2017/12/14
Compressorhead『Party Machine』(2017)
メンバー全員がロボットのバンドというと、日本ではアルコール飲料ブランドのZIMAが開発し、2013年にお披露目されたデジロックバンド「Z-MACHINES」がおりますが、このCompressorheadはドイツ生まれのハードロック/パンクバンド。ベルリン出身のアーティストのフランク・バーンズと、協力者のマーカス・コルブの二人が金属スクラップをかき集めてMIDI制御のロボットを2007年ごろより製作したのが始まり。数年間の試行錯誤を経て、2012年3月に78本指のギタリスト Fingersと、4本腕のドラマー Stickboy(と、ハイハット担当のJunior)がドイツでパフォーマンスを行います。この時の演奏はAC/DC「TNT」のカヴァーでした。ちなみに、FingersのフェイバリットバンドはNomeansno、BonesのフェイバリットバンドはLED ZEPPELIN、HAWKWIND、Motörhead、Ramonesだそうです。4月にはオーストリア、6月にはチェコと、ドイツの「Fusion Festival」、11月にはドイツのオーディオ・ビデオ機器メーカー「Riedel Communications」の25周年記念フェスに出演。2013年にベーシストのBonesがリハーサルに参加し、同月にオーストラリアの「Big Day Out Festival」に出演。これがバンドとしてのデビューライヴとなります。
「Meet Compressorhead - The World’s Most Metal Band」
(from GIBSON com|2013.04.09)
時期を同じくして、バーンズはカナダの大ベテランハードコアパンクバンド Nomeansno、The Hanson Brothersのジョン・ライトをバンドのディレクター兼ソングライターとして迎え、ほどなくしてオリジナル曲「Compressorhead」「Speed Walking Lady」と、The Hanson Brothersの「My Girlfriend is a Robot」のカヴァーがYouTubeアカウントにアップされました。その後、マレーシア、カナダ、アメリカ、ロシア、フランス、イギリスと各国のフェスやイベント出演を経て、ますます知名度を上げてゆきます。2015年11月にはkickstarterでヴォーカルロボットの製作資金キャンペーンを立ち上げたものの、目標金額の€290,000に2割も届かず、あえなくファンディングは不成立に。しかし、その後1年と数ヵ月を経てロボット製作とアルバムのレコーディングの双方が着々と進められ、ジョンの声を持つヴォーカルのMega-Wattson、さらにセカンドギタリスト兼ヴォーカルのHellgåTarrが完成。「六体組」のライヴでのお披露目も行われます。「演奏はカクカクのロボットムーブなんじゃろ?」などと思うのは完全に間違いであり、ヴォーカルのふるまいといい楽器隊のヘドバンといい、堂に入ったパフォーマンス、かなりシビれます。
そして11月25日付けでフルアルバム『Party Machine』がリリースされ、AC/DCやMotörhead、PANTERA、Ramonesのコピーバンドから、それらの影響を汲んだストレートなハードロック/パンクサウンドを満載したオリジナル中心のバンドへと、晴れ晴れしいデビューを飾りました。前述の「Compressorhead」「Speed Walking Lady」「My Girlfriend is a Robot」を含む全15曲を収録しており、楽曲にはジョンのバンドメイトであるトム・ホリストンのほか、ロックバンド BUDOKANのクレイグ・ヴィシェックや、パンクバンド LOW LEVELSのバイロン・スラックといったバンクーバーのバンドの面々が関わっています。また、「These Bots Are Made For Rocking」は、リー・ヘイゼルウッド&ナンシー・シナトラの「These Boots are Made for Walkin」のファストチューンアレンジです。
http://www.compressorhead.rocks/
https://www.facebook.com/compressorhead
https://www.youtube.com/user/TheRobocross1
2017/03/01
森川智之『Garden of Eden』(1997)
森川智之
バップ (1997-03-01)
売り上げランキング: 173,736
