2018年9月16日日曜日

VICTORIUS『Dinosaur Warfare - Legend of the Powersaurus』(2018)

Dinosaur Warfare - Legend Of The Power Saurus
VICTORIUS
RADTONE MUSIC (2018-07-11)
売り上げランキング: 82,201


 ジュラシック・パワーメタルというとフィンランドの着ぐるみバンドHEVISAURUSが思い起こされるが、ドイツ・ライプツィヒ出身のVICTORIUSは先史時代の恐竜の深刻な時代に生まれたバンドであり、神聖なるダイナフォースとともに世界を邪悪な外来侵略から救うことができる5人の狂人からなるジュラシック・パワーメタルバンドだ(公式サイトにもしっかりそう書いてある)。2004年の結成後、デモ音源の制作を経て、2010年に自主制作による1stアルバム『Unleash The Titans』を発表。2013年にSonic Attack Recordsと契約し、2ndアルバム『The Awakening』をリリース。翌2013年にはマーキー/アヴァロンより日本デビュー。2014年には3rdアルバム『Dreamchaser』、2017年にはMassacre Recordsに移籍し『Heart of the Phoenix』を発表。アルバムプロデュースはメジャーデビュー時から一貫してFREEDOM CALLのギタリスト ラーズ・レトコウッツが務めており、もとよりHELLOWEENとGAMMA RAYの強い影響下にある彼らのサウンドをさらに正統派メロディック・スピードメタルたらしめている。本作『Dinosaur Warfare』はバンド初のEP。Fabtoneからリリースされた日本盤は『Heart of the Phoenix』から4曲(「Shadow Warriors」「Hero」「Heart of the Phoenix」「Empire of the Dragonking」)をボーナストラックとして収録しているためにフルアルバムのヴォリュームとなっており、変則的構成ながらちょっとしたお得アイテム感がある。
http://www.fabtone.co.jp/release/detail/id/125/





 FREEDOM CALLは2016年作『Master of Light』のオープニングトラックで「Metal is for Everyone(メタルはみんなのものだ)」と高らかに歌い上げていたが、『Dinosaur Warfare』もまさにメタルはみんなのものだといわんばかりの快作。数百年万年前に行われた恐竜と地球外生命体の聖戦という、パワーワードならぬパワー設定をパワーメタルと相乗させて真正面から叩きつけてきており、歯をレーザーキャノンに換装したサーベルタイガー改めレーザータイガーや、スピードと爪を改良し赤外線サイボーグの目を持つ超高速暗殺者/恐竜忍者になったヴェキロラプトル改めレーザーブレードラプターに思いを馳せるほかなくなる。そして口に出すと如実にわかるのだが、「Dinosaur Warfare」のリリックは一字一句無駄がない。古来ジャーマンメタルの血流をハイテクのレーザーを持つダイナソーファンタジーとしててらいなくブツけており、二重の意味で大恐竜時代の逆襲感がある。





「Lazer Tooth Tiger」は、GAMMA RAY「Man On A Mission」みたいだという指摘も見かけたが、むしろHELLOWEENの「Guardians」という気もするし、ジャーマンメタル勢はこのメロディーラインが好きすぎるだろうとも思うし、脈々と継承されてる感がある。そして「Legend of the Powersaurus」には「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」のテーマのオマージュがあからさまに入っている。恐竜戦隊ジュウレンジャーをベースにパワーレンジャーが誕生したのだから、ジュラシック・パワーメタルバンドとパワーレンジャーが接続されるのも当然という気はする。しかしそんな四方山話もジュラシック・パワーメタルの前では瑣事に過ぎない。偉大なるダイナフォースを感じろ。大恐竜時代の新たなる到来だ。

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