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2016/11/10

フランス発ジャパニーズ不良スタイル学ランメタルコア北極星団 ― RISE OF THE NORTHSTAR『Welcame』(2014)



 2008年に結成されたフランスのバンド ライズ・オブ・ザ・ノーススター (RoTNS)は、SUICIDAL TENDENCIES、RAGE AGAINST THE MACHINE、MACHINE HEADなどのバンドや「北斗の拳」「ろくでなしBLUE」「ビー・バップ・ハイスクール」「GTO」「スラムダンク」などの往年の日本の少年漫画からの強い影響下にある“ジャパニーズヤンキースタイル短ラン&ボンタンミクスチャーメタルコアバンド”。すでに情報過多もいいところですが、桜木花道 meets ろくでなしBLUES meets ドラゴンボールなキャラクターが殴りかかっているアルバムジャケットからして相当なもんです。まさに属性の暴力。イタリアにはベルセルクにリスペクトを捧げたパワーメタルバンド(解散)や、北斗の拳が好きすぎるあまりアルバム一枚丸ごと北斗の拳コンセプトでつくってしまったヘヴィメタルプロジェクトが存在しますが、北斗の拳が好きすぎて北斗の拳にちなんだバンド名を冠したメタルコアバンドが出てくるフランスも相当なもんです。極まれり。






 2009年に5曲入りEP「Tokyo Assault」でデビュー。"Abel Versus Phoenix"(聖闘士星矢)、"Rookies"(ROOKIES)、"Raoh Gaiden"(天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝)といった曲でシーンに登場した彼らは、その後、2011年の東日本大震災に際して、「聖闘士星矢」にちなんだベネフィットソング"Phoenix"をリリースし、収益を日本赤十字に寄付。同年後半には大規模なヨーロッパツアーを成功させ、翌 2012年には二枚目のEP「Demonstrating My Saiya Style」をリリース。Clandestine Projectから国内盤(「Tokyo Assault」とのカップリング二枚組)が発売され、8月にはRoTNSでの念願の来日公演も果たしました(ちなみに日本へはそれ以前に何度も来ているそうな)。2014年1月にフェス出演で再来日。11月には待望の1stアルバム『Welcame』をドイツの大手メタルレーベル Nuclear Blastからリリース。帯や日本語解説のついたステッカーが貼られており、一見して国内盤に見える仕様。PVでもマメに日本語字幕をつけている彼らの粋なこだわりがここでも凝らされています。その後、2015年8月にワーナーミュージックから国内盤が発売。10月にレコ発日本ツアーを行い、現在に至ります。


ウェルケイム
ウェルケイム
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ライズ・オブ・ザ・ノーススター
ワーナーミュージック・ジャパン (2015-08-19)
売り上げランキング: 106,766



 オールドスクール/ニュースクール メタルコア、スラッシュメタル、ヒップホップをハイテンションにミックスさせつつ、少年漫画のスピリッツを体現した歌詞もろともストレートにブッ込んでいくサウンドはまさに「先手必勝」。実に脳にいい。黄昏たイントロから一気呵成に雪崩れ込むオープニングトラック"What the Fuck"の「ご挨拶」感。サビでの「サ サ サ サ サ サムライスピリッツ!!!」のシャウトが一度聴いたらこびりついて絶対にはなれなくなる"Samurai Spirit"。イントロでとなりのトトロのイントロのオルゴールアレンジを流したかと思いきや、気合一閃で圧殺リフで殴りこんでくる"Again and Again"や、「ゴラァ! コノヤローンナローコノヤロー!」「死ねやぁッッ!」のカットイン込みで暴走キメる"Bosozoku"の抱腹絶倒感。シングルリリースもされた"Simon Says"は、ファロア・モンチが1999年にリリースした、ゴジラのテーマのサンプリングでも知られる同名トラックのカヴァー。数分間のブランクののちに黄昏たギターソロのアウトロで〆る"Blast 'Em All"の途中で挿入される「俺はグレてもいねーし ひねくれてもいねぇ 俺は不良なんかじゃねーし 悪党でもねえ――」のセリフは、「クローズ」第1巻の坊屋春道のそれです。「フリースタイルダンジョン」や「HiGH&LOW」の躍進めざましいここ一、二年の日本国内シーンとの共鳴もイケると思うのですが、いかがでしょう。





http://www.riseofthenorthstar.com/
https://www.facebook.com/rotnsofficial
https://www.youtube.com/user/RiseoftheNorthstar
http://wmg.jp/artist/riseofthenorthstar/



