2017年3月27日月曜日

ミステリマガジン2017年5月号【北欧ミステリ特集】に「北欧ミステリDISC SIDE A&B」を寄稿いたしました



http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013501/

 3月25日に発売の、早川書房刊「ミステリマガジン」2017年5月号の北欧ミステリ特集にて、“糸田 屯”のペンネームで、コラム・エッセイ「北欧ミステリDISC SIDE A&B」を書かせていただきました。【SIDE A】では、ノルウェーの作家であり、ミュージシャンとしての顔を持つジョー・ネスボの「ディスコグラフィ」を、【SIDE B】ではその他、いくつかの北欧ミステリと音楽の接点を盛り込みました。北欧といえばヘヴィメタルですが、某バンドと某バンドにも少し触れております。よろしくお願いいたします。



 しかしながら、あのミステリマガジンに執筆者として自分の名前(ペンネーム)が載る日が来るとは……という思いですね。媒体に文章が載るのは、2015年9月に「このマンガがすごい!WEB」で書かせていただいた【「超伝奇SFマンガ」ベスト3】以来。紙の媒体で、糸田屯のペンネームで書いた文が載るのはミステリマガジンが初となります。“糸田屯”の読みは「いとだ・とん」ですが、「いとだ・たむろ」でも語呂がいい気がしたので、どちらでもよいかなと。




 ミステリマガジン2017年5月号目次。海外作品ではジョー・ネスボの短編「血清」をはじめ、リチャード・カーティスの短編「賭屋と1000ポンドの賭け」、ヘレン・ニールスン「弁護側の証人」の新訳版が掲載。また、国内作品では月村了衛先生の「機龍警察 狼眼殺手」最終回。円居挽先生による、ゲーム「逆転裁判」ノベライズの第二回。高殿円先生の「トッカン」の新作短編が掲載されています。ネット通販サイトでもお買い求めいただけます。




https://honto.jp/netstore/pd-magazine_28377979.html
http://books.rakuten.co.jp/rb/14760054/
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N4RQ0BV

2017年3月26日日曜日

「待ってる者」こと「Homunculus Loxodontus」の、ロシア語圏でのインターネットミーム化の流れについて

 ロシア語圏で流行っている「待ってる者」。そのえもいわれぬ造型にいつの間にかメロメロになってしまい、いろいろと調べていたらいくつもの興味深いトピックがあったので、以下にメモしておきます。


▼制作者であるマルグリート・ヴァン・ブレーヴォート(margriet van breevoort)さんの公式サイト、facebookアカウント。
http://margrietvanbreevoort.nl/index.html
https://nl-nl.facebook.com/margrietvanbreevoort/

「Homunculus Loxodontus」の写真

▼「Homunculus Loxodontus」についての、ライデン大学病院公式サイト内の記事。
【Sculptures in Leiden exhibition is intriguing and endearing】
(from Universiteit Leiden|2016.05.24 )

▼ウクライナ版BBCの記事(マルグリートさんへのインタビュー)。
【Авторка Ждуна: він змінив моє життя】
(from BBC ukrainian|2017.02.06)

▼「待ってる者」のブームの経緯を紹介している英語記事。簡潔にまとまっています。
【Dutch hospital’s monster sculpture a surprise hit in Russia】
(from NLTIMES|2017.02.06)

ウクライナ版ウィキペディアの記事(Ждун/Почекун)


「待ってる者」と呼ばれるものは、オランダの立体造形アーティスト、マルグリート・ヴァン・ブレーヴォート(margriet van breevoort)さんが、ライデン大学病院からの補助金を受けて2016年に制作し同病院に設置したものであり、正式名称は「Homunculus Loxodontus」(ホムンクルスの象)。「病院の雰囲気」をとらえたものをつくりたいと思ったマルグリートさんは、病院という場所において「希望」は大切なものだと思い、「待機」と「希望」の意味をこめてこの「Homunculus Loxodontus」を制作したそうです。「待て、しかして希望せよ」といったところでしょうか。マルグリートさんは1990年生まれ。彼女の公式サイトでは、自身の制作におけるコンセプトについて「私の作品は、現実と幻想のはざま、美と不快の境界にあります。さらに相反する要素を加えることで、私は魅力と嫌悪の遊戯を創造しています」という一文もあります。
http://margrietvanbreevoort.nl/statement.html


