒロ、ヒデノブ・イトウ、レイ・ハラカミ、M.Y.K.N.(MIYO-KEN)が楽曲を提供しています。方向性的には「serial experiments lain」の『cyberia mix』(1998)や、「サムライチャンプルー」の一連のサントラ(2004)と同列に位置するアルバムではないかと思います。





『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom オリジナル・サウンドトラック』

《Disc 1 収録曲》

01. Happy End(Flare)
02. In Heaven(SiLC)
03. Penalty Taker(Audio Active)
04. Gataway(Sususmu Yokota)
05. Delirious(SiLC feat 2k+D's of RED LINE)
06. Stormy Soup(AOA)

《Disc 2 収録曲》

01. Boogiepop Me Up(Ming & FS)
02. A Furrow Dub(Sugar Plant)
03. Torso(Sadesper Record)
04. Snow Coast(Yoshihiro Sawasaki)
05. Unstability(Hidenobu Ito)
06. Pone(Rei Harakami)
07. Angel in the Dark(M.Y.K.N.)



ブギーポップ 君に伝えたいこと
ワーグナー 梶浦由記 平野義久
メディアファクトリー (2000-03-25)
売り上げランキング: 149,924


『ブギーポップ 君に伝えたいこと』は梶浦由記氏が全作編曲(ボーナストラックを除く)を手がけたイメージアルバム。山木秀夫(drums)、八ッ橋義幸(guiter)、Mecken・中村キタロー(bass)、難波弘之・冨樫春生(piano, keyboards)、梯郁夫(percussion)、矢口博康(sax)といった強力なレコーディングメンバーのセッションで制作されたピアノ主体のジャズ・ロック/ポスト・ロック インストゥルメンタルは、梶浦氏が劇伴を担当した映画版でもアレンジされて流れることになります。ピアノソロを力強いバンドアンサンブルが支える「daphne」「boogie-pop」、矢口氏の熱演をフィーチャーした「nepenthe #1」「nepenthe #2」、リリカルなメロディが優しく胸を打つ「sad bird」「forget-me-not」、カタルシスの爆発が訪れるスリリングなブレイクビーツ・ロックの傑作「criss-cross」など、珠玉の楽曲ぞろい。梶浦作品の中でも間違いなく上位に入る傑作です。なお、2010年にリリースされた梶浦氏の3枚組サントラワークスベスト『The Works for Soundtrack』のDISC 2には、本イメージアルバムの「porcelain」「nepenthe #2」「embrace」とボーナストラック以外の7曲が収録されており、そちらでほぼフォローが可能です。ボーナストラックとして収録されている「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(ブギーポップ・ヴァージョン・クラシカル・ミックス)は、シングルリリースされたもののミックス違い。本盤もデジパック仕様パッケージであり、ブックレットには原作の名台詞を抜粋してメッセージ詩集として収録しています。


The Works for Soundtrack
The Works for Soundtrack
posted with amazlet at 19.01.14
梶浦由記
BMG JAPAN Inc. (2010-12-08)
売り上げランキング: 115,609


『Music Album Inspired by Boogiepop and Others ブギーポップ 君に伝えたいこと』

《収録曲》

01. daphne
霧間凪(and 末真和子)

02. sad bird
エコーズ(and 紙木城直子)

03. nepenthe 1
ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

04. porcelain
末真和子(and 霧間凪)

05. egotism
マンティコア(and 早乙女正美)

06. forget-me-not
紙木城直子(and 木村明雄)

07. nepenthe 2
ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

08. criss-cross
VS

09. embrace
新刻敬

10. boogie-pop
ブギーポップ

〈Bonus Track〉
11. 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
(ブギーポップ・ヴァージョン・クラシカル・ミックス)





【関連】
「キノの旅」イメージアルバム『キノなカノン~ゆっくりでアップテンポでなめらかな曲~』(2003)
2度アニメ化した電撃文庫作品つながり。

2018/12/08

アニメキャラソン/イメージソングにおける、QUEENパロディ/オマージュあれこれ

★アニメ劇伴における、KING CRIMSON オマージュ/パロディあれこれ
http://camelletgo.blogspot.com/2013/03/king-crimson-homage.html


 数年前に上記のエントリをこしらえましたが、こちらはそのQUEEN版です。90年代以降で集めてみました。「ブライアン・メイっぽいギターが鳴っている曲」で探せばさらにあるでしょうが、キリがなくなりそうなのでほどほどにしておきます。また、80年代以前も探せばきっとあるのでしょうが、そこまで知識が及んでおらず、情報提供お待ちしております。映画・特撮だとQUEENが関与した「フラッシュ・ゴードン」のサウンドトラック(1980)、ブライアン・メイ率いるプロジェクトによる「無敵艦隊スターフリート」(特撮SF人形劇「Xボンバー」の海外放送版タイトル)主題歌のカヴァー曲を収録したミニアルバム『Star Fleet Project』(1983)がありますね。



Flash Gordon: 2011 Remaster
Flash Gordon: 2011 Remaster
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Queen
Island UK (2011-07-05)
売り上げランキング: 6,164





▼らんま1/2 熱闘編
VisioN「ラヴ・シーカー CAN'T STOP IT」(1992)

ラブ・シーカー
ラブ・シーカー
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ビジョン
ヴァージン・ジャパン (1992-04-29)
売り上げランキング: 1,075,380


VisioNII
VisioNII
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VisioN
メディアレモラス (1992-11-20)
売り上げランキング: 737,957

 1989年10月から1992年9月にかけて放送された「らんま1/2 熱闘編」、その最末期のオープニングテーマ。1分半のTVサイズ版ではAメロのハードロック部分が主なのでQUEENオマージュだとわかりにくいのですが、フルヴァージョンになるとこれでもかという展開のオンパレードになり、印象が全然違うものになります。VisioNは1988年に大村憲司と矢萩渉(安全地帯)の共同プロデュースでデビューした「20世紀Jr.」の活動後期の名義。『VisioN II』(1992年11月発売)のアルバムジャケットは『QUEEN II』を意識したものでした。1992年はフレディ・マーキュリー追悼コンサートが行われた年でもあります。






▼勇者特急マイトガイン
高尾直樹「旋風寺よ永遠なれ~KING OF RAILROAD」(1993)

勇者特急マイトガイン 歌のアルバム
イメージ・アルバム 檜山修之 菊池正美 矢島晶子 PURPLE 露湖藻雷蔵&海蔵 マリー・コクラン 高尾直樹 岡柚瑠 露湖藻雷蔵 巻島直樹
ビクターエンタテインメント (1993-12-16)
売り上げランキング: 110,557


 勇者シリーズ第4作として1993年1月から1994年1月にかけて放送された「勇者特急マイトガイン」。1993年12月に発売されたドラマ&キャラソン集『歌のアルバム』の最後を飾る楽曲。「We Are the Champions」のオマージュであり、「Bohemian Rhapsody」と同様に6分ほどの楽曲であり、〈鉄道のチャンピオン〉〈7つの海を越え~〉という歌詞があるのもGOODです。作編曲はプログレッシヴ・ロック・バンド SENSE OF WONDERの難波弘之氏。






▼ぼくの地球を守って
Aceilux「GLOW YOUR KNIGHT~勇者の唄」(1994)

ぼくの地球を守って イメージ・サウンドトラック VOL.2
ビデオ・サントラ 森川智之 A CEIL UX 新居昭乃 河井英理 置鮎龍太郎 溝口肇 保刈久明 菅野よう子 ACEILUX
ビクターエンタテインメント (1994-04-21)
売り上げランキング: 61,659


 1993年12月から1994年9月にかけて全6巻のOVAでリリースされた「ぼくの地球を守って」。OVA第3巻と第4巻のあいだ、1994年4月にリリースされた『ぼくの地球を守って イメージ・サウンドトラック Vol.2』に収録。作編曲は菅野よう子氏。渡辺等(bass)、横関敦(guitar)、古川昌義(guitar)、宮田繁男(drums)、桑野聖(strings)といった強力な演奏陣による「Killer Queen」オマージュです。横関氏のジェットフィンガーも聴けます。






▼THE ビッグオー
永井ルイ「BIG-O!」(1999)
永井ルイ「BIG-O! Show Must Go On」(2007)

BIG-O !
BIG-O !
posted with amazlet at 18.12.08
永井ルイ ロビー・ダンジー 高尾直樹
ビクターエンタテインメント (1999-10-21)
売り上げランキング: 344,331


