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2017/04/22

世代も時空も越えるネオ・エレクトロ歌謡ユニット、初のフルアルバム ― SATELLITE YOUNG『Satellite Young』(2017)

SATELLITE YOUNG
SATELLITE YOUNG
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SATELLITE YOUNG
SATELLITE YOUNG (2017-04-05)
売り上げランキング: 41,304



地球暦一九八〇年代 かつて地球には
古今東西あらゆるサウンドをのみこんでしまう
奇跡的な音楽が存在した それがアイドル歌謡である
絶滅したかに思われた アイドル歌謡の遺伝子は
三十年代に一度 突如出現するという伝説の衛星
「サテライトヤング」で独自の進化を遂げていた――


"サテライトヤングのテーマ"


 エレクトロ/シンセウェイヴ歌謡ユニット サテライトヤングが4月5日に1stフルアルバム『SATELLITE YOUNG』をリリースしました。2014年に結成されたサテライトヤングは、80年代アイドル歌謡からの影響を強く反映させたエレクトロ・ポップを展開する日本のユニット。フォトグラファーやラジオパーソナリティなどでも活動する草野絵美さんと、ヤン・ハマーやTANGERINE DREAMから強い影響を受け、シンセミュージックをこよなく愛するコンポーザーのベルメゾン関根氏、メディア・テクノロジスト担当のサイボーグ、テレ・ヒデオ氏からなる三人組。曲調は徹頭徹尾80年代リスペクトで、SNS時代の現代を反映した詞を歌い上げるというところミソです。海外へのアプローチも精力的に展開しており、アメリカ・コネティカットのシンセウェイヴ・レーベル「Future City Records」からも楽曲を配信しているほか、今年3月に開催された大型フェス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」への参加も果たしています。





 アルバムは全12曲。Twitter創業者、ジャック・ドーシーをもじった1stシングル"ジャック同士"。松田聖子リスペクトな2ndシングル"フェイクメモリー"。ギークなボーイフレンドとの交際(イノベーション)を描いた3rdシングル"Geeky Boyfreind"。タイトなビートと煌びやかなアレンジがアダルトな雰囲気を演出する4thシングル"Break! Break! Tic! Tac!"。平野啓一郎の『ドーン』で提唱された「分人主義」からインスパイアを得た、ウルトラキャッチーな5thシングル"Dividual Heart"。makebabi.es制作による北欧発の自主アニメ「せんぱいクラブ」の第三話パート2に書き下ろされたエンディングテーマ"卒業しないで、先輩!"。そして、スウェーデンのシンセウェイヴシーンの雄 Mitch Murderとのメロディアスなコラボレーション"Sniper Rouge (feat. Mitch Murder)"。以上7曲が2014年から2016年にかけて配信シングルでリリースされたものです。イントロダクションの"サテライトヤングのテーマ"、"AI Threnody" "Sanfransokyo girl" "Melancholy 2016"はアルバムで初お目見えの楽曲。また、"Nonai Muchoo (feat. brinq) [Satellite Young Version]"は、シンセポップ・プロジェクト「brinq」のユウ フジシマ氏との共同作編曲による一曲。昨年にリリースされたデビューアルバム『Magical brinq Tour』収録の"Nonai Muchoo feat.Emi (Satellite Young)"とはアレンジが異なります。世代も時空も越えるユニットの魅力を再確認できる一枚。



ディープラーニングを取り入れたMV




「平成生まれが作る「憧れの80年代」 無名のユニットがアメリカの音楽フェスに呼ばれるまで 」
(from Buzzfeed|2017.03.12)

http://satelliteyoung.net/
https://www.facebook.com/Satellite-Young-1453697674866034/
https://soundcloud.com/satellite-young
http://satelliteyoung.bandcamp.com/



 なお、ベルメゾン関根氏は2016年2月12日付でソロデビューEP『Bellemaison EP』をリリース。同年9月29日には、EPの冒頭曲"Wind of Electron"を使用した、すこしふしぎなMV「Interplanetary Bunny Transport System」がアップされています。「せんぱいクラブ」製作チームのエリック・ブラッドフォード氏と、日本のデザイナー Hamano mihoさんとのコラボレーション作品でもあります。



2015/12/16

時空を越えるエレクトロ歌謡―― キミは「サテライトヤング」を知っているか?

 2000年代以降に興ったシンセサイザー・ミュージックの一ジャンルであり、リバイバルのスタイルでもある「Synthwave/Retrowave」は、あまねく'80年代ポップカルチャーをリスペクトし、回顧的であり拡張的でもあるサウンドとして現代に再提示したものです。海外ではレーベルがいくつも立ち上がり、数多くのアーティストが楽曲やアルバムを日々リリースしており、その活況はもちろん日本にも波及しております。

 フォトグラファーやラジオパーソナリティなどでもアクティヴな活動を続ける草野絵美さんと、シンセサイザー・ミュージックをこよなく愛し、特にヤン・ハマーやTANGERINE DREAMから強い影響を受けたコンポーザーのベルメゾン関根氏によって2014年に結成されたサテライトヤングは、80年代アイドル歌謡からの影響を強く反映させたエレクトロ・ポップを展開する日本のユニット。現在はメディア・テクノロジスト担当メンバーとしてサイボーグのテレ・ヒデオなるメンバーが加入し、三人組として活動中。アメリカ・コネティカットのシンセウェイヴ系レーベル「Future City Records」からも楽曲を配信しており、海外へのアプローチも展開しています。



 曲調は80年代ですが、歌詞はSNS時代の今を反映したものであるというのもミソです。Twitterの創業者であるジャック・ドーシーをもじった1stシングル"ジャック同士"、松田聖子リスペクトな2ndシングル"フェイクメモリー"、ギークなボーイフレンドとの交際(イノベーション)を描いた3rdシングル"Geeky Boyfreind"、タイトなビートと煌びやかなアレンジがアダルトな雰囲気を演出する4thシングル"Break! Break! Tic! Tac!"、平野啓一郎の『ドーン』で提唱された「分人主義」からインスパイアを得た5thシングル"Dividual Heart"と、これまでに五曲をリリースしてきています。また、先ごろ、北欧発の自主制作アニメ「せんぱいクラブ」の最新エピソード(第三話パート2)に書き下ろしのエンディングテーマを提供しています。このコラボには心底驚かされましたが、ドンピシャリの嬉しいコラボレーションがキマっております。