▼2016年5月にYouTubeに投稿された、マルグリートさんへのミニインタビュー映像。制作途中の「Homunculus Loxodontus」の姿も収められています。




 その後、ライデン大学病院に勤めるロシア人職員が、像の写真をinstgramに投稿したところ、ロシア方面で拡散し、たちまちインターネットミームとして流行。それが今年の2月のことです。ロシア語圏で「待ってる者」のミームとなっている「Zdhun」は、"I'm Waiting"を意味するロシアの言葉「Zdhu」を崩したもの。ロシア語圏からマルグリートさん充てに数多くの反響がきたので、最初はいったい何事なのかとめちゃくちゃ驚いたそうです。その後、ウクライナの市議会から、「待ってる者」の彫刻を市の中心部に置きたいというコンタクトもあったみたいです。

Zhdun / Snorp|know your meme

 その一方で、ロシアで第三者が「Zdhun」で商標登録しようとする不届きな動きもあったそう。マルグリートさんはオランダ在住なので、facebookのロシア人ユーザーからの助言ももらいながら、現在もこの問題に取り組んでおられるようです。マルグリートさんはfacebookアカウントとは別にvk. com(ロシア語圏のSNS)のアカウントも登録されており、そちらでも「Homunculus Loxodontus」の制作過程の写真をアップされています。
https://vk.com/id411968835



 オランダで制作された物がロシア語圏で瞬く間にミームになって……というあまりにも予想外の流れゆえに、一連のHomunculus Loxodontusグッズはマルグリートさんに許可をとっていない可能性が高そうです。Amazonやebayなどでよく見かけるこの写真のぬいぐるみの製作元も、よくわからないんですよね。流行の勢いで非公式品がポンポンと出来ちゃっているというのが現状であり、マルグリートさんご本人はブームを好意的にとっていらっしゃるとはいうものの、なんらかの形で還元されてほしいですよね。


【追記】

2017年3月25日土曜日

原作:新井素子|西木栄二/アストライア『星へ行く船 イメージ・トリップ・シリーズ』(1991)

星へ行く船シリーズ5そして、星へ行く船
新井素子
出版芸術社 (2017-03-24)
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 1981年から1987年にかけて集英社コバルト文庫より刊行された、新井素子さんの〈星へ行く船〉シリーズは、ヒロイン 森村あゆみが遭遇する数々のドタバタと葛藤を描いたロマンティックSF作品。『星へ行く船』『通りすがりのレイディ』『カレンダー・ガール』『逆恨みのネメシス』『そして、星へ行く船』の五巻が刊行された後、1992年に番外編『星から来た船』が三分冊で刊行され、1994年に番外短編「αだより」が書かれています。長らく絶版でしたが、2016年9月より、出版芸術社より復刊がすすめられ、2017年3月24日に『そして、星へ行く船』が刊行されました。前述の「αだより」のほか、 書き下ろし短編「バタカップの幸福」、新規あとがきも併録されています。


星へ行く船/イメージ・トリップCDシリーズ
新井素子 西木栄二 米倉良広 森村あゆみ 佐藤ありす 新井直子
日本コロムビア (1991-03-21)
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 ラジオドラマ化や漫画化などのメディアミックスにも恵まれ、音楽化では日本コロムビアの〈ロマン・トリップ〉シリーズのカタログとして、五作すべてのイメージアルバムが制作されています。1991年にリリースされた本盤は、1983~1987年にレコードやカセット形態で発表された『星へ行く船』『カレンダー・ガール』『そして、星へ行く船/逆恨みのネメシス』(こちらはCD盤もあり)の三作をカップリングした二枚組CD。1985年リリースの『カレンダー・ガール』はこれで初CD化となります。また、1984年リリースの『通りすがりのレイディ』のみ、収録時間的な事情ゆえか本盤には未収録なのですが、同年に単体でCD化されています(……とはいえ、ちょっとややこしい)。




