2012年12月25日火曜日

ECHOLYN『Echolyn』(2012)

EcholynEcholyn
(2012/06/26)
Echolyn

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 90年代初頭にデビューし、95年にはメジャーレーベルであるEPIC/SONYからアルバムをリリース、しかしレーベル側から満足なサポートが得られず、数年間の活動休止を挟みながらも00年に再びインディーズ・シーンに復帰、地道な活動を続けるアメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド エコーリンの7年ぶりとなる新作フルアルバム。91年のデビューアルバム以来となる、二度目のセルフタイトル作品。GENTLE GIANT由来のテクニカルなアンサンブルを、カラっとしたアメリカン・ロックのフレイバーで味付けした、押しと引きの巧みなアレンジと楽曲展開で知られる彼ら。フロントマンのブレット・カル(g.backvo)は、レコーディング・エンジニアとしての顔も持ち(The SynやPure Reason Revolutionのアルバムにも関わっております)、また近年では元IT BITESのフランシス・ダナリーのソロアルバムやツアーバンドの一員としても活動しております。

 さて、本作はLP2枚組の限定盤、CD2枚組の通常盤の2種類のリリースがされており、CD収録の楽曲も、前半4曲をDisc1に、後半4曲をDisc2に配するなど、アナログを意識したこだわりが伺えます。前作『The End Is Beautiful』は、トリッキーなアンサンブルを基調にしつつも、ロックのストレートな爽快感を重視したアルバムでしたが、今回はストリングスも要所で交えつつ、ゆるやかで牧歌的なニュアンスをかなり強めた印象。といっても日和ったというわけでなく、7年という歳月の熟成を重ねに重ねた、と言った方がふさわしいでしょう。それを象徴するのが、冒頭の16分半の大曲「Island」。変拍子とポリリズムをふんだんに盛り込んだインストパートで押しまくる前半、憂いを帯びたヴォーカルとコーラスワークが情感たっぷりな後半、共に素晴らしく、テクニカル・ロックとしてもシンフォニック・ロックとしても文句なしの完成度です。

 終盤の盛り上がりは感動的なスケールで迫ります。「Headright」「Locust To Bethlehem」と小粋な小品2曲を挟み、Disc1の最後を飾る「Some Memorial」へ。複雑でありながらそれと感じさせないアンサンブルの一体感もさることながら、ゆるやかな展開の中で見せる細やかなアレンジの数々は流石の一言。60~70年代ブリティッシュ・ロックのムードもたっぷりと薫ります。Disc2は、穏やかな日差しの中でウトウトとまどろむかのような趣の2曲「Past Gravity」「When Sunday Spills」が続き、ストリングス隊を全面的にフィーチャーした中で切々と歌い上げられるハートウォーミングなバラード「(Speaking In) Lampblack」へ。徐々に徐々に盛り上がりを見せる展開も含め、どこまでも浸りたくなる珠玉の大曲です。ラストは緩急の妙が味わえる「The Cardinal And I」で軽やかに〆。技巧を散りばめつつもストイックになりすぎないバランス、余裕と貫禄のスタイルを存分に堪能できる1枚。この味わい深さは出そうと思ってもなかなか出せないですよ。これぞ円熟、至福の傑作。



ECHOLYN:公式
ECHOLYN「As The World」(1995)