2014年12月31日水曜日

2014年を振り返る~印象に残った二十冊

新刊本は買ってすぐに読まないと数ヶ月先まで積本になってしまうということを改めて実感した一年でした。来年度は読み漏らしをもう少し減らせればよいなと思います。まる。


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音楽への憎しみ音楽への憎しみ
(1997/08)
パスカル キニャール

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“「音楽への憎しみ」という表現は、誰よりも音楽を愛した者にさえ、それがどれだけ憎むべき対象になりうるかということを言わんとしている。”刺激的な示唆と、呪いのような余韻を残す一冊。音楽の根源にある服従と蹂躙、暴力と殺戮の記法を全十章の断章形式で暴き出してゆく。特に「第二考」「第七考」「第九考」には瞠目させられた次第。音楽に対して悪しきイメージは抱きにくい。しかし「音楽は素晴らしいものだ」という共通認識に立ち、他者にも無意識的にそれを強いているからこそ生まれる軋轢や悲しみ、絶望もあるのではないかと思うのです。改めて言います、これは呪いの書です。



コルトM1851残月コルトM1851残月
(2013/11/21)
月村 了衛

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『機龍警察 未亡旅団』や『土漠の花も』もよかったですが、それでも今年の初めに手に取った本作の余韻が自分のなかではめっぽう強かったです。「―憎しみを込めて撃て。憎しみのない弾など当たりはしない。」 幕末を舞台に、裏稼業に生きるアウトロー〈残月の郎次〉が、組織の狡猾な連中を相手に、手にしたコルトで一人また一人と撃ち斃し、屍の山を築き上げる因業と硝煙の物語。時代小説の型に、西部劇的なウィットとガンアクションを流し込み、さらにはノワールの暗く硬質な苦味も走らせた贅沢なエンターテインメント。江戸の闇をえぐり出すストイックな文体、タイトルと表紙の無骨さもたまらない傑作。脳裏に刻み付けられる場面や一節も多く、郎次と〈灰〉とのやりとりが素晴らしかった。大藪春彦賞の候補にも挙がったそうなので、ぜひとも獲っていただきたいですね。



ゲームウォーズ(上) (SB文庫)ゲームウォーズ(上) (SB文庫)
(2014/05/19)
アーネスト・クライン

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この作品のギークな情熱にはすっかりアテられてしまった。ストーリーは本当に単純明快でオーソドックスなのだけど、その周辺を埋め尽くしている70~80年代のポップカルチャーネタ、それらについてのギークな語り口があまりにも凄まじ過ぎてえらいことになってるので、ネタのことごとくが理解できてエキサイトできればなおしめたもの。映画化の話が挙がっているそうだし。クリストファー・ノーランが監督やるかもというウワサもありますが、誰が監督になったとしても。原作通りレオパルドンを出して「マーベラー!チェンジ・レオパルドン!」できるかどうかに映画化の成否がかかっていると言っても過言ではないなと。




エンニオ・モリコーネ、自身を語るエンニオ・モリコーネ、自身を語る
(2013/08/27)
エンニオ・モリコーネ、アントニオ・モンダ 他

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編者のアントニオ・モンダ氏が2009年から2010年の間に断続的に行ったエンニオ・モリコーネへのインタビューをまとめた一冊。若かりし頃の思い出や監督との交友などの裏話、自身の音楽的な試みや、趣味・思想などが語られており、彼のバックグラウンドを知る格好の内容。「特に気に入った演奏はありますか?」とインタビュアーが質問した際、モリコーネがジョン・ゾーンを賞賛するくだりがあるのですが、驚くと同時になるほどなという納得がありました。



SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
(2014/06/06)
チャールズ・ユウ

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なんて円城塔的な作品なんだと思いましたが、逆に円城塔が本作からいくらかのインスピレーションを受けていたという。そして円城塔が翻訳を手がけた邦訳版が出ているという。なんでしょうねえ、このドンピシャリ感は。ふたりの性向があまりにも相似しているので、もしかしてふたりはパラレルワールドの住人か何かなんでしょうか。そんなことをマジで考えてしまうほどにハマっておりました。本編のストーリー自体はタイムマシンをストーリーの核にした時間SFモノと言ってしまえばそれまでなんですが、本作の魅力はガジェットではなくて主人公のどこか醒めているというかふわっとした語り口。そしてSFであり家族小説であるというところなんですね。



ボラード病ボラード病
(2014/06/11)
吉村 萬壱

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これまでの吉村作品で多々見受けられたグシャドロなトーンは今回ずいぶんと抑制されていて、淡々としたディストピアものなのかと思いきやそうではなかった。人間の厭な面も浮かび上がらせる随所の描写は生理的にもツーンとくるし、最後のあの騙りの部分まで読むとズンとした感覚に否応なく包まれてしまうので、やはりまごうことなき吉村作品だった。読んでいて「あの日」の情景が何度も脳裏によぎってくるのでどうしても切り離せないのだけど、この空気感の曖昧さというか澱みをうまく言語化しているのは凄味ではないかと思うのです。