 イージーリスニング、歌謡曲、ビート・ロック、エレポップ、AORとバラエティに富む内容が展開される本作の作編曲を全面的に手がける西木栄二氏は、70年代にフォーク・グループ「猫」にごく短期間だけ在籍後、小室等&ザ・ファクトリーや、シティ・ポップ・バンド カーニバルのメンバーとして活動。80年代は作編曲家として本田美奈子や酒井法子、伊藤さやかなど数々のアーティストに楽曲提供をされていたギタリスト/コンポーザー。シリーズを通してメインヴォーカルでクレジットされている、原作小説のヒロインと同姓同名の「森村あゆみ」はいわゆる覆面シンガーであり、「中の人」の正体は不明です。"SENTIMENTAL RUNAWAY BOY"(『星へ行く船』)でヴォーカルをとられている米倉良広氏は42ND STREETのギタリストであり、井田リエ、当山ひとみ、堀江美都子などの楽曲を手がけられていた人。また、"SWEET DREAMER"(『カレンダー・ガール』)でヴォーカルをとられている新井直子さんは素子さんの妹さんです。

 演奏を手がける「アストライア」は、西木氏のソロユニットというよりはスタジオミュージシャンの集合体であり、『星へ行く船』の西木氏のライナーノーツを読むと、当時二十代の鳥山雄司氏と武部聡志氏の名前が挙がっています。制作当時、鳥山氏はデビュー二年目。西木氏は「これからがおそろしい」とコメントされておりましたが、それから数十年、今では両人とも押しも押されぬ大御所ミュージシャン/アレンジャーとして活躍されております。〈イメージ・トリップ〉CD盤には演奏者の記載がまったくないのですが、どうやら『カレンダー・ガール』には鳥山氏、武部氏のほかに、SHOGUNの長岡道夫氏やマライアの土方隆行氏、JIMSAKUの森村献氏といった面々が参加されていたもよう。"ラブコレクション"における鳥山氏の流麗なソロは必聴ものです。



 ところで『そして、星へ行く船/逆恨みのネメシス』の西木氏のライナーノーツで触れられていた「新人キーボーディストの坂本君」が個人的にずっと気になっていたのですが、氏はひょっとしたら作編曲家の坂本昌之氏なのではないか? と思い至るようになりました。坂本氏といえば、徳永英明や平原綾香、鬼束ちひろなどのアレンジャーとして知られておりますが、氏は1987年7月にアルバム『PSYCHE プシュケ』でソロデビューを果たしています。アルバム『星へ行く船/逆恨みのネメシス』が出たのは同年の12月であることを考えると、信憑性は高いのではないかと。なお、『PSYCHE プシュケ』は現在iTunesなどでデジタルリリースされています。


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坂本昌之

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https://itunes.apple.com/jp/album/pushuke/id403444773


『そして、星へ行く船/逆恨みのネメシス イメージアルバム』(1987)
単体レビュー記事。「森村あゆみ」の本シリーズ以外での活動についても少し。

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『星へ行く船 イメージ・トリップ・シリーズ』
[1991.03.21|COCC-7311-2|日本コロムビア]

原作/新井素子
ジャケット・イラスト/竹宮恵子


【Disc 1】
《星へ行く船》(1983)

01. SENTIMENTAL RUNAWAY BOY
02. GOOD-BYEは優しく
03. スリルいかが?
04. DEAR…
05. STARDUSTに誓った
06. TABASCO CRASH
07. SHYなフィリップ・マーロウ
08. 突然UPSIDE DOWN
09. HEARTBREAKなんて平気
10. 星へ行く船~COSMIC LULLABY~

作詩:佐藤ありす(01、02、04、10)
作編曲:西木栄二
唄:米倉良広(01)、森村あゆみ(02、04、10)

《カレンダー・ガール》(1985)
11. カレンダー・ガール
12. セレスハネムーン
13. SWEET DREAMER
14. ラブコレクション
15. あ、ゆ、み、グラフィティ

作詩:佐藤ありす(11、12、13、15)
作編曲:西木栄二
唄:西木栄二(11、12)、新井直子(13)、森村あゆみ(15)
コーラス:川島和子グループ西木栄二(13)
西木栄二(clap/14)

【演奏:アストライア】
長岡道夫(electric bass/11、14)
上原“ユカリ”裕(drums/11、14)
西木栄二
(acoustic guitar/11~13)
(percussion guitar/13)
土方隆行(electric guitar/11、14)
鳥山雄司
(electric guitar/12、15)
(solo & waw waw guitar/14)
(solo & guitar synthesizer/11)
森村献(acoustic & electric piano/11、14)
武部聡志
(electric piano/12)
(piano solo/15)
(synthesizer)
Mr. MC-4
(drum simmons/12)
(synthesizer bass、synthesizer section、drum machine linn drum/12、13、15)
村岡建(saxophone solo/12)
鳴島英治(percussion/14)