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声優、歌手、「帝王」、森川智之氏が1997年にリリースした2ndソロアルバム『ガーデン オブ エデン』は、今年の3月1日で20周年を迎えます。97年というとアニメ版「金田一少年の事件簿」での明智役や、「剣風伝奇ベルセルク」でのグリフィス役などを演じておられたころですね。1994年のデビューアルバム『HEAVEN'S DOOR』から一貫してストレートなハード・ロックを志向している森川氏ですが、この二作目では作編曲面でも演奏面でも大幅な増強が図られています。本作のプロデューサーは、前作のメインコンポーザーでもあった「230」こと柳沢二三男氏、元ザ・ガーデン/ブルー・トニックの広瀬充寿氏、元ヘヴィメタルアーミー/イースタン・オービットの中島優貴氏の三人が務められているところもポイント。三人がそれぞれ書き下ろした新曲("Chance!" "GARDEN OF EDEN" "Last Telephone call/Dear…")が収録されています。
230氏の作編曲による"Naughy Boy"は、ラフなドライヴ感あふれるバッキングに、ややぶっきらぼう気味なヴォーカルがマッチした一曲。また、"In The SKY"は、BOSTONの"More Than A Feeling"にクリソツなアルペジオのイントロがある意味印象的なアコースティック・バラードです。広瀬氏の作編曲による"Endless Dream"は、森川氏がパーソナリティーをつとめた「宇宙海賊 宝船組!」(原作:秋月こお)のドラマCDの挿入歌であり、これでもかとオケヒを連発するアレンジが強烈なハード・ポップ・チューン。また、中島氏の作編曲による"TRUE" "Precious Love ~この地球の者たちへ~" "TELL ME WHY" "天翔"は、森川氏が主役キャラクターを演じた「黄龍の耳」(原作:大沢在昌)のOVAやドラマCDの主題歌や挿入歌であり、いずれもアルバム収録に際してリミックスが施されています。派手なキーボードアレンジもさることながら、JET MAYBEの小森晴美氏(guitar)、コンチェルト・ムーンの島紀史氏(guitar)、UP-BEATの水江慎一郎氏(bass)がバックを固めており、中島氏の得意とするプログレッシヴ・ハード・ロックに思いっきり寄っています(ちなみに、コンチェルト・ムーンも当時バップに所属しており、翌年にメジャーデビューを果たします)。ジャパメタ筋の人にもオススメしたいところ。
ちなみに、坂本英三 with 文京楽団の『Another』(1998)では、本作の"TRUE"がカヴァーされております。森川氏と坂本氏との縁は深く、練馬絶叫倶楽部のアルバム『壱』(1997)に森川氏がゲスト参加していますし、逆に森川氏の3rdアルバム『JOLLY ROGER』(2003)では、坂本氏が楽曲提供("Cuttin' Out")をしています。また「ルパン三世」トリビュートアルバム『You's Explosion』(1999)では、森川&坂本デュオによる"銭型マーチ"を聴くことができます。そうそう、近年では「帝王森川とボイトレ男子」の音楽プロデューサーを坂本氏が担当されていますね。
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森川智之『Garden of Eden』
[VPCG-84628|VAP|1997.03.01]
01. Chance!
(作詞:森川智之/作編曲:広瀬充寿)
広瀬充寿(computer programming, synthesizer, drums)
上村佳弘(guitar)
三谷知範(guitar)
田島浩二(bass)
02. Endless Dream
(作詞:田島浩二/作編曲:広瀬充寿)
広瀬充寿(computer programming, synthesizer, drums)
谷信雄(guitar)
田島浩二(bass)
03. TRUE(リミックスバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
中島優貴(keyboard)
水江慎一郎(bass)
小関純匡(drums)
04. Naughty boy
(作詞:森川智之/作編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar)
角田俊介(E.bass)
向山テツ(drums & percussion)
05. Precious Love ~この地球の者たちへ~
(作詞:甲斐ケンジ/作編曲:中島優貴)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)
06. GARDEN OF EDEN
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)
07. TELL ME WHY(リミックスバージョン)
(作詞:甲斐ケンジ/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)
08. In the SKY
(作詞・作曲:佐々木文彦/編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar)
角田俊介(E.bass)
向山テツ(drums & percussion)
09. 天翔(リミックスバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
