2016年3月19日土曜日

音の渾沌が全てを呑みこむエピックプログレッシヴメタル ― Mysterious Priestess『夢国ノ義士』(2015)

夢国ノ義士
夢国ノ義士
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MYSTERIOUS PRIESTESS
KICKSTART RECORDS (2015-08-05)
売り上げランキング: 82,171


 日本のハイブリッド・プログレッシヴ・メタル・バンド Mysterious Priestess。2010年に結成され、2012年にアルバム『Agency of Fate』でデビュー。その後、2013年に「Metal Battle Japan」で優勝を果たし、世界有数のヘヴィメタルフェス「ヴァッケン・オープン・エア」へ出演。さらにアメリカのThe Facelessのワールドツアーに帯同する形で台湾ツアーを行うなど、飛躍の年とします。その勢いのまま、二作目となるアルバムのレコーディングに突入。フロントマンである小金丸慧(g, vo)を筆頭に、山田友章(g)、藤岡久瑠実(kbd)、秋元修(ds)のラインナップのもと、2015年の夏に満を持してリリースされたのが本作『夢国ノ義士』。日本神話をベースとしたコンセプトはそのままに、シンフォニック・メタル、メロディック・デスメタル、プログレッシヴ・メタルをぶつけ合い、さらにポストロック、ニューエイジ、コンテンポラリージャズなどの要素も流し込まれた、まさに「渾沌」と形容するにふさわしい音楽性はさらに拡大の一途をたどっており、どこまでもスケールを押し広げるような姿勢は圧倒の一言です。

 メンバーそれぞれの音楽的影響元は、一部重なりあいながらも、異なる色合いをみせており、バンドのユニークな音楽性を裏づけてもいます。ライナーノーツのメンバープロフィールでは、小金丸氏はWINTERSUNやENSIFERUMなどのヴァイキングメタルを、山田氏はCYNICやMESHUGGAHなどのエクストリーム・プログレッシヴ・メタルを、藤岡さんはMr.SiriusやKENSOなどのプログレッシヴ・ロックを、秋元氏はティグラン・ハマシアンや菊地成孔などの新世代ジャズを挙げております。また、小金丸氏と藤岡さんの二人は植松伸夫氏の名前も挙げており、ゲームミュージックからの影響もやはり強いのだなと納得いたしました。ちなみに藤岡さんは、「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE」「新次元ゲイム ネプテューヌVII」の一部楽曲にヴォーカルやアレンジャーとして参加されており、プログレッシヴ・ロック・バンド Mr.Siriusの元メンバーにして、現在は植松伸夫氏率いるEARTHBOUND PAPASに在籍されているドラマーの藤岡千尋氏の娘でもあります。





 アルバムは、音響的趣向と民謡的なヴォーカリゼーションによる"開闢""終焉"をイントロダクションとエンディングに配し、「ロールプレイング・ゲームのような雰囲気」(小金丸氏インタビューより)をもった冒険活劇世界を展開する全7曲。ヴァイオリンやフルート、ヴォーカリゼーション/モノローグも交えたポストロック調の"産霊ノ追憶"はツインドラム編成(O.P.P.A.I.の伊吹文裕氏が参加)での録音でもあり、終盤ではアンサンブルが一気呵成とばかりに爆発します。"満願ノ夜明"はグロウルと大仰なオーケストレーション&コーラスで大上段に突き抜け続ける勇壮な一曲。10分を越えるタイトル曲"夢国ノ義士"はプログレッシヴ・ロックを明確に意識した、浮遊感と叙情性の強い大曲。終盤の二曲は、メロトロンサウンドと和の旋律を大々的にフィーチャーした"八岐ノ大蛇"と、万感のこもったサビの爆発力がすさまじい"草薙ノ剣"。ハッと目の醒めるような美しさも伴ったダイナミックなキラーチューンの連発で、ガッチリとつかんで離しません。

 本作リリース後のバンドの動向ですが、全15都市ツアー後、2015年12月をもって山田氏が脱退。後任に國武晏吏氏(ex.isolutions、Cyclamen[support])が迎えられております。また、今年3月頭には、ミストウォーカー開発のスマートフォンアプリRPG「TERRA BATTLE(テラバトル)」のクエスト「囚われのゴーレム」の"夢国ノ義士"がタイアップ曲として使用され、間をおかずして、各国のiTunes Storeでのアルバムの配信も始まりました。今後のさらなる活躍から目が離せません。





Interview:Mysterious Priestess
(from 激ロック|2015.08.08)

http://mysteriouspriestess.web.fc2.com/
https://www.facebook.com/MysteriousPriestess/

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