2018年4月29日日曜日

「レディ・プレイヤー1」 小説版と映画版の音楽ネタについて

最初に言っておくと、ネタバレです。小説版・映画版双方の音楽ネタについて触れているので、読んでいない人や観ていない人はご注意。3年前に書いたこちらの記事の増補・改訂版となります。


 『ゲームウォーズ 〔Ready Player One〕』 
非公式サウンドトラック (音楽ネタ一覧)
http://camelletgo.blogspot.jp/2015/03/ready-player-one-ost.html



ゲームウォーズ(上) (SB文庫)
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音楽? 音楽は手強い相手だったよ。少しばかり時間がかかった。八〇年代は期間としては長い(まる十年だからね)。しかもハリデーは鑑識眼があるとはお世辞にも言えない人で、あらゆるジャンルを聴きまくっていた。だから、ぼくもあらゆるジャンルを聴いた。ポップス、ロック、ニューウェーブ、パンク、ヘヴィメタル、ポリス、ジャーニー、R.E.M.からザ・クラッシュまで。何だって聴いたよ。ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの全レコードを二週間かからずに聴いた。ディーヴォにはもう少し手こずらされた。

――歌詞も暗記した。ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、デフ・レパード、ピンク・フロイドといったバンドのたわいない歌詞を山ほど記憶に刻みつけた。
(『ゲームウォーズ』上巻P127, 128)


小説『Ready Player One』(邦訳版『ゲームウォーズ』)に登場するロック/ポップ・ミュージックの元ネタは、著者のアーネスト・クラインが2011年に自身のブログですべて明かしています。「ファミリータイズ」「スクールハウスロック」や「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」など、本編に登場する番組や映画のテーマも含めて網羅されているほか、ご丁寧にも3曲の「ボーナス・トラック」まで記載されています。パット・ベネターを入れているのは、作中でアルテミスの本拠地とされている惑星の名前が「ベネター」だからでしょう(下巻P11参照)。


「The “Official” Ready Player One Soundtrack Mix Tape」
(2011.09.21)
http://www.ernestcline.com/blog/2011/09/21/the-official-ready-player-one-soundtrack/

01 - Oingo Boingo - Dead Man’s Party
02 - Billy Idol - Dancin’ With Myself
03 - Family Ties - Opening Theme
04 - Schoolhouse Rock - Verb
05 - Duran Duran - Wild Boys
06 - John Williams - Star Wars Soundtrack - The Throne Room End Title
07 - Midnight Oil - Beds Are Burning
08 - Howard Jones - Like To Get To Know You Well
09 - Basil Poledouris - Conan The Barbarian - Anvil Of Crom
10 - Ladyhawke Soundtrack - Main Title
11 - Richard Strauss - Also Sprach Zarathustra
12 - The Beepers - Video Fever
13 - Men Without Hats - The Safety Dance
14 - New Order - Blue Monday 88 Remix
15 - Duran Duran - Union Of The Snake
16 - Billy Idol - Rebel Yell
17 - Cyndi Lauper - Time After Time
18 - LA Style - James Brown Is Dead
19 - Blondie - Atomic
20 - Wham! - Wake Me Up Before You Go-Go
21 - The Plimsouls - A Million Miles Away
22 - Change - John Waite
23 - Peter Gabriel - In Your Eyes
24 - They Might Be Giants -Don’t Let’s Start
25 - Def Leppard - Pour Some Sugar On Me
26 - Bryan Adams - Kids Wanna Rock
27 - Buckner & Garcia - Pacman Fever
28 - Rush - The Temples of Syrinx
29 - AC/DC - Dirty Deeds Done Cheap
30 - Schoolhouse Rock - Three is a Magic Number
31 - Rush - Subdivisions
32 - Monty Python and the Holy Grail - End Music

Bonus Tracks:
Pat Benatar - Invincible
DEVO - Girl U Want
Van Halen - Dance the Night Away

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小説『Ready Player One』
(2011)


