2016年7月5日火曜日

嘘から出た真実、複数ジャンルぶっこみ闇鍋ゲームのキュートなサントラ ― Jake Kaufman『Cat Girl Without Salad OST』(2016)




 昨年、待望の日本語版がリリースされた「シャンティ」シリーズの開発元であるWayForward Technologiesが2013年4月1日に突如「パズル/シューティング/RPG/アクション/ストラテジー/格闘/リズム/ホラー/ヴィジュアルノベル」ゲームという常軌を逸したふれこみでアナウンスした「Cat Girl Without Salad」。実際はエイプリルフールのために用意されたフェイクゲームだったわけですが(※)、三年後の今年、まさかの実体化。「Humble Bundle」のマンスリー配信プラン「Humble Monthly Bundle」の5月分に同梱されました。賞金稼ぎのケバコちゃんと相棒のイカが銀河に跋扈するお尋ね者をしょっぴいていくというストーリー。さすがに三年前に公開された一枚絵のような視覚的暴力っぷりはナリをひそめ、まっとうな横シューティングゲームのフォーマットをとっています……が、やたらと出てくるキャラのかけあい。パ〇ディウスよろしく雑多なデザインの敵キャラ。パズルボ〇ルやツ〇ンビーやイン〇ーダーで見たことあるような何か。ダンスダンスレ〇リューションよろしく出てくる→↑←↓→。RPGのコマンド選択ウインドウとダメージ表記など、オマージュと悪ふざけのオンパレード。全3ステージというサクっとしたヴォリュームの楽しい仕上がりです。




 そんな本作のサウンドトラック(全8曲)が6月5日付けで投げ銭ダウンロード配信開始。BGMを手がけたのは「シャンティ」シリーズや「魂斗羅デュアルスピリッツ」「ショベルナイト」のコンポーザー ジェイク・カウフマン (virt)。往年のゲームサウンドをオマージュしつつ、超アッパーかつキュートな、いい意味で節操がなくて楽しいエレクトロ/チップチューンを満載しています。各ステージBGMはいずれも7分近くあり、さながらCAVEシューティングとファイナルファンタジーシリーズへのオマージュをダブステップとチップチューンとエピックミュージックで攪拌したような、アイデアと展開を詰め込みすぎなステージ2 BGM"RPG Galaxy"は聴いていて思わず笑みとともにドーパミンもこぼれ出ます。あげく、ステージ2ボスBGM"Chefinoff"ではクワイアコーラスまでブチこむというサービスぶり。ジェイク氏も相当に楽しんで作ったんじゃあないかと。"Credits - Kebako's Lullaby"は、ロサンゼルスのシンガーソングライター Cara Salimandoをフィーチャーしたまさかのヴォーカルトラック。


A classic WayForward Technologies April Fools'joke is becoming an actual game
(from Polygon|2016.05.27)

全ジャンル詰め込みネタゲー『Cat Girl Without Salad』ゲーム化 !
(from GameSpark|2016.05.29)




※2013年9月にMark "Blaz" Soto氏が非公式イメージサウンドトラックをリリースしています。こちらもバラエティに富んだ内容。
https://blaz1222.bandcamp.com/album/cat-girl-without-salad-ost