フィルスフィルス
(2013/11/02)
アーヴィン・ウェルシュ

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クソッタレお下劣罵詈雑言インキンサナダムシ警察小説。かのドーヴァー警部やフロスト警部より極悪なドグサレ警官ブルース・ロバートソンの傍若無人な言動の数々ときたら、もうたまらんもんがあります。匂いたつほどにクソッタレぶりを濃厚に伝えてくれる、渡辺佐智江さんの翻訳も素晴らしい。とにかく破天荒極まりなくお下劣ユーモアまみれなのだけれども、サナダムシのモノローグがどんどん侵食しはじめ、ブルースの知られざる000000私は生きている0000000000私は弱い0000000食べなくては00000000過去を語り始める0000000私は食べる000000食べて食べて0000食べて食べて000終盤の一抹の000食べて食べて00000000大きくたくましく000000000寂しさに000000000000ウワッと意表を突かれる0000食べて食べて000000



モンド9 (モンドノーヴェ)モンド9 (モンドノーヴェ)
(2014/02/22)
ダリオ・トナーニ

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イタリア産スチームパンク。土砂と毒素と金属と錆臭さにまみれた荒廃した世界で血生臭い超巨大駆動ストラクチャーが人々を無慈悲に巻き込みながらひたすら蠢動するステキ連作短篇集であり、個人的には海外SFで今年一番の当たりでした。エグ味のある面白さ。ぐいぐい読んだ。後書きで「デューン 砂の惑星」や「キルドーザー」が引き合いに出されていてなるほどと思うのだけど、個人的には巨大船ロブレドに「今宵、銀河を杯にして」のマヘル・シャラル・ハシ・バズのイメージがダブった。有志のスチームパンク楽団の手によってイメージサウンドトラックも出ており、そちらもオススメです。




月の部屋で会いましょう (創元海外SF叢書)月の部屋で会いましょう (創元海外SF叢書)
(2014/07/14)
レイ・ヴクサヴィッチ

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奇想小説オムニバス「変愛小説集」で目にしたときから一目ぼれしてしまった作家の、とびっきりの奇想短篇集。とびっきり過ぎて理解の埒外に及ぶことも多々あるわけだけれども、それもまた醍醐味なわけです。



演奏しない軽音部と4枚のCD (ハヤカワ文庫 JA タ 13-1)演奏しない軽音部と4枚のCD (ハヤカワ文庫 JA タ 13-1)
(2014/03/20)
高木 敦史

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音楽アルバムを絡めた学園ミステリ連作短篇集。ライトなミステリとして読めるのはもちろん、FLAMING LIPS、MAGMA、LOU REED、DOORSのディスクガイドといった趣にもなっているのがまた心ニクい。KING CRIMSONやPINK FLOYD、EL&Pは前例(法月倫太郎、有栖川有栖、貴志祐介)がありますが、MAGMAをネタにしたミステリ作品は初ではないかしらんと。時にミステリパート以上に音楽ネタの方に力が入っているように思えるところもチラホラあり、楽器は演奏しないがディープな「聴き専」部員であるメインキャラクターの塔山くんの音楽趣味が相当にディープなこじらせ方をしているのも相まって、度々ニヤリとさせられるものがありました。音楽好きに一読を薦めたくなる一冊。



狂人白書 ザ・クレイジーSKB&殺害塩化ビニール伝説 (Loft BOOKS)狂人白書 ザ・クレイジーSKB&殺害塩化ビニール伝説 (Loft BOOKS)
(2014/10/27)
ザ・クレイジーSKB

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殺害塩化ビニールのこれまでの狂った歩みと膨大なるディスコグラフィ、そして“社長”ことクレイジーSKB氏のクレイジーな悪業偉業の数々がページの隅々まで(ノドの部分にまで)濃厚にギッチリと収録された決定的にして致命的一冊。面白エピソードも満載。マキマキマキマキマキマキ。下記インタビュー記事も面白かったDEATH。

「異端のレーベル主宰者 ザ・クレイジーSKBが明かす悪行伝説「ブッ壊すだけだと面白くないんで…」」 - Real Sound
http://realsound.jp/2014/10/post-1508_2.html

“「毒殺テロリスト」というバンドがデモテープを送ってきたんですよ。住所を書かずに後ろに「毒殺テロリスト」って書いてて、表に「殺害塩化ビニール様へ」。それが郵政省で引っかかって。で、「爆発物処理班立会いのもと開封させていただいてもよろしいでしょうか」という連絡がきて…”“―でっかいプラスチックボールの中にカメムシを大量に詰め込んでそれ爆破するっていう。そしてセコムが頼んでもないのに駆けつけるという。―カメムシを爆破する上で大っ量の火薬を使ったんですよ。”



ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)
(2014/05/09)
フィリップ・K・ディック

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『ヴァリス』はこれまでいったい何度挑戦し続けてきたのかおぼえていないのだけど、毎回どこかで歯が立たなります。でも、不思議とまた読み返したくなってしまうんだよなあ。神学的側面にフォーカスして物々しいオーラを放っていた大瀧啓裕氏の旧訳にはずいぶんと読み親しんできましたが、今回の山形浩生氏のポップな訳では人物同士のやりとりがずいぶんとわかりやすくなりました。わかりやすくなったのはどうなのかという声もありそうですが、わかりやすくなったからといって作品自体のムチャクチャさは一切減じておりません。むしろ新しい発見があり、思わずちょっと嬉しくなりました。ピンク色の光線はアナタにも変わらずまばゆく降り注ぎます。そして今日もワタシはピンク色の光線を浴びに赴くのです。




オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)
(2013/10/22)
深緑 野分

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これは凄いなあと、凝らされた趣向に思わず唸ってしまいました。いずれも少女を軸にした短編ミステリなのですが、各エピソードのバラエティの豊かさもさることながら、プロットも素晴らしい。知られざる過去がだんだんと明らかになっていき、少女たちの運命が急転していく表題作ももちろん好きなのですが、とびきり好きなのが書き下ろしの「氷の皇国」。冷徹で残忍な皇帝が治める、決して安泰とはいえない酷寒の異国を舞台にしたファンタジー・ミステリ。交錯する各人の思惑と陰謀劇の行く末に、とてもとても惹きこまれてしまった。




奇譚を売る店奇譚を売る店
(2013/07/18)
芦辺 拓

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毎回「―また買ってしまった。」という主人公のつぶやきで始まる連作短編集。「本に憑かれた人」の姿を悲喜こもごもを絡めてリアリスティックに書いたのは梶山季之氏の名作『せどり男爵数奇譚』ですが、本書はその業の深いテーマを怪奇と幻想を巧みに絡めて料理した作品と言えます。全六編からなり、最後の表題作では先の五編の出来事の恐るべき真実とともに総括する一方で、読み手にまでおぞましい怪奇をブン投げてくるという趣向。オレンジ色の装丁に惹かれて手にとった瞬間から、自分も本という魔物に魅入られていたのかもしれません。




厚岸のおかず厚岸のおかず
(2010/11/11)
向井 秀徳

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やつはShutoku Mukai、これぞShutoku Mukaiって感じの掌編集。というか、向井おじさんのエッセンス、もとい煮汁。とってもよい塩梅。どこまでもストレンジでしかないのだけれども、その一方でしごく晴れやかな気持ちになりました。TOSATSUマンが情交を晒すカップルをTOSATSUする話や、スーパーで延々流れるBGMの作曲者はシド・バレットであり、そのことを知るのはただひとり、俺だけなのだ― って話がとってもよいです。クレイジー・ダイアモンドの魂はスーパーマーケットで生き続けるのです。



オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュ―ジック Rock In Oppositionとその周辺オール・アバウト・チェンバー・ロック
&アヴァンギャルド・ミュ―ジック
Rock In Oppositionとその周辺

(2014/11)
マーキー・インコーポレイティド編集部

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今年、“Rock in Opposition”フェスティバルが日本でも開催されたのはとてもめでたい出来事でした。アヴァンギャルド/チェンバー・ロック・バンドのインタビューとディスクガイドを集成したこの一冊はまさに会心の一撃。永久保存版の一級資料であります。



びっくりモンスター大図鑑―知識の泉へようこそ!ライアーランド王国公認びっくりモンスター大図鑑―知識の泉へようこそ!ライアーランド王国公認
(2010/10)
久 正人

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ライアーランド王国に存在する動物園には、世界各国から集められた驚きの動物たちが数多くひしめいていて……。本書は園内のモンスターの生態やうんちくをまとめたガイドブック。児童書とあなどるなかれ。そこにはグレイトな妄想の数々が詰まっております。ホルヘ・ルイス・ボルヘス&マルガリータ・ゲレロの「幻獣辞典」も真っ青の内容で抜群に面白い。随所に効いたハッタリも楽しいので、子供の時分に読みたかったと、心の底から思った次第であります。



解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)
(2013/08/06)
ウェンディ・ムーア

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文庫化されたのは昨年なのだけど、文庫版を読んだのは今年。皆川博子先生の『開かせていただき光栄です』の元ネタのひとつ。めっぽう面白い。近代の外科の発展に多大なる寄与したジョン・ハンター氏の功績だけでなく、ストレンジな面や各方面との確執にもスポットを当てて語られていて、やはり評伝というのはこうでなくっちゃ面白くないよなあ! と思いました。