【Disc 2】
《カレンダー・ガール》(1985)
01. 活劇! 宇宙娘参上!!
02. BE MY GIRL
03. TEA FOR YOU
04. FORバタカップ -バタカップにささげる歌-
05. I LOVE YOU 聞かせて

作詩:佐藤ありす(02、05)
作編曲:西木栄二
唄:西木栄二(02)、森村あゆみ(05)
コーラス:川島和子グループ

《そして、星へ行く船/逆恨みのネメシス》(1987)
06. Believe
07. 飛んでもHoney Star
08. 数えきれないPlease
09. パニックビート
10. Flower─愛の花束
11. 憎みきれないお人良し
12. 君はSold out
13. 空の下はlonely
14. 宇宙一のLucky Girl
15. そして明日へ…

作詩:佐藤ありす(06、08、10、12、14、15)
作編曲:西木栄二
歌:西木栄二(06、12、14)、森村あゆみ(08、10、14、15)
Shoujyo-tai(chorus/04)
コロムビアスタッフ少年(chorus/04)
西木栄二(clap/01)

【演奏:アストライア】
長岡道夫(electric bass/01、05)
上原“ユカリ”裕(drums/01、05)
西木栄二
(acoustic guitar/02、03、05)
(electric guitar/05)
(half speed mandlin guitar/03)
(percussion、timpani/05)
土方隆行(electric guitar/01、05)
鳥山雄司
(electric guitar/02、04、05)
(cosmic guitar/01)
森村献(acoustic & electric piano/01、05)
森村あゆみ(acoustic piano/01)
武部聡志
(piano solo/03)
(synthesizer)
Mr. MC-4(synthesizer bass、synthesizer section、drum machine linn drum/02~04)
山崎弘一(wood bass/01、05)
村岡建(saxophone solo/05)
鳴島英治(percussion/05)





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2017年3月22日水曜日

「アーサー王と円卓の騎士たち」四十年目の完全版 ― Rick Wakeman『The Myths & Legends of King Arthur』(2016)

アーサー王と円卓の騎士たち
リック・ウェイクマン
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1975年に発表された『アーサー王と円卓の騎士たち (The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table)』は、イギリスのキーボーディスト、リック・ウェイクマンの代表作のひとつとして挙げられるタイトルであり、ナンシー・モリソンの著作に着想を得た1973年作『The Six Wives of Henry VIII(ヘンリー八世の六人の妻)』、ジュール・ヴェルヌの同名作をコンセプトとする1974年のライヴアルバム『Journey to the Centre of the Earth(地底探検)』とあわせて「文芸三部作」として初期のキャリアを成しております。このうち『地底探検』は1999年に「完結編」と題した続編が、2012年にはオリジナル版に新規パートを追加した再録盤がそれぞれ出ておりました。そして、今度は『アーサー王と円卓の騎士たち』に白羽の矢が立ちました。







 そもそも、本作は二枚組アルバムとして構想されていたものの、当時のレコードの収録時間の都合からカットをせざるをえなかったようです。オリジナル版からじつに四十年もの時を経ての「完全版」プロジェクトは、2016年2月にPledgeMusicで出資キャンペーンが立ち上げられ、ほどなくして目標を達成。その後、6月19日にロンドンのO2アリーナで開催された「Stone Free Festival」のプログラムの一環として、オーケストラとコーラス隊を帯同してお披露目もなされました。新たにロジャー・ディーンによるジャケットも付された本盤『The Myths & Legends of King Arthur 2016』は現在のところ公式通販のみでの流通であり、Amazonなどでは取り扱っておりませんが、ただの再録で終わっていない見事な内容であることを保証いたします。ぜひとも入手をオススメする次第。
goo.gl/PgF8GQ




