2017年2月25日土曜日

東京ゲーム音楽ショー2017: 中潟憲雄氏LIVE、菊田裕樹氏LIVE 覚え書き


http://www.88nite.com/tgms2017/

 ゲームミュージックの祭典として毎年の恒例になりつつある「東京ゲーム音楽ショー」。今年は途中で会場入りして途中で会場を後にしたので滞在時間は三時間ほどだったのですが、今回も濃密な時間を過ごすことができました。以下は買ったものと、中潟憲雄氏のライヴと菊田裕樹氏のライヴの覚え書きです。


▼買ったもの

①中潟憲雄氏による「仮免ライダークロノス」のサントラ
②川田宏行氏の1stミニアルバム『hinemosu yomosugara』
 ③菊田裕樹氏率いるANGELICFORTRESSの最新作『TRISMEGISTUS』
④山田一法氏率いるSENSORSのミニアルバム『戯楽惑溺症候群』




▼中潟憲雄 / AQUAPOLIS LIVE
(2/25 15:15~)

 素晴らしかった。中潟氏が80年代に活動していたプログレッシヴ・ロック・バンド「アクアポリス」のメンバーが勢揃いしていてさらにビックリ。バンドメンバーはAQUAPOLISの歴代メンバー+αで、中潟氏(kbd)、桜井良行氏(b)、三苫裕文氏(g)、竹迫一郎氏(ds)、川上達朗氏(ds)、菅野詩郎氏(ds)、なかやまらいでん氏(vo)。ドラムが三人入れ替わるという変則的ライヴでした。

 1曲目は「サンダーセプター」メドレー。竹迫氏が数十年前に使っていたというシモンズのドラムも登場。2曲目の"Day Break"はなんと新曲。ドラムはアクアポリスの二代目ドラマーの川上氏に交代。共にバリバリのインストハードフュージョンでした。3曲目は、フォークシンガー志望だったというナムコの小野浩(Mr.ドットマン)氏に中潟氏が曲を書き、弓達公雄氏(ワンダーモモのプログラマー)が歌詞を書いたというフォーク・ソング(タイトル失念)。一転して70年代ムードに。当初は小野氏本人がステージに立って歌う予定だったそうですが、本日は仕事の都合により来られないとのことで、なかやまらいでん氏が代役としてヴォーカル参加。なかやま氏、さすがの美声でした。ラストの4曲目は、1988年のラジアメ企画でのライヴ以来となる 「源平討魔伝」メドレー。三人目のドラマーはなんと、ネガスフィアやKBBなど数々のプログレバンドでプレイされている菅野詩郎氏。非常にパワフルな長尺メドレーでした。




 そして、スーパースィープの人から、源平討魔伝30周年記念CDがリリースされ、今度刊行される徳間書店の〈GAMEgene〉第三号に中潟憲雄氏と高橋由起夫氏の対談が収録されるとのアナウンスがあり、また、会場で配布されていたフライヤーには「作曲家・中潟憲雄によるバンド「AQUAPOLIS」によるアレンジバージョンが収録決定!」とあり、さらに衝撃でした。アクアポリス復活!

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 会場で購入した中潟氏のCD『仮免ライダー クロノス ORIGINAL FICTION PICTURE SOUNDTRACK』は、お蔵入りになったというスマホ用ゲームのBGMが収録された一枚。源平討魔伝や超絶倫人ベラボーマンで聴かせた中潟節はもちろん健在で、地続きであり地平の先のサウンド。ヴォーカル入り主題歌もふくめて再構成した「完全版」を出す予定があるとのことなので、楽しみです。

 ちなみに、中潟氏のアクアポリスの80年代の活動については、以前ブログに書きました。
『源平討魔伝』『暴れん坊天狗』の中潟憲雄氏が80年代に率いたプログレッシヴ・ロック・バンド「AQUAPOLIS」の軌跡

  アクアポリスの80年代の楽曲が唯一CDで収録されているコンピレーションアルバム『伝説の彼方~東京シンフォニック・シンドローム』 (1994)に同じく収録されていたバンド GREENのドラマーが菅野氏でした。また、竹迫氏、三苫氏、桜井氏はアクアポリスの活動休止後にNOAというジャズ・ロック・バンドでしばらく活動されていたのですが、こちらも近年、復活を果たしております。再編NOAには、PRISMの現キーボーディストであり、作編曲家の渡部チェル氏もメンバーとして名を連ねております。




▼菊田裕樹 / ANGELICFORTRESS LIVE
(2/25 17:15~)


 菊田氏の朗読による楽曲コンセプト・ポエムのあとにバンド(ANGELICFORTRESS)の演奏が繰り広げられるという構成。リハーサルはほとんどなしのぶっつけ本番だったそうですが、技巧派メンバーによるバンド演奏の醍醐味たっぷり、恐ろしい強度と熱量を誇る手に汗握るパフォーマンスでした。ラインナップは菊田氏(poem)、佐々木秀尚氏(g)、小林修己氏(b)、大沼あい氏(kbd)、今井義頼氏(ds)。最新アルバム『TRISMEGISTUS』からの選抜メンバーです。

 今井義頼氏は数々のアーティストやバンドのセッションに参加されているほか、佐々木秀尚氏と共に「有形ランペイジ」のメンバーでもあります。小林修己氏はグルーヴィーな技巧派バンド GRAVITATIONAL FORCE FIELDでも活動中。2014年にミニアルバムを出されています。大沼あいさんはツインキーボード・デュオ NEO-ZONKで2015年にアルバムを出されており、軽やかで変幻自在なセンスが味わえます。

 演奏曲は"Dark Schizopherenia" "Energy Blaster"の二曲。朗読されたイメージポエムは、前者が「孤島」「天然の要害」、後者が「血のさだめ」といった感じでした。前回の東京ゲーム音楽ショー2016での菊田&佐々木デュオでのパフォーマンスも凄まじかったのですが、今回さらに技巧派揃いのフルバンドライヴになったことでさらに手に汗握る醍醐味がアップ。今井氏のドラムは手数が多い上に一音一音が重くて、生で聴いてとんでもなくパワフルでした。"Energy Blaster"での各パートのソロの応酬も圧巻の一言。



『ANGELICFORTRESS TRISMEGISTUS』は2083オンラインショップで販売中。また、ANGELICFORTRESSの1stアルバム『Angelicfortress』(2015)と、2ndアルバム『DOUBLE HELIX』(2016)は先ごろ菊田氏の公式bandcampアカウントでデジタル配信が開始されています。