中島優貴(keyboard)
水江慎一郎(bass)
小関純匡(drums)
10. Last Telephone call/Dear...(オリジナルバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar, chorus)
宗秀治(bass)
河村智康(drums)
《Produced & Directed by》
国分浩弥(バップ)
折田哲郎(コズミックレイ)
中島優貴(リラックス・ミュージック・インク)
《Sound Producer》
中島優貴(track 3, 5, 6, 7, 9)
柳沢“230”二三男(track 4, 8, 10)
広瀬充寿(track 1, 2)
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2016/12/03
QUIDAM、SORRY BOYS、RIVERSIDEメンバーによるロックトリオ ― MELLER GOLYZNIAK DUDA『Breaking Habits』(2016)
ポーランドのシンフォニック・ロック・バンド QUIDAMのギタリスト マチェク・メラー、オルタナ・ポップ/ロック・バンド SORRY BOYSのドラマーであり、モニカ・ブロトゥカやナタリア・ニキェルなどのレコーディングサポートも務めるマチェク・ゴウィジニャク、そしてプログレッシヴ・メタル・バンド RIVERSIDEやアンビエント・ユニット LUNATIC SOULのフロントマン マリウス・デューダの三人が今年新たに結成したトリオ MELLER GOLYZNIAK DUDAのデビューアルバムが先ごろリリースされました。キャリアもジャンルも微妙に異なれど、いずれもポーランドでは名うてのミュージシャンであり、まさに「三羽烏」といったところ。楽曲は三人全員がスタジオに入ってストレート一発録り。マリウスのゴリっとしたベースと、艶のあるヴォーカルを中心に、ファンク、ブルーズ、サイケのエッセンスなども程よくとり込み、てらいなく、カラッとしたオールドスクールのロックサウンドを展開しています。コンパクトなつくりの楽曲が中心(唯一"Floating Over"のみ10分近い曲)ですが、インストパートの加速度的な白熱ぶりはさすがの一言。メイン活動のガス抜きといったものにとどまらない、痛快なドライヴ感にあふれた一枚です。
https://www.facebook.com/mellergolyzniakduda/
https://www.youtube.com/channel/UCr4s6P70WTInwYJHU9CciQQ
2016/01/28
1+1=「3」の成果を上げる、北欧メロディック・ハードの新タッグ ― NORDIC UNION 『Nordic Union』(2016)
ノルディック・ユニオン
SMD itaku (music) (2016-01-20)
売り上げランキング: 2,242
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デンマークのPRETTY MAIDSのヴォーカリストであるロニー・アトキンスと、スウェーデンのECLIPSEのソングライター/プレイヤーであるエリック・モーテンソン。北欧出身の二つのメロディック・ハード・ロック・バンドのメンバーがタッグを組んだノルディック・ユニオンのデビューアルバム。別々のバンドのメンバーがユニットを組むという話にはいつだってワクワクさせられますが、それが必ずしも1+1=2のコラボレーションとなるのかというと話は別。聴き手の期待に反して、双方の個性が発揮されずに終わってしまう企画というのも往々にしてあり、ことフィーリングの面ではなかなかに難しいものがあります。が、嬉しいことにこのノルディック・ユニオンは間違いなく、心の底から見事なコラボレーションと呼べるユニットであり、1+1=3、いや、それ以上の成果をあげております。
メロディック・ハード・ロックというジャンルはある種の様式美で固められており、音楽的な自由度はさほど高くないのですが、それでもここまで何もかもが噛み合った化学反応というのはそうそうないと思います。ベテランと中堅という、世代がひとつ異なる者が組んだというのも功を奏したのかもしれませんが、それもやはり両人が確かな実力者という前提があってのこと。とくにエリックは本ユニットより前にWORK OF ARTのロバート・サール、TALISMANのジェフ・スコット・ソートと組んだW.E.Tでの活動を軌道にのせており、コラボレーションの「実績」もあります。また、ドラムと一部ギター以外のパート(バッキングヴォーカル含む)はすべて彼が担当しております。ドラムは元ECLIPSEのマグナス・アルフステッド。ギターソロでは、同じくECLIPSEのマグナス・ヘンリクソン("The War Has Begun")、デスメタルバンド NECROFOBICのフレドリック・フォルケ("Hypocrisy" "Point Of No Return")、ドゥームメタルバンド SORCERER(元THERIONのクリスティアン・ニエマンが在籍)のピーター・ホールグレン("21 GUNS")、そしてBALTIMOORE、元グレン・ヒューズ・バンドのトーマス・ラーソン("Wide Awake" "Every Heartbeat")の四名が参加。作曲のほとんどはエリックですが、一部でECLIPSEでの作曲パートナーであるミカエル・パーソンも参加しています。