 また、ベルメゾン関根氏はソロEPを今後リリース予定とのこと。soundcloudではいくつかの楽曲がアップされていますし、すでにFuture City Recordsのコンピレーションに"The Brand New Age"で参加しております。 https://soundcloud.com/bellemaison_s



http://satelliteyoung.net/
https://www.facebook.com/Satellite-Young-1453697674866034/
https://soundcloud.com/satellite-young
http://satelliteyoung.bandcamp.com/

○「SFCから生まれたエレクトロ歌謡ユニット、サテライトヤングにインタビュー」 - SFC CLIP
○「80年代をギークにするサテライトヤング」- All About

2014/04/12

山下尚輝『いつもともだちさ』 (1994/2011)


いつもともだちさ(NHKプチプチアニメ ロボットパルタ) - EP 山下尚輝
https://itunes.apple.com/jp/album/itsumotomodachisa-nhkpuchipuchianime/id413213914

 NHKで20年近くに渡って放送されているストップモーションアニメ「ロボット・パルタ」。本編をよく見ていた頃は全く意識してませんでしたが、劇中BGMはモロにニューウェイヴだし、主題歌もとてもいい感じのテクノ歌謡です。iTunes Storeには、主題歌"いつもともだちさ"と、そのインストゥルメンタル・ヴァージョン、そして小粋なニューウェイヴテクノチューン"パルタバンド"の計3曲を収録したEPが2011年の1月よりダウンロード販売されています。ちなみに、"いつもともだちさ"を歌われているのは、初代ランスやアンジェリークのイメージソング、まもって!守護月天のOVA版のEDテーマなどを手がけられている伊澤美穂さん。また、劇伴を手がけられた山下尚輝氏は、TVやCM、舞台作品などの劇伴を作編曲を多数手がけられているコンポーザー/ギタリストで、ムーンライダーズのトリビュート・アルバムにも参加歴のある方。ヤマシタナオキ名義で2012年にソロアルバムを発表されたほか、screen's(スクリーンズ)というロック/ポップス・バンドのヴォーカリスト兼ギタリストとしても活動されております。





 ロボット・パルタの生みの親である保田克史氏が同作より前に制作され、かの「イカ天」の後番組である「えびぞり巨匠天国」(1991)で発表されたストップモーションアニメ「PULSAR」。パルタに似た造型のキャラクターも登場し、クールでユーモラスな映像もさることながら、BGMがまた淡々としたカッコ良さがあります。




●NHKアニメワールド:プチプチ・アニメ【ロボット・パルタ】
●BOWDA'S(保田克史)
●ヤマシタナオキ - オフィシャルサイト
●伊澤美穂 - Anison Generation~アニソンデータベース

2013/09/16

Triangle March『ヴィマニカ・ヴィマニカ』(2013)

ヴィマニカ・ヴィマニカヴィマニカ・ヴィマニカ
(2013/08/21)
Triangle March

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また何やら個性的なバンドが出てきたもんだなあと、思わずアルバムを手にとって聴いてみました。二人の作編曲者と一人のヴォーカリストのからなるプログレ・ポップ・アート・ユニット トライアングル・マーチの1stアルバム。インド神話に登場する神の乗り物"ヴィマーナ"の免許取得を目指す少女アリスを主人公にしたオリジナルのSFファンタジーなストーリーを、打ち込み中心のプログレ風テクノ・ポップな楽曲にのせた作品。メロトロンの音色や変拍子も存分にフィーチャーしつつ、親しみやすいメロディで小気味良く展開してゆきます。ロート♪ロート♪ロートー♪でおなじみのロート製薬のCMに酷似したメロディでモーゼ♪モーゼ♪モーゼー♪と歌い上げる"モーゼ!"がしばらく耳から離れなくなった次第。怪獣と宇宙人の悲劇を煌びやかなポップセンスに包み込んで歌う"カイジューと王子様"や、変拍子でつんのめった曲調で脳内に反響する神のお告げを表現した"オラクル"。ストーリーの山場にあたる"ヴィマーナ・アタック"なども良い感じであります。インド神話!オーパーツ!超古代文明!と言われると思わず身を引いてしまいますが、フタを開けてみれば親しみやすさに富んだアルバムであります。そして、妙な中毒性も…。公式サイトに、コンセプトなどアルバム周りの詳細な解説が載っているので、気になる向きはチェックしてみてくださいな。

http://trianglemarch.net/blt/

2013/06/29

FAIRCHILD『YOURS』(1988)

YOURSYOURS
(1994/05/20)
FAIRCHILD

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 現在はバラエティタレントとして活動しているYOUがかつて在籍していたテクノ・ポップ/J-POPユニット FAIRCHILD。ユニットの前身となったのは、戸田誠司氏率いるテクノ・ポップ・バンド SHI-SHONEN。1985年に本名の江原由希子名義でアイドル歌手としてデビューしたYOUさんは、ラジカル・ガジベリビンバ・システム(竹中直人氏やいとうせいこう氏らも在籍していた演劇ユニット)への客演などでも活動を行っていたのですが、その時の彼女のパフォーマンスを見た戸田氏がSHI-SHONENへ誘ったんだとか。さらに、ギターの川口浩和氏を迎えて、88年に発表したこの『Yours』でフェアチャイルドとしてデビューを果たします。

 SHI-SHONENで展開していたテクノ・ポップのテイストも若干残しつつ、そこにポピュラーなロック/ポップスのフィーリングを大胆に織り交ぜることでよりキャッチーな方向に舵を取ったサウンドは1stの時点で見事に成功しており、随所でフィーチャーされる川口氏のハードなエッジの効いたギタープレイも、楽曲にロック的なアクセントを程よく与えています。また、本作に参加されているミュージシャンには、REAL FISH(SHI-SHONENの活動と平行して矢口氏がリーダーを務めていたバンド)の矢口博康氏(sax)/美尾洋乃さん(backing vo)、カーネーションの矢部浩志氏(dr)、BOXの小室和之氏(backing vo)、作編曲家の門倉聡氏(kbd)の名前も見られます。