アニソン・コレクションVol.1
永井ルイ
ストレンジ・デイズ (2012-07-14)
売り上げランキング: 159,809


 1999年10月から2000年1月にかけてWOWOWで放送された「THE ビッグオー」。同作のファーストシーズン オープニングテーマ「BIG-O!」は「Flash」の直球すぎるオマージュです。1999年10月リリースのシングル「BIG-O!」に収録。現在はプレミアアイテムとなっています。また「BIG-O! Show Must Go On」は2007年にアニマックスで再放送された際のオープニングテーマなのですが、THE KINKS「All Day and All of the Night」風ギターロックとみせかけてやっぱりQUEEN風に着地するしたたかなアレンジ。こちらは2012年に永井ルイ氏のコンピレーションアルバム『アニソン・コレクションVol.1』でリ・アレンジのうえ音源化されました。








▼ハムスター倶楽部
福山芳樹「Make my day!」(2001)

ハムスター倶楽部 ソングコレクションアルバム OLA!OLA!OLA!
TVサントラ So What? 永井ルイ 芳野わかめ スリービー ACKO 水野克泰 福山芳樹
日本コロムビア (2001-01-20)
売り上げランキング: 531,779


 2000年10月から2001年3月にかけて放送されたアニメ版「ハムスター倶楽部」。同作の劇伴と主題歌は永井ルイ氏が手がけており、2001年1月にリリースされた主題歌&イメージソングアルバム『ハムスター倶楽部ソングコレクション OLA!OLA!OLA!』もプロデュースしています。同作はブリティッシュ・ロック&ポップアレンジが横溢した永井氏の趣味大全開の名盤であり、福山芳樹氏のヴォーカルによる「Make my day!」は「Seven Seas of Rhye」「Death on Two Legs」などのオマージュとみました。永井氏はもはや殿堂入りでしょう。ドラゴンボールZやレイアースのキャラソンアルバム、ケロロ軍曹の挿入歌、ちょびっツのエンディングテーマなどでブリティッシュ・ポップマナーの入念なアレンジの楽曲を聴くことができ、いずれもオススメです。







▼神のみぞ知るセカイ
Oratorio The World God Only Knows
「God only knows」(2010)

God only knows~集積回路の夢旅人~ テレビアニメ「神のみぞ知るセカイ」OPENINGテーマ
Oratorio The World God Only Knows
ジェネオン・ユニバーサル (2010-11-03)
売り上げランキング: 9,150


 QUEEN的なロック・オペラの精神性を受け継いだケースとして、この曲を挙げたいです。2010年10月から12月にかけて放送されたアニメ版「神のみぞ知るセカイ」第1期オープニングテーマ「God only knows」は、フルサイズでは六部構成・トータル8分に及ぶ大曲。複数名のコンポーザーが分担する形で制作した各パートのトラックが次々と繋がっていくというリレー形式の展開もさることながら、重厚なコーラスワーク、ブライアン・メイ風のギターなどこれでもかと耳を惹く大仰なアレンジの数々が織りなすシンフォニック・ロック・オペラ。第1期をさらに上回るトータル13分という大曲となった第3期(2013年7月~9月放送)オープニングテーマ「God only knows -Secrets of the Goddess-」とともに、2010年代アニソンの一つの到達点だと思います。






▼侵略!イカ娘
イカ娘と愚かな人類ども【イカ娘(CV:金元寿子)】
「シンリャクセイフク・ラプソディ」(2011)

TVアニメ 『侵略!イカ娘』ドラマCD
(ドラマCD)
メロウヘッド (2011-01-26)
売り上げランキング: 196,396


 2010年10月から12月にかけて第1期、2011年9月から12月にかけて第2期が放送されたアニメ版「侵略!イカ娘」。2011年1月にリリースされたドラマ&キャラソン集『ドラマCDじゃなイカ?』に収録されたこの曲は、タイトルから一目瞭然の「Bohemian Rhapsody」オマージュ。海を憂えるメッセージソングであり、4分というコンパクトサイズですが、勘所を的確に押さえた見事な仕上がり。作編曲の菊谷知樹氏は90年代前半にスカ/ファンク・ロック・バンド「ムスタングA.K.A」にギタリストとして在籍されていた経歴の持ち主。







▼Aチャンネル
るん(CV:福原香織)、トオル(CV:悠木碧)、ナギ(CV:内山夕実)、ユー子(CV:寿美菜子)
「ハミングガール」(2011)

Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく
TVサントラ 河野マリナ 福原香織 悠木碧 内山夕実 寿美菜子
アニプレックス (2011-06-22)
売り上げランキング: 205,880


 2011年4月から6月にかけて放送されたアニメ版「Aチャンネル」のエンディングテーマ。作編曲は神前暁氏。『Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく』のライナーノーツの神前氏のコメント「EDは完全に趣味の世界です。The Beatles + QUEENですね」の通り、ビートルズ風の曲調とブライアン・メイ風のギターのミックスです。なお、サントラに収録されているのはTVサイズ版であり、2011年発売の第1巻Blu-ray/DVD、2017年発売のBlu-ray Disc BOXのそれぞれの特典CDにフルサイズ版が収録されています。






▼ひなこのーと
劇団ひととせ【桜木ひな子(CV:M・A・O)、夏川くいな(CV:富田美憂)、柊真雪(CV:小倉唯)、萩野千秋(CV:東城日沙子)、中島ゆあ(CV:高野麻里佳)】
「あ・え・い・う・え・お・あお!!」(2017)

TVアニメ「 ひなこのーと 」オープニングテーマ「 あ・え・い・う・え・お・あお!! 」
劇団ひととせ 桜木ひな子(CV:M・A・O) 夏川くいな(CV:富田美憂) 柊真雪(CV:小倉唯) 荻野千秋(CV:東城日沙子) 中島ゆあ(CV:高野麻里佳) M・A・O 富田美憂 小倉唯 東城日沙子 高野麻里佳
メディアファクトリー (2017-05-10)
売り上げランキング: 26,797


 瞬間的なパロディのケース。2017年4月から6月にかけて放送されたアニメ版「ひなこのーと」のオープニングテーマ(作詞・作曲:松浦勇気/編曲:睦月周平)。2・3・4・5拍子が混ざる上に早口で歌われる凄まじい曲なのですが、途中で〈ぱぱぱまんまみあ まんまみあ レッミゴー(×4)〉パートが入ります。これはもちろん「Bohemian Rhapsody」の〈Oh mama mia mama mia mama mia let me go〉のオマージュ。ただしTVサイズ版では当該パートが聴けないので、フルヴァージョンを聴きましょう。






▼プリンセス・プリンシパル
ベアトリス (CV:影山灯)
「リトルブレイバー」(2017)

TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』キャラクタ-ソングミニアルバム「5 Moving Shadows」
TVサントラ プリンセス(関根明良) アンジェ(今村彩夏) ドロシー(大地葉) ベアトリス(影山灯) ちせ(古木のぞみ)
ランティス (2017-08-30)
売り上げランキング: 15,904


 2017年7月から9月にかけて放送された「プリンセス・プリンシパル」。「リトルブレイバー」は、8月にリリースされたキャラソンミニアルバム『5 Moving Shadows』に収録されたベアトリスのキャラソン。舞台がロンドンということもあり、アニメ本編のエンディングテーマ「A Page of My Story」はブリティッシュ・ポップ風アレンジでしたが、こちらも同様のテイスト。ただしこちらはギターアレンジががっつりブライアン・メイ トーンです。ギター演奏は菊谷知樹氏によるもの。



 《番外・周辺・四方山話》

▼ 「BIG-O!」をめぐるアレコレ

 「BIG-O!」をJASRAC作品データベース検索サービスで検索(JASRAC作品コード[0U2-1359-9])すると、作曲・作詞クレジットがブライアン・メイ、訳詞が永井ルイ、出版者は「QUEEN MUSIC LTD」、サブ出版者は「イーエムアイ音楽出版 株式会社 ソニー事業部」となっております。扱いとしては「Flash」の日本語カヴァーのような感じなんでしょうかね。

「BIG-O!」はエンディングテーマ「and FOREVER…」とのカップリングシングルでリリースされましたが、先の事情も関係してかiTunesでは「and FOREVER…」のみ配信されているという状況です。2007年以降に発売されたソフト、配信版のオープニングはすべて「BIG-O! Show Must Go On」に差し替えとなっています。

「BIG-O!」のフルサイズ版を聴くことができるのは前述の1999年発売の同名シングル(VIDL-30461)、2002年発売のコンピレーション盤『EMOTION 20周年記念テーマコレクション TV編』(VICL-60936~7)、2003年発売のシングル「RESPECT」(B面に収録/VICL-35452)。シングルはどちらもプレミア化しており、入手難易度で考えるならば『EMOTION 20周年記念テーマコレクション TV編』が一番低そうです。


THE ビッグオー OPテーマ RESPECT
佐橋俊彦 永井ルイ ROBBIE DANZIE with 高尾直樹
ビクターエンタテインメント (2003-01-03)
売り上げランキング: 206,313


