現在、小学館〈ビッグコミックスピリッツ〉増刊「ヒバナ」にて連載中の、林田球による異形のダークファンタジーコミック「ドロヘドロ」(今月30日に最新21巻が刊行予定)のイメージサウンドトラック。2000年に、今はなき〈月刊IKKI〉で連載が始まってから十数年、「ありそうでなかった」企画がついに実現した一枚です。東京を拠点とするハードコア・ミュージック プロダクション「MURDER CHANNEL」のUme氏と、コミックス/アート/ホビー関係の企画・制作を手がけるプロダクション「MHz(メガヘルツ)」のメチクロ氏の企画&ディレクションのもと、60組近いの候補アーティストの中から林田氏が選び出した14組のアーティスト(期せずしてイギリス出身のアーティストが半分を占めた形に)へオファーし、コミックからインスピレーションを得た書き下ろし楽曲で構成された二枚組ヴォリュームの一大コンピレーション。パッケージ版は34cmの大判ハードカバー仕様。もちろん、ジャケットアートは林田氏による描きおろしです。
そのダークでグロテスクでアヴァンギャルドな作品世界から、「ソッチ系」の音楽からの影響は容易に見て取ることができますが、林田氏もかつて、〈月刊IKKI〉のホームページ上に掲載された作家リレーメッセージ企画で「このマンガはある曲からインスピレーションを受けて生まれました。その曲は歌詞がメチャクチャダークで凶暴なのにメロディーは踊りたくなるぐらい楽しいものでした。このイメージと自分の好きなものを色々とミックスして、ドロヘドロが現在の形になりました」とコメントされておりました。本イメージサントラもまさに渾沌たる様相をなしており、ダブ、ブレイクビーツ、アンビエント、ゴルジェ、サイケ、ヒップホップ、ドゥームメタル、エクスペリメンタル、ノイズ、インダストリアル ―― 日本、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、アメリカ ――と、参加した顔ぶれのジャンルも国籍もさまざまですが、各人がそれぞれのミクスチャーなカラーを全開にした手心一切ナシのトラックをぶつけてきているのがまた素晴らしい。なかにはそれまで「ドロヘドロ」を読んだことがなかったというアーティストもいたそうですが、コミックスを読んで即、参加を快諾したのだそうな。
DISC1はどちらかというとアッパーチューン、そしてDISC2はよりディープでドープなトラックが中心となっています。インダストリアル・ドゥームメタルバンド khostはとびきり鈍重ズルズルなトラックを、エレクトロ・デュオ Shitwifeは享楽的なイメージに富むアッパーチューンを、Asian Dub FoundationのDr Dasはじっくりとした不敵なダブ/レゲエチューンを放ち、Igorrrはグロウルやソプラノがストリングスやノイジーなリフと絡んで邪悪な美しさをこれでもかと大仰に表出させ、Toki Takumiによるゴルジェサウンドユニット hanaliは人妻であり悪魔であるハルちゃんのイメージを楽曲に賑々しく散りばめ、Dead Faderは「カイマンの頭」と名づけた、約18分におよぶ本アルバム最長トラックを提供……などなど、異形ぞろいのアーティストサンプラーとしてもバツグンの強度を誇り、まさにスペシャルなアイテム。あらゆるサウンドを混沌の中に呑み込む。それが……ドロヘドロ!
★『ドロヘドロ・オリジナルサウンドトラック』完成記念鼎談 [前半] – 林田球 x Ume x メチクロ
「DOROHEDORO Original soundtrack – 収録アーティスト紹介」
http://ghz.tokyo/2016/03/29/dorohedoro_ost_lineup1/
http://ghz.tokyo/2016/04/01/dorohedoro_ost_lineup2/
http://ghz.tokyo/2016/04/03/dorohedoro_ost_lineup3/
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『Dorohedoro Original Soundtrack』
【Disc 1】
1. Redacted Recalcitrant Repressed ― khost(イギリス)
2. Blaka Smoko ― VOODOOM(オランダ)
3. Dorohedoro Zombie Slushi ― Candie Hank(ドイツ)
4. Eating food and fighting Wizards ― Shitwife(イギリス)
5. Enter the Hole ― NAH(アメリカ)
6. She is a devil ― hanali(日本)
7. LIZARD HEAD ― Dr Das(イギリス)
8. Transformations ― Shackleton(イギリス)
【Disc 2】
01. Dorohedoro ― Igorrr(フランス)
02. The Hole ― Ghengis(日本)
03. Don't Think, Just Kill ― Roly Porter(イギリス)
04. Kaimans Head ― Dead Fader(イギリス)
05. Radio 538 ― Dow Jones Brotherhood(オランダ)
06. Stay down zombies! ― Ed Cox(イギリス)
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http://q-hayashida.com/
https://ja-jp.facebook.com/Murder-Channel-328088223957128/
http://m-hz.com/portfolio/
また、GHzのサイトでは参加アーティストの情報やインタビューが数多く公開されており、非常に充実しております。それぞれが抱いた「ドロヘドロ」への印象のみならず、アーティストのルーツを知る上でも興味深く、必見の内容です。
▽Dead Fader – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
▽“DOROHEDORO OST Interview – NAH”
▽khost – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
▽hanali – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
Part .1 / Part. 2
▽DR DAS – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
Part. 1 / Part. 2
▽ROLY PORTER – Exclusive Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
▽Deformer(VOODOOM) – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
▼khost: https://khostband.bandcamp.com/
▼VOODOOM: https://voodoom.bandcamp.com/
▼Candle Hank(Patirc Catani): http://www.candiehank.com/
▼Shitwife: https://shitwife.bandcamp.com/
▼NAH: http://www.nahstuff.com/
▼hanali: http://soundcloud.com/hanali
▼Dr Das(from Asian Dub Foundation): https://drdas.bandcamp.com/
▼Shackleton: http://www.surefireagency.com/index.php/artist/shackleton/
▼Igorrr: http://www.igorrr.com/
▼Ghengis: https://soundcloud.com/ghengis_gorgonn
▼Roly Porter: http://www.rolyporter.com/
▼Dead Fader: https://deadfader.bandcamp.com/
▼Dow Jones Brotherhood: http://dowjonesbrotherhood.tumblr.com/
▼Ed Cox: https://soundcloud.com/ed-cox-life4land
林田 球
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