ファースト・サークル (ハヤカワ文庫JA)ファースト・サークル (ハヤカワ文庫JA)
(2013/12/19)
坂本 壱平

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パット・メセニー・グループの"First Circle"を聴きながら一読。ある日突然「頭」と「胴体」に分かれてしまった“私”。少年の手のひらに空いた謎の穴を通して不思議な風景を垣間見る精神科医の満ちる。八分の十一拍子で打ち鳴らされる謎の手拍子に導かれて、二つの世界の物語とシュールな光景が奇数章と偶数章で交互に展開されてゆく幻想小説。往年のニューウェイヴSFのテイストを今風にアレンジした印象で、ストーリー自体が曖昧で起伏が少なく、また淡々と展開されることもあって入り込むのにかなり苦労しますが、夢とも現実ともつかないこの不思議に乾いた味は個人的に惹かれるものがありました。




ヴードゥー大全―アフロ民俗の世界ヴードゥー大全―アフロ民俗の世界
(2006/04)
檀原 照和

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過度に血生臭いという先入観を持たれがちなヴードゥーのアレコレが丁寧に解説されていて、厚さに見合う刺激的な内容だった。「アナタと同じ名前の神様がヴードゥーにいる」という一言で本一冊書き上げた著者の壇原氏には頭が下がります。

2014年を振り返る~個人的ベストアルバム二十選

昨年は年末二十選企画をやっていませんでした (お茶濁し的なエントリは書きましたが)。しかし、今年はやります。こちらになります。どのアルバムも全力でオススメしたい作品です。

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■A.C.T『Circus Pandemonium』
CIRCUS PANDEMONIUMCIRCUS PANDEMONIUM
(2014/02/19)
アクト

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待ちに待った新作。そして、デビューからの十数年間の総決算と言うべき仕上がり。八年分の説得力も最後の最後まで伝わってきました。曲・構成・コンセプトそしてアレンジと、細部に至るまでじっくり丁寧に練り込まれたそのこだわりには頭が下がりますし、素晴らしいアルバムでもって示したバンドの鮮やかな復活劇を改めて喜びたいと思います。



■SCAR SYMMETRY『The Singularity (Phase I - Neohumanity)』
シンギュラリティ-フェーズI:ネオヒューマニティシンギュラリティ-フェーズI:ネオヒューマニティ
(2014/10/01)
スカー・シンメトリー

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化けっぷりに脱帽。中心メンバーが抜けてもなおこれだけのものをつくってしまうというのには恐れ入りました。単なるマンネリ打破以上の堅牢なハードSFコンセプトアルバム。この勢いで三部作貫徹していただきたい。



■Dave Bainbridge 『Celestial Fire』
Celestial FireCelestial Fire
(2014/11/25)
Dave Bainbridge

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この人がこんなにガチンコなプログレッシヴ・ロック作品を作り上げるとは思いもしなかったです。しかもめちゃくちゃ出来がいい。ダテにIONAのフロントマンは張っていないなという。



■茜 -AKANE-『茜道中譚 / Journey』




「AZEL -パンツァードラグーンRPG-」「パンツァードラグーンオルタ」「Crimson Dragon」のコンポーザーである小林早織さんと、十代のころから民謡の素養を育んできたというヴォーカリストでマルチクリエイターの高橋由美子さんによる“エストロニック・ミュージック”ユニット。民謡とエレクトロ・ミュージックの幸福な融合がなされており、ゲームミュージックのフィールドから登場したというところも興味深いと思います。ワールドワイドな作品発信に力を入れているレーベル「Brave Wave Production」とともに、今後に注目したいです。



■FreddeGredde『Brighter Skies』



二作目のジンクスという言葉がありますが、この人はそれも才能でねじ伏せてしまいました。マルチ・ミュージシャンによる現代型プログレッシヴ・ポップソングを見せつけた鮮烈なデビューアルバム以上にパワフルさに磨きのかかった一枚です。JOLLYのドラマーという強力な相棒も得て、ますます頼もしい存在になりました。




■The Osiris Club『Blazing World』
Blazing WorldBlazing World
(2014/06/17)
Osiris Club

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メンバー全員ペストマスクと黒衣を着用しているという、ヴィジュアル的にもインパクトのあるバンドが、怪奇小説の本場であるイギリスから登場いたしました。17世紀の作家マーガレット・キャヴェンディッシュを特に偏愛し、彼女の作品世界を現代にアプローチしようとしているというコンセプトも含めて、いろいろとガチ過ぎるバンドです。



■FORZA ELETTRO MOTRICE『Sulla Bolla Di Sapnone』



活きのよい新鋭バンドの登場に事欠かないイタリアのプログレッシヴ・ロック・シーンですが、今年はこのバンドが見事なフルアルバムでデビューしました。黎明期SFの父といわれるクルト・ラスヴィッツのファンタスティックなSF作品を題材にとったあたりもピッタリといったところです。



■Lu7『Azurite Dance』
Azurite DanceAzurite Dance
(2014/07/26)
Lu7

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メンバー二人のヴィジュアルが初めて前に出た都会的なイメージのアルバムジャケットにも表れているように、過去三作を一区切りとして、これまでになくシンフォニック・ロック/プログレッシヴ・ロックに接近した内容でありました。さらなる進化を求めるユニットの姿勢がしっかりと伝わってきたのもよかったですね。