オインゴ・ボインゴ『デッド・マンズ・パーティ』という古い歌のイントロだ。
(上巻P8)
Oingo Boingo - Dead Man's Party(1985)
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ティム・バートン監督作品などでお馴染みの映画音楽家であるダニー・エルフマンがかつて率いていたオインゴ・ボインゴは、スカとニューウェイヴのエッセンスを取り込んだロック/ポップスサウンドを得意としたバンド。「Dead Man's Party」は1985年のアルバム『Dead Man's Party』のタイトルチューンです。

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ハリデーも踊っている。現実の世界では見せたことのない姿だ。たがのはずれたような笑みを顔に張りつけ、猛スピードで回転し、音楽に合わせて腕と頭を振り回しながら、八〇年代を象徴するダンスの動きを完璧にこなしていく。ただし、ハリデーにダンスのパートナーはいない。文字どおり、一人でくるくる空回りしているだけだ。
(上巻P8)
Billy Idol - Dancing with Myself(1980~1982)


原文を見ないとわからないネタです。「He is, as the saying goes, dancing with himself」という一節があります。「Dancing with Myself」は、ビリー・アイドルが在籍したパンク・バンドのGENERATION Xが活動末期の1980年にリリースした楽曲。ビリーと同じくフロントマンだったトニー・ジェームズの共作曲。その後、1981年にバンドは解散、ビリーはアメリカに渡ってソロデビューするのですが、その際に再度この曲をカヴァーしてシングルとしてリリースします。同曲は1981年リリースのEP『Don't Stop』、1982年リリースの1stソロアルバム『Billy Idol』にも収録。

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(ちょうどいまはデュランデュランの『ザ・ワイルド・ボーイズ』を大音量で流している) 
(上巻P76)
Duran Duran - The Wild Boys(1984)


ニューウェイヴ/ニューロマンティックを代表するバンド デュラン・デュランが1984年にリリースした大ヒットシングル。同年にリリースされたライヴアルバム『Arena』に、唯一のスタジオトラックとして収録されています。

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「『レディホーク』は八〇年代の傑作の一つだ」
「あんな低級映画が傑作だって? じゃあ、何なんだよ、あの剣は? アルミ箔で作ったのか? それにあのサントラ。駄作もいいところだろう。シンセの音以外に何か聞こえるか、え? アラン・パーソンズ・プロジェクトだ? 超のつく駄作だよ!」

(上巻P83)

Andrew Powell - 『Ladyhawk Original Soundtrack』(1985) 


小説版では、エイチに「レディホーク」をこき下ろされてウェイドがキレるくだりがあります。同作のサウンドトラックを手がけたのは、ケイト・ブッシュのアルバム『嵐が丘』のプロデュースや、アラン・パーソンズ・プロジェクトでオーケストレーションを担当していたアンドリュー・パウエル。

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寝る間も惜しんで(バーン・ミッドナイト・オイル)勉強に励んだ。そうだ、知ってたかい? オーストラリアにミッドナイト・オイルというバンドがいたんだよ。一九八七年に『ベッズ・アー・バーニング』というヒットを飛ばしている。
(上巻P128)
Midnight Oil - Beds are Burning(1987)


ミッドナイト・オイルは1976年に結成されたオーストラリア・シドニーのロック/ポップス・バンド。2002年の解散までに11枚のアルバムを発表。その後も2005年、2009年、2016年とたびたび再結成しており、2017年には大規模なツアーを行っていました。リード・ヴォーカルのピーター・ギャレットは、現在は政治家としても活動中。「Beds are Burning」は世界的なヒットも記録したバンドの代表曲で、アルバム『Diesel and Dust』に収録されています。 http://www.midnightoil.com/

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この曲なら知っている。ジョン・ウィリアムズ作曲の『スター・ウォーズ』のオリジナルサントラ最後の曲
(上巻P168)
John Willams - The Throne Room and End Title(1977)

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八〇年代の詩人ハワード・ジョーンズなら、“もっと彼女を知りたいから”とでも言うだろうな。
 (上巻P183)

Howard Jones - Like to Get to Know You Well(1984)