 YOUさんのヴォーカルとキャラクターはこの頃はまだ控えめで初々しさも残りますが、ちょっとマセた感じの歌い方が楽曲の魅力をグッと高めております(個人的には、この頃のYOUさんの声が非常に好きです)。そして何より、聴き手のツボを押さえた戸田氏の作編曲の手腕の見事さ、これに尽きます。楽しげなコーラスにも彩られた元気なポップ・チューン「おまかせピタゴラス」(当時の『さんまのまんま』のエンディング・タイアップ曲であり、シングル・カットされました)。ドラムンベースの走りのようなバッキングが疾走感たっぷりな「双子のバイオリン」。凝ったバッキングトラックも聴きものな「悪戯の森のレイン」。壮大な詞に、どこまでも透き通るような雰囲気も素晴らしい名バラード「アウラ」(作詞は、かのヒカシューの巻上公一氏)。初期の代表曲であり、"ヤッター♪"の声が差し挟まれるファニーなアレンジも面白い「嘆きの健康優良児」(2ndシングル『Bye Bye キッチンガール』のカップリング曲)等、当時のJ-POPシーンともうまく折り合いをつけた、80's歌謡エレポップの佳曲揃い。また、1曲だけ戸田氏がヴォーカルをとった「NEUTROPIC」という曲があります。この曲ではSHI-SHONEN時代を彷彿とさせる硬質なテクノ・ポップを展開されているのも、聴き逃せないポイントでしょう。本作発表当時は"アイドルに飽きたコ、寄っといで"というキャッチコピーがついていたそうですが、ユニットの方向性だけでなく、魅力の詰まったアルバムの内容も見事に形容した凄くいいコピーだなあと思います。本作と、翌年に発表された2ndアルバム『FLOWER BURGER』は、是非ともセットで聴いていただきたいところです。




◆There She Goes Again~戸田誠司さん
 - All About(テクノポップ/アーティストインタヴュー)
http://allabout.co.jp/gm/gc/205718/4/

●FAIRCHILD:Wikipedia
●戸田誠司:Wikipedia
●YOU:Wikipedia

2013/06/06

鈴木さえ子『緑の法則』(1985)

緑の法則(紙ジャケット仕様)緑の法則(紙ジャケット仕様)
(2013/04/24)
鈴木さえ子

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 誰もが聴いたことがあるであろう、日清チキンラーメンのCMの「すぐおいし~、すごくおいし~♪」のジングルを作ったお方であり、ムーンライダーズの鈴木慶一氏の元パートナーであり、コンポーザー/ドラマーである鈴木さえ子さんが1985年に発表した3rdソロアルバム。鈴木慶一氏もプロデュースや演奏で参加しております。また、演奏陣には、同じくムーンライダーズの白井良明氏(g)や、REAL FISHの矢口博康氏(sax.clarinet)、渡辺等氏(b.mandolin)の名前もクレジットされています。自転車のベルや口笛、フィンガースナップ等の非楽器類の音のコラージュで作り上げられた「夏休みが待ち遠しい~Mon Biclo」を皮切りにして、こそばゆくて小気味良くて可愛らしくて、ギミックもふんだんに凝らされたニューウェイヴ&テクノ・ポップ・サウンドが色彩も鮮やかに広がります。「The Green-Eyed Monster」「Good Morning」などのヴォーカルナンバーのシャキっとした躍動感も素晴らしく、曲調と相まってワクワクとした気持ちでいっぱいになります。その一方で、「イワンのバカ」「BИЙ」といった実験的な薫りを感じさせる楽曲もあり、アルバムの印象をさらに独特なものへと押し上げています。インストナンバーからヴォーカルナンバーまで、さながら手入れの行き届いた箱庭のように仕上げられており、聴くたびに新しい発見があることでしょう。鈴木慶一さんも関わられている『MOTHER』シリーズの楽曲が好きな方にもオススメです。良い意味で力の抜けた、のほほんとノーテンキなムードには相通ずるものがあると思うんですよね。

 つい先ごろ(2013年4月)、SHM-CD/紙ジャケット仕様でリマスター盤が再発されました。ボーナス・トラックも1曲("Come Wonder With Me"の別ミックス)収録されています。というわけで、この機会に是非。


●鈴木さえ子 - Wikipedia

2010/06/23

P-MODEL 全オリジナルアルバムレビュー 【後編】

御大:平沢進氏による、過去のP-MODEL作品からの楽曲をリメイクしたアルバム『突弦変異』がリリースされるということで、旧ブログに3年前に残したP-MODELのオリジナルアルバム関係のエントリをリサイクル、または書き足してまとめてみました。後編となる今回は、85年から99年のアルバムを。

【前編】
  http://camelletgo.blogspot.com/2010/06/P-MODEL-discography01.html


『KARKADOR』(1985)
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P-MODEL
Sony Music Direct (2007-07-25)
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初期からバンドに携わってきた田井中貞利氏が脱退し、後任に荒木康弘氏(ALLERGY)が加入、さらに横川理彦氏(Ba.Violin.Vo/ AFTER DINNER/4-D)、を迎えての6thアルバム。オープニングとエンディングに配された「KARKADOR」「KARCADOR」での民族色も感じさせるフリーキーなヴァイオリンプレイが象徴するように、横川氏の加入によりバンドに奇妙なエッセンスが加わっております。「ダンス素凡夫」「Hourglass」におけるトロピカルな躍動感や、「OAR」のキャッチーな甘みなど、氏が関わった楽曲には明らかにこれまでのP-MODELになかったもので、それらの凝った味付けもひっくるめて予測不可能な動きを見せるテンションが見もの。インダストリアルなシーケンスを絡めて展開にメリハリを効かせた「1778-1985」、悠々とハイキングするかのような上昇的な曲調に象徴的な詞が連なり、小気味の良いドラムと共に絶品の気持ち良さを誇る「Cyborg」、ハッピーに盛り上がったり不気味に盛り下がったりとメロディにひねくれた趣向がクセになるポップナンバー「LEAK」と、平沢御大も負けじとインパクトのある楽曲を放っております。アルバムはこれといって捨て曲らしい捨て曲もなく、中期P-MODELでは『Another Game』と共にオススメしたい一枚。