EMOTION 20周年記念テーマコレクション~TV編
テレビ主題歌 新居昭乃 影山ヒロノブ
ビクターエンタテインメント (2002-08-21)
売り上げランキング: 38,796



▼GUEEN


 ヴォーカルのフレディ波多江氏を中心に、1990年に活動開始したアマチュア&プロミュージシャン混成によるQUEENトリビュートバンド。1994年から現在にいたるまで、定期的にライヴを行っています。バンドの創設メンバー(現 名誉プロデューサー)のロジャー・ニシワキこと西脇辰弥氏は國府田マリ子やメロキュア、ワルキューレなど数々のアーティストのアレンジを手がける大ベテランですし、音楽監督兼ギタリストの井口慎也氏はOVA装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端の主題歌「風が知っている」や「夢の鍵」、OVAうしおととら の主題歌「獣の槍」やイメージソング「Resurrection~天使たちの復活~」を歌われた人でもあり、ギター/キーボーディストのスパイク山田こと山田ひろし氏は作詞家として多数のアーティストに作詞提供を行っており、アニソンでは「風の未来へ」(伝説の勇者ダ・ガーン)、「The Biggest Dreamer」(デジモンテイマーズ)、「ガツガツ!!」(トリコ)などを手がけております。



▼KWEEN「ヘビメタ・スネーク」


「むしまるQ」第3シリーズ(1997年~1999年)で登場した「ヘビメタスネーク」は、「We Will Rock You」と「The Prophet Song」のパロディであり、作編曲は杉山清貴&オメガトライブのキーボーディスト、西原俊次氏。演奏のKWEENは、1992年に結成され、日本で初めてフレディ・マーキュリー追悼ライヴを行い、その後、国内のみならずイギリス公演も行ったQUEENトリビュートバンド。KWEENメンバーがスタジオ出演しているヴァージョンもあります。1998年に『NHK「なんでもQ」 むしまるQ~カブト虫は840円~』と「NHKなんでもQ むしまるQ2」(シングル盤)に収録。その後2000年に『NHK「なんでもQ」歌のアルバム大全集~はてなのはね』に再収録。こちらは現在も入手可能です。

NHKなんでもQ 歌のアルバム
テレビ主題歌 三石琴乃 北川浩 チャイルド・ビート 田中真弓 堀江美都子 影山ヒロノブ 桑田靖子 富沢美智恵 宮内タカユキ
日本コロムビア (2000-06-21)
売り上げランキング: 114,545



▼グッチ裕三&グッチーズ「犬のおまわりさん~ボヘミアン・ラプソディー」


 1995年から2005年の10年間にわたって放送されたNHK「ハッチポッチステーション」。その音楽コーナー「WHAT'S ENTERTEINMENT?」では、「母さんのうた」+「宇宙のファンタジー」(EARTH WIND&FIRE)、「おはなしゆびさん」+「デトロイト・ロック・シティ」(KISS)、「アルプス一万尺」+「ハイウェイ・スター」(DEEP PURPLE)など、グッチーズの絶妙な編曲による童謡と洋楽のマッシュアップが多数爆誕。「犬のおまわりさん」と「ボヘミアン・ラプソディ」を2分ちょっとでまとめあげたこの曲は、凝った映像的パロディともども極めつけといえましょう。2002年に発売した2枚目のベスト盤『ベスト・オブ・江戸川サリバンショー』(WPC7-10128)の最後を飾った楽曲でもありました。現在も入手可能な3枚目のベスト盤『ハッチポッチステーション The BEST』(WPC7-10159)には収録されていないので注意。


ハッチポッチステーション ~ベスト・オヴ 江戸川サリバンショー~
グッチ裕三とグッチーズ
ワーナーミュージック・ジャパン (2002-02-14)
売り上げランキング: 22,626



▼女王様

「女王様」はパッパラー河合氏による絶妙な直訳カヴァーユニット。アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の最初期(第1話~第12話)主題歌となった「夏が来た!(Diamond Head)」(ベンチャーズの楽曲メドレーにオリジナル日本語詞をつけた3rdマキシシングル「女王様物語第三章~渚の女王様~」の冒頭パート抜粋)が有名ですが、ユニット名から一目瞭然のように、1stシングルはQUEENメドレー「女王様物語」でした。ゲストヴォーカルはパトリック卿(サンプラザ中野くん)。プロデュースを西脇辰哉氏が手がけられていたのもミソ。シングルの楽曲を全て収録したアルバム『女王様物語』は現在はサブスクリプションサービスでも聴くことができます。
「母さん 俺やっちゃった あいつの頭に銃を向け 引きがね引いて撃ったんだ」






▼Gacharic Spin「うんうんうんちくん」


 アーティストのコラボレーション楽曲を放送するアニマックスのオリジナル番組「うたのじかん」の第7弾企画曲。作詞:やついいちろう/作編曲・歌:Gacharic Spin。イントロとAメロのベースラインが「Another One Bites the Dust」に近似しています。

2018/11/09

少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』『ラ レヴュー ド ソワレ』(2018)




 2018年7月から9月にかけて放送されたアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」(原作:ブシロード、ネルケプランニング、キネマシトラス/監督:古川知宏)、誠に凄まじい作品でありました。舞台とアニメの二層展開による相互補完/複数の解釈、さらにアニメ自体のエピソードの練られた演出(観返すたびに発見がある各キャラクターの感情の機微)や重層的なつくりに胸躍らされ、ある種の極北を観たという感慨があります。監督の古川氏は幾原邦彦氏の弟子筋にあたり、あちこちで指摘されているように幾原オマージュな趣向は随所にあります。第12話には思わず少女革命ウテナの最終話「いつか一緒に輝いて」が去来したのだけれども、「いつか」ではなく「いま」の一緒の輝き(スタァライト)を目指し、本作のキーワードの一つである「アタシ再生産」をふたたび力強く掲げて文字通りブチ抜いていったので、焼き直しではなく、まさに“再生産”。「少女☆歌劇レヴュースタァライト」という一つの作品を見事に確立させたと断言したいです。

https://revuestarlight.com/





 アニメ第1話を観るといきなり情報量過多のフルスロットルで飛ばしているような印象がありますが、舞台少女たちによる「トップスタァを目指して、歌って、踊って、奪い合う」世界観の説明は舞台「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1 revival」である程度されているので、なにはなくとも舞台を観ましょう(ダイレクトマーケティング)。舞台版の重要なキャラクターである聖翔音楽学園学年主任、走駝紗羽の存在感。また、アニメ第5話の「嫉妬のレヴュー」における露崎まひる 対 愛城華恋の対決の構図は、舞台では露崎まひる 対 神楽ひかりの対決の構図であったことや、華恋、ひかりの二人が幼いころに感銘を受けた「スタァライト」の舞台でクレール役を演じていたのは誰か、など、色々と発見があることでしょう。そして10月に上演された「-The LIVE-#2 Transition」では、アニメの先の新たなストーリーが展開されているので、なにはなくともアニメを観ましょう(ダイレクトマーケティング)。

https://revuestarlight.com/musical/


「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1 revival [Blu-ray]
ブシロードミュージック (2018-06-27)
売り上げランキング: 236


少女☆歌劇 レヴュースタァライト Blu-ray BOX1
オーバーラップ (2018-10-24)
売り上げランキング: 128



 レヴュー曲(劇中歌)は事前に作曲されたものではなく、映像に合わせて/映像からのインスピレーションも加味しながら曲をつけてゆく「フィルムスコアリング」の手法がとられており、シーンと音楽のより一層の相乗効果が得られています。それは作詞においても同様で、劇中でのキャラクターの台詞や心情を時に補完し、時にブーストをかける働きを見事に果たしています。これもまた「二層展開」といえるでしょう。レヴュー曲の全作詞を手がける中村彼方氏はプロジェクトに2017年春より参加されたとのこと。作中の重要なキーであり、いくつかのレヴュー曲のベースにもなっている戯曲「スタァライト」の脚本も、サウンドトラックの各楽曲のネーミングも彼女の手によるもの。確固たる世界観の構築をより揺るぎないものにしています。



野島鉄平
「監督から言葉でいただいたアイデアをもとに僕から山田さんに楽曲を発注して、出来上がったところで僕がまた監督に確認をして、決定したところで彼方さんが作詞に入るというのが大体の流れとしてありました。」

(エンタメステーション『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』TVアニメ史上に類を見ない試み“レヴュー曲”とは何だったのか? 制作陣が明かす「歌とセリフと映像の一体化」の秘密)


中村彼方
「――だから曲の流れとしてセリフが入るところには歌詞を入れませんし、口パクでキャラが歌っている感じにするところにはキメのことばをもってきます。映像に合わせた曲づくりをフィルムスコアリングというんですが、私はシーンに合わせた作詞をフィルムマッチングと自分で呼んでいます(笑)。」

