2017年2月15日水曜日

高経験値に裏打ちされた、骨太の歌ものメロディック・ロック ― SEMISTEREO『Trans Earth Injection』(2017)

Trans Earth Injection
Trans Earth Injection
posted with amazlet at 17.02.15
FREIA Music (2017-02-09)


 古くよりファン活動が盛んであり、イギリスのネオ・プログレの薫陶を受けて多くのメロディック・ロック系バンドがデビューし、マルチな才能を発揮するポップ・ミュージシャンも次々と輩出。また、アルイエン・ルカッセン率いるAYREONはいまや本国で圧倒的な人気を誇り、世界的に押しも押されぬプログレッシヴ・メタル・プロジェクトにまで成長するなど、オランダのシーンは長きに渡って活況を呈しております。同国の中堅であるKNIGHT AREAやTHE AURORA PROJECT、ネオ・プログレ影響下にあるチリのバンド AISLES、セバス・ホーニングやジュースト・マグレヴといったマルチミュージシャン、ゲスト大量招聘型のプロジェクト ALARIONなどを抱える「FREIA MUSIC」は、そんな同国のシーンで最近グイグイきているレーベルのひとつ。そして、同レーベルと最近契約を交わしたバンドが、今回紹介するセミステレオです。2006年に結成され、これまでにレッチリやリヴィング・カラー、MARILLIONやRIVERSIDEなどの前座を務めてきたほか、『As The Pressure Drops』(2007)、『Re-Ignite』(2015)の二枚のEPと、『Welcome, You Knight!』(2009)、『Semistereo』(2012)の二枚のアルバムをリリースしています。

 SEMISTEREOのサウンドはポストロック、ポストメタルからの影響を昇華したオルタナ・プログレであり、アメリカのA Perfect CircleやイギリスのOCEANSIZE、ポーランドのRIVERSIDEなどが引き合いに出せそうですが、各メンバーはミクスチャーバンド T-NailedやTree Funk Concept、ロックバンド Salty Cheek、プログレッシヴ・メタル・バンド A Day's Work、テクニカル・デスメタルバンド Apophysなどでも活躍しており、各人の経験値の高さもポイントでしょう。ヴォーカルのポール・グランドルフはアルイエン・ルカッセンのライヴメンバーでもあります。ロケットエンジンを大写しにしたジャケットも鮮烈な本作『Trans Earth Injection』は、前作から曲数をさらに絞った全7曲。インストパートも充実した10分越えの"The Search" "Sin"、シネマティックな演出やホーンセクションを交えたポストロックチューン"35 Dollar Special"を配しつつ、じっくりとした作り込みの歌ものに磨きをかけた一枚。"Loneliness At The Door" "Your Drama"は丁寧に塗り重ねていくかのような展開で静かなるドラマを味わわせてくれる、本作の精髄ともいえる骨太の楽曲です。ミキシング/マスタリングはTEXTURESの元ギタリストであり、EPICAやCIRRHA NIVAやIzegrimなど、本国の数多くのバンドを手がけるヨッヘム・ジェイコブズによるもの。







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