『One Pattern』(1986)
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P-MODEL
Sony Music Direct (2007-07-25)
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三浦氏、横川氏の両氏が脱退、高橋芳一氏(Systems)、中野照夫氏(Ba.Vo)を後任に迎えての7thアルバム。「Oh!Mama!」、中野氏作曲の「LOCORICE LEAF」で掴みはバッチリに始まるものの、楽曲の印象が団子状態になることが多く、文字通りワンパターンな構成になってて正直全曲聴き通すにはツライものがあるかも。P-MODELと平沢ソロを足して2で割ったような作風ですが、決め手に欠けるせいかバンドのネタ切れ/行き詰まりを感じざるを得ないです。とはいえ中盤の楽曲はなかなかで、歌唱が淡々とした演奏の中で映える「Zebra」(後の「夢の島思念公園」や「地球ネコ」のベースとなった曲でありましょう)、エキセントリックとシニカルの狭間を行く「おやすみDog」、スカっとした華やかさのある「Another Day」でなんとか一矢報いてます。この後、田井中貞利氏が復帰、さらにキャラが立ちまくりの"キーボード妖怪"ことことぶき光氏が加わり、『MONSTER』というタイトルでアルバムを制作する予定だったそうですがオクラ入りになり、バンドは88年12月を以って、"凍結"と称して2年と数ヶ月の間、しばらく活動を休止します。




ちなみにそのオクラ入りとなったアルバム『MONSTER』の楽曲は、凍結前のラインナップ(平沢/中野/田井中/ことぶき)による演奏を収めたライヴビデオ『三界の人体地図』で聴く事ができます。「MONSTER A GO GO」は秀逸な1曲。



『P-MODEL』(1992) / 『big body』(1993)
ゴールデン☆ベスト P-MODEL「P-MODEL」&「big body」
P-MODEL
ユニバーサルJ (2004-09-08)
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P-MODELとして活動凍結中の間、平沢氏は3枚のソロアルバム(『時空の水』『サイエンスの幽霊』『Virtual Rabbit』)を発表するなど精力的に活動しており、決して停滞していたわけではありませんでした。そして満を持してのP-MODEL"解凍"。オリジナルメンバーである秋山勝彦氏が復帰、ドラムスには藤井ヤスチカ氏を迎え、メンバー全員が近未来SFに登場するような衣装を纏い、新生P-MODELとして再び華麗なるカムバックを果たします。バンドセルフタイトルを冠した『P-MODEL』そしてその1年後に発表された『big body』は、内実共にわかりやすい"テクノ・ポップ"を体現しており、ピコピコ&ポップなテクノ・ポップ・チューンが次から次へと飛んでくる様は圧巻。めくるめく平沢ワールドを展開する「Speed Tube」、さながら導師のごときたたずまいすら感じさせる平沢氏のヴォーカル、思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディの開放感が実に気持ちがいい「Wire Self」「Homo Gestalt」など、高揚感と疾走感に溢れた楽曲のオンパレードでありますが、ことぶき光氏が関わった楽曲は一際異彩を放っており、PVも強烈なインパクトを誇る「2D OR NOT 2D」や、「幼形成熟BOX」では眩いまでのピコピコサウンドが文字通り弾け跳んでおり、極めて中毒性が高い。一方で、秋山氏のいくつかの提供曲は対照的に静的なものですが、不思議な味のあるアクセントとなっており、秋山氏自らヴォーカルもとっている「BURNING BRAIN」はその最たる楽曲といえましょう。ちなみに、『P-MODEL』ラストに収録された「Psychoid」で楽曲が一旦終了してから数分後に流れる疾走曲は「No Room」といい、現在の公式サイトのタイトルにもなっています。初期P-MODELの作風を解釈し直したような楽曲で、「美術館で会った人だろ」のフレーズの登場にニヤリとさせられることウケアイ。『P-MODEL』『big body』の2枚は地続きの関係にあるので、是非一度に2枚聴いてほしいところ。この2枚を2in1でカップリングした『ゴールデン☆ベスト』はお値段手ごろながら今でも容易に入手することが可能です。第二の金字塔的作品。




『舟』(1995)
舟  (+3)
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P-MODEL
日本コロムビア (2011-09-21)
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またもやメンバー総入れ替え。福間創(System 1)、元DADA~4-Dの"和尚"小西健司(System 2)、GRASS VALLEYの上領亘(Algorithm)の3名が加入。小西氏は作詞のほか、アルバムの楽曲の半分の作曲を担当しております。ポップな方向性ではありますが、ピコピコギラギラしていた解凍後の前二作とは対照的に静的なイメージのテクノ/アンビエント色が増加、パレードのように楽しげなムードに満ちた「Welcome」や、壮大なイメージを喚起させる「3/4 (March 4th)」「Tide」など、随所に漂うエスニックでオリエンタルなムードは平沢氏のソロからの流れを強く感じさせます。「夢見る力に」は小西氏のポップセンスが光る佳曲。また、心地良い音の波にたゆたうアンビエント/ニューエイジな「Mirror Game」「HOME」など、耳触りの良い曲も。楽曲はどれもそつなくまとまっているのですが、方向性がいまひとつパッとしないので、アルバムとしては微妙な立ち位置にある作品です。