インタビュー:自分の国の文化に誇りを持ち続けてほしい――日本を愛するフランス産“不良”集団、RISE OF THE NORTHSTAR
(from CDJournal|2014.03.24)

INTERVIEW RISE OF THE NORTHSTAR
(from 激ロック|2015.08.17)

2015/11/22

全裸齧歯男性の猛威!! 変態スラッシュ・ポップ from チェコ ― Hentai Corporation『The Spectre Of Corporatism』(2013)

【無修正あり】チェコの変態バンド
Hentai Corporationの新曲PVがHentaiすぎる
(from 今私は小さな魚だけれど)
http://sciandeng.blog38.fc2.com/blog-entry-639.html







 そのあんまりなバンド名と強烈な内容のPVから以前より局部、もとい局地的に話題となっていた、チェコ・プラハのアヴァンギャルド・ポップ・バンド Hentai Corporation。2005年に結成され、2006年と2008年にデモ音源「Mufta Demo」「Fuck You Like a Chameleon」を、2011年に4曲入りEP『Dokktor.Zaius』、2012年にシングル「Neurol Machine」をリリース。そして2013年に『The Spectre Of Corporatism』で待望のアルバムデビューを果たした彼らは、本国でのライヴ活動や同郷のアーティストとのコラボレーションを活発に行いながら、現在も精力絶倫な活動を繰り広げています。





 ヘンタイの伝道師である彼らはYouTubeアカウントのみならずbandcampアカウントでも自らの音源を啓蒙しております。以前は『Dokktor Zaius EP』しか置いてありませんでしたが、さる9月に『The Spectre Of Corporatism』の音源もあがりました。$10よりダウンロード購入も可能。まことに嬉しいことです。まさに変態的朗報。正式なアルバムタイトルは『The Spectre Of Corporatism: Starship Shaped Schnitzels From Planet Breadcrumbs Are Attacking A Giant Tree Monster Who Has A Vagina And Holds Hitler Hostage』(コーポラティズムの幽霊:パン粉惑星からの宇宙船型シュニッツェルはヒトラーを人質にしたヴァギナつき巨木モンスターを攻撃中)。つまりジャケットの通りです。あんまりにもタイトルが長いので、iTunesではガッツリ省略されて『Tsocsssaaagtmwhvahhh』になってます。字面だけだとVOIVODの『Rrröööaaarrr』みたいですね、なんて。なお、こちらでは1200円で購入可能です。
https://itunes.apple.com/jp/album/tsocsssaaagtmwhvahhh/id821937939





 スラッシーでトリッキーなリフに、ポップでキャッチーなシンセの味付けを施したケッタイであり痛快なサウンド。バンドのヴォーカリスト Radek Škarohlídの歌い回しも実に怪人といった印象で、シャウトの合間にニタニタ笑いを浮かべているかのようなパフォーマンスは、正しくへんたいのおじさんです。しかし、ねじ伏せるヘヴィネスとキッチュなセンスの融合を見事に果たしており、ただただキワモノを演じているわけではないというのはサウンドを聴けばおわかりでしょう。こういうバンドは生半可な実力ではやれないと、太古の昔より言い伝えられており、彼らのライヴパフォーマンスも実に堂に入ったものです。サウンドの性交、もとい性向から、マイク・パットンのMr.BungleやFaith No More、北欧のジャンル越境異能集団 Waltariなどのバンドと比較したくなるのも包皮が痛いほどよくわかります。フルチン! ビーバー! 大虐殺!な"Equilibristic Brides"のPVはYouTubeにはちんこ修正版であがっていますが、vimeoにはちんこ無修正版であがっているというユーザーフレンドリーさにも亀頭が下がります。しかし無修正版、容赦なくプラプラするちんこにいくらモザイクをかけたところで余計卑猥にしかならないというコペニスルク的転回を皮肉にも(?)果たしておりますね。下は、同じくチェコのクロスオーヴァーメタルバンドであるAtari Terrorとコラボした"No More Love"のPV。EP『Dokktor.Zaius』のオープニングトラックです。ツインヴォーカルでの掛け合いといい、フックのある展開といい、めちゃカッコイイです。