上のセリフは、イギリスのニューウェイヴ/エレポップ シンガーであるハワード・ジョーンズの1984年のヒット曲のもじりです。同年にリリースされたリミックス・アルバム『The 12 Album』にインターナショナル・ミックス版が収録され、2ndアルバム『Dream into Action』(1985)のCD盤にボーナストラックとして収録。90年代以降はエレポップから離れた音楽性になるものの、現在までコンピレーションやライヴアルバムを含めてコンスタントなリリースを続けており、2008年、2010年、2012年、2017年に来日公演も行っています。

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ベイジル・ポールドゥリス作曲の『コナン・ザ・グレート』のサントラだ。
(上巻P213) 

Basil Poledouris - Conan The Barbarian - Anvil of Crom


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次に聞こえてきたのは、低く不気味な機械音と、映画のオープニングに使われたリヒャルト・シュトラウス作曲『ツァラトゥストラはかく語りき』だった。
(上巻P216)
Richard Strauss - Also Sprach Zarathustra


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ザ・ビーパーズの『ビデオ・フィーヴァー』が流れてきた。
(上巻P218)
The Beepers - Video Fever(1983)

ジョン・バダム監督による1983年発表のSFサスペンス映画『WarGames(ウォー・ゲーム)』の劇中曲。シンセサイザー奏者のブライアン・バンクス、アンソニー・マリネリ、映画のスコアを手がけたアーサー・B・ルービンスタインを中心にして結成されたビーパーズという企画バンドによる妙な味のあるテクノ・ポップ チューン。ちなみに、同年に発表されたバダム監督の「ブルー・サンダー」のサウンドトラックに収録されているメインテーマのアレンジ・ヴァージョン(本編未使用)も、ビーパーズ名義でクレジットされています。

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件名は、〈ウィ・キャン・ダンス・イフ・ウィ・ウォント・トゥ〉。メン・アット・ワークの曲のタイトルだ。
(上巻P360)
Men Without Hats - Safety Dance(1982)


原文を見てみると「The subject line read“We Can Dance If We Want To”」で終わっており、「メン・アット・ワークの曲のタイトルだ」にあたる文は見当たりませんでした。また、Men At Workにそういうタイトルの曲はありません。これはMen Without Hatsのデビューアルバム『Rhythm of Youth』(1982)に収録された「Safety Dance」の冒頭の歌詞です。80年代に活動したオーストラリアのロック・バンドMen At Workと、同じく80年代に活動したカナダのニューウェイヴ/シンセポップ・バンド Men Without Hatsとで混同された可能性があります。

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ニュー・オーダーの『ブルー・マンデー』。ただし『スター・ウォーズ』のドロイドの音声サンプルがふんだんに使われた八八年リミックスバージョンだ。
(上巻P367)

New Order - Blue Monday 88 Remix(1988)


マンチェスターのロック・バンド ニュー・オーダーの代表曲「Blue Monday」は、1988年にクインシー・ジョーンズがスーパーバイザーを務めたリミックス・ヴァージョンがシングルリリースされます。アルバムでは、1994年に出たベスト盤『(The Best of)New Order』に収録。

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「『ユニオン・オブ・ザ・スネーク』」習慣から無意識にそうつぶやく。「デュラン・デュラン。一九八三年発表」
(上巻P367)

Duran Duran - Union of The Snake(1983)


デュラン・デュランの9thシングルであり、3rdアルバム『Seven and the Ragged Tiger』の収録曲。セクシャルな隠喩に満ちたダンス・ポップ・チューンで、フィーチャーされたアンディ・ハミルトンによるサックスも印象的な1曲。

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ビリー・アイドルの『反逆のアイドル』のダンス・リミックスだ。
(上巻P369)

Billy Idol - Rebel Yell(1983)


ビリー・アイドルの2ndアルバム『反逆のアイドル(Rebel Yell)』のタイトルトラック。スティーヴ・スティーヴンスのギターソロも効いたハードなニューウェイヴ・チューン。

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今度はスローな曲をかけた。シンディ・ローパー『タイム・アフター・タイム』。
(上巻P371)

Cyndi Lauper - Time After Time(1983)


シンディ・ローパーの1983年のデビューアルバム『She's So Unusual』に収録され、翌年シングルカットされヒットした楽曲。数多くのアーティストにカヴァーされ、とくにマイルス・デイヴィスによるカヴァーは有名。