 当時のスタイルで制作された、5曲の新曲"Morgan le Fay" "Princess Elaine" "Camelot" "The Holy Grail" "Percival the Knight"に、ピアノやコーラスを中心とする小品/ブリッジが追加されたことで楽曲数は7曲から20曲にまで膨れ上がり、CD二枚組、トータル88分の内容になりました。2016年版のコーラスアレンジはリックの手によるものですが、2016年版のオーケストレーションは新規追加パートもふくめて、オリジナル版を手がけたガイ&アン・プロセローが再び担当しています。ヴォーカルは、オリジナル版に参加したアシュレー・ホルトと、2012年再録版『地底探検』と同作に伴うツアーに参加した女性シンガー/サックス奏者のハーレイ・サンダーソンの二人。アシュレーの加齢を感じさせない朗々たる歌唱も素晴らしいのですが、一連の新曲におけるハーレイの時に伸びやかで、時にたおやかなるパフォーマンスが、再録&拡張版たる本作の豊かなイメージに大きく貢献していますし、ソウルフルなヴォーカルを聴かせるロックチューン"The Holy Grail"や、堂々たるシンフォニック・ロック・バラードな"Princess Elaine"は特に推したい曲です。また、全体のパフォーマンスでは、華やかなコーラスワークと多幸感あふれるバンドサウンドに彩られた9分半におよぶ長曲"Percival the Knight"が白眉。ドラムスはSTRAWBSのメンバーであり、リックの数多くのアルバムにも参加している盟友トニー・フェルナンデス。ベースはPROCOL HARUMのマット・ペグ。ギターのデイヴ・コルクハウンは、近年のウェイクマンのライヴサポートのほか、PROCOL HARUMやフランシス・ダナリーのツアーなどにも参加歴のあるプレイヤーであります。



http://www.rwcc.com/

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【The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table】(1975)

01. Arthur (アーサー王)
02. Lady of the Lake (湖の妖精)
03. Guinevere (王妃グィネヴィア)
04. Sir Lancelot and the Black Knight (湖の騎士ラーンスロットと黒騎士)
05. Merlin the Magician (魔術師マーリン)
06. Sir Galahad (騎士ガラハド)
07. The Last Battle (最後の戦い)


Rick Wakeman (kbds)
Gary Pickford Hopkins (vo)
Ashley Holt (vo)
Geffery Crampton (g)
Roger Newell (b)
Barney James (ds)
John Hodgson (perc)

New World Orchestra
English Chamber Choir(choir)
Terry Taplin(narration)

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【The Myths & Legends of King Arthur 2016】(2016)

※赤字は新曲

《DISC 1》

01. The Choice of King(イントロ)
02. King Arthur
03. Morgan le Fay
04. Lady of the Lake(小品)
05. Arthur's Queen(小品)
06. Guinevere
07. Lancelot and The Black Knight
08. Princess Elaine
09. Camelot

《DISC 2》

10. The King of Merlins(小品)
11. A Wizards Potion(小品)
12. Merlin the Magician
13. The Chalice(小品)
14. The Holy Grail
15. The Best Knight(小品)
16. The Contest(小品)
17. Sir Galahad
18. Percival the Knight
19. Excalibur(小品)
20. The Last Battle


Rick Wakeman(kbds)
Ashley Holt(vo)
Hayley Sanderson(vo)
Tony Fernandez(ds, perc)
Dave Colquhoun(g, banjo)
Matt Pegg(b)

The Orion Orchestra
The English Chamber Choir(choir)
The Nottingham Festival Male Voice Choir(choir)
Ian Lavender(narration)

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2017年3月12日日曜日

技巧派バンドによる華麗なるプログレッシヴ・フュージョン ― 菊田裕樹『ANGELICFORTRESS TRISMEGISTUS』(2016)

『聖剣伝説2』『聖剣伝説3』『双界儀』『シャイニング・ハーツ』など、多数のゲームタイトルの楽曲を手がけてきたコンポーザーである菊田裕樹氏が、ギタリストの佐々木秀尚氏とともにユニット ANGELICFORTRESSを結成したのは2015年。同年末にデビューアルバム『Angelicfortress』を、2016年8月にデュオでの第二作『Double Helix』をリリースし、間をあけずして同年末にリリースされた本作でついにプロジェクトがギター&キーボードデュオからフルラインナップのバンドへと発展いたしました。実力派ミュージシャンの競演というと、菊田氏がスクウェア時代にコンポーザーをつとめられた『双界儀』(1998)が思い起こされますが、本作はよりコンパクトに、よりソリッドに焦点が絞られた内容です。



