TOSHI
BMGビクター (1994-06-01)
売り上げランキング: 26,440
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VIENNA関連作品その1。X-JAPANのTOSHIの2ndソロアルバム。今じゃ中古で100円かそこらで簡単に手に入るシロモノなのですが、参加ミュージシャンや楽曲の充実ぶりが素晴らしく、スルーするのは勿体無い1枚。個人的には間違いなく彼の代表作は本作だという認識です。藤村"茶々丸"幸宏(g)、永井敏巳(b)、菅沼孝三(ds)、塚本周成(kbd)といったVIENNA/DED CHAPLINの楽器隊が全面的に参加しているほか、LOUDNESS/DED CHAPLINの二井原実も楽曲提供で参加、また、NIGHT HAWKSの青木秀一(g)&工藤哲也(ds)の両氏の名前も見られます。92年発表の前作『made in HEAVEN』はシンフォニックなAORポップス作品でしたが、本作は色濃いハード・ロック路線にこだわった一枚。参加ミュージシャンのラインナップもあってかDED CHAPLINに近いソリッドな雰囲気も感じさせ、タイトルから「Rusty Nail」を意識したであろうことが伺える冒頭曲「Rusty Eyes」や、「Chase Of Times」「Heart of the back」は、豪快なハード・ロックに仕上がっております。特に「Chase Of Times」は楽器隊の技巧面も全面に押し出したキラーチューン。弾きまくる茶々丸のエッジの効いたギターワーク、抜群の安定感でガッツリ支えるリズムセクション、盛り上がりに花を添える嫌味のないキーボードアレンジがカッチリとまとまり、TOSHIのヴォーカル共々、ラフな勢いのあるX-JAPANとは違った側面で魅せてくれます。
「LADY」はDED CHAPLINのレパートリーをリメイクした楽曲で、ドラマティックなサビで落とすミドル・チューン。続く「Bless You」もストリングスや泣きのギターソロも盛り込んでの壮大なパワー・バラードで、非常に頼もしさを感じさせる1曲。ギターの泣きで言えば「Heart Of The Back」もまた素晴らしい。アコースティックな小品の「intermission」や、伸び伸びとリラックスして歌い上げる「Love Dynamics」など、後半は前半に比べると穏やかな流れにありますが、どこか物悲しさも感じさせるクラシカルなシンセやコーラスアレンジの中で歌い上げる秀逸なラストナンバー「Moon Stone」(ちなみにこの曲は後に再編VIENNAでもリメイクされています)で堂々たるエンディングを迎え、しっかりと筋を通します。改めて、茶々丸をパートナーに迎えたこのハードな路線はアルバム1枚こっきりで終わらせてしまうには惜しい。