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L.A.スタイルの『ジェームズ・ブラウン・イズ・デッド』。クラブににぎやかな拍手が広がった。
(上巻P376)

L.A.Style - James Brown is Dead(1991)


オランダのエレクトロ・デュオ L・A・スタイルのクラブヒット。1991年にシングルでリリースされ、1993年にアルバム『L.A. Style』に収録。この曲が発表された当時は、もちろんジェームズ・ブラウンは存命中。「○○ is Dead」というタイトルの走りとなった楽曲で、○○ is not Deadや○○ is Still Aliveといった亜種が続々と出ています。

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ブロンディー『銀河のアトミック』。
(上巻P379)

Blondie - Atomic(1979)


デボラ・ハリー率いるアメリカのニューウェイヴ・パンク・バンド ブロンディの4thアルバム『Eat to the Beat(恋のハートビート)』(1979)に収録。翌年にシングルカットもされ、そこでは7インチミックスヴァージョンが収録されています。

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ワム!の『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』を最大音量で再生するようコンピューターを設定した。
(上巻P380) 

Wham! - Wake Me Up Before You Go-Go(1984)


ジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリーによるイギリスのデュオ ワム!の1984年のヒット曲。シングルは英米チャート一位に輝き、同曲が収録された同年のアルバム『Make It Big』も、各国でチャート1位を総なめにしました。

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ぼくは曲名、アーティスト名、収録アルバム、リリース年を早口で言った。「『ア・ミリオン・マイルズ・アウェイ』、ザ・プリムソウルズ、『エヴリホエア・アット・ワンス』、一九八三年」
(上巻P395) 

The Plimsouls - A Million Miles Away(1983)


アメリカのパワー・ポップ・バンド ザ・ナーヴスのメンバーであったピーター・ケイスを中心として1978年に結成された ザ・プリムソウルズの1982年発表のシングル。1983年発表の2ndアルバム『Everywhere at Once』に収録。この年に解散もしていますが、その後、断続的に再結成を繰り返しています。

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イントロを聞いただけで、ジョン・ウェイトの『チェンジ』だとわかった。『ビジョン・クエスト』サントラ。ゲフィン・レコード。一九八五年。
(上巻P395-396) 

Change - John Waite(1982)


JOURNEYのジョナサン・ケインが在籍していたことでも知られるThe BabysやBAD ENGLISHのヴォーカリストであったジョン・ウェイトの1982年のソロデビューシングル。同年のアルバム『Ignition』収録。AOR/メロディック・ハード・ロックの名曲であります。「ビジョン・クエスト/青春の賭け」は、ハロルド・ベッカー監督による、1985年公開の青春映画。サントラにはJOURNEYの「Only the Young」や、FOREIGNERの「Hot Blooded」などとともに収録されています。

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ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの『ドント・レッツ・スタート』の一行だ。
(上巻P398) 

They Might Be Giants - Don't Let's Start(1986)


1986年のデビューアルバム『They Might Be Giants』に収録され、翌年にマキシシングルでもリリースされた1曲。TMBGは本編のキャラクター(ひいては著者の)のとくにお気に入りのバンドのようで、度々その名が出てきます。

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ピーター・ガブリエルの『イン・ユア・アイズ』を流していた。
(下巻P11) 

Peter Gabriel - In Your Eyes(1986)


世界的な大ヒットを記録した、ピーター・ゲイブリエルの1986年の楽曲。同年リリースの5thアルバム『So』に収録され、同作からのシングルカットされた5曲のうちの1曲であり、ワールド・ミュージックのテイストも強い名曲。ゲストヴォーカルで参加したユッスー・ンドゥールや、ドラムスのマヌ・カチェの名前を知らしめました。

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大音量で鳴っている音楽がトンネルの奥から漏れ聞こえてきた。デフ・レパード、『シュガー・オン・ミー』。収録アルバムは『ヒステリア』(エピック・レコード、一九八七年)
(下巻P37) 

Def Leppard - Pour Some Sugar on Me(1987)


