2016年3月3日木曜日

DIY精神とポップセンスの胸躍る融合。スウェーデンのフォークトロニカ集団 ― WINTERGATAN『Wintergatan』(2013)


  スウェーデンのインストゥルメンタル・バンド ウィンターガタンのデビューアルバム。このバンドを紹介する前に、まず前身的バンドのDetektivbyrån(ディテクティヴビロン)について触れたいと思います。2005年から2010年にかけて活動を展開したDetektivbyrånは、グロッケンシュピールやアコーディオン、オルゴール、ドラムを主体としたトイポップ・トリオ。2006年~2007年にいくつかのシングル/EPと、2008年にアルバム『E18 Album』(シングル/EP収録曲の再録+α)、『Wermland』を発表(二枚とも、日本国内盤がP-VINEからリリースされております)。精力的なライヴ活動を展開し、スウェーデン本国の音楽賞へのノミネートもされるなど、これからの活動に期待がもたれていましたが、2009年2月にドラムスのヨン・ニルス・エマニュエル・エクストロームメンバーが脱退。残るマーティン・モリンとアンデルス・フランデルスでユニットとしての活動を続けるものの、翌年8月に活動停止がマーティンよりアナウンスされます。しかしマーティンは立ち止まることなく次なる作品の制作に取り組みはじめ、数年の雌伏を経て、2013年にWINTERGATANとして再出発を果たします。




 エレクトロ・ポップのシャープさやポストロックのダイナミズムも消化したことでさらにスケールアップしたサウンドは、まさにDetektivbyrånの正統進化ともいえるもの。バンド名よろしく、冬の時期に聴くとさらに真価を発揮する、澄んだ空気感とふんわりとした夢心地を兼ね備えた仕上がりです。琴線をつつくノスタルジックなサウンドの源泉にある煌びやかなポップセンスもさることながら、生活雑貨やタイプライターのタイプ音、映写機のシャッター音などを大々的にフィーチャーする姿勢からは、身近なものでも音楽は奏でられるという意気込みも伝わり、欲しい音がないなら自ら作ってしまうことも辞さないという旺盛なクリエイティヴィティもじつにまぶしいのであります。同年10月にはマカロニウエスタン meets サーフ・ロックなミクスチャーチューン"Tornado"をシングルリリース。また、12月にはテイチク/スマイルカンパニーより『Wintergatan』の日本国内盤がリリースされております。DVDが付属しているほか、前述の"Tornado"をボーナス収録したお得な内容。



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 バンドは2014年の後半よりライヴ活動が途絶えるのですが、その理由は、マーティンがオリジナル楽器の開発に着手し始めたため。制作の進捗状況はバンドのfacebookやYouTubeアカウントでこまめに報告されておりました。そして2015年12月、ついに完成。2016年3月1日付けでアップロードされた久しぶりの新曲で、その驚くべき全貌が明らかになりました。リールを回転させることで2000個のビー玉を次々に移動させ、ビブラフォンへ落下させることで音を奏で、同時にドラムのキックやベースのスラップの出音も可能というもの。日本では「ピタゴラ装置」でなじみの深い“ルーブ・ゴールドバーグ・マシン”のスタイルでつくりあげられたのが、このマルチ楽器「マーブル・マシン」なのです。





http://www.wintergatan.net
https://www.facebook.com/wintergatan
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