森川 久美
白泉社
売り上げランキング: 138,920
白泉社
売り上げランキング: 138,920
1980年11月から1981年2月にかけて白泉社〈LaLa〉で連載された中編「蘇州夜曲」に続き、同誌で1981年8月から1983年5月にかけて連載され、森川久美さんの人気を決定付けた漫画作品「南京路(ロード)に花吹雪」。1930年代半ばの上海租界を舞台に、左遷された日本人新聞記者の本郷義明と、日中混血の少年 黄子満の二人がシンジケートや軍部の暗躍や陰謀に巻き込まれてゆくシリアスなアジアン・ハードボイルド/アクションの傑作。花とゆめコミックスから単行本第3巻が刊行されてしばらくした頃に、日本コロムビアより同作のイメージアルバムがリリースされています。三人のヴォーカリストを立てた歌もの中心のアルバムであり、コンポーザーは、「おもちゃのチャチャチャ」をはじめとする童謡、「パーマン」(1967~1969年)や「昆虫物語 みなしごハッチ」(1970~1971年)「ドラえもん」(1973年)の主題歌や劇伴などを作編曲を手がけた越部信義氏と、近田春夫&ハルヲフォン、四人囃子(1976~77年にかけてサポートで参加)のギタリストである小林克己氏のお二人。越部氏は日中戦争開戦前夜の人々のドラマを描いた舞台「上海バンスキング」(1979年~)の劇伴の作編曲を手がけられており、時代設定をほぼ同じくする「南京路に花吹雪」のイメージアルバムへの氏の起用はまさにドンピシャリだったのではないかと思います。
イメージ・アルバム
日本コロムビア (1995-02-21)
売り上げランキング: 1,416,224
日本コロムビア (1995-02-21)
売り上げランキング: 1,416,224
上野千佳子さん(同年に、大和和紀原作「アラミス'78」のイメージアルバムで矢野顕子作曲提供のヴォーカル曲を担当)がヴォーカルをとる"たそがれて上海" "ミステリーはいかが?" "上海ベイブルース"の三曲はいずれも越部氏の作編曲によるもので、ゆったりとスウィートなスウィングジャズ歌謡です。一方、小林氏の作編曲によるホンキートンクな"なんて悲しいシークレット"でヴォーカルをとるのは、現在ボイストレーナーとして活動されているKiKiさん(ちなみに本作の三年後に、高橋幸宏氏とスティーヴ・ジャンセンの共作シングル「Stay Close」にバックコーラスで参加されています)。同じく小林氏の作編曲による"漂流する街" "彷徨人(さまよいびと)" "ミッドナイトホテル" "Last SongはLove Song" の四曲でヴォーカルをとるのはMoJo氏。ハードエッジな演奏にビターなヴォーカルがマッチした"漂流する街"、軽快なニューウェイヴ・ロック調の"ミッドナイトホテル"がとくに印象的です。また、小林氏は自身の名を冠したリーダーバンドで演奏面のディレクションも担当しております。バックに参加したメンバーは四人囃子の岡井大二(drums)、カシオペア(初期)の鈴木徹(drums)、PRISMの渡辺建(bass)、福田真己(guitar)、冨田素弘(keyboard)といった面々であることも付け加えておきます。本アルバムはその後、1995年2月に《イメージ・トリップ・シリーズ》としてCD化され、2005年9月には《ANIMEX 1200》で5000枚限定で廉価盤CDで再発されましたが、ともに廃盤。むしろ、こちらの方が現在ではレコード以上にプレミアアイテム化しています。
--------------------------------
『南京路に花吹雪 イメージアルバム』
LP[CX-7104|1983.6|日本コロムビア]
CD[COCC-12350|1995.02.21|日本コロムビア《イメージ・トリップ・シリーズ》]
CD[COCC-72219|2005.09.21|日本コロムビア《ANIMEX1200シリーズ》 [139]]
01. プロローグ
02. たそがれて上海(歌:上野千佳子)
03. 蘇州夜曲
04. 漂流する街(歌:MoJo)
05. ミステリーはいかが?(歌:上野千佳子)
06. 彷徨人(さまよいびと)(歌:MoJo)
07. なんて悲しいシークレット(歌:KiKi)
08. 南京路に花吹雪
09. ミッドナイトホテル(歌:MoJo)
10. 上海ベイブルース(歌:上野千佳子)
11. Last SongはLove Song(歌:MoJo)
構成・作詩: 吉田健美
作編曲: 小林克己(③④⑥⑦⑧⑨⑪)、越部信義(①②⑤⑩)
演奏: 小林克己バンド(③④⑦⑧⑨⑪)、コロムビア・オーケストラ
《小林克己バンド》
岡井大二(drums)
鈴木徹(drums)
渡辺建(electric bass)
福田真己(electric guitar)
冨田素弘(keyboard)
Recorded at Columbia Studio in April & May 1983
--------------------------------