■吉河順央『AND DIAMOND』



アイドルグループ「STAR☆ANIS」のメンバー〈すなお〉として、アニメ「アイカツ!」の紫吹蘭・風沢そらの初代ヴォーカルを担当されていた吉河順央さんの1stソロアルバム。気鋭のトラックメイカー陣と水島精二監督の企画協力を得て制作された多幸感と疾走感に溢れるキラーチューン揃いのガールズ・ポップアルバムという攻めに攻めた内容でぶったまげました。イベントや一部のショップでの販売のみだったため一般流通しておらず、現在は(ほぼ)完売してしまったことが非常に惜しまれます。


■maigoishi『Encounter』
EncounterEncounter
(2013/12/04)
maigoishi

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若干22歳の新人コンポーザー/トラックメイカー。両親譲りというジャズ、エレクトロニカ嗜好に、90年代ゲーム・ミュージックからの影響も取り込んだ颯爽としたエレクトロニック・フュージョンとにかく気持ち良くツボにハマってきます。各ジャンルの美味しい部分を選りすぐり、巧みにミックスして独自のサウンドを作り上げていくセンスの冴えはなるほど新世代的だと思います。



■Vince DiCola & Kenny Mariedeth『Saturday Morning RPG Original Soundtrack』



80年代に『ロッキー4』や『トランスフォーマー・ザ・ムービー』のスコアを手がけたことで一躍有名になり、自ら率いるプログレッシヴ・ロック・バンドでの活動や、グレン・ヒューズなどの他アーティストのアルバムへの参加、映画やゲーム・ミュージックへの楽曲提供・アレンジなどで精力的に活動を続けるアメリカのキーボーディスト/コンポーザーの待望の新作。フルアルバムの形でヴィンス氏の作品が聴けるのは実に十数年ぶりでしたが、その期待に見事に応えてくれました。ロシアのUbiktuneレーベルが輩出するコンポーザーを筆頭に、ヴィンス氏の影響を受けた若手の人たちが近年続々と登場してきているということも含めて、たいへんに意義深いリリースであったと思います。



■Terrible Thing『Journey to the Centre of Zorn』



カナダの謎の変人コンポーザー。今年、個人的にいちばん夢中になったインディーズアーティストが彼です。フランク・ザッパ的なポップセンスと、その他もろもろの面白おかしなエッセンスを絶妙に取り込んだジャンクで雑多で、それでいてどうしようもなく魅力的な音楽性に惹かれないわけがありません。年末になってもう一枚新作アルバムをリリースしており、そちらも好内容。バンドメンバーも明らかにされましたが、たぶん全員架空のメンバーなんじゃないかと思います。未だに謎が多いことには変わりなく、それだけこのおじさんは喰えない存在なのです。



■Mike Oldfield『Man On The Rocks』
Man on the RocksMan on the Rocks
(2014/02/04)
Mike Oldfield

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近年のアルバムの内容から考えて、正直なところ期待していなかったのですが、フタを開けてみれば粒揃いのポップス・アルバムでありました。リゾート地でのレコーディングや、若手メンバーも迎えることでうまい具合にリフレッシュが図られており、それもいい方向に作用したのだなあと。「メタルギアソリッドV」のプロモーション映像にこのアルバムからの楽曲が使われたのも驚きでした。



■Jean Claude Vannier『Salades de filles』
Salade De FillesSalade De Filles
(2014/08/19)
Jean Claude Vannier ジャンクロウドバニエ

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セルジュ・ゲンズブールやエリス・レジーナ、シルヴィ・バルタンやブリジット・フォンテーヌなど、名だたるシンガーとの作編曲仕事や数々の映画音楽を手がけてきたフレンチ・シャンソン界の大御所が、三人の若いオネーチャン(ひとりは実娘)をフィーチャリングして作り上げた歌ものアルバム。御歳七十歳を越える爺さんですが、なおこれだけの毒と切れ味と諧謔にまみれた猥雑なポップスアルバムをこさえてしまうのはやはり重鎮。老いてなお壮健、老いてなおストレンジ。かくありたいものです。



■Mark Mothersbaugh『The Lego Movie: Original Motion Picture Soundtrack』
The Lego Movie: Original Motion Picture Soundtrack (+ 2 Bonus Tracks)The Lego Movie: Original Motion Picture Soundtrack (+ 2 Bonus Tracks)
(2014/06/17)
The Lego Movie

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DEVOのフロントマン マーク・マザーズボウ。80年代からDEVOの活動と並行してTVドラマや映画などのサウンドトラックの仕事を手がけており、そちらのキャリアも相当に長いものがありますが、それだけにツボを押さえたスコア。オーケストレーションとコーラスを基調にしているとはいえ、エレクトロテイストも随所でギラギラさせており、そのユニークな味わいに往年の諧謔ぶりを少なからず見出せて嬉しく思いました。DEVOの人がダブステップに手を出していると考えると何とも隔世の感がありますが、面白いからいいのです。映画も素晴らしかったですが、スコアも、まさに「すべてはサイコー!」な楽しさたっぷりでした。