 チェコ本国の音楽チャンネル「Óčko」のプログラムに、Hentai Corporationが出演した回。YouTubeにアーカイヴされております。メンバーへのインタビューとか、例のPVとかへの言及とか。




https://www.facebook.com/hentaicorp
https://www.youtube.com/user/HentaiCorp
http://bandzone.cz/hentaicorp


《おまけ》



2015/09/23

爆走サウンドと享楽的チップチューンのジャンクな悪魔合体 ― Go:Eskimo『The Mythical Forest Zone』(2015)





 カリフォルニアのニンテンドーコア・ユニット Go:Eskimoは、2006年から2009年にかけて活動していたエクスペリメンタルなサイバーグラインドコア・ユニット Sea Anemone See's An Enemy (SASAE)のナードなフロントマンであったSkylah Pendallが率いるプロジェクト的ユニット。EPやアルバムでは別にギタリストやキーボーディスト/プログラミング担当が参加するという活動形態で、これまでにEPやスプリットアルバムへの参加のほか、2Dアクションフリーゲーム「Flagman」や、「MOTHER」シリーズをオマージュしたデザインのインディーRPG「R.A.D.S」(現在制作中?)にサウンドトラックを提供してもおります。特に「MOTHER」シリーズへの敬愛は深く、ユニットのbandcampアカウントでは同作へのオマージュを込めたトラックをリリースしております。『Condom:Squid』というタイトルの1stアルバムを2012年8月にリリースする予定だったそうですが、何らかの事情で現在も延期中。今後のリリース予定には「MOTHER」や「ポケットモンスター」をコンセプトにしたアルバムもあるようですが、そちらもいつごろのリリースになるのかは不明です。




 本作『The Mythical Forest Zone』は、さる9月14日付けでリリースされたインストゥルメンタル・アルバム。今後ヴォーカルを入れる予定があるのかは不明で、デビューアルバムがペンディングという状況のなかでこのアルバムがどのようなポジションにあるものなのかもいまひとつよくわかっておりませんが、初代ポケモンのシオンタウンのBGMを取り込んだ"House Of Mammaries"や、初代メトロイドのメインテーマを取り込んだ"SR388"なども交えながらの、ブラストするエモい爆走サウンドと享楽的チップチューンの悪魔合体による、ナードでジャンク上等な1~2分程度の楽曲群は勢いで聴かせる魅力たっぷり。アルバムのダウンロードは$5より。また、ボーナストラックとしてヴォーカル入りのライヴトラック(いずれも「MOTHER」モチーフ)が5曲収録されています。


http://goeskimo.wikia.com/wiki/Go:Eskimo_Wiki
https://www.facebook.com/GoEskimo
https://soundcloud.com/GoEskimo

2010/11/10

巨乳まんだら王国『王国民洗脳教育セット』(2004)

王国民洗脳教育セット


 イコマノリユキ教祖と愉快な仲間達による変態ロックバンド 巨乳まんだら王国の1stフルアルバム。変態は変態でもテクニックが変態という意味ではなく、スタイルと精神性がド変態という意味で。もはやコミックバンドというより下ネタバンドと言った方がいいほど歌詞は下ネタオンパレード。蟻の門渡りなんて単語も飛び出す「タマキン体操」はいろんな意味で衝撃だったというか、これには本気でホンマもんのアホ(誉め言葉)と言いたくなりました。伊達に教祖は嘉門達夫やおかげ様ブラザーズ、爆風スランプ、米米CLUBをフェイバリットに挙げてねーなというか、これらの方々の持っていたしょーもない(誉め言葉)部分をよくもまあここまで受け継いだもんだなーと思うことしきり。改めて聴き返してみると、マイク・パットンのMr.Bungleにも相通ずるところがあるなあ、とも。