イギリスのヘヴィ・メタル・バンド デフ・レパードの1987年リリースの4thアルバム『Hysteria』に収録。翌年に同アルバムからの3rdシングルとしてもリリース。前作『 Pyromania(炎のターゲット)』とともに世界中でビッグセールスを記録した、バンド絶頂期の楽曲です。

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カーペットを張った壁にかけられたスピーカーからブライアン・アダムスの曲が流れていた。どこへ行ってもみんなロックしたいんだと歌っている。
(下巻P43)

Bryan Adams - Kids Wanna Rock(1984)


カナダを代表するロック・シンガー ブライアン・アダムスの出世作となった1984年リリースの4thアルバム『Reckless』に収録。

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ゲームルームのスピーカーから『パックマン・フィーバー』が流れ始めた。
(下巻P48) 

Buckner & Garcia - Pacman Fever(1981)


ジェリー・バックナーとゲイリー・ガルシアによるアメリカのデュオ・ユニットの大ヒット曲。「俺はパックマンにお熱なんだ」とひたすら歌ったキャッチーな1曲。ちなみにこの曲が収録されている彼らの1982年のデビューアルバム『Pac-Man Fever』は、全曲が「ドンキーコング」や「フロッガー」といった当時稼動していたアーケードゲームのタイトルにちなんだものになっており、一種のコンセプトアルバムともいえる内容。近年はディズニー映画「シュガーラッシュ」のサウンドトラックに書き下ろしの楽曲を提供しています。

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ラッシュ初期のSFをテーマにしたコンセプトアルバム『西暦二一一二年』。
(下巻P115-116) 

Rush - 『2112』(1976)


「ラッシュの『サブディヴィジョンズ』のミュージックビデオにもちらっと出てくる」
(下巻P294) 

Rush - Subdivisions(1982)


ラッシュは、カナダを代表するロック・トリオ。アレックス・ライフソン、ゲディ・リー、ニール・パートの不動のトリオの名を知らしめた一大プログレッシヴ・ロック・アルバム『2112(西暦2112年)』。都市の中心にそびえる寺院「シリンクス」により、人民の生活がコンピュータ管理された社会で育った主人公が旧文明の遺物(ギター)に触れ、社会を脱するまでを描いております。 「The Temples of Syrinx」は、組曲2112の第二パートにあたる部分。小説版では『2112』はあるシーンの大ネタのひとつとして出てきます。それは読んでのお楽しみ。「Subdivisions」は、1982年にリリースされたバンドの9thアルバム『Signals』の収録曲。

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いつも『スクールハウス・ロック!』の歌詞がぼくの頭のなかをぐるぐるし始める。〈走る、行く、取る、渡す。動詞! 動作の主はきみ!〉
(上巻P137)

「『スリー・イズ・ア・マジック・ナンバー』ボブ・ドロー作詞作曲」アルテミスが頭のなかの百科事典から読み上げる。「一九七三年発表」
(下巻P208) 

Bob Dorough - Verb: That's What's Happenin'(1973)
Bob Dorough - Three is a Magic Number(1973)



「スクールハウス・ロック」は、1973年から1985年にかけてアメリカで放送された、音楽とともに算数や歴史などを学習するというコンセプトの子供向け教育番組。「Verb: That's What's Happenin'」「Three is a Magic Number」は、ともに劇中曲です。作曲者のボブ・ドローは、マイルス・デイヴィスやブロッサム・ディアリーなどのアルバム(ジョン・ゾーンのNaked Cityのアルバムにスペシャル・ゲストとして参加していたりもします)への参加や、ソフト・ロック・グループ Spanky and Our Gangなどのプロデュースなども手がけたジャズ・ピアニスト/シンガー。 http://www.schoolhouserock.tv/Verb.html

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AC/DC『悪事と地獄』がロボットの内と外のスピーカーから大音量で流れ始めた。
(下巻P250)

AC/DC - Dirty Deeds Done Cheap(1976)


アンガス・ヤング擁するオーストラリアのハード・ロック・バンド AD/DCの1976年リリースのシングル。アトランティックと契約を結び、世界に乗り出し始めた時期の楽曲であり、同年の3rdアルバム『Dirty Deeds Done Dirt Cheap』のタイトルトラック&オープニングトラックでもあります。