■上坂すみれ『革命的ブロードウェイ主義者同盟』
革命的ブロードウェイ主義者同盟【通常盤】革命的ブロードウェイ主義者同盟【通常盤】
(2014/01/08)
上坂すみれ

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デビューアルバムである本作を皮切りにして、今年の上坂お嬢のリリースには目を見張るものがありました。ライヴDVDはともかくとして、特撮、アーバンギャルド、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子、謎のロシア人、そして人間椅子の面々とそれぞれコラボレーションを果たしたシングルをリリースしただけでなく、トドメに本人セレクトによる80年代アイドル歌謡コンピレーションアルバム(菊池桃子のラ・ムーを選曲していたこともあってまんまとホイホイされました)のリリースという充実ぶり。今年一年でこれだけやってしまった。もう行くところまで行っていただきましょう。



■BRAM STOKER『Cold Reading』



まさかの復活を遂げるバンドはプログレッシヴ・ロック界隈には多いですが、このブラム・ストーカーは実に40年ぶりの復活というまさにドラキュラじみた存在。音楽性は刷新されたとはいえ、いなたいサイケデリック/ハード・ロックから80~90年代的なネオ・プログレッシヴ・ロックになったというイマイチ時代に追いついていないところも含めてとても萌えポイント。それでも中心人物は音楽シーンの裏方としてずっと活動を続けてきただけあって、現代的プロダクションが施されており、さすがの仕上がりです。今後はデヴィッド・クロスとのコラボレーションアルバムのリリースも考えているとのことなので、期待いたしましょう。



■Grailknights『Calling the Choir』
Calling the ChoirCalling the Choir
(2014/04/11)
Grailknights

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カルトメタル界隈でも一時期ちょっとだけ話題になった、ドイツが誇るカラフルなスーパーヒーローバンドですが、気がついたらオリジナルメンバーはひとりを残して全員いなくなっておりました。普通に考えれば未曾有の苦境でしかないのですが、バンドにとってはさしたる問題ではなかったようで、久々にリリースされたこの新作もまったく変わらない音楽性で愉しませてくれました。あちらのメタルフェスでも中堅どころの存在として確固たる地位を確立しているようですし、なんだかんだで、実はすごいバンドなんじゃ…。



■FENCE OF DEFENSE『digiTaglam 2 RING WORLD』
digitaglam 2  RING WORLDdigitaglam 2 RING WORLD
(2014/01/08)
FENCE OF DEFENSE

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あの『digitaglam』の実に23年ぶりとなる続編的作品。昨今のシーンにも目配せしつつも、全体的には年輪を経たアレンジでまとまっており、そこはもう好みを分けるとしか言いようがないですが、自分はしっくりきました。「あの頃」のエネルギーを呼び戻しつつ、円熟というフィルターを通して再度結実させた一枚。



■VALENSIA『Gaia III・Aglaea・Legacy』
アグライア(ガイアIII)~ザ・フェアウェル・アルバムアグライア(ガイアIII)~ザ・フェアウェル・アルバム
(2014/09/24)
ヴァレンシア

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QUEENやケイト・ブッシュなど、往年のロック/ポップ・ミュージックの遺伝子を受け継いだ音楽性で一世を風靡したオランダの才人、ヴァレンシアは、「ガイア」三部作のラストを飾る本作をもって音楽活動からの引退も表明いたしました。結果的に半生のライフワークとなりましたが、二十年の歳月をもってしても、デビューアルバムを越えることはできなかったというのは一抹の哀しみをおぼえます。過去の焼き直しとしか言いようのない内容で、彼が最後にオマージュしたのは自分自身だったというのはいささか皮肉めいていますが、悔しいかな、それでも傑作なんです。桁違いに極上のロック/ポップスアルバムとして最後まで光を放っていました。今はただ、彼が今後歩む新たなる道に幸があらんことを願うばかりです。

2014年を振り返る~読んだ漫画ベスト二十選

マンガ編二十選。これにて決まりです。コメントはあったりなかったり。

田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス アフタヌーン)田中雄一作品集 まちあわせ (KCデラックス アフタヌーン)
(2014/06/23)
田中 雄一

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今年いちばんのインパクト。グロテスクでどこかユーモラスな造型の異生物と人類の関わりを描く骨太のSF短篇漫画集。《似我虫》の侵略に人類が相対する「害虫駆除局」、異なる進化を遂げた《異人類》との共存を描く「プリマーテス」、種の異なる彼女との長きに渡る恋愛を描いた表題作、選ばれた人間に継承される《巨獣》たちが戦いを繰り広げる「箱庭の巨獣」の全四篇。テイストの違いはあれど、いずれも「滅び」の二文字とは無縁ではなく、ズシリと重い。諦念にも似た思いが入り混じる主要キャラ二人の変容も交えた「害虫駆除局」は終末ものの傑作でしょう。