 ワザとやってんだか天然なんだか曖昧なラインでぶっ放すしょーもなさとアホらしさの徹底ぶりが琴線にハードヒット。また、楽曲アレンジが多彩かつ秀逸なのもこのバンドのもうひとつの魅力、アルバムの殆どの楽曲の作曲を手がけるゴリ国王(現在は隠居中)の懐はメタルからパンク、ファンク、テクノまで広い。ややジェイムズ・ヘットフィールド似の教祖の声を生かしたMETALLICA節炸裂のメタルナンバー「ちん毛」を皮切りに、勢いに任せて己のチンコを嘆くヘヴィ・ロック・チューン「割礼カレー」、小粋かつ軽快なファンク・ナンバー「69」(ちなみに、この2曲にベースで参加しているのはマキシマムザホルモンの上ちゃん)、メンスの悩みをキャッチーなイントロやサビのメロディに載せてエモーショナルに歌い上げる「メンス24」、その他「彼女はCm」「恋列車2004」「ホルスタイン」など、イヤでも耳を引く聴き応えのあるナンバーがズラリ。一方で前述の「タマキン体操」のようなグダグダも辞さないネタ/コント曲も多数盛り込まれており(例:渋滞情報、コンドームの使用法読み上げ、四十八手連呼)、アルバムの楽曲配置は地雷源そのもの、その混沌ぶりがまたよろし。ラストは大合唱の「国歌斉唱」でキレイにシメられますが、ここにはマキシマムザホルモン、花団、セックスマシーン、サンボマスターなど、巨まんと交流の深いバンドの面々が参加しております。改めて聴いても喰えねえアルバム、迷盤であり珍盤。






「王国民洗脳教育セット」:試聴
巨乳まんだら王国:Wikipedia
巨乳まんだら王国:公式

2010/07/24

kamomekamome『Happy Rebirthday To You』(2010)

Happy Rebirthday To You
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KAMOMEKAMOME
SPACE SHOWER MUSIC (2010-06-02)
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 元ヌンチャク~ダッフルズの向達郎氏率いる千葉県柏シティのプログレッシヴ・ハードコアバンド kamomekamomeの2年半ぶりとなる3rdアルバム。ベーシストの上沼靖彦氏が脱退、オリジナル・メンバーでもあった中瀬賢三氏が復帰した本作は、前作『LUGER SEAGULL』同様40分未満のコンパクトなヴォリュームですが、煮詰められたような濃さは依然健在。根っこの部分はハードコアでありながら、Meshuggahばりの変拍子プログレ・メタルの強靭さや、the band apartやregaといったプログレッシヴなジャム系バンドの軽やかさにも通じる楽曲/バンドアンサンブルはますます研ぎ澄まされた姿を提示しており、削ぎ落とせるだけ削ぎ落としたというストイックな凄みと無頼な肉体派的イメージを感じさせます。

 また、中瀬氏のヒリつくような絶叫ヴォーカルが本作の方向性を決定付けるひとつの要素となっており、各所で向氏と激しい絶叫の応酬を繰り返し、聴き手は強烈な一撃を見舞われます。アルバムを通してキレのある勢いは全く殺されることなく、スラッシーなリフとツインヴォーカルのシャウトで容赦なく全てを押し流すかと思いきや、手を差し伸べるような甘いメロディがさらりと覗く「エクスキューズミー」。ザクザク捻り上げられるリフを押し出し小気味良くドライヴしホップする鮮烈な曲調の「ハンズフリーからのお知らせ」「局地的に物語れ」。ツインヴォーカルがここ一番の昂ぶりでブッ刺さる「この時期のヴァンパイア」。キレキレな歯切れの良さで畳み掛けたかと思えば一気にメロウなミドルテンポの曲調にまで引く可変性が面白い「旧感覚置き場」などなど、次から次へと飛び出すフック、緩急自在の変則性、そして疾走感を備えた楽曲が、聴き手をラストまで一気に持っていく、ノンストップガチンコ一本勝負。時に醒めたように語りかけ、時に生々しく畳み掛ける向氏のヴォーカル/感情とコミュニケーションのエアポケットに誘うかのような詞世界もやはり外せない。曲名もさることながら、"文字通り沿いとさ、国道こだま号が交差する手前を" "髪を解いた部屋は 満たせるか?と問いかけた" "濡れ衣?ああ、あれな...今家で乾かしているんだ"といった耳にこびりついて離れないフレーズの数々、ポジティヴではないがネガティヴでもない独特の言葉選びで世界観を紡ぎ出してゆく向氏は"言霊使い"と形容したくなります。押しては引き、引いては返す、強力無比にして凄まじくライヴ向きでもある研ぎ澄まされた1枚。




kamomekamome:Myspace
kamomekamome:公式
kamomekamome 『Happy Rebirthday To You』インタビュー

