2017年2月6日月曜日

メロディ際立つ、キャリア初の歌ものアルバム ― Cody Carpenter『Alternate Universe』(2017)




 昨今、本格的な音楽活動を展開している父 ジョン・カーペンターのサポートメンバーとして各国をめぐるかたわら、自身も精力的なソロ活動でコンスタントなリリースを続けるコンポーザー/ミュージシャン コディ・カーペンターの通算五作目となるアルバム。今回はシンセプログレユニットのLudrium名義ではなく、コディ・カーペンター名義でのリリース。自らがヴォーカルもとる、キャリア初の歌ものアルバムとなっています。これまでの作品でもシンセウェイヴ寄りのアプローチを展開しておりましたし、フランスのシンセウェイヴレーベル LASERDISCS RECORDSのコンピレーションへの楽曲提供や、イタリアのエレクトロユニット CONFRONTATIONALのアルバムへの客演などもありました。それらの活動を踏まえた上での、満を持しての一作です。マスタリングは前作『Through Sentinent Eyes』に引き続き、LASERDISCS RECORDSの筆頭アーティストであり、プロデューサーであるAbsolute Valentine。持ち前のニューロマンティック、ポップ・プログレのエッセンスもさることながら、太く煌びやかなシンセとシンプルなヴォーカルラインのマッチングは、身をゆだねたくなる心地よさ。ヴォーカルが入ったことでメロディのよさが改めて光っており、80年代のスウィートな旨味そのままに、AORサイドにも接近した好内容です。"Waiting For That Day" "Together"はその最たる一曲。ソフトなメロディにヴォーカルが寄り添う"A Note"は、彼のGENESIS愛もしたためられた一曲。途中のメロディラインにニヤリとさせられる「くすぐり」があります。

 一方で、Ludriumとしての新作アルバムを現在鋭意制作中であり、ゲストミュージシャンとしてYELLOWJACKETS、JING CHIなどの活動や、トミー・ボーリン、アラン・ホールズワースなどとの共演で知られるベーシストのジミー・ハスリップや、オーストリア/イタリア系シュレッドギタリストのP・J・ディアトリ、そして「シークレットゲスト」としてスペシャルなドラマーが参加予定とのこと。


「Interview : Cody Carpenter」
(from DriveRadio|2017.01.15)

「A New Kind of ‘Carpenteresque’」
(from vehlinggo|2017.01.20)


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受け継がれる音楽的遺伝子。ジョン・カーペンターの息子コディ率いるプログレッシヴ・ロック・バンド ― Ludrium『Zeal』(2012)

ゲーム音楽、フュージョン、プログレの折衷をより推し進めた、コディ・カーペンターの二作目 ― Ludrium『Pleasure of a False Past』(2015)

コンスタントなリリース、コンパクトなグッドメロディ ― Ludrium『Unity』(2016)

今年第二弾のソリッド・プログレ・フュージョン ― Ludrium『Through Sentinent Eyes』(2016)