『電子悲劇/~ENOLA』(1997)
電子悲劇/~ENOLA (+6)
電子悲劇/~ENOLA (+6)
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P-MODEL
日本コロムビア (2011-09-21)
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上領氏が脱退し、平沢、小西、福間の3名によって制作された97年作品。"電子舟P-MODEL号"をコンセプトとしたストーリーに基づいた作品であり、『P-MODEL』『big body』の作風をさらにシリアスに寄せたような内容で、各人がそれぞれ3~4曲ずつ提供しております。前作発表後にリリースされた3枚のマキシシングル(『Rocket Shoot』『ASHURA CLOCK』『LAYER-GREEN』)の楽曲も収録。いきなり疾走感とダイナミックなコーラスがキマる「ENOLA」に象徴されるように、どの曲も一度聴いたら耳から離れなくなるほどに落としどころが明確で、語りどころは非常に多いです。福間氏がヴォーカルを披露し、ミステリアスな展開から平沢氏のヴォーカルを伴ったサビで一気に開けたときの爽快感たるや並々ならぬものがある「Bogy」。小西&平沢のデュエット(?)が聴ける胡散臭いエスニック・エレポップ「ENN」や、ガムラン調のイントロをフィーチャーした「Black in White」など、異国テイストも健在。荘厳な平沢ヴォーカルを存分に聴かせる「Rocket Shoot II」、のたくったバッキングシーケンスがデロデロとにぶい輝きを放ち、ギターも唸りを上げる疾走曲「ASHURA CLOCK (Discommunicator)」、平沢氏のソロからの作風を見事に昇華した感のある「LAYER-GREEN(ver.1.05 Gold)」と、シングル曲は若干のアレンジが加わっているものもありますがどれも強力で、キャラが立っております。ラストのインスト「A Strange Fruit」(小西氏作曲)だけ思いっきり他の曲と毛色が違う爽やかで可愛らしい曲で、"これもP-MODEL!?"と意表を突かれるのですが、ご愛嬌。とはいえ、三者の個性が鮮やかにバランスよく混在した、90年代後期P-MODEL随一の充実作なのは間違いありません。



『音楽産業廃棄物~P-MODEL OR DIE』(1999)
音楽産業廃棄物 〜P-MODEL OR DIE
P-MODEL
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P-MODEL活動20周年記念プロジェクト「音楽産業廃棄物P-MODEL OR DIE」の一環でリリースされたアルバム。MP3配信のことを考え、楽曲は3MB~5MBの容量で収めるというコンパクトな作りで仕上げられ、「P-MODELの回収・再生」をテーマに掲げた作品。80年代P-MODELのニオイを感じさせつつ、ソロアルバムや解凍後の流れも汲んだ万遍のないサウンドはキャッチーで心地が良く、『Perspective』の「Heaven」の再解釈的ナンバー(?)「Heaven 2000」や、「論理空軍」「DUSToidよ歩行は快適か?」といったインパクトのある楽曲や、P-MODELにしては珍しい(?)泣きのメロディを織り込んだ「Mind Scape」もあるのですが、どうも縮小再生産的なイメージがつきまとってしまいます。アレンジもどこか画一的なので、微妙な企画アルバムという印象。音楽配信というコンセプトを考えると本作は意義深いと思いますが、音楽的には本作は節目としては今ひとつ締まらなかったのでは?本作発表後、P-MODELは「培養期」(つまり活動休止)に入ります。




【参考】
P-MODEL MEMBERS HISTORY
●P-MODEL:Wikipedia
●NO ROOM

2010/06/22

P-MODEL 全オリジナルアルバムレビュー 【前編】

御大:平沢進氏による、過去のP-MODEL作品からの楽曲をリメイクしたアルバム『突弦変異』が23日にリリースされるということで、旧ブログに3年前に残したP-MODELのオリジナルアルバム関係のエントリをリサイクル、または書き足してまとめてみました。前編となる今回は79年から84年のアルバムまで。



『In A Model Room』(1979)
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79年の記念すべきデビュー作。前身であるヘヴィ・プログレ・バンド:MANDRAKEのメンバー全員が、そのまま鞍替えする形でP-MODELに参加しています。KING CRIMSONとBLACK SABBATHを足し合わせたようなヘヴィなプログレを演っていたバンドとは思えないほどの華麗なる転身。基本はチープなピッコピコシンセが乱れ飛び、ナンセンスな言葉遊びやアイロニーを散りばめたパンキッシュなスタイルですが、アヴァンギャルドに片足突っ込んだような姿勢も時折見られるせいか、テクノ・ポップという言葉で片付けていいのかチト困る場面もあるのはやっぱり前身が前身だけにというところでしょうかね。「美術館で会った人だろ」「ヘルス・エンジェル」「サンシャイン・シティー」などの倒錯しつつも勢いで押し切るテクノパンクチューンや、淡々としたシーケンスにクセになるコーラスを交えた「子供たちどうも」「ホワイトシガレット」といった楽曲の中、異色なカラーを持っているのが、マンドレイク時代の楽曲のリメイクである「偉大なる頭脳」。"アタマの中のアタマにアタマの中のアタマが" "想いの前の想いに想いの前のよせあつめ"といった歌詞や歌い回しもさることながら、複雑にねじくれるギターワークやリズムが混乱を誘う佳曲。わずか2分で妙なインパクトを与えてくれます。プロデュースは佐久間正英氏、国内テクノ・ポップ/ニューウェーヴ・パンクの金字塔的1枚。




『ランドセル(LANDSALE)』(1980)
ランドセル(紙ジャケット仕様)
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「可能な限り大きな音でお聴きください」というブックレットの一文も印象的な2ndアルバム。ストリングスとピアノによるしっとりした1曲目「オハヨウ」にいきなり意表を突かれますが、それ以外はおおむね前作の流れを汲む作品。音質も向上したせいか、音がより立体的になりエキセントリックさやチープさは減少、前作と比較するとおおむねノーマルな路線のニューウェーヴ・ポップ/パンクに仕上がっています。しかし"ランドセル"と"売国"をかけたアルバムタイトルにも見られるように、相変わらず毒と皮肉と電波をしたたかに吐き散らしており、それは世間のアレコレだけでなく自バンドのファンに対しても及んでおります。シニカルでたっぷりコーティングしてある分、このスタンスはある意味厄介(笑)また、本作にもマンドレイク時代の楽曲が収められており、11曲目の「異邦人」がそれ。シンプルな中にねっとり異質な雰囲気を醸しています。