2010/07/23

kamomekamome『LUGER SEAGULL』(2007)

ルガーシーガル
ルガーシーガル
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kamomekamome
SPACE SHOWER MUSIC (2007-11-07)
売り上げランキング: 104,065


 上から読んでもルガーシーガル、下から読んでもルガーシーガル。プログレッシヴ・ハードコアバンド kamomekamomeの2ndアルバム。前作はトータル70分近いヴォリュームで、カオティックに紡がれるジャム的なアンサンブルを10分以上に渡って展開する長尺曲はじめ、バッキングにストリングスやブレイクビーツを取り入れた楽曲など、ハードコアのフォーマットに留まらない、方向性の模索も兼ねた非常に意欲的、野心的な構成でしたが、本作はそこからギュッとシェイプアップ。40分に満たないランニングタイム&平均3~4分の楽曲によるスッキリコンパクトな仕上がりになっています。醒めた空気を孕み込んだ肉々しい向達郎氏のヴォーカル(&詞)と、ザックリメタリックにささくれ、複雑に絡みついては離れていくリフ、アタマのテッペンに向かって重々しく捻れ込むかのような重心の低さ、全てが非常に自分好みの要素で、しっかりと叩き出されるビートと、さりげなく隙間に絡まってゆく変拍子リフが合わさってのつっかかったサウンドが目の前に淡く色褪せてゆくかのような荒涼とした情景を見せてくれ、凄く胸の内に残る。表面上はキャッチーかつストレートなのに裏地は緻密&複雑。安定的なのに刺激的という印象がラストまで付いて離れない。研ぎ澄まされた歌ものとしてもただならぬ魅力を感じさせる「事切れ手鞠唄」。フックのあるアグレッシヴな展開と共に獰猛な邪気を吐き出す「メデューサ」「化け直し」。スパっと研ぎ澄まされた突進力が抜群な「スキンシップ編」、ヴォーカルと詞の生々しさが異様に際立つ「ゲルバトル」など、奇襲戦法のように突発的に表れる趣向も面白く、バンドの並々ならぬタフネスと共に聴き応えのあるアルバム。


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2007/07/24

SxOxB 『Gate Of Doom』(1993)

Gate of Doom
Gate of Doom
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Sob
Blackend (2004-03-08)
売り上げランキング: 1,093,913


 イノヴェイターとしてグラインドコアシーンにその名を刻むバンド SxOxBの3rdアルバム。当時NAPALM DEATHやCARCASS、BRUTAL TRUTHなどとの仕事で知られていたコリン・リチャードソンをミキシング&マスタリングエンジニアに迎え、これまでのパンク色の濃いファストコアから一転し、メタル色の濃いグラインドコアへと移行したのが本作。ついでにSxOxBファンが真っ二つに分かれる契機となったのも本作からです。早口でハイテンションにまくし立てるトッツァンの日本語ヴォーカルと、どこまでもスピード重視の一寸刻みなハードコアパンクサウンドが共に初期衝動で玉砕せんばかりの勢いで展開され、「速い・五月蝿い・鋭い」以上に言葉を尽くす必要もないヒッチャカメッチャカぶりだった初期の作風を考えると、重厚重圧になった上、整合性も出てきたというこの変貌振りは強烈な新陳代謝という印象を感じるので、初期のファンが難色を示すのもやむなしといったところですが、一方で問答無用の重圧殺ぶりがヘヴィメタル/デスメタル方面に強烈にアピールすることとなり、そっち方面から新たなファンを獲得することに成功。かく言う自分も、重いドスが効いててかつわかりやすくグネグネしている髭剃りのようなジョリジョリしたリフまみれの本作の作風の方が好みです。次作『Vicious World』ではもう一段スピードを落としたことでより整合性を強めたサウンドを展開しましたが、その翌年バンドの核を成していたトッツァンの突然の死によりバンドは未曾有の危機に直面。YASUE氏によりなんとか建て直しは図られ、99年にはダブ要素を取り入れた5th『Dub Grind』、03年には新ヴォーカリストを迎えてセルフカヴァーベスト盤である『Still Grind Attitude』が発表され、現在も活動を続けているものの、やはりカリスマ不在の穴は大きく、かつての勢いを取り戻すには厳しいものがあるというのが何とも寂しく思えます。