ギターを全面に押し出した楽曲が多いのもポイント。湯水のようにメロディとハーモニーが湧き出しており、ただひたすら法悦したくなることしきり。同時にただひたすら個人的な「ツボ」も列挙したくなります。メロウなイントロからとびっきりにエッジの効いたリフを刻み込む"Hypocrisy"とか、ロニーのパッションあふれるヴォーカルの魅力がグッと詰まった"When Death Is Calling"とか、欲しいものが全部詰まった、これぞ北欧ハードポップの教科書といいたくなる"Go"とか……と、ここでいくら並べ立てても詮無きこと。Frontiers Recordsの公式YouTubeアカウントで試聴トラックがふんだんにあがっているので、まずは極上のコラボレーションを耳で確かめてみて下さい。なお、日本盤ボーナストラックは"When Death Is Calling"のアコースティック・ヴァージョン。単なるオマケと思うなかれ、ロニーのヴォーカルがより際立つ仕上がりで、こちらも一聴の価値あります。アルバム丸ごと、メロハーのご馳走、です。オイシイ要素が三拍子どころか六拍子くらい揃っており、満面のえびす顔を禁じ得ません。今年最初のベストコラボレーションは彼らで決まりでしょう。
http://www.frontiers.it/album/5289
2015/12/19
端正な技巧で紡がれる、インドネシア気鋭のギタリスト ― Balum『Realization of Illusion』(2015)
1988年生まれ、インドネシア・バンダン出身のギタリスト/プロデューサー バラムのデビューアルバム。12歳の頃より独学でギターを学び、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ、スラッシュ、ポール・ギルバート、ジョー・サトリアーニ、マイケル・ロメオといったギターヒーローから強く影響を受け、16歳の頃より作曲活動を開始、現在はギターインストラクターやジャカルタのブラス/ファンク・ロック・バンド Play-Matesのメンバーとしても活動中です(このバンドもかなりの実力派)。本作はセルフプロデュースによるインストゥルメンタル・アルバムで、演奏も数曲にベーシストを迎えている以外はすべてバラムのプレイによるもの。ドラムは打ち込みですが、そこをカヴァーして余りある端正なテクニックと耳あたりの良いサウンドで紡がれる粒揃いのネオクラシカル/フュージョン/プログレッシヴ・ハードロック曲が収められております。リリカルなメロディとそこに寄り添うようなギターソロが際立つ"Rain"や、ファンキーなビートと共にトリッキーにキメる"Universal Dance"が白眉。
http://balum-guitar.com/
https://www.facebook.com/balum.guitar
https://www.youtube.com/user/Balumonguitar
2010/09/14
Chachamaru(藤村幸宏)『AIR』(2002)
VIENNA関連作品その2。VIENNAのフロントマンその人である藤村幸宏こと茶々丸の現時点での唯一のソロアルバム。かつてGERARD、VIENNAといったジャパニーズ・プログレ・バンドに在籍した彼は、現在はGacktのバックバンドであるGackt Jobのギタリスト兼プロデューサーを務めており、名実共にGacktの右腕的存在として活躍しているのですが、本作はGacktの三枚目のソロアルバム『MOON』がリリースされてから約半年後に発表されたもの。
集まったゲストミュージシャンも氏の人脈から総動員されており、Gackt(vo)は勿論のこと、西田竜一(ds)&永井敏巳(b)&塚本周成(kbd)といったVIENNA時代の盟友(ちなみに永井氏と塚本氏はGacktのアルバムのレコーディングメンバーでもあり、また、西田氏は一時期Gacktのツアーサポートメンバーを務めていました)、そしてDED CHAPLIN時代の盟友である二井原実(vo / LOUDNESS)&菅沼孝三(ds)、GERARD時代の盟友である五十嵐公太(ds / ex JUDY AND MARY)さらにEARTHSHAKERの西田昌史(vo)&工藤義弘(ds)、寺沢功一(b / ex BLIZARD~SLY)、真矢(ds / LUNA SEA)、和佐田達彦(b / ex 爆風スランプ) という錚々たる面子で花を添えています。