http://shop.2083.jp/?pid=112320630


 菊田氏のソロによる書き下ろしのイントロダクションを冒頭に据え、1stからの2曲と2ndからの3曲をバンド編成で再録した本作。参加ミュージシャンは、ツアーサポート、スタジオワークの傍ら、グルーヴィーな技巧派トリオ GRAVITATIONAL FORCE FIELDでも活動されているベーシストの小林修己氏。VIENNA、DED CHAPLIN、ExhiVisionなど、国内の数々のプログレ/フュージョン・バンドに名を連ねるフレットレスベースの名手 永井敏己氏。ジャズ/フュージョン、ポップス、サントラなど多岐にわたる仕事を手がける作編曲家/ピアニストの新澤健一郎氏。変幻自在のツインキーボード・デュオ NEO-ZONKでも活動されているキーボーディストの大沼あいさん。そのNEO-ZONKにサポートとしても参加されているセッションドラマーの伊藤 ショボン 太一氏。野獣王国など数々のアーティストやバンドのセッションに参加されているほか、佐々木秀尚氏と共に「有形ランペイジ」のメンバーでもある今井義頼氏。以上の面々が二チームに分かれた形になっており、佐々木氏は双方に参加しています。リズム隊が加わったことにより楽曲がグッと骨太になったのはもちろん、各パートの技巧と技巧のぶつかり合いがまことに気持ちいい。"Angelic Fortress"は10分近くにまで拡張され、1stアルバムの難曲"Dark Schizopherenia"はさらに音の密度が増しています。とびきりの爽快感に富む"Energy Blaster"は永井氏のフレットレスベースの存在感と牽引力がハンパなく、キーボードとギターがリードしていたデュオ版とはまた違った表情を見せています。バンドならではの醍醐味が横溢した、満足度の高いプログレッシヴ・フュージョン・アルバムでありましょう。




《Lineup》

佐々木秀尚(guitar) http://hidehisa.syncl.jp/
小林修己(bass) http://ameblo.jp/kobakobanao/
永井敏己(fretless bass) http://w01.tp1.jp/~a422368402/index.html
新澤健一郎(keyboard) http://www.shinzawa.net/
大沼あい(keyboard) http://neo-zonk.wixsite.com/neo-zonk-site
菊田裕樹(keyboard) http://hirokikikuta.com/
伊藤 ショボン 太一(drums) https://twitter.com/shobon_mint
今井義頼(drums) http://yoshinoridrums.wixsite.com/yoshinori-imai

《Track List》

01. Overture X
菊田裕樹(keyboard)

02. Angelic Fortress【1st収録曲】
菊田裕樹(clavinet, composer)
佐々木秀尚(guitar, arranger)
新澤健一郎(keyboard)
小林修己(bass)
伊藤 ショボン 太一(drums)

03. Dark Schizopherenia【1st収録曲】
菊田裕樹(composer)
佐々木秀尚(guitar, arranger)
新澤健一郎(keyboard)
小林修己(bass)
伊藤 ショボン 太一(drums)

04. Double Helix【2nd収録曲】
菊田裕樹(composer)
佐々木秀尚(guitar, arranger)
新澤健一郎(keyboard)
小林修己(bass)
伊藤 ショボン 太一(drums)

05. Energy Blaster【2nd収録曲】
菊田裕樹(keyboard, composer)
佐々木秀尚(guitar, arranger)
大沼あい(keyboard)
永井敏己(fretless bass)
今井義頼(drums)

06. Forever World【2nd収録曲】
菊田裕樹(keyboard, composer)
佐々木秀尚(guitar, arranger)
大沼あい(keyboard)
永井敏己(fretless bass)
今井義頼(drums)


コンポーザーとギタリスト、阿吽のテクニカル・フュージョン・デュオ ― 菊田裕樹&佐々木秀尚『ANGELICFORTRESS』(2015)

確かな技巧と音楽性が織り成す、グルーヴィーな技巧派フュージョン・トリオ ― Gravitational Force Field『ZERO』(2014)

軽やかな技量とセンス、変幻自在のツインキーボードプログレユニット ― NEO-ZONK『Luminous』(2015)


 なお、ANGELICFORTRESSの1stアルバム『Angelicfortress』(2015)と、2ndアルバム『DOUBLEHELIX』(2016)は菊田氏の公式bandcampアカウントでデジタル配信されています。