(《月刊ニュータイプ》2018年10月号 樋口達人×中村彼方インタビュー)


中村彼方
「――曲ができあがってから、絵コンテに合わせて動画に曲を貼って、歌のメロディをシンセでいただいて、そこから私の作詞作業が始まるんです。その時点で、舞台少女たちの台詞入りのものと、台詞なしのものをもらって、脚本と照らし合わせながら、台詞と台詞の隙間の感情を埋めながら歌詞を制作していきます。」

(アキバ総研「語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー」)



「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」劇中歌アルバムVol.1「ラ レヴュー ド マチネ」
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『ラ レヴュー ド マチネ』には第1~3、5・6話のレヴュー曲を、『ラ レヴュー ド ソワレ』には第8~12話のレビュー曲と、戯曲「スタァライト」劇中歌「星摘みの歌」を収録。そして第3~11話の各エンディングに使用された「Fly Me to the Star」の8つのヴォーカル編成違いヴァージョン(&インストゥルメンタル版)が2枚に分かれて収録されています。サウンドトラックと一部レヴュー曲の作編曲は、「ラブライブ!」「宝石の国」の藤澤慶昌氏と、「Free!」「ラブライブ!サンシャイン!!」の加藤達也氏の二人が担当。共にクラシカルな編曲に定評があり、卓越した手腕の持ち主であります(加藤氏の作編曲の師は三枝成彰、服部克久、小六禮次郎、羽田健太郎の四氏)。また、サントラ・劇中歌ともに、全てのストリングスパートを真部裕ストリングスが担当しています。


 第1話レヴュー曲「世界を灰にするまで」(作編曲:石井健太郎/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)は、二段構えの一曲。星見純那(CV:佐藤日向)と神楽ひかり(CV:三森すずこ)のデュオによる前半パートは、オーボエとクラリネットをフィーチャーした、しっとりとしたアンサンブル。転じて、愛城華恋(CV:小山百代)のソロによる後半パートは、ギター/ベース/ドラムスをフィーチャーし、激しさを露わにしたシンフォニック・ロック。前半/後半パートともに同じテーマ/メロディですが、全く異なるアプローチで展開することにより、別々の感情を表現しています。


 11名のホーンセクションによる低音の響きがストリングスと重厚に絡む第2話レヴュー曲「The Star Knows」(作曲:中村康隆/編曲:小高光太郎・藤井亮太・谷ナオキ)は、舞台「-The LIVE- #1 revival」のレヴュー曲「私たちの居る理由」のリ・アレンジという興味深いポイントがあります。方や純那&華恋のデュオ曲、方やスタァライト九九組メンバー全員の歌唱曲。シーンや詞、そしてアレンジは全く異なれど、これまた「複数の解釈」の一例といえるものでしょう。作曲は、管弦楽隊やDJを擁する大編成のロック・オーケストラ 「夜長オーケストラ」のリーダーであり、舞台版のミュージカルパートの劇伴も手がける中村康隆氏。ここに小高光太郎、藤井亮太、谷ナオキの三氏による手厚い編曲が加わり、めまぐるしく怒濤にして、きわめて華麗なシンフォニック・チューンに生まれ変わりました。


 間違いなく序盤のハイライトといえる第3話。華恋と天堂真矢(CV:富田麻帆)によるレヴュー曲「誇りと驕り」(作編曲:藤澤慶昌)は、はかり知れない昂ぶりをおぼえました。舞台経験に豊む富田氏の抜群にして朗々たる歌唱力が、高みを目指す天堂真矢の強さ、そして圧倒的存在感を示したシーンとダイナミックにシンクロしており、ヴィヴァルディ 四季「冬」を思わせるフレーズから迎える「より高く より輝く」クライマックスパートは圧巻の一言。This is 天堂真矢、彼女は天堂真矢、これぞ天堂真矢……。レコーディングメンバーのクレジットは20名を超え、編成も最大級です。ちなみに、第3話レヴューシーンの少し前に流れた劇伴は、四季「夏」を思わせる「ブリッジの上で」(※サントラ33曲目/作曲:藤澤慶昌)であったことにもハッとさせられました。






 露崎まひる(CV:岩田陽葵)と華恋のデュオによる第5話レビュー曲「恋の魔球」(作曲:小高光太郎・UiNA/編曲:藤井亮太・小高光太郎・谷ナオキ)は、アルト/テナー/バス・サックスを贅沢にフィーチャーした華やかなスウィングジャズチューン。〈敬遠〉〈空振り〉〈ストレート〉などのワードを散りばめ、恋のゲームが野球のゲームと同化する。そして〈まわるまわるステージ〉とは舞台でありグラウンドであり、スウィングするのはジャズでありバットであります。イントロは2分半に及び、本作のレヴュー曲の中でも最長。一応、2分ごろに「ちょっと待って」という まひるの一言が入るのですが、これは楽曲単体で聴くリスナーに向けた配慮、あるいは遊び心なのかなと、ちょっとメタなことを考えてしまいました。


 石動双葉(CV:生田輝)、花柳香子(CV:伊藤彩沙)のデュオによる第6話レビュー曲「花咲か唄」(作曲:大川茂伸/編曲:伊藤賢)はシンフォニック演歌EDMロックとでもいうような、和風でミクスチャーな印象のアップテンポチューン。ギターは山本陽介氏、尺八は和楽器バンドの神永大輔氏によるもので、両人とも、こってりとした響きを聴かせてくれます。腐れ縁な二人が それぞれの切なる心情を歌い上げた曲であり、終盤の詞「背を早み 岩にせかるる川 割れても末に逢はむ」は、崇徳院の和歌「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」(百人一首77番)の本歌取り。なお余談ですが、大川氏と伊藤氏の両人が名を連ねた楽曲は、堀江由衣「Stay with Me」(2015)以来です(伊藤氏が作曲、大川氏が編曲)。






「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」劇中歌アルバムVol.2「ラ レヴュー ド ソワレ」
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 第7話で判明する、大場なな(CV:小泉萌香)が秘めていた永遠にも近い想い、そしてストーリーの×××展開には、第1話から既に仕掛けられていたのか! と脱帽したのですが、ななとひかりのデュオによる第8話レヴュー曲「RE:CREATE」(作編曲:三好啓太/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)もまた、端的に言って「強すぎる」。目眩く変拍子が、華麗なる上昇を続ける楽曲展開が、ひかりの劇的なる「再生産」を描くシンフォニック・ロック。楽曲の8分の7拍子が大場ななにも引っかかっているのではないか、とレコーディング時にハッと気づいた制作サイドといい、色々と神がかったものがあります。


 そして、ななと華恋のデュオによる第9話レヴュー曲「星々の絆」(作編曲:藤澤慶昌)。ななの多重コーラスが織りなす強迫的でサスペンスフルな展開から、華恋のヴォーカルが徐々に変化と浄化をもたらしていく展開を3分ちょっとで収めた構成も中々とんでもないのですが、制作時に古川監督が音楽プロデューサーに「サスペリア」の名を挙げてきたという話を聞いて腑に落ちました。あのウィスパーボイスのコーラスは、GOBLINのサスペリア メインテーマのオマージュでもあったのだなと。また、「RE:CREATE」「星々の絆」ともに、THE ALFEEのサポートメンバーなどで知られるパワー&テクニカルドラマーの吉田太郎氏がプレイされているところもトピックと言えましょう。


山田公平
「この曲、すごいです!作り的にもポップスっぽく聴こえるんですけど、実は変拍子の嵐で、これで普通にポップスっぽく聴かせるのはすごいなと思って。」

野島鉄平
「テクニックがすごいですね。8分の7拍子で始まって……そう、これは偶然なんですけど「8分の7」が「8話のなな」にもかかっているんです。レコーディングしているときに、そんな話になって。」

(リスアニ!WEB「TVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』音楽スタッフ座談会 後編」)






 第10話レヴュー曲「-Star Divine- フィナーレ」、第11話劇中曲「舞台少女心得 幕間」は、2017年9月にリリースされたスタァライト九九組の1stシングル「プロローグ -Star Divine-」に収録された「Star Divine」(作編曲:本多友紀[Arte Refact])、「舞台少女心得」(作曲:本多友紀(Arte Refact)/編曲:酒井拓也(Arte Refact))のリ・アレンジ。「-Star Divine- フィナーレ」は華恋、ひかり、真矢、西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)の四者によるめくるめく歌唱で、2番はオリジナル版とは別の詞が新たに書き下ろされ、クロディーヌのソロパートにもなっています。そして、しっとりとバラードで想いが紡がれる「舞台少女心得 幕間」の編曲は加藤達也氏が手がけられています。