『Potpourri』(1981)
ポプリ
ポプリ
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P-MODEL
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べースの秋山勝彦氏が脱退し、平沢氏がベースも兼任する形でメンバー3人で制作された3rdアルバム。ギターの軋みやリズム隊の手数が増え、あっちこっちに跳ね回るアンサンブル、エコー、テープコラージュ、SEが入り混じった混沌とした趣向、トーンを落とした曲調、など、奇抜で強烈な路線へ急転換しています。半ば悪意としか思えない猟奇的ギミック、"躁"状態とでいうようなトびっぷりは聴いてて薄気味が悪いことこの上ない。シャウトにオルガンがのたうちまわる「ブループリント」、アンサンブルと一緒になってヴォーカルも自暴自棄となる「Different≠Anohter」、ヨーデルコーラスにテープコラージュが花盛りという「Another Smell」など、中盤はイクとこまでイってんじゃないかと思うほどキレており、徐々に本性をむき出していくかのよう。シンプルにすっ飛ばしていた1st、2ndと聴き比べると愕然とするギャップですが、あれこれ実験要素を放り込んでいるおかげで初期3作中では最もカオス。



『Perspective』(1982)
PERSPECTIVE (SHMCD)
P-MODEL
徳間ジャパンコミュニケーションズ (2015-07-15)
売り上げランキング: 392,039


秋山氏の後任ベーシストとして、平沢氏が当時講師を務めていたシンセサイザー教室の教え子だったという菊池達也氏が加入した、82年発表の4thアルバム。アヴァンギャルドな流れの中にありながら前3作の名残は全くと言っていいほど残っておらず、本作において展開される空間はまるで突然変異でポッと出来上がってしまったというか、そんなミステリアスなニュアンス。階段での残響を利用した奥行きと音圧のあるマシーナリーなドラムサウンド、そこにデロデロとうねりの入ったシーケンスを奏でるキーボード&ベースが絡みつき、平沢氏は抽象的な歌詞を切羽詰まったように歌い上げたり、刷り込むように囁いたりと、アンサンブルは重さの中にとことん醒めた不気味さを孕んでいます。シンプルなようでいて不安や切迫としたものをひしひしと感じる淡々としたメロディには、乾いた悪意が隠し味的に混じり込んでいるような印象もあり、「HEAVEN」「Solid Air」「のこりギリギリ」の3曲は特にそれが顕著に表れているのではないかと。ついてこれるヤツだけついてこいというミーハーお断りの突き放したスタンスが前作以上に極まった感があり、もはや孤高の境地。ちなみに本作は2007年にリマスターで再発されたのですが、そこにはボーナストラックとして『Perspective』の別テイクを収めたカセット『Perspective II』(これもオリジナルは82年リリース)の音源(全11トラック)が全て収録されています。



『Another Game』(1984)
Another Game(オリジナル帯復刻仕様)
P-MODEL
SS RECORDINGS (2013-09-10)
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田中靖美氏が脱退し、後任キーボーディストとして三浦俊一氏が加入した84年の5thアルバム。「Atom-Siberia」における歌詞の一部(奇形のエリア、不具の辻褄)がレコ倫に引っかかり発売が延期され、平沢氏が精神的にかなり参っていた時期の作品ということで、全体的に雰囲気が病んでます。やけに生々しく際立った底辺のベースサウンド、ダウナーな音作りのシンセを主体にして妙にサウンドがフワッと浮ついているから気味の悪さもたっぷり。幾分か自己セラピーのような曲もあります。「意識を集中して 世界と彼に関するこの礼儀正しいループを貴方の脳活動の中から探しだし、いついかなる場合にもそれを思い出せるようあなた自身のキーワードをつくってください」と、いきなり聴き手にマインドコントロールをかけてくるモノローグ「ANOTHER GAME」、ゾルっとしたシンセに躍動的なドラムの対比が妙味な「Atom-Siberia」、ひたすらフルヘッヘッヘで通し、異常なほど切羽詰った感を剥き出しにしていくヴォーカルが歌い手にも聴き手に緊張感を強いる「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」、シンセのフレーズにややクラフトワークからの影響が伺える「Floor」、残響するドラム、光明が差すかのようなシンセ、発信音(α波を誘発させる意図があるそうな)で心地よさを演出する「Awakening Sleep」、シド・バレット在籍時のPINK FLOYDナンバー「Bike」のカヴァーも不気味な色合いを発しながらもアルバムの一部として溶け込んでいます。どの楽曲も聴いてるうちに「もうこの場にはいたくない!」とでもいうような逃避感覚に襲われる問題作でありながら、ある種の傑作。自分は本作が彼らのディスコグラフィの中で一二を争うほどスキです。




『SCUBA』(1984/1989)
SCUBA P-MODEL
SCUBA P-MODEL
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P-MODEL
キャプテンレコード
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番外編的1枚。薄暗く躁鬱的な浮遊感に溢れた『Another Game』の同年に発表。当初はカセットブックでのリリースでしたが、89年にキャプテンレコードからCD版(それに際して若干の変更が加えられたとのこと)がリリースされております。バンド体制で制作されておらず (バンドメンバーでは三浦俊一氏しか参加しておりません)、サウンドよりもヴォーカルを押し出しているため、P-MODELというより「プレ平沢ソロアルバム」という趣の仕上がり。本作の「Frozen Beach」「Fish Song」の2曲は平沢氏のソロアルバムにも収録されています。タイトルやアレンジ、さざ波の音色で始まりそして終わるアルバムの構成など、至る所で意識的に海を連想させられるのですが、中でも先の2曲は音数の少ないシンプルなアレンジで雄大な海洋のイメージを抱かせてくれる良曲。曲調に反してシニカルな毒たっぷりという平沢流ポップセンスの光る「BOAT」「七節男」や、ややオリエンタルな味付けを施してユルユルな「オハヨウII」(『LANDSALE』収録「オハヨウ」の続編)など、番外編とは思えないほど面白い成り立ち。95年には楽曲に全面リ・アレンジを加え、さらにブックレットが改訂された(平沢氏ががアルバム制作中に見た夢の記録がそこには綴られております)『SCUBA Recycle』がリリースされています。


【後編】⇒ http://camelletgo.blogspot.com/2010/06/P-MODEL-discography02.html


【参考】
P-MODEL MEMBERS HISTORY
●P-MODEL:Wikipedia
●NO ROOM

2008/12/17

アーバンギャルド『少女は二度死ぬ』(2008)

