2012年12月23日日曜日

Diablo Swing Orchestra『Pandora’s Pinata』(2012)

Pandora's PinataPandora's Pinata
(2012/05/22)
Diablo Swing Orchestra

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 悪魔的スウィングで聴くものを熱狂の渦へといざなうスウェーデンの大所帯アヴァンギャルド・メタル・バンド ディアブロ・スウィング・オーケストラ。驚愕の前作『Sing-Along Songs For The Damned And Delirious』から、3年ぶりにブチかまされる3rdアルバム。スウィング度大幅アップ、ゴキゲン目盛りがさらに振れ、猥雑と混沌と狂騒のカーニバルはさらに領域を拡大してとどまるところを知らず…本作の第一印象はまずそんなところでした。ディズニー映画「アラジン」の大仰でめまぐるしいミュージカル・シーンもかくやと言わんばかりのアッパーなドライヴ感でオープニングを景気良く飾る「Voodoo Mon Amour」で否応なくテンションがダダ上がり。アンルイス・ルーグルンド嬢のヒステリックに迫るオペラティックなヴォーカルはやはりトラウマものです。ホーン・セクションとへヴィなギターの喧しいタテノリアンサンブルの破壊力はバツグン。子供(?)のコーラスまで喧しく飛び出してくる「Black Box Messiah」、エスニックなムードのヘヴィ・メタル……という形容で終わるかと思ったら後半からやりたい放題やりだす「Mass Rapture」なんて曲もあったりして、肝を冷やされます。

 しかしそれだけにとどまりません。ラテンなノリのヘヴィなブラス・ロック、胡散臭さと哀愁の香る奇っ怪な歌謡曲、ストリングスが妖しく奏でられる純粋なインスト、ソプラノ・ヴォーカルをメインとした美麗な歌曲、などが合間合間に挟まれ、前作以上に増えた楽曲のヴァリエーションがアルバムのカラーをさらにケッタイなことにしております。後半の楽曲もクセもの揃いで、ぶっきらぼうに叩きつけられるかのようなヘヴィなアンサンブルで圧殺……するかと思えばダニエル・ハッカンソンおじさんの微妙にヨレたヴォーカルがストリングを伴ってほのかに哀愁を漂わす、何とも情緒不安定な妙味を感じさせる「Exit Strategy of a Wrecking Ball」。リズム隊がファンキーに跳ね、ブラス隊がここぞとばかりに伸び伸びと活躍する「Honey Trap Aftermath」。トドメは、チェンバー・ロック→ブラス・ロック→ヘヴィ・メタル→ブレイクビーツという楽曲展開に完全に意表を突かれる「Justice for Saint Mary」。大人しく終わってくれるのかと思って安心していたら、とびっきりの悪意をぶつけられて終わるので、最後まで気が抜けません。しかしこのビックリ箱のような趣向は楽しいことこの上ない。しかも、これだけエグいことをやりまくっておきながら、不思議と聴き疲れしないのは、ひとえにこの絶妙な楽曲構成でもあると思います。出オチ一発ネタというもので終わらせない勢いもあるし、エンターテインメント性バツグンの多様なごった煮サウンドもお世辞抜きで十分魅力的。本作で彼らの懐の深さを見せられた気がします。是非とも来日してそのパフォーマンスを存分に見せつけてほしい。



Diablo Swing Orchestra『Sing-Along Songs For The Damned And Delirious』(2009)
Diablo Swing Orchestra:公式

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