どこへ通じるかは 舞台のみぞ知ること
約束結んだ糸が 今に千切れそう
乙女の煌きが この歴史を動かす
たぎった情熱 ほとばしるまま進め

苦い風が吹いたのは 心揺らいだせいね
私たち 試されてるの

「Star Divine」2番


それぞれの心に それぞれ秘めた想い
凛々しい横顔 激しく火花散らす
まばたきもできない この瞳をそらせない
ぶつかり合っても 貴女のこと信じてる

舞台の真ん中には たった一人の場所
だけどもう 孤独じゃないよ

「-Star Divine- フィナーレ」2番


 華恋と ひかりによる第12話レヴュー曲「スタァライト」(作編曲:藤澤慶昌・加藤達也)は、フィナーレを飾るにふさわしい8分を超える大曲であるとともに、サウンドトラックのアレンジで構成されたレヴュー曲でもあるというのが大きな特徴。「ブリッジの上で」「歯車」(※サントラ33曲目・11曲目/作曲:藤澤慶昌)、「Elle est belle: 美しい人」(※サントラ21曲目/作曲:加藤達也)、「星摘みの塔」(※サントラ31曲目/作曲:藤澤慶昌)が“再生産”され、メドレーとして再構築されています。レコーディングメンバーは「誇りと驕り」と同様、20名を超える大編成。真部裕ストリングスの真骨頂、ここにありといったところでしょう。


 アルバムの最後を飾るのは、真矢、クロディーヌが歌う第9話劇中曲「星摘みの歌」(作編曲:加藤達也)。本作のさまざまなシーンに響き合った楽曲であるということに、改めてしみじみとした感慨をおぼえます。なお、サウンドトラックの1曲目は、「星摘みの歌」のインストゥルメンタル版「星摘みのメロディ」が配されています。少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』『ラ レヴュー ド ソワレ』『オリジナル・サウンドトラック』、そのすべてを聴いたなら、あなたは永遠の願いを手に入れることでしょう。





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少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド マチネ』
[PCCG-01706|PONY CANYON|2018.08.22]




中村彼方、山田公平(Sound direction)


●01. 世界を灰にするまで
(作詞:中村彼方/作編曲:石井健太郎/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)
星見純那(CV:佐藤日向)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
愛城華恋(CV:小山百代)

田中竜夫(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
真部裕ストリングス(strings)


●02. The Star Knows
(作詞:中村彼方/作曲:中村康隆/編曲:小高光太郎・藤井亮太・谷ナオキ)
星見純那(CV:佐藤日向)
愛城華恋(CV:小山百代)

中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●03. 誇りと驕り
(作詞:中村彼方/作編曲:藤澤慶昌)
愛城華恋(CV:小山百代)
天堂真矢(CV:富田麻帆)

岩村乃菜(chorus)
藤澤慶昌(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
高桑英世(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
笹崎雅通(bassoon)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●04. 恋の魔球
(作詞:中村彼方/作曲:小高光太郎・UiNA/編曲:藤井亮太・小高光太郎・谷ナオキ)
露崎まひる(CV:岩田陽葵)
愛城華恋(CV:小山百代)

藤井健太郎(guitar)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●05. 花咲か唄
(作詞:中村彼方/作曲:大川茂伸/編曲:伊藤賢)
石動双葉(CV:生田輝)
花柳香子(CV:伊藤彩沙)

山本陽介(guitar)
神永大輔(尺八 from 和楽器バンド)
真部裕ストリングス(strings)


●06. Fly Me to the Star #3(神楽ひかり)
●07. Fly Me to the Star #4(愛城華恋、神楽ひかり)
●08. Fly Me to the Star #5(露崎まひる)
●09. Fly Me to the Star #6(石動双葉、花柳香子)
●10. Fly Me to the Star #7(Instrumental)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)

藤井健太郎(guitar)
真部裕ストリングス(strings)


※『ラ レヴュー ド マチネ』ブックレットでは「Guitar:―― Kentaro Fujii[M5]、Yohske Yamamoto[M6]」となっていますが、M5「花咲か唄」のギターが山本陽介氏で、M4「恋の魔球」とM6~10「Fly Me to the Star」のギターが藤井健太郎氏です。






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少女☆歌劇 レヴュースタァライト『ラ レヴュー ド ソワレ』
[PCCG-01707|PONY CANYON|2018.10.17]




中村彼方、山田公平(Sound direction)


●01. RE:CREATE
(作詞:中村彼方/作編曲:三好啓太/オーケストラアレンジ:藤澤慶昌)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
大場なな(CV:小泉萌香)

板垣祐介(guitar, bass)
吉田太郎(drums)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●02. 星々の絆
(作詞:中村彼方/:作編曲:藤澤慶昌)
大場なな(CV:小泉萌香)
愛城華恋(CV:小山百代)

小泉萌香(chorus)
藤澤慶昌(guitar, bass)
吉田太郎(drums)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
真部裕ストリングス(strings)


●03. -Star Divine- フィナーレ
(作詞:中村彼方/作編曲:本多友紀[Arte Refact])
愛城華恋(CV:小山百代)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)
天堂真矢(CV:富田麻帆)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)

藤井健太郎(guitar)
小林修己(bass)
中村賢(piano)
真部裕ストリングス(strings)


●04. 舞台少女心得 幕間
(作詞:中村彼方/作曲:本多友紀[Arte Refact]/編曲:加藤達也)
愛城華恋(CV:小山百代)
星見純那(CV:佐藤日向)
露崎まひる(CV:岩田陽葵)
石動双葉(CV:生田輝)
花柳香子(CV:伊藤彩沙)
大場なな(CV:小泉萌香)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)
天堂真矢(CV:富田麻帆)

加藤達也(piano)
真部裕ストリングス(strings)


●05. スタァライト
(作詞:中村彼方/作編曲:藤澤慶昌・加藤達也)
愛城華恋(CV:小山百代)
神楽ひかり(CV:三森すずこ)

遠山哲朗(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
若松純子(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
井上俊次(basoon)
エリック宮城、菅家隆介、小澤篤士(trumpet)
半田信英、辻姫子、藤井良太(trombone)
次田心平(tuba)
藤田乙比古、田島花林、勝俣泰、熊井優(horn)
真部裕ストリングス(strings)


●06. Fly Me to the Star #8(愛城華恋)
●07. Fly Me to the Star #9(星見純那、大場なな)
●08. Fly Me to the Star #10(天堂真矢、西條クロディーヌ)
●09. Fly Me to the Star #11(except 愛城華恋、神楽ひかり)
(作編曲:尋木ヒロ/編曲:小高光太郎)

藤井健太郎(guitar)
真部裕ストリングス(strings)


●10. 星摘みの歌
(作詞:中村彼方/作編曲:加藤達也)
天堂真矢(CV:富田麻帆)
西條クロディーヌ(CV:相羽あいな)

真部裕ストリングス(strings)

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『少女☆歌劇 レヴュースタァライト オリジナルサウンドトラック』
[PCCG-01716|PONY CANYON|2018.10.17]




藤澤慶昌&加藤達也(作曲)
葛西竜之介、鈴木恵、関根佑樹、谷ナオキ、宝野聡史、増谷浩揮、坂東邑真、小川ハル、影山雪奈(Scoring assistant)

山田公平(Sound direction)
中村彼方(Track title naming)

01. 星摘みのメロディ (加藤達也)
02. 星のおどり場 (藤澤慶昌)
03. ふたりのセレナーデ (加藤達也)
04. halation (藤澤慶昌)
05. pied a pied:一歩ずつ (加藤達也)
06. 小鳥のアラベスク (加藤達也)
07. 少女たちのプレリュード (藤澤慶昌)
08. プロムナード (藤澤慶昌)
09. starhood (加藤達也)
10. dot to dot (藤澤慶昌)
11. 歯車 (藤澤慶昌)
12. daydream (藤澤慶昌)
13. anti daydream (藤澤慶昌)
14. starlight curtain (藤澤慶昌)
15. 華恋とひかり (藤澤慶昌)
16. 深遠 (藤澤慶昌)
17. キリンのためのワルツ (藤澤慶昌)
18. キリンのためのアダージョ (藤澤慶昌)
19. 暗転 (加藤達也)
20. カタストロフ (藤澤慶昌)
21. Elle est belle:美しい人 (加藤達也)
22. rendez-vous:遥かなる約束 (加藤達也)
23. クイックステップダンス (加藤達也)
24. 夢を振りまいて (藤澤慶昌)
25. 子猫のカーニバル (加藤達也)
26. ランチボックス (加藤達也)
27. ハッピーインターリュード (加藤達也)
28. バナナの叩き売り(加藤達也)
29. ギニョール (藤澤慶昌)
30. ロンド・ロンド・ロンド (加藤達也)
31. 星摘みの塔 (藤澤慶昌)
32. 星罪 (藤澤慶昌)
33. ブリッジの上で (藤澤慶昌)
34. dawn of the star (加藤達也)
35. ki-ringtone (藤澤慶昌)
36. 再生産 (加藤達也)