2017年3月7日火曜日

『ドラキュラ紀元』コミカライズ第一章~三章が3月22日、4月19日、5月24日リリース。カバー画バリアント多数

▽キム・ニューマン〈ドラキュラ紀元〉新作短篇、コミカライズ、第五作目が今年続々刊行予定
http://camelletgo.blogspot.jp/2017/01/kim-newman2017.html




 今年はキム・ニューマン『ドラキュラ紀元』イヤーではないかというくらいに『ドラキュラ紀元』がらみの刊行が続くということを以前お伝えしましたが、ポール・マキャフリー作画によるオリジナル・コミカライズ「Anno Dracula 1895: Seven Days in Mayhem」についての続報を記しておきます。3月22日に刊行されるチャプター1は、ポール・マキャフリー画の通常カバー(タイプAとします)に加えて、複数のイラストレーターによるカバー絵のバリアントが五種あります。そして、4月19日に刊行されるチャプター2のカバーは四種。5月24日に刊行されるチャプター3のカバーは三種。いずれもFORBIDDEN PLANETのサイトでプレオーダーを受付中です。


『Anno Dracula #1』
Anno Dracula #1
Anno Dracula #1
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Titan (2017-03-22)



▼タイプA(ポール・マキャフリー画)
https://forbiddenplanet.com/215070-anno-dracula-1-cover-a-mccaffrey/




▼タイプB(トム・マンドレイク画)
https://forbiddenplanet.com/215071-anno-dracula-1-cover-b-mandrake/




▼タイプC(ブライアン・ウィリアムソン画)
https://forbiddenplanet.com/215072-anno-dracula-1-cover-c-williamson/




▼タイプD(ジェフ・ゾルナウ画)
https://forbiddenplanet.com/215073-anno-dracula-1-cover-d-zornow/




▼タイプE(マイク・コリンズ画)
https://forbiddenplanet.com/215074-anno-dracula-1-cover-e-collins/




▼タイプF(ベン・オリヴァー画)
https://forbiddenplanet.com/215746-anno-dracula-1-forbidden-planetjetpack-ben-oliver-variant/




さらに、英国で3月23日に行われるコミカライズ刊行記念イベントの来場者には、タイプFのカバーの別ヴァージョンのプレゼントがあるとのこと。
https://www.ticketsource.co.uk/event/170220





『Anno Dracula #2』
Anno Dracula #2
Anno Dracula #2
posted with amazlet at 17.03.07
Titan (2017-04-19)



▼タイプA(トム・マンドレイク画)
https://forbiddenplanet.com/217065-anno-dracula-2-cover-a-mandrake/




▼タイプB(ポール・マキャフリー画)
https://forbiddenplanet.com/217066-anno-dracula-2-cover-b-mccaffrey/




▼タイプC(マイク・コリンズ画)
https://forbiddenplanet.com/217067-anno-dracula-2-cover-c-collins/




▼タイプD(ブライアン・ウィリアムソン画)
https://forbiddenplanet.com/217068-anno-dracula-2-cover-d-williamson/





『Anno Dracula #3』
Anno Dracula #3
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Titan (2017-05-24)



▼タイプA(ポール・マキャフリー画)
https://forbiddenplanet.com/219236-anno-dracula-3-cover-a-mccaffrey/




▼タイプB(トム・マンドレイク画)
https://forbiddenplanet.com/219237-anno-dracula-3-cover-b-mandrake/




▼タイプC(マイク・コリンズ画)
https://forbiddenplanet.com/219238-anno-dracula-3-cover-c-collins/

2017年3月1日水曜日

森川智之『Garden of Eden』(1997)

GARDEN OF EDEN
GARDEN OF EDEN
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森川智之
バップ (1997-03-01)
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 声優、歌手、「帝王」、森川智之氏が1997年にリリースした2ndソロアルバム『ガーデン オブ エデン』は、今年の3月1日で20周年を迎えます。97年というとアニメ版「金田一少年の事件簿」での明智役や、「剣風伝奇ベルセルク」でのグリフィス役などを演じておられたころですね。1994年のデビューアルバム『HEAVEN'S DOOR』から一貫してストレートなハード・ロックを志向している森川氏ですが、この二作目では作編曲面でも演奏面でも大幅な増強が図られています。本作のプロデューサーは、前作のメインコンポーザーでもあった「230」こと柳沢二三男氏、元ザ・ガーデン/ブルー・トニックの広瀬充寿氏、元ヘヴィメタルアーミー/イースタン・オービットの中島優貴氏の三人が務められているところもポイント。三人がそれぞれ書き下ろした新曲("Chance!" "GARDEN OF EDEN" "Last Telephone call/Dear…")が収録されています。

