2015年8月8日土曜日

ニンジャが聴いて殺す! ワザマエなコンピレーション ―『ニンジャスレイヤー フロムコンピレイシヨン 忍』(2015)

ニンジャスレイヤー フロムコンピレイシヨン「忍」
大沢伸一 Boris Melt-Banana THE PINBALLS 8otto 6EYES ELECTRIC EEL SHOCK
キングレコード (2015-07-22)
売り上げランキング: 100



 放送直後から戸惑いと衝撃込みでファンやニュービーの注目を集めているアニメイシヨン版「ニンジャスレイヤー」。かくいう自分も当初はニンジャリアリティショックめいた情緒不安定状態に軽く陥りましたが、いまではなんかもう、慣れました。慣れコワイ。エンディングテーマに毎回異なるバンドを起用するという、ヘタするとアニメ本編よりこっちにお金がかかっているのではないかという大胆な趣向も大きく注目されました。本CDは、11のバンド/アーティストによる第一話から第十二話までのタイアップ曲と、MONDO GROSSOの大沢伸一氏による本編BGM 8曲をボーナストラックとして併録したコンピレーションアルバムの第一弾。選曲にはボンド&モーゼズの原作者コンビと、ほんやくチームの音楽的嗜好が遺憾なく発揮されており、BorisMelt-Bananaを筆頭に、刺激と才気ほとばしる気鋭ぞろい。日本以上に海外で高い評価を得ているバンドが多数名を連ねているところもポイントです。バンド側もニンジャスレイヤーの世界観に沿った楽曲を提供しており、見事なハマリ具合をみせています(borisのアツオ氏やTHE PINBALLSの古川氏など、バンド側に重篤なニンジャヘッズがチラホラといるあたりも、良好な化学反応に拍車をかけています)。





 ヘヴィ・ロックにとどまらず多彩な音楽性を呑み込み、ますますの邁進をみせるBorisは二曲提供しており、"キルミスター"は、Motörheadのレミー・キルミスターへのリスペクトも込めた轟音爆走チューン。また、アニメ本編のセリフやSEがガンガンに挿入された"Aurashi No Ken"は、チャドーの奥義であり、処刑必殺技(by ほんやくチーム)である「アラシノケン」をイメージした骨太ストーナー・ロックで、まさに「キラーチューン」です。同じく、海外で圧倒的な支持を得ているMelt-Banana "HALO OF SORROW"は、電子音と爆音とノイズが渾然一体となったトルネードサウンドが襲い来るウルトラファストな一曲。ちなみに同バンドのアニソンタイアップは、10年ほど前にカートゥーンネットワークのAdult Swimで放送されたパロディアニメ「Perfect Hair Forever」のオープニングテーマ"Hair-Cat (Cause the Wolf is a Cat!)"以来となります。「アイエエエエ!!」のシャウトも飛び出すTHE PINBALLS "劇場支配人のテーマ"は、ストレートなガレージ・ロックンロール。寂れた劇場の人々をテーマとした詞から滲み出る「もう後に退けない焦燥感」が素晴らしく、これが忍殺世界との絶妙なマッチングをみせています。8otto "SRKEEN"はダンサブルなギターロック。奇しくもバンド側がシュリケンをテーマにした曲を書いていたところにタイアップの話が来たという実にグッドタイミングな流れがあったとのこと。6EYES "Radio"は既存曲をアニメ用にリ・アレンジしたもので、オリジナルは2011年リリースのアルバム『Flush』に収録されています。虎視眈々と狙いをつけるかのような不穏な前半から最終的にサイケデリック・プログレめいた長尺のソロパートへと突入する、熱に浮かされたかのような曲展開が聴きもの。Electric Eel Shock "NINJA SLAYER"はラフなヴォーカルと轟音ロックンロール。シンプル・イズ・ベストな一曲。依頼を受けたときにはスケジュール的にかなり切羽詰っていたようですが、ケツに火がついてる感が出ててよいと思います。

 大沢伸一氏による"Ninja Prayer"は、YMOの"Firecraker"や坂本龍一の"The End of Asia"も想起させるトロピカルで多幸感あふれるエレクトロ・チューン。一方、BGMは猥雑としたネオサイタマのイメージを投影したテクノ・トラックから、"UNDERGROUND" "Crystal"のようなサスペンスムービー調の張り詰めたトラックまで、淡々としながらも躁鬱の気がある仕上がりです。taffy "SUICIDAL BUNNY"は、グランジ/シューゲイズ色濃厚なバンドサウンドと、フワっとしたキュートな女性ヴォーカル、この不思議なマッチングがクセになります。80kids "HIDE"はサイバーパンク感あふれるヘヴィなエレクトロ・チューンで、バリバリに効いた重低音の抜けのよさも相まって、とんでもなくキャッチー。Sawagi "JAG JAG"は、彼らが2015年初頭にリリースしたアルバム『Starts to think?』の収録曲を別ミックスで提供したもの。手数の多さ、音の厚みに反して聴き心地は非常に爽やかなシューゲイズ・チューン。どこかキーボード/シンセサイザー・プログレめいた感触もあり。skillkills "NEO CYBER MADNESS"は、忍殺原作の符丁を散りばめた上で韻も踏むワザマエな趣向のリリックもさることながら、雑食性の高いヒップホップ・バンドというだけあって、バックのトラックも相当にネジくれたアレンジが施されています。


ほんやくチームによるコンピレイション収録曲解説(「ザ・TVショウ」#15)



 「ニンジャスレイヤー」のアニメイシヨンや原作小説を知らないリスナーにもアピールできる内容になっており、サイケデリック・ロック、ヘヴィ・ロック、オルタナティヴ・ロック、エレクトロ、ヒップホップなどの多種ジャンルを十二分に堪能できるショウケースとしても極上のセレクションです。もちろん、原作やアニメを知っていれば格段に楽しいのは言わずもがな。アニメイシヨンの第十三話以降では、Drop's赤い公園TK from 凛として時雨GEEKS、そして七月末に結成されたばかりのMINE(FRONTIER BACKYARD、band apart、MOP of HEADのメンバーらによるバンド)の楽曲が起用されており、第二弾のコンピレーションアルバムにも強い期待が寄せられます。


http://ninjaslayer-animation.com/


Boris - Official Site
Melt-Banana - Official Site
THE PINBALLS - Official Site
8otto - Official Site
6EYES - Official Site
ELECTRIC EEL SHOCK - Official Site
Shinichi Osawa - Official Site
taffy - Official Site
80KIDZ - Official Site
Sawagi - Official Site
skillkills - Official Site


「ニンジャスレイヤー」サントラへと続く和楽器ハード・ロックの太き血脈

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