ミミクリミミクリ
(2014/09/18)
ai7n

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食物を口にするたびに、少女たちの集合体が引きちぎられすり潰され凄惨な死に様を晒すポップでゴアでエロでリョナでグルメで百合な漫画。例えるならアイドルグループがグラインドコアをやってるような印象。不条理アイデア一発勝負系かと思ったら、最後でSF的なオチもつく。会田誠的なセンスという指摘で漫画の展開よろしく「腑に落ちた」んだけど、個人的には『沙耶の唄』が浮かんだ。あっちは目にするものがみんな臓物に見えたわけだけど、こっちは食物がみんな美少女に見えるというわけ。臓物と殺戮の匂いが漂うかわいさ。「kawaii」という言葉にアナタが臓物と殺戮の匂いも感じとるのであれば、とてもおいしくいただけることでしょう。ai7n氏のインタビューも面白かったデス。“20代前半からハードコア、ノイズ、スカムのバンドもやっていたんですが、ステージで暴れたり、いかつい人達によるいかつい事件が起こったり、ジョンゾーンとかのジャケットに影響を受けたり、エログロ趣味が加速していったのはバンドでの体験や音楽からの影響もあると思います。”

「10代の少年少女がエログロに目覚めてくれたら」 話題作『ミミクリ』を上梓した新星マンガ家・ai7nインタビュー
http://otapol.jp/2014/10/post-1805.html


ローン・スローン (ShoPro Books)ローン・スローン (ShoPro Books)
(2014/04/23)
フィリップ・ドリュイエ

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フランスの鬼才バンドデシネ作家の作品の邦訳が今年まさかの刊行ですよ。フィリップ・ドリュイエという名前になじみはなくとも、リシャール・ピナスやART ZOYDのアルバムジャケットで彼のイラストを見たことがある人もいるんじゃないかな。まさにスペース・アポカリプス。脳味噌の処理が追いつかなくなるほどに、この人の描き込みと色彩感覚はどうかしている。圧倒的なんて言葉で言い尽くせないくらい圧倒的なエネルギーがぶちまけられている。そりゃあ、宇宙地獄絵図(スペース・アポカリプス)と形容しちゃいたくもなりますわ。


ヒットマン2ヒットマン2
(2014/02/28)
ガース・エニス

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名のあるヒーローやヴィランすらも翻弄し、そして時には共闘し、己のしたたかさで出し抜き生き抜くトミー・モナハンの生き様を描く人間臭いボンクラハードボイルドの傑作。犬溶接マンの惹句にうっかり釣られても十二分にお釣りが来る(かくいうわたくしも犬溶接マンに釣られたクチ)。ひとクセもふたクセもみクセもある「セクション8」の面々の雄姿は2巻でたっぷり見られるので、1巻で切るのはやめましょう。そして来たる3巻に備えましょう。


美千代~Femme Fatale~ (リュウコミックス)美千代~Femme Fatale~ (リュウコミックス)
(2014/11/13)
森二きゑ

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振り回されるなかで育まれる絶妙な関係の友情物語というか、倒錯したフェティッシュな百合物語というか、とにかくすごくよかった。昭和レトロチックでロリィな絵柄で描かれるしぐさや表情の機微がことごとくエロいので、たびたび揺さぶられるものがありました。「私が翻弄されたい美少女とは如何様なものかと思った結果」生まれたというヒロインの美千代は谷崎潤一郎の『痴人の愛』からの流れを汲んでいるというのもツボ。これでデビュー作とは恐れ入ってしまった次第。



アマリリス (ヤングジャンプコミックス)アマリリス (ヤングジャンプコミックス)
(2014/12/19)
福島 鉄平

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年の瀬最大級の衝撃。「へんたいのおじさんに売られた少年」というどう転んでも薄い本なのではっ!? というあらすじで、ここまで切ない少年同士の友情話が描けてしまうのかと。これが「尊い」ということかと。表題作以外の短編もことごとく琴線にクリティカル・ヒットしてしまい、まさに珠玉。言葉がないですよ。すっかり参ってしまった。同時発売された『スイミング』もたいへん素晴らしい内容です。…つくづく思ったのだけど、自分は奥ゆかしい感じでフェティシズムが描かれると弱いのかしらん。


GIRL? NEXT DOOR (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)GIRL? NEXT DOOR (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)
(2014/09/30)
A-10

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足の裏、匂い立つスメルフェチ、情念ほとばしる緻密な陰毛描写の素晴らしさに法悦、神は細部に宿るということを改めて認識させられた! カリに「このエロマンガの陰毛がすごい!2014」ってのがあったら間違いなく一位に推挙したいなあと思うのでした。理由はいらないので一刻も早く買って読んでさっさとシコれと言いたくなるくらいの傑作ですね。