 230氏の作編曲による"Naughy Boy"は、ラフなドライヴ感あふれるバッキングに、ややぶっきらぼう気味なヴォーカルがマッチした一曲。また、"In The SKY"は、BOSTONの"More Than A Feeling"にクリソツなアルペジオのイントロがある意味印象的なアコースティック・バラードです。広瀬氏の作編曲による"Endless Dream"は、森川氏がパーソナリティーをつとめた「宇宙海賊 宝船組!」(原作:秋月こお)のドラマCDの挿入歌であり、これでもかとオケヒを連発するアレンジが強烈なハード・ポップ・チューン。また、中島氏の作編曲による"TRUE" "Precious Love ~この地球の者たちへ~" "TELL ME WHY" "天翔"は、森川氏が主役キャラクターを演じた「黄龍の耳」(原作:大沢在昌)のOVAやドラマCDの主題歌や挿入歌であり、いずれもアルバム収録に際してリミックスが施されています。派手なキーボードアレンジもさることながら、JET MAYBEの小森晴美氏(guitar)、コンチェルト・ムーンの島紀史氏(guitar)、UP-BEATの水江慎一郎氏(bass)がバックを固めており、中島氏の得意とするプログレッシヴ・ハード・ロックに思いっきり寄っています(ちなみに、コンチェルト・ムーンも当時バップに所属しており、翌年にメジャーデビューを果たします)。ジャパメタ筋の人にもオススメしたいところ。




ちなみに、坂本英三 with 文京楽団の『Another』(1998)では、本作の"TRUE"がカヴァーされております。森川氏と坂本氏との縁は深く、練馬絶叫倶楽部のアルバム『壱』(1997)に森川氏がゲスト参加していますし、逆に森川氏の3rdアルバム『JOLLY ROGER』(2003)では、坂本氏が楽曲提供("Cuttin' Out")をしています。また「ルパン三世」トリビュートアルバム『You's Explosion』(1999)では、森川&坂本デュオによる"銭型マーチ"を聴くことができます。そうそう、近年では「帝王森川とボイトレ男子」の音楽プロデューサーを坂本氏が担当されていますね。


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森川智之『Garden of Eden』
[VPCG-84628|VAP|1997.03.01]


01. Chance!
(作詞:森川智之/作編曲:広瀬充寿)
広瀬充寿(computer programming, synthesizer, drums)
上村佳弘(guitar)
三谷知範(guitar)
田島浩二(bass)


02. Endless Dream
(作詞:田島浩二/作編曲:広瀬充寿)
広瀬充寿(computer programming, synthesizer, drums)
谷信雄(guitar)
田島浩二(bass)


03. TRUE(リミックスバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
中島優貴(keyboard)
水江慎一郎(bass)
小関純匡(drums)


04. Naughty boy
(作詞:森川智之/作編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar)
角田俊介(E.bass)
向山テツ(drums & percussion)


05. Precious Love ~この地球の者たちへ~
(作詞:甲斐ケンジ/作編曲:中島優貴)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)


06. GARDEN OF EDEN
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)


07. TELL ME WHY(リミックスバージョン)
(作詞:甲斐ケンジ/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
島紀史(guitar)
中島優貴(keyboard)
加瀬竜哉(bass)
橋本幸光(drums)


08. In the SKY
(作詞・作曲:佐々木文彦/編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar)
角田俊介(E.bass)
向山テツ(drums & percussion)


09. 天翔(リミックスバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:中島優貴)
小森晴美(guitar)
中島優貴(keyboard)
水江慎一郎(bass)
小関純匡(drums)


10. Last Telephone call/Dear...(オリジナルバージョン)
(作詞:森川智之/作編曲:230)
柳沢“230”二三男(E.guitar & A.guitar, chorus)
宗秀治(bass)
河村智康(drums)



《Produced & Directed by》
国分浩弥(バップ)
折田哲郎(コズミックレイ)
中島優貴(リラックス・ミュージック・インク)

《Sound Producer》
中島優貴(track 3, 5, 6, 7, 9)
柳沢“230”二三男(track 4, 8, 10)
広瀬充寿(track 1, 2)


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