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「パイソンの『ホーリー・グレイル』だよ!」
(下巻P306)

Monty Python and the Holy Grail - End Music


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映画『Ready Player One』
(2018)


http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

原作小説があまりにも情報量過多なので、映画版との相違点を挙げれば大小を問わず相当な数にのぼりますが、見事な映像化だったといえます。原作者のオタク性の良いところと悪いところを凝縮した原作を刈り込んで、万人にウケる2時間20分の娯楽作にみっちり仕上げてくるのはさすがスピルバーグだなと。小説と映画とで楽曲はほとんどかぶっておらず、双方に共通する楽曲はニューオーダーの「Blue Monday」とジェネレーションX/ビリー・アイドルの「Dancing with Myself」ですが、前曲は映画ではリミックスではなく12インチヴァージョンが使用されています。 また、劇中では流れませんでしたが、バグルスの「ラジオスターの悲劇」が名前だけ登場しました。音楽ネタとして大きな改変の部類に入るのは、RUSHの扱いでありましょう。小説では彼らのアルバム『2112』がある場面での重要なファクターとなっていましたが、映画ではトレイラー映像で「Tom Sawyer」が使われ、本編であるキャラが『2112』のTシャツを着ていて、あるシーンでRUSHのポスターが貼ってあります。最後に関しては、初見で発見するのはかなり難しいです。探してみてください。






レディ・プレイヤー1(ソング・アルバム)
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『READY PLAYER ONE Songs from the Motion Picture』

01. I Wanna Be Your Lover - Prince
1979年リリース。2ndアルバム『Prince』(1979)収録。

02. Everybody Wants To Rule The World - Tears For Fears
1985年リリース。2ndアルバム『Songs from the Big Chair(シャウト)』(1985)収録。

03. Just My Imagination (Running Away With Me) (Album Version) - The Temptations
1971年リリース。14thアルバム『Sky's the Limit』(1971)収録。

04. Stand On It - Bruce Springsteen
1985年リリース。シングル「Glory Days」B面。

05. One Way Or Another - Blondie
3rdアルバム『Parallel Lines(恋の平行線)』(1978)収録。1979年にシングルカット。

06. Can't Hide Love - Earth, Wind & Fire
ライヴアルバム『Gratitude(灼熱の狂宴)』(1975)収録。Creative Sourceの「You Can't Hide Love」(1973)のカヴァー。1976年にシングルカット。

07. Blue Monday (12" Version) - New Order
1982年リリース。

08. Stayin' Alive (From "Saturday Night Fever" Soundtrack) - Bee Gees
1977年リリース。『Saturday Night Fever: The Original Movie Sound Track』(1977)収録。

09. We're Not Gonna Take It - Twisted Sister
1984年リリース。3rdアルバム『Stay Hungry』(1984)収録。

10. You Make My Dreams Come True - Hall & Oates
9thアルバム『Voices(モダン・ヴォイス)』(1980)収録。1981年にシングルカット。

11. Pure Imagination - Bryan Nguyen feat. Merethe Soltvedt
トレイラー映像(Come With Me)で使用。映画「夢のチョコレート工場」(1971)でジーン・ワイルダーが歌った劇中曲のカヴァー。



「トレイラーに使用されたがCD未収録のロック/ポップス曲」

【コミコン版予告】
Tom Sawyer - Rush

【Official Trailer 1】
World in My Eyes - Depeche Mode
Jump - Van Halen

【Dreamer Trailer】
Take on Me - A-Ha(オーケストラアレンジ)


「劇中に登場したがCD未収録のロック/ポップス曲」

Jump - Van Halen
Walk This Way - RUN-DMC
Pump Up the Jam - Technotronic
Hungry Like the Wolf - Duran Duran
Dancing with Myself - Generation X
Sweet Dreams (Are Made of This) - Eurythmics
I Hate Myself for Loving You - Joan Jett and the Blackhearts
I Heard It Through the Grapevine - Marvin Gaye
Faith - George Michael