佐々木貴之(guitar)
藤澤慶昌(guitar)
二家本亮介(bass)
髭白健(drums)
真部裕ストリングス(strings)
高桑英世(flute)
最上峰行(oboe)
中秀仁(clarinet)
笹崎雅通(bassoon)
吉田治、萱生昌樹(alto sax)
竹野昌邦、庵原良司(tenor sax)
鈴木圭(bass sax)
中野勇介、工藤正和、菅家隆介(trumpet)
鹿討奏、鳥塚心輔、山口隼士(trombone)
渡辺功(tuba)
藤田乙比古、和田博史、田島花林、野見山和子(horn)

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▼語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー
(from アキバ総研|2018.09.25)


▼TVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』音楽スタッフ座談会 前編・後編
(リスアニ!WEB|2018.09.26/10.12)


▼『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』TVアニメ史上に類を見ない試み“レヴュー曲”とは何だったのか? 制作陣が明かす「歌とセリフと映像の一体化」の秘密
(エンタメステーション|2018.10.17)


▼アニメ全話を終えて…古川知宏監督が振り返る『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 時間のループ、東京タワー、そして“アタシ再生産”が意味したもの
(from エンタメステーション|2018.11.06)


▼第23回・まぼろしの舞台少女『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #2 Transition』|2・5次元通信(上田 麻由子)
(webちくま)

2018/10/09

末廣健一郎・MAYUKO『「はたらく細胞」オリジナル・サウンドトラック』(2018)




 2018年7月から9月にかけて放送されたアニメ「はたらく細胞」のサウンドトラック。手堅く、楽しいアニメ化でした。血小板の可愛さと白血球4989番のすっとぼけたキャラクター性は原作以上にフィーチャーされていたと思います。二期もお願いしたいところですが、「はたらく細胞BLACK」の方もぜひともアニメ化してほしいところ(無茶振り)。CDジャケットイラストは本編のさわりに登場する体内インフラストラクチャーの全景図ですが、よく見ると白血球と赤血球の姿が表と裏で確認できます。
https://hataraku-saibou.com/


 本作のコンポーザーは末廣健一郎、MAYUKOの両氏。末廣氏はバンドマンからコンポーザーの道に入ったという経歴の持ち主で、音楽的な影響をヘンリー・マンシーニ、エンニオ・モリコーネ、アラン・シルヴェストリ、久石譲から受けたようです。また、岩代太郎と大澤徹訓の両氏から作曲技法/オーケストレーションを学んでおり、編曲の巧さに定評があります。「ダ・カーポII」「みなみけ」「true tears」などのキャラソンや主題歌の作編曲などを経て、劇伴作品ではこれまでにアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」「少女終末旅行」「ゴールデンカムイ」、ドラマ「貴族探偵」、映画「ミックス。」などを担当。今年10月からは「ゴブリンスレイヤー」「ゴールデンカムイ(第二期)」の劇伴を担当されています。
http://one-music.jp/suehiro.html


「『逃げ恥』『リゼロ』手掛けた音楽作家・末廣健一郎が明かす『少女終末旅行』劇伴に込めた工夫」
(Realsound|2017.12.09)


 MAYUKO(ゆうまお)氏はシンガーソングライター「MAYUKO」とコンポーザー「ゆうまお」の二つの顔を持つ、“歌えるコンポーザー”。「少女終末旅行」ではゆったりと静かで、そして聖なる空気感にあふれる劇伴のヴォーカル/コーラスを担当されておりました。作詞・楽曲提供も多く、「はたらく細胞」では劇伴のほか、ゆうまお名義で主題歌「ミッション! 健・康・第・イチ」の作詞・作曲も担当されています。末廣氏とはこれまでに「闇金ウシジマくん」「逃げるは恥だが役に立つ」、近時ではアニメ「ミイラの飼い方」、ドラマ「海月姫」「チア☆ダン」の劇伴などで共作されています。
http://www.mayuko-yumao.jp/index.html


ミッション! 健・康・第・イチ
はたらく細胞
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「はたらく細胞」と同時期に放送された「深夜!天才バカボン」(末廣氏と眞鍋昭大氏の共作)ではビッグバンド、ロカビリー、ブルース、ボッサ、エレポップも交えた多彩な劇伴でしたが、「はたらく細胞」では優雅なオーケストラ/軽快な小編成室内楽サウンドを主体にしつつ、ホーンセクションなども迎えてコミカルで「わちゃわちゃ」した感じが楽しめる内容になっています。ビッグバンド風の「迷子でも一生懸命」、オルガンやエレクトリック・ギターをフィーチャーした「動員要請」「仲間と共に」「みんな命がけ」、どこかビバリーヒルズ・コップのテーマ感ある「迫る危機」あたりがまず耳を引きます。


はたらく細胞 Original Soundtrack
はたらく細胞
アニプレックス (2018-08-22)
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 ライナーノーツのコンポーザーインタビューによると、初期の段階で監督から「運動会」のイメージで説明を受けたということで、メインテーマはまさにヘルマン・ネッケの「クシコス・ポスト」(運動会の定番曲)のような楽曲になっています。また、ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」をずばりオマージュした「今日も大忙し」は、仕事に追われる作品テーマにもドンピシャにフィット。トイピアノをさりげなくフィーチャーした「運んで、運んで」のメロディーは「抗原発見!」「仲間と共に」などにも織り込まれており、ちょっとしたフックになっております。





 血小板のテーマである「ちっちゃくてがんばりやさん」は、コーラスや「1・2・1・2・3」の号令が入る賑やかでキュートな一曲。マクロファージのテーマである「華麗に舞うフリル」「うふふ抹殺」は「白鳥の湖」などのバレエ音楽をイメージしてつくられたとのこと。白血球(好中球)のテーマはクールなキャラクターに合わせて、オーケストラではなく打ち込みで制作しているというのも興味深いポイントでした。EDMな味付けの「果たすべき使命」「まっすぐ、仕事を」などがそれにあたると思われます。

「それでも、戦う」は、悲壮感あふれるヴァイオリンソロが印象な一曲。「Re:ゼロから始める異世界生活」「少女終末旅行」のサントラ同様、篠崎正嗣氏がソロを担当されています。ワクワク感と大団円ムードの「お仕事完了という名の勝利」はアラン・シルヴェストリに、勇壮な躍動感あふれる「一進一退の戦い」はハンス・ジマーにそれぞれ通じるものを感じます。シリアスな混声コーラスがサスペンスを煽る「恐るべきもの」「この世界は、終わらせない」のスケール感の大きさはエピックミュージックに近い印象です。


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『はたらく細胞Original Soundtrack』
[Aniplex|2018.08.22|SVWC-70357~70358]
https://hataraku-saibou.com/music/


《DISC1》

01. はたらく細胞 -MainTheme-
02. 運んで、運んで
03. 迷子でも一生懸命
04. おだやか世界
05. 華麗に舞うフリル
06. ちっちゃくてがんばりやさん
07. ゆるやか、ほんわか
08. 大切なゆったり
09. 今日も大忙し
10. さて、どうしよう
11. 迷った時は
12. みんなそれぞれ
13. 侵入者
14. Yes Sir !!
15. 動員要請
16. 迫る危機
17. 何かがいる
18. 静寂に潜む危険
19. 世界への襲来
20. 抗原発見!
21. 恐るべきもの
22. 奴ら


《DISC2》

01. それでも、戦う
02. 立ち向かう勇気
03. 悲しみの在処
04. 生きる。たとえ切なくても
05. 優しさとありがとう
06. それぞれの、はたらく
07. お疲れ様でした
08. お仕事完了という名の勝利
09. 突然の恐怖
10. 一進一退の戦い
11. 世界の敵
12. 戦う、この世界のために
13. 果たすべき使命
14. まっすぐ、仕事を
15. 仲間と共に
16. うふふ抹殺
17. この世界は、終わらせない
18. みんな命がけ
19. 今日も元気にはたらいています


Music Composed & Arranged by 末廣健一郎
DISC 1:1~4、10~14、16、19~21
DISC 2:2、8~15、17~19

Music Composed & Arranged by MAYUKO
DISC 1:5~9、15、17、18、22
DISC 2:1、3~7、16


《MUSIC STAFF》

Sound Producer: 末廣健一郎・MAYUKO
Director: Lucy☆Diamonds
Recording & Mixing Engineer: 葛島洋一
Assistant Engineer: 房野哲士
Studio: Sony Music Studios Tokyo, 1 MUSiC STUDiO

