2017年12月14日木曜日

Compressorhead『Party Machine』(2017)




 メンバー全員がロボットのバンドというと、日本ではアルコール飲料ブランドのZIMAが開発し、2013年にお披露目されたデジロックバンド「Z-MACHINES」がおりますが、このCompressorheadはドイツ生まれのハードロック/パンクバンド。ベルリン出身のアーティストのフランク・バーンズと、協力者のマーカス・コルブの二人が金属スクラップをかき集めてMIDI制御のロボットを2007年ごろより製作したのが始まり。数年間の試行錯誤を経て、2012年3月に78本指のギタリスト Fingersと、4本腕のドラマー Stickboy(と、ハイハット担当のJunior)がドイツでパフォーマンスを行います。この時の演奏はAC/DC「TNT」のカヴァーでした。ちなみに、FingersのフェイバリットバンドはNomeansno、BonesのフェイバリットバンドはLED ZEPPELIN、HAWKWIND、Motörhead、Ramonesだそうです。4月にはオーストリア、6月にはチェコと、ドイツの「Fusion Festival」、11月にはドイツのオーディオ・ビデオ機器メーカー「Riedel Communications」の25周年記念フェスに出演。2013年にベーシストのBonesがリハーサルに参加し、同月にオーストラリアの「Big Day Out Festival」に出演。これがバンドとしてのデビューライヴとなります。




「Meet Compressorhead - The World’s Most Metal Band」
(from GIBSON com|2013.04.09)





 時期を同じくして、バーンズはカナダの大ベテランハードコアパンクバンド Nomeansno、The Hanson Brothersのジョン・ライトをバンドのディレクター兼ソングライターとして迎え、ほどなくしてオリジナル曲「Compressorhead」「Speed Walking Lady」と、The Hanson Brothersの「My Girlfriend is a Robot」のカヴァーがYouTubeアカウントにアップされました。その後、マレーシア、カナダ、アメリカ、ロシア、フランス、イギリスと各国のフェスやイベント出演を経て、ますます知名度を上げてゆきます。2015年11月にはkickstarterでヴォーカルロボットの製作資金キャンペーンを立ち上げたものの、目標金額の€290,000に2割も届かず、あえなくファンディングは不成立に。しかし、その後1年と数ヵ月を経てロボット製作とアルバムのレコーディングの双方が着々と進められ、ジョンの声を持つヴォーカルのMega-Wattson、さらにセカンドギタリスト兼ヴォーカルのHellgåTarrが完成。「六体組」のライヴでのお披露目も行われます。「演奏はカクカクのロボットムーブなんじゃろ?」などと思うのは完全に間違いであり、ヴォーカルのふるまいといい楽器隊のヘドバンといい、堂に入ったパフォーマンス、かなりシビれます。





 そして11月25日付けでフルアルバム『Party Machine』がリリースされ、AC/DCやMotörhead、PANTERA、Ramonesのコピーバンドから、それらの影響を汲んだストレートなハードロック/パンクサウンドを満載したオリジナル中心のバンドへと、晴れ晴れしいデビューを飾りました。前述の「Compressorhead」「Speed Walking Lady」「My Girlfriend is a Robot」を含む全15曲を収録しており、楽曲にはジョンのバンドメイトであるトム・ホリストンのほか、ロックバンド BUDOKANのクレイグ・ヴィシェックや、パンクバンド LOW LEVELSのバイロン・スラックといったバンクーバーのバンドの面々が関わっています。また、「These Bots Are Made For Rocking」は、リー・ヘイゼルウッド&ナンシー・シナトラの「These Boots are Made for Walkin」のファストチューンアレンジです。





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https://www.youtube.com/user/TheRobocross1