楽曲は打ち込みも交えてのシンフォニック・ロック/ハード・ロック路線で、モダンなヴィジュアル系ヘヴィ・ロック「Divine」や、打ち込みとストリングスがゴージャスなバラード「As」の序盤二曲はGacktのソロからの流れも感じさせます。そこでの茶々丸氏のヴォーカルはVIENNA時代以上にねっちょりした歌い回しになっており激しく好き嫌いが分かれそうですが、これはGacktからの影響なのか、それとも時代の流れに合わせたものなのか。また、ゲスト・ヴォーカル曲は三曲あり、二井原氏がエネルギッシュに吼えるラフなロック・ナンバー「Metamorphose」、西田氏のハスキーなヴォーカルが実にマッチするブルージーなミドルテンポのハード・ロック・ナンバー「Grieve」と、ゲストの持ち味を生かした仕上がりになっているのですが、中でもGacktがヴォーカルをとる「Kagero」は極めつけ。シンフォニックなバラードという曲調もさることながら、サビを始めこれでもかとドラマティックな見せ場が盛り込まれており、Gacktのヴォーカルが凄まじく映える感動的なまでの1曲に仕上がっております。茶々丸氏のGacktへの優遇ぶりがえるのも微笑ましい。
楽器隊の実力が炸裂する楽曲ももちろんあり、「Luscious」は、ゴシック/クラシカルかつ派手なキーボードアレンジに、"手数王"菅沼氏の細やかなドラミングがスリリングな疾走感を与えているプログレ・ハード ナンバー。落合徹也氏のヴァイオリンと、茶々丸、永井、菅沼の三名による、元VIENNA/元DED CHAPLIN組の面目躍如と言わんばかりに暴れまわるインタープレイは聴きモノです。また、10分に及ぶ大曲「CANONE」は、VIENNAの1stアルバムのハイライトであった楽曲のリメイク。原曲よりもさらに塚本氏のシンセが全面に押し出ており、アレンジも時代相応といった感じになっておりますが、やはり気合が入っております。本作もまた中古盤を結構安い値段で見かけるのですが、だからといって見過ごすのは勿体無い一枚。
●chachamaru:Wikipedia
2010/09/12
TOSHI『Mission』(1994)
TOSHI
BMGビクター (1994-06-01)
売り上げランキング: 26,440
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VIENNA関連作品その1。X-JAPANのTOSHIの2ndソロアルバム。今じゃ中古で100円かそこらで簡単に手に入るシロモノなのですが、参加ミュージシャンや楽曲の充実ぶりが素晴らしく、スルーするのは勿体無い1枚。個人的には間違いなく彼の代表作は本作だという認識です。藤村"茶々丸"幸宏(g)、永井敏巳(b)、菅沼孝三(ds)、塚本周成(kbd)といったVIENNA/DED CHAPLINの楽器隊が全面的に参加しているほか、LOUDNESS/DED CHAPLINの二井原実も楽曲提供で参加、また、NIGHT HAWKSの青木秀一(g)&工藤哲也(ds)の両氏の名前も見られます。92年発表の前作『made in HEAVEN』はシンフォニックなAORポップス作品でしたが、本作は色濃いハード・ロック路線にこだわった一枚。参加ミュージシャンのラインナップもあってかDED CHAPLINに近いソリッドな雰囲気も感じさせ、タイトルから「Rusty Nail」を意識したであろうことが伺える冒頭曲「Rusty Eyes」や、「Chase Of Times」「Heart of the back」は、豪快なハード・ロックに仕上がっております。特に「Chase Of Times」は楽器隊の技巧面も全面に押し出したキラーチューン。弾きまくる茶々丸のエッジの効いたギターワーク、抜群の安定感でガッツリ支えるリズムセクション、盛り上がりに花を添える嫌味のないキーボードアレンジがカッチリとまとまり、TOSHIのヴォーカル共々、ラフな勢いのあるX-JAPANとは違った側面で魅せてくれます。
「LADY」はDED CHAPLINのレパートリーをリメイクした楽曲で、ドラマティックなサビで落とすミドル・チューン。続く「Bless You」もストリングスや泣きのギターソロも盛り込んでの壮大なパワー・バラードで、非常に頼もしさを感じさせる1曲。ギターの泣きで言えば「Heart Of The Back」もまた素晴らしい。アコースティックな小品の「intermission」や、伸び伸びとリラックスして歌い上げる「Love Dynamics」など、後半は前半に比べると穏やかな流れにありますが、どこか物悲しさも感じさせるクラシカルなシンセやコーラスアレンジの中で歌い上げる秀逸なラストナンバー「Moon Stone」(ちなみにこの曲は後に再編VIENNAでもリメイクされています)で堂々たるエンディングを迎え、しっかりと筋を通します。改めて、茶々丸をパートナーに迎えたこのハードな路線はアルバム1枚こっきりで終わらせてしまうには惜しい。
2010/06/29
ANDI DERIS『Come In From The Rain』(1997)
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売り上げランキング: 396,062
