2016年7月6日水曜日

「プログレッシヴ・タンゴ」を標榜するアルゼンチンのミクスチャーバンド ― Pampa Trash『YA FUÈ』 (2014)




 パンパ・トラッシュは、アルゼンチン・ブエノスアイレスで結成されたエレクトリック・タンゴ バンド。フロントマンのバンドネオン兼シンセサイザー奏者 ニコラス・トグノラは作曲家のみならず俳優の顔も持つ人物で、日本でもソフト化されたルイス・プエンソ監督の『娼婦と鯨』(2004)にキャストとして出演。また、2012年にはファビオ・ハーゲルのタンゴ・セクステットとともに来日もしていた模様です。2013年に5曲入りフリーダウンロードEP『Pampa Trash EP』でデビュー。翌年にリリースされた本作『YA FUÈ』は前EPの5曲をリメイクし、さらに新曲5曲を追加した形のフルアルバム。ダウンロードは投げ銭。バンド自ら「Tango progresivo」を標榜しており、爽やかなようで暑苦しいミクスチャーサウンドはかなり面白いヒネくれぶり。ダンサブルなビートにバンドネオンの音色が乗っかる"Fat Slim" "Berizo"などからにじみ出る奇妙なニューウェイヴ感や、軽快なレゲエ・タンゴ(しかしバックでは中国語らしきモノローグがシレっと入る)な"Zorzal Am"、静と動のスイッチングが激しいロックなコンテンポラリータンゴ"Temperley"と、随所に仕込まれた遊び心はじつに不敵。また、アルバムの半分は外部からヴォーカリストを呼んだ歌もので、艶っぽくもフラフラとした歌いまわしでアンニュイに言葉を紡いでいます。





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