少女は二度死ぬ少女は二度死ぬ
(2009/03/06)
アーバンギャルド

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 サブカルチャーテクノポップ&パンクバンド アーバンギャルドの1stフルアルバム。童貞、処女、射精、妊娠、思春期などを織り込んだコンセプトに基づく詞世界、濃いキャラクター性、渋谷系ポップスや80'sテクノポップ、特にナゴムレコード系の流れにある音楽性、その他オマージュが乱れ飛び、とりとめなく混ざり合うことで生まれる畸形じみたエネルギーをドバドバとぶちまけております。打ち込みフレンチポップス(ヴォーカルの浜崎容子嬢はシャンソンシンガーとしても活動しているそうな)のオサレな雰囲気と、筋肉少女帯ばりのつんのめった疾走感が雑然と共存した楽曲のインパクトは絶大。裏も表もある音の弾けっぷりがまさに着色料たっぷりの菓子のようなキュートなゲテモノじみた様相を成している「セーラー服を脱がないで」「ファッションパンク」、まくしたてる啖呵から突然メタリックなクサいギターソロに突入し鰻上りにテンションが上昇する「オギノ博士の異常な愛情」、バッキングの分厚さと疾走感で勢いよくラストを締めにかかる「四月戦争」、これら4曲はかなりのキラーチューン。いずれの曲においてもバッキングで暴れまわるピアノや浜崎嬢のヴォーカルに絡みつく松永天馬氏の下世話な掛け合いヴォーカルが非常にいい味を出してます。あまりにもサブカり過ぎて精神的・生理的にキッツイ部分も多々ありますが、そのあたりの痛し痒しなところも含めてこの人達は確信犯的にやってるような気がします。でも、このなりふり構わずの何でもあり感はまさにインディーズだからこそ、ドロドロしたものが渦巻いていて面白いです。



●アーバンギャルド:Wikipedia
●アーバンギャルド:公式
●アーバンギャルド~今度は戦争です!:All About

2007/09/18

MOTOCOMPO『Desktop Romancer』(1999)

DESKTOP ROMANCERDESKTOP ROMANCER
(2001/09/19)
MOTOCOMPO

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 HONDAの原付をユニット名に拝借した、chihoとDr.USUI(薄井ノブヤ)によるテクノ・ポップ・ユニット、モトコンポの1stミニアルバム。インディーズ時代に発表した2本のカセット音源をリミックスして廉価盤でリリースしたのが本作、7曲入り。ミックスはYMOや戸川純、SOFT BALLET等を手がけたエンジニアであり、スクーデリアエレクトロのメンバーでもあった寺田康彦氏によるもの。ノーテンキでチープなピコピコサウンドがユニークにヌーっと抜けるテクノポップ/ニューウェーヴ・サウンドは、テクノポップ御三家バンドのひとつPLASTICSの素っ頓狂&ナンセンスなスタイルを、キュートな渋谷系エレポップサウンドに取り込んで現代風にモデルチェンジしたような感じ。特に「24Hours Online」「Coming Age」ではそれが顕著に感じられます。「SKI」も可愛らしくてGOOD。80'sと90'sのセンスを同時に感じるようなサウンドがなかなか面白いです。今年に入って6年ぶりとなるアルバムを発表したそうですが、試聴した限りではプラスチックスの影響は薄れて、より渋谷系エレポップの比重を強めた印象かなと。


●MOTOCOMPO:Myspace
●MOTOCOMPO:公式
●MOTOCOMPO:MUSICSHELF

2007/09/07

PSY・S『SIGNAL』(1990)

SIGNAL
SIGNAL
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PSY・S
ソニー・ミュージックレコーズ (1990-07-01)
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松浦雅也氏とCHAKA嬢によるポップス・ユニット サイズの6thアルバム。再びわかりやすいポップ路線に戻りましたが、以前までのアルバムとどこか毛色が異なっているなという印象があります、見えない線引きがされているというか。良くも悪くもまとまりが出てきたということなんでしょうが、それでもプロフェッショナルな仕事ぶりであることには変わりなく、ブレのない楽曲構築のセンスは依然としてしっかり発揮されています。ヴァラエティに富んだ前作とは対照的に、本作は「コンパクトなエネルギーの躍動感」に重点を置いた楽曲が散りばめられた仕上がり。サウンドは打ち込み色がさらに薄れバンド体制でのレコーディングになっており、新居昭乃(Chorus)、保刈久明(Gr)、小泉信彦(Key)、いまみちともたか(Gr / BARBEE BOYS)といった【LIVE PSY・S】の面々を起用。松浦氏もこれまで多用していたフェアライトに変わってモーグ等のアナログシンセ類にシフト、ストリングス系の音色を中心に押し出すようになりました。軽快なアップテンポナンバーが多い本作ですが、中でも「GIMMICK」は一度聴いたら忘れられないほど強烈な異彩を放ったまさにキラーチューンと言えましょう。松浦氏の奥底に秘められたプログレ志向が垣間見えるような楽曲で、ハモンド/モーグが勢いよく交錯するバッキングに加え、ストリングスサウンドが、そしてギターソロが隙間を埋め尽くすように躍るハイスピードなプログレ・ハード・チューン。ドワーっと一気に押し流すかのようなこの派手なサウンドメイキングは今聴いても十分通用すると思います。




●PSY・S:Wikipedia
●松浦雅也:Wikipedia

2007/09/06

PSY・S『ATLAS』(1989)