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元PINK CREAM 69、現HELLOWEENのヴォーカリスト アンディ・デリスの1stソロアルバム。今では中古100円くらいで容易に手に入るシロモノですが、内容はアンディ・デリスのソングライター/メロディメイカーとしての実力を存分に発揮した秀作。ピンク・クリーム69在籍時から既に強力な武器であった哀愁のあるメロディを軸にした楽曲は聴き手の琴線を掴むのが実に巧みで、ミドルバラードナンバーでの組み立て方は良い意味でファン泣かせ。日本国内だけで20万枚という大ヒットを記録した、ハロウィンの代表作のひとつとも言え『The Time Of The Oath』の翌年というノリに乗った時期にリリースされた本作は、HELLOWEENへの加入で得た要素を盛り込みつつ、ピンク・クリーム69時代の雰囲気を匂わせる程よいバランスで成り立った作品。
ハードながらも湿った展開が何気に耳に残る「Think Higher」や、亡きアンディの祖母に捧げた感傷的なバラード「Good-Bye Jenny」、世を儚んで飛び降り自殺を遂げる少年を歌った「1000 Years Away」が連なる序盤は、かのピンククリーム69の名盤『One Size Fits All』を彷彿とさせられる素晴らしい流れ。反面、マイケル・ヴァイカート、マーカス・グロスコフらハロウィンの面々がゲストで参加した「The King Of 7 Eyes」はインパクトのあるヘヴィなスピードチューンながら、正直本作においては蛇足。他の楽曲との毛色が違い過ぎるために浮いてしまっているのがもったいない。それを含め、アルバムを通してみればいくつか捨て曲こそありますが、それでも穏やかに琴線に触れるウェットな魅力ある楽曲が多いのは嬉しい。切々と歌い上げるアコースティックナンバー「Now That I Know This Ain't Love」はシンプルながら秀逸だし、日本盤ボーナストラックの「In The Lights Of The Sky」も、ボーナスにするには惜しいくらいの隠れた良曲。梅雨、あるいは秋に聴くと染みる一枚。
●ANDI DERIS:Wikipedia
●HELLOWEEN:Wikipedia
2009/11/13
FIRE BOMBER『Re.FIRE!!』(2009)
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flying DOG (2009-10-14)
売り上げランキング: 64,458
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「マクロス7」放映15周年記念アルバム。アニメの関連アルバムはドラマCDやら編集盤やらオムニバスや らでかなりの数が出ましたが、FIRE BOMBER名義のフルアルバムとしては、98年の『Dynamite Fire!』を勘定に数えるなら実に11年ぶり(マクロス7の設定上では13年ぶり)となる通産4thアルバム。マクロスFが出た今となってはマクロスシ リーズの中では異色の存在として扱われることもなくなった(?)本作ですが、こちらも歌モノや楽曲に本編以上に力が入っていたのは言うまでもなく、 1st~3rdアルバムの頃のFIRE BOMBERの作編曲はKAI FIVEの田中裕千氏やKUWATA BANDの河内淳貴氏、子供ばんどの湯川トーベン氏といった手練の方々が関わっておりました。楽曲の80年代歌謡ハードロック的な雰囲気も 彼らに因るところが大きかったと思います。本作『Re.FIRE!!』には彼らの名前がクレジットされていないのは残念ですが、元CORE OF SOULや、JAZZIDA GRANDEのメンバー等を起用して新味が伺えます。
アルバムのオープニングを飾る「弾丸ソウル」のヘヴィメタリックな勢いや、続く「Burning Fire」のメロディック・パンクめいた明快な爽快感は、FIRE BOMBERにおいてこれまでになかった曲調で、良い意味で期待を裏切られたという感じ。福山芳樹氏もチエ・カジウラ氏も十数年前と変わらぬ健在ぶりを見せていますが、特に福山氏のヴォーカルはこの十数年でかなりパワーアップしているのを強烈に実感した次第。より煽情的で熱の込もったヴォーカルで突き抜ける「ビッグバン」 を聴いていると特にそう思います。年月の経過もあってか、彼の声はかつての「歌バサラ」のソレというよりはもはや「福山芳樹そのもの」になってしまってい るのですが、これも嬉しいご愛嬌というところでしょうかね。 「LOVE IT」「突撃ラブハート」のリメイクヴァー ジョンの編曲にはレピッシュの杉本恭一氏やトルネード竜巻の曽我淳一氏が参加、また、外人部隊の永井ルイ氏とACKO氏の参加は(「トップをねらえ2」の ED曲起用という前例がありますが)まさかといったところで、提供曲「MAGIC RHAPSODY」は実にストレートな正統派ハードロックに仕上がっています。
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