エリア51 8 (BUNCH COMICS)エリア51 8 (BUNCH COMICS)
(2014/06/09)
久 正人

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スーパー幻想怪奇伝奇小説ファンタスティックハードボイルドガンアクションな『エリア51』には今年になってドハマりしたわけですが、総力戦の決着を見た8巻の内容は特にエキサイトいたしました。『ノブナガン』はもちろんのこと、年初に復刊リリースされた『グレイトフルデッド』『ジャバウォッキー』も含めて、今年は久正人氏の作品をやたら買ったり読んだりしており、個人的にフィーバーしておりました(勢いあまってお父上のヒサクニヒコ氏の著作にまで手を出し、そちらにも夢中になったというありさまです)。来年早々には短編作品集も刊行されるとのことなので、これまたとても楽しみな限り。



未知庵の1 三時のお水 (Nemuki+コミックス 未知庵の 1)未知庵の1 三時のお水 (Nemuki+コミックス 未知庵の 1)
(2014/10/07)
未知庵

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ホラータッチの画風で斜め上の展開と妙なギャグがヒュンヒュン飛んで来る。マジでこれはいったいどういう顔をして読めばいいのか。これを異形と呼ばずしてなんと呼べばいいのか。唖然、そして病み付きです。



ソラミちゃんの唄 (2) (まんがタイムKRコミックス)ソラミちゃんの唄 (2) (まんがタイムKRコミックス)
(2014/07/26)
ノッツ

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ずっと続くかと思われた幸せな時間からそれぞれが一歩を踏み出した第二巻。宅録少女と愉快な仲間たちが織り成すゆる~い日常系4コマとして展開しつつ、音楽とは、表現とは何かということも含みこませた一巻は不覚にも心を揺さぶられた傑作でしたが、キャラクター全員に訪れる環境の変化と、直面する現実、そしてそれぞれの新たな出発をちゃんとストーリーとして描き切り、爽やかに円満な終わりを迎えた本巻も素晴らしい内容でありました。終わってしまうのは悲しいのだけれども、それと同じくらいに晴れやかさもひとしおです。本当に心に残る一作。



うねちゃこ! ときめき家庭科部 (ヤングジャンプコミックス)うねちゃこ! ときめき家庭科部 (ヤングジャンプコミックス)
(2014/08/20)
うさくん

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基本的に変人しかいない激ゆる中学家庭部四コマ。自分の作った雑巾で男子のゲロが拭き取られることを夢想し、己の雑巾が男子の心に刻み込まれることを願いながら校内シェア100パーセントを越える大量の雑巾を縫製し続ける山盛フキちゃんが実によいキャラクターしてます。



ゆめにっき (バンブーコミックス)ゆめにっき (バンブーコミックス)
(2014/05/22)
富沢ひとし、マチゲリータ 他

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奇才と奇才のこのコラボレーション、一体どうなるのかと思いましたが、フタを開けてみれば予想以上に絶妙な噛み合いを見せててたまらないものがありました。原作の不条理感にも、可愛らしさと不気味さの双方を成立させる氏の作風にも合わせたストーリーの展開もまた良かった。富沢ファンも読んで損はないと思う。あと、セコムマサダ先生がああいう役回りになっているのはなかなか味わい深いですね。



ないしょよぉ (SANWA COMICS No.)ないしょよぉ (SANWA COMICS No.)
(2014/04/30)
掘骨 砕三

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すげー良かった。色んな意味でごちそうさまでしたという気持ちになる。今年書かれたものから、古いものだと2000年ごろの作品まで、ここ十数年間の作品をぱらぱらと収録。もちろん描きおろしもある。ちなみに触手などが生えてたりするものも含めて、レズものが多めです。マイウェイコミックスから出た『かわいいボク』と一緒にどうぞ。



幻想ギネコクラシー 1幻想ギネコクラシー 1
(2014/03/26)
沙村 広明

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アレな方向の沙村センセイが遺憾なく発揮されまくったくだらなショートショート集。しょうもないのに瞬間最大風速的ネタの惜しみのなさに圧倒されまくり。ズルいですよ!



ルート3 2巻 (ガムコミックスプラス)ルート3 2巻 (ガムコミックスプラス)
(2014/10/25)
みなぎ 得一

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プロメテア 1 (ShoPro Books)プロメテア 1 (ShoPro Books)
(2014/05/28)
アラン・ムーア

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キヌ六(2)<完> (アフタヌーンKC)キヌ六(2)<完> (アフタヌーンKC)
(2014/07/23)
野村 亮馬

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EAT-MAN THE MAIN DISH(1) (シリウスKC)EAT-MAN THE MAIN DISH(1) (シリウスKC)
(2014/10/09)
吉富 昭仁

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レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)
(2014/05/19)
三島 芳治

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戦国の長縞GB軍 1 (SPコミックス)戦国の長縞GB軍 1 (SPコミックス)
(2014/03/27)
日高 建男、志茂田 景樹 他

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