Keyboards & Other Instrumental Programming:末廣健一郎
Chorus, Andes, Keyboards & Other Instrumental Programming: MAYUKO
Drums: 岡島俊治
Guitars: 吉本潮・本間大健 from LaiD Back Gorilla
Acoustic Guitar: 杉山つよし
Strings: 篠崎正嗣グループ
Flute & Piccolo: 高桑英世(管鍵”樂団!?)
Oboe: 庄司さとし(管鍵”樂団!?)
Clarinet: 山根公男(管鍵”樂団!?)
Fagotto: 大澤昌生
Horn: 日橋辰朗・矢野健太・豊田万紀・熊井優
Trumpet: 辻本健一・伊藤駿
Trombone: 古賀光・中西和泉
Bass Trombone: 石原左近
Alto Sax & Tenor Sax: 福井健太
Soprano Chorus: 佐藤亜理沙・瀧本真己・日野祐希
Alto Chorus: 佐藤涼香・寺嶋あゆみ・藤田彩歌
Tenor Chorus: 市原泰明・星野文緑・官下大器
Bass Chorus: 河野陽介・大津康平・高田慧一
Violin Solo: 篠崎正嗣

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2018/07/02

V.A.『みどりのマキバオー まきばで歌合戦』(1997)

まきばで歌合戦
まきばで歌合戦
posted with amazlet at 18.07.02
イメージ・アルバム 犬山犬子 千葉繁 玄田哲章 有馬瑞香
ポニーキャニオン (1997-01-18)
売り上げランキング: 752,322


 1996年3月2日から1997年7月12日にかけて全61話が放送されたアニメ版「みどりのマキバオー」。アニメ後半クールの放送中である1997年1月にリリースされたイメージアルバム。マキバオー(犬山犬子)、チュウ兵衛(千葉繁)、カスケード(玄田哲章)、ミドリコ(有馬瑞香)のキャラクターソングを8曲収録。なお、犬山さんのアニメ声優デビュー作です。

 本作の作編曲陣を見てみると、前年に一度解散を迎えた《すかんち》のローリー寺西&小川文明。泉谷しげるのバックバンドから発展した《ラストショウ》の徳武弘文。QUEENのトリビュートバンド《GUEEN》のメンバーであり、OVA「うしおととら」「装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端」の主題歌/挿入歌のヴォーカリストであった井口慎也。80年代に井上鑑、立川直樹、土屋昌巳、松武秀樹を迎えて3枚のシンセ・ポップアルバムを発表したシンガーソングライターを経て、職業作曲家へ転身した山口美央子。80年代に3枚のアルバムを残し、「ボーンフリー・スピリット」のヒットで知られるロックバンド《ロブバード》の柴野繁幸と、かなりユニークな顔ぶれです。さらに、PSY・Sが正式解散して間もないころのCHAKAが作詞提供&コーラス参加されているのも興味深いところ。彼女は同年11月にアルバム『Delicious Hip』でソロデビューされます。

 マキバオー単体のキャラソンは3曲ありますが、犬山さんが2つの声色を駆使して歌う「君よ風になれ」は、すかんちコンビが思いっきりアイドル歌謡に寄せた一曲。続く「リンゴは王様」は、徳武弘文氏の得意とするカントリーサウンドによる軽快な一曲。ここでは犬山さんは作詞も担当されています。チュウ兵衛のキャラソンである「チュウ兵衛初恋指南」は、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ ヨコハマ ヨコスカ」のパロディ曲。とにかくしゃべりまくり歌いまくる千葉繁氏のパフォーマンスもノリに乗っており、ある種の真骨頂です。ミドリコのキャラソン「Prayer」は山口美央子さん作曲のスローバラード。ちなみにこの時期の山口さんは、篠原恵美さんのアルバム曲を数多く手がけられています。カスケードの2曲のキャラソンのうち、「夢にむかってGo!」は井口慎也作曲/徳武弘文編曲による、アツいオルガンソロとギターソロ入りのサーフ・ロック チューン。紫野繁幸作曲/神津裕之編曲による「Number One~ハロンの殺しや~」は、アーバン・コンテンポラリー調。そしておそらくはQUEENの「We Will Rock You」もいくらか下敷きにあると思われます。


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『みどりのマキバオー まきばで歌合戦』
[メディアレモラス|1997.01.18|PCCG-00386] 


▼01. 君よ風になれ
(作詞:CHAKA/作曲:ローリー/編曲:小川文明/唄:マキバオー【犬山犬子】)

ローリー(guitar)
小川文明(keyboard)
北岡徹也(synthesizer)
CHAKA(chorus)


▼02. リンゴは王様
(作詞:犬山犬子/作編曲:徳武弘文/唄:マキバオー【犬山犬子】)

徳武弘文(guitar & synthesizer)
尾崎孝(pedal steel)
有田純弘(banjo)
六川正彦(bass)
三浦メザシ晃嗣(drums)
増田俊郎(keyboards)


▼03. チュウ兵衛初恋指南
(作詞:三浦晃嗣/作編曲:矢田部正/唄:チュウ兵衛【千葉繁】)

矢田部正(synthesizer)
北村晃(guitar)


▼04. 夢にむかってGo!
(作詞:三浦晃嗣/作曲:井口慎也/編曲:徳武弘文/唄:カスケード【玄田哲章】)

徳武弘文(guitar & synthesizer)
星川薫(guitar)
六川正彦(bass)
三浦メザシ晃嗣(drums)
増田俊郎(keyboards)


▼05. Prayer
(作詞:CHAKA/作曲:山口美央子/編曲:徳武弘文/唄:ミドリコ【有馬瑞香】)

徳武弘文(guitar & synthesizer)
尾崎孝(pedal steel)
六川正彦(bass)
三浦メザシ晃嗣(drums)
増田俊郎(keyboards)


▼06. Number One~ハロンの殺しや~
(作詞:矢野開三/作曲:紫野繁幸/編曲:神津裕之/唄:カスケード【玄田哲章】)

神津裕之(synthesizer)
関淳二郎(guitar)
紫野繁幸(chorus)


▼07. パッといきましょ
(作詞:小杉雅之/作曲:野田晴稔/編曲:島田昌典/唄:マキバオー【犬山犬子】)

島田昌典(synthesizer)
飯室博(guitar)


▼08. み・ん・なの唄
(作詞・作曲:野田晴稔/編曲:神津裕之/唄:マキバオー【犬山犬子】、チュウ兵衛【千葉繁】、カスケード【玄田哲章】、ミドリコ【有馬瑞香】)

神津裕之(synthesizer)
関淳二郎(guitar)
野田晴稔、CHAKA(chorus)


Produced by 大川正義
Directed by 久永俊一、小杉雅之






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2018/07/01

岩代太郎『みどりのマキバオー オリジナルサウンドトラック』(1996)

みどりのマキバオー オリジナル・サウンドトラック
TVサントラ MEN’S 5 F・MAP
メディアレモラス (1996-05-17)
売り上げランキング: 336,135


 1996年3月2日から1997年7月12日にかけて全61話が放送されたアニメ版「みどりのマキバオー」のサウンドトラック。コンポーザーは岩代太郎氏。キャリア初期の担当作品のひとつであります。1991年春に東京藝術大学大学院修士課程を修了するとともに、シルクロード国際管弦楽作曲コンクールに応募したソプラノ・サックスとオーケストラの為のコンチェルト「To The Farthest Land Of The World/世界のいちばん遠い土地へ」が最優秀賞を受賞。同年4月~5月に放送されたNHKスペシャル「ファッションドリーム」の音楽監督に起用され、劇伴作曲家デビュー。映画では「課長島耕作」(監督:根岸吉太郎/1992)、「あした」(監督:大林宣彦/1995 ※音楽は學草太郎と連名)。テレビドラマでは「君といた夏」(1994)、「東京SEX」「沙粧妙子~最後の事件~」(1995)の劇伴を手がけ、1994年4月にはファンハウスよりアルバム『It's』でソロアーティストとしてもデビュー。また、同作を起点(001)として、以降にCDパッケージ化された作品には「its」という独自のナンバリングが振られており、氏の公式サイトで一覧としてまとめられています。

「みどりのマキバオー」は、岩代氏のアニメ劇伴キャリアでは2作目にあたる作品(1作目は「H2」)。ヴァイオリンやエレクトリック・ギターをフィーチャーしたクロスオーヴァー色も強めの軽快な内容に仕上がっています。クライズラー&カンパニーもかくやという切れ味の鋭いフュージョン・インスト「根性の馬・ミドリマキバオーのテーマ」のメインモチーフはたびたび変奏され、とりわけ印象的なものは「みどり牧場の日々」でのパット・メセニー・グループを思わせるコーラス入りのアレンジ。また、ハードなギターのバッキングの上をサックスが吹き抜ける「最強のライバル・カスケードのテーマ」は見事にキャラの立ったサウンドになっています。ライナーノーツには岩代氏の半ば赤裸々なエッセイ感のあるコメントが掲載されているところもちょっとしたポイントです。