ATLASATLAS
(1998/05/21)
PSY・S

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 テクノ・ポップ・ユニット サイズの5thアルバム。アート志向なジャケットや、アルバムタイトルでもあるATLAS(地図)にまつわる雑感をつらつらと綴ったブックレットを見るに、前作までのPSY・Sが持っていたPOPな雰囲気とは明らかに異なった冒険的なものを感じますが、それは音楽面でも同様。小ぶりな主張を効かせるベース、有機的な息遣いを感じさせるドラム、そして歯切れの良さが前に出るようになったギター、と、アンサンブルは生音の感触を重視するようになり、更にレズリースピーカーでのレコーディングを敢行したことでサウンドはレトロなニュアンスを強め、ぼんやりと柔らかい味わいを滲ませています。これまで以上にグッと大人びた姿を見せながら、これまでのPSY・Sの流れをしっかり汲んだポップスナンバー「Wondering Up And Down~水のマージナル」「ファジィな痛み」は鉄板ですが、それぞれレゲエ/ダブアレンジで異なった表情を見せる「WARS」「WARS~Reprise」、チャカ嬢のそっけない歌い回しとエスニックなバッキングの組み合わせが味な「STAMP」、円を描いて吸い込まれるかのようにゆるやかな空間音響的趣向が気持ち良い「引力の虹」などの新しい方向性を見せる多彩な楽曲や、アコギの躍動感が膨らんでいく「遠い空」、さりげないハモンドのバッキングが彩を添える「See-SawでSEE」といった、フレッシュなバンドサウンドを押し出したナンバーも同等の魅力を持ち合わせています。程良いバランスの上に成り立ち、かつ聴き手にある種の幻想性やセンチメンタリズムを抱かせる楽曲が多く、アルバムのトータル感においては本作はズバ抜けていると言っても過言ではないでしょう。松浦氏曰く、ユニットの目指していた目的はこの時点で果たされたそうで、そのため1stアルバムから続いてきたフェアライトをフル活用しての作品作りは本作が最後になり、ユニットにとっても松浦氏にとっても本作は一つの節目となりました。


●PSY・S:Wikipedia
●松浦雅也:Wikipedia
●フェアライトCMI:Wikipedia

2007/09/05

PSY・S『Non-Fiction』(1988)

NON-FICTION(紙ジャケット仕様)NON-FICTION(紙ジャケット仕様)
(2007/10/24)
PSY・S

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 サウンド&プログラミング担当の松浦雅也と、ヴォーカル担当のチャカによるユニット サイズの4thアルバム。当時1200万ほどした超高価なシンセであるフェアライトCMIを関西圏でいち早く導入し、アナログからデジタルへと移行していく過渡期の最中、最新のテクノロジーを駆使してのポップス作りに果敢に挑戦していったのが松浦氏。サンプリングと打ち込み主体ながらそれを感じさせない緻密かつ重厚な、そしてバンドサウンドに近い楽曲作りを行っていました。そこにチャカ嬢のパワフル&ソウルフルな歌声が加わって、とことんまでにエネルギッシュなポスト・テクノポップスの出来上がり。あまりに眩しすぎて、超高品質のポップソングを作ることにかけてはこの人たちの右に出るユニットは当時そうそういなかったのでは?と思いたくもなります。同年のみんなのうたに採用された「3-D天国」(オリジナルアルバム/ベスト盤未収録曲)と若干モチーフが似ている「(Shooting Down)The Fiction」が個人的には興味深かったりしますが、やはり本作の注目はシティハンター2のOPに採用され、ヒットを記録した「ANGEL NIGHT~天使のいる場所~」じゃないでしょうか。期待を膨らませるイントロから印象的なストリングスのメロディが颯爽と流れ込む、単体でも十分カッコ良いアップテンポの疾走曲ですが、アルバムでは盛り上がりを押さえた序盤の楽曲構成、バラードナンバー「Earth~木の上の方舟」のからの繋がりもあってよりインパクトのある壮大な流れとなっています、お膳立てがキッチリ整ったところにキラーチューンが決まると気持ちが良いですよね。そしてもう一つの代表曲である「Roses And Non-Fiction~薔薇とノンフィクション」、隅々まで浸透した瑞々しいフレーズの数々が堪らない佳曲です。とにもかくにも一切スキなしの構成で仕上げられた文句なしのポップスアルバム。ちょっとやそっとじゃ色褪せるような作品ではないのであります。




●PSY・S:Wikipedia
●松浦雅也:Wikipedia
●フェアライトCMI:Wikipedia

2007/03/13

POLYSICS『Karate House』(2007)

KARATE HOUSEKARATE HOUSE
(2007/02/28)
POLYSICS

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 前作『Now is the time!』を聴いてなかったもんで、個人的には『National P!』以来のフルアルバムになるわけですが、ポップになった上にえらいヴァリエーション増えたなあ、と。でも、これだけヴァラエティ豊かになっても要点はしっかり押さえてあるのは流石。エキセントリックな部分はどこかに残るんすね(笑)。「Electric Surfin' Go Go」「Catch On Everywhere」「You-You-You」「Shizuka is Machine Doctor」は、シングルカット&タイアップ曲とあってどれもほとばしるドライヴチューン&ファンキーなポップチューン。魅力的な仕上がりですが、それ以上にやはりアルバム収録曲のグリグリした感触がいいなあと。「ハードロックサンダー」は、ヴォコーダーヴォーカルとペコピコした装飾にハード・ロックなリフが組み合わさった楽曲。ギターソロは一発録りだそうで、なるほど勢いが感じられます。「サイボーグ彼女」はヘンテコな展開もさることながら、チープな歌いまわしが非常にプラスティックスのソレに似てる。カヨヴォーカルの「夢・打ち込み」はチップチューンをばら撒いたロックナンバー、シンプルなのにサビがクセになる。歌っていることはテニスなのかサッカーなのか不明瞭な「プロテニス」はハヤシ&ヤノのコーラスの掛け合いが聴きモノ。「オールウェイズハピネス」は電話、ホチキス、ゴミ箱などのサンプリングサウンドを各所にコラージュしたライト感覚のインダストリアル楽曲。POLYSICSのサウンドは初期P-MODELの作風から多大な影響を受けている、というのは周知の通りですが、彼らへのリスペクトをハッキリとカタチにしたのが、P-MODEL「偉大なる頭脳」のカヴァー。原曲は粘っこくつんのめるアンサンブルに、平沢御大のけだるいヴォーカルが奇妙な雰囲気を演出する楽曲でしたが、こちらは乾いたアンサンブルが明快にうねり、ハヤシのエキセントリックなヴォーカルがキンキンと冴え渡るわかりやすくも刺激たっぷりの仕上がり。対照的な印象を持つアレンジなのが興味深い。全16曲、楽曲も多彩ということで、アルバムの全体像をつかむのには多少時間がかかりますが、語りどころは今まで以上にあります。あとはライヴでこれらの楽曲の印象がどう変わるか、ですね。

●POLYSICS - 公式