 余談ですが、岩代氏は90年代末ごろから映画音楽方面に活動の軸を大きく移していくこともあり、「みどりのマキバオー」の後、“テレビシリーズの”アニメ劇伴からはしばらく離れることになります。テレビアニメ作品で再び氏の名前が見られるようになるのは、「翠星のガルガンティア」(2013)から。また、「みどりのマキバオー」の放送から十数年後、2010年に岩代氏は中央競馬の本馬場入場曲を手がけられ、それらの楽曲はEP『Road to Glory ~岩代太郎 本馬場入場曲(JRA GI・GII・GIII)』(2012)としてリリースされています。さらに岩代氏は、2018年4月から6月にかけて放送されたアニメ「ウマ娘プリティーダービー」の音楽プロデュースを担当されています(サウンドトラックは2018年8月リリース)。キャリアの初期から現在に至るまでの断続的な馬との縁といいますか、なかなかに感慨深いものがあります。


Road to Glory ~岩代太郎 本馬場入場曲(JRA GI・GII・GIII)~
岩代太郎
avex trax (2012-04-18)
売り上げランキング: 73,773


http://www.its-club.com/

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『みどりのマキバオー オリジナルサウンドトラック』
[メディアレモラス|1996.05.17|MRCA-20089] 

01. 走れマキバオー
(作詞:池田謙吉/替え歌:大田一水/作曲:池田謙吉、前田伸夫/編曲:石川鷹彦/歌:F・MAP【福井謙二、三宅正治、青嶋達也】)

02. ファンファーレI
03. 根性の馬・ミドリマキバオーのテーマ
04. みどり牧場の夕陽
05. 修行への旅
06. 最強のライバル・カスケードのテーマ
07. 別離
08. ファンファーレII
09. 牧場の夢
10. 対決のプロローグ
11. ミドリコの想い出
12. 源次郎と昌虎
13. 牧場の夢
14. モンゴルの想い出
15. 母との再会
16. ファンファーレIII

17. とってもウマナミ
(作詞:淡谷三治/作曲:盆帆n'太郎、淡谷n'次郎/編曲・歌:MEN'S5)

All Tracks-Sound Produced, Composed, Orchestrated, Arranged and Conducted by 岩代太郎 for It's 021(except track 1, track17)

Produced by 大川正義(メディアレモラス)
Directed by 久永俊一(エバーフォーミュージック)、山内毅
Recorded & Mixed by
高橋寧(ファームスタジオ)
佐藤晴彦(テイクワンスタジオ)[track 1]
伴野滋彦(ハートビートスタジオ)[track 17]


走れマキバオー(原曲:走れコータロー) /とってもウマナミ  Single
F・MAP(フマップ)、Men's5
ポニーキャニオン
売り上げランキング: 287,357


▼オープニングテーマは当時フジテレビアナウンサーだった福井謙二、三宅正治、青嶋達也の3人によるユニットF・MAP(フマップ)の「走れマキバオー」(ソルティ・シュガー「走れコウタロー」のカヴァー/替え歌)。エンディングテーマは近田春夫&ビブラトーンズの元メンバー擁するMEN'S 5の「とってもウマナミ」。






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2018/06/08

山川恵津子『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか? オリジナル・サウンドトラック』(1994)

3丁目のタマ/うちのタマ知りませんか? オリジナルサウンドトラック
TVサントラ 谷村有美 くま井ゆう子
ソニー・ミュージックレコーズ (1994-07-21)
売り上げランキング: 502,293



 今年、2018年で35周年を迎える「タマ&フレンズ」。いちばん最初のアニメ化は1988年制作のOVA「3丁目物語」。その後、1993年7月~8月にTVシリーズ第1期「3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?」として全9話が放送され、8月に劇場版「3丁目のタマ おねがい!モモちゃんを捜して!!」が公開。翌1994年4月~9月にかけて第2期として全26話が放送されました。その後、2006年に「タマ&フレンズ 探せ!魔法のプニプニストーン」、2016年に「タマ&フレンズ ~うちのタマ知りませんか?~」としてショートアニメが制作されています。なお、サウンドトラックCDは、劇場版(作曲:都留教博)と第2期TVシリーズ版のみリリースされており、今回ご紹介するのは後作。劇伴コンポーザーは山川恵津子さん。初期には谷山浩子や八神純子のバックバンド、山下達郎や竹内まりやのレコーディングへの参加で知られ、1983年に谷山浩子プロデュースによる「はみだしっ子」のイメージアルバムの編曲を担当。小泉今日子「100%男女交際」で1986年に第28回日本レコード大賞・編曲賞、1987年に立花理佐「キミはどんとくらい」で第29回同最優秀新人賞をそれぞれ受賞。現在に至るまで数多くのアーティストの作編曲や、TVドラマ、舞台などの劇伴を手がける大ベテランです。一方、活動はごく短期間ながら、メルティング・ポット(八神純子バンド)のバンドメイトであったギタリストの鳴海寬氏(2015年逝去)とのデュオ「東北新幹線」として1982年に唯一のアルバム『Turu Traffic』を日本フォノグラムよりリリース。ウェルメイドなシティポップの傑作として近年さらなる評価が進み、2007年、2017年に再発しています。



THRU TRAFFIC
THRU TRAFFIC
posted with amazlet at 18.06.07
東北新幹線(NARUMIN&ETSU)
ヴィヴィド・サウンド (2017-06-28)
売り上げランキング: 62,266



 山川さん単独でのアニメ劇伴仕事では、OVA「レア・ガルフォース」(1989)以来となった本作。「タマのお散歩」「不安な夕暮れ」「おやすみなさい3丁目」など、ヴァイオリン/ストリングス系の音色をフィーチャーした、爽やかでどこか切なさも感じさせる軽音楽を基調に、ボサノヴァ・タッチの「タマとたけしくんと…」や、シブいカントリーブルース・タッチの「ノラの孤独」などを収録。エレクトリック/アコースティックギターで芳野藤丸氏、アコースティック/ガットギターで東北新幹線の鳴海氏も名を連ねているところもトピックでしょう。スタートル(来生たかおバンド)や山下達郎の1988年~1989年のツアーサポートギタリスト(ライヴアルバム『JOY』)で名をはせ、デイヴィッド・T・ウォーカー スタイルのプレイで知られた鳴海氏のギター原体験がエレクトリックではなくガットギターであった(※)ということを踏まえると、ちょっと感慨深いものがあります。また、「タマと素敵な仲間たち」はOP主題歌「元気だしてよ」(谷村有美)のインストアレンジヴァージョン。「元気だしてよ」とED主題歌「みつあみ引っ張って」(くま井ゆう子)はともにフルヴァージョンで収録されています。



※「Something for T. #08 鳴海寛さん」
(Mr. David T ― Official David T. Walker Japan Website)

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『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか? オリジナル・サウンドトラック』
(SRCL-2942|Sony Records|1994.07.21)


01. 元気だしてよ
(歌・作詞・作曲:谷村有美/編曲:小林信吾)

02. タマのお散歩
03. トラのテーマ
04. みんなは仲良し
05. 不安な夕暮れ
06. 3丁目の朝
07. タマとたけしくんと…
08. おやすみなさい3丁目
09. ノラの孤独
10. 哀愁のブル
11. 3丁目の昼下がり
12. タマと素敵な仲間たち (「元気だしてよ」アレンジバージョン)

13. みつあみ引っ張って
(歌・作詞・作曲:くま井ゆう子/編曲:大村雅朗)

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サウンド・プロデューサー:山川恵津子

プロデューサー:百瀬恵一
コ・プロデューサー:西村達郎
ミキシング・エンジニア:芳川勇人
レコーディング・エンジニア:中村辰也・市川高信
アシスタント・エンジニア:山下智子・木戸孝真・内田直之・平田岳史
マスタリング・エンジニア:杉浦和海
ミュージシャン・コーディネーター:宮田文雄(ミュージックランド)

ジャケットデザイン:加藤欣司
コーディネーター:三国屋博之


【ミュージシャン(01、13を除く)】
作編曲:山川恵津子
シンセ・オペレーター:中山信彦・根岸貴幸
アシスタント・オペレーター:北岡徹也・丸尾稔
エレクトリック・ギター:芳野藤丸
アコースティック・ギター:芳野藤丸・鳴海寛
ガット・ギター:鳴海寛

レコーディング・スタジオ:Z'd, nazz, Peninsula


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http://www.etsu-style.tv/

▼山川 恵津子 Etsuko Yamakawa(RAINBOW ENTERTAINMENT)