ちなみに、レーベルのインフォメーションでは、“もしマイケル・マンが「人間解剖島ドクター・ブッチャー(Zombie Holocaust)」をリメイクしたら、サントラはこんな感じになるだろう” “まるでジョルジオ・モロダーが地獄巡りをしてきたようなサウンド”などと説明されており、これまたカルト。わかる人だけわかってくれ! といった感じです。2013年には、イギリスのカルト映画「サイコマニア(Psychomania)」(1973/監督=ドン・シャープ)をテーマにした2曲入りEPをリリース。同映画のタイトルテーマのフレーズを組み込んだ13分の長尺曲で、オリジナル・スコアのコンポーザーであるジョン・キャメロンへリスペクトを捧げた内容になっています。
さらに翌年には、「エル・ゾンビI 死霊騎士団の覚醒(Tombs of the Blind Dead)」(1971/監督=アマンド・デ・オッソリオ)をテーマとする4曲入りのトリビュートEPを、リー・ドリアンの主宰するRise Aboveレーベルよりリリース。ここでも偏愛ぶりを見せてくれます。
そして、『Tombs of the Blind Dead』のリリースに前後して発表されたのが、2ndアルバムである本作。邪悪なメディテーショナル・ミュージックといった感のある"Antonius Block" "Table of Hours"や、ベンベンとうなるベースラインにジョン・カーペンターへのリスペクトを感じさせる"The Ossuary"など、じめっとしたムードとヴィンテージ・シンセサイザーをフル活用した方向性は前作から変わっておりません。冷ややかなシーケンスに軽やかなリズム隊のうねりが妖しいコントラストを生み出す"Uzumaki"は、映画化もされた伊藤潤二のホラー漫画『うずまき』に由来するものと思われます。本作のハイライトは、五つのパートからなる約21分の大曲"The Integral"。イタリアン・ホラーのスコアに通じるサイケデリックなムードや、変拍子のロック的な展開を交え、暗さを湛えながらも高揚感ももたらす長尺組曲として仕上がっています。スタンスにブレのないユニットとして、今後の暗躍にもより一層の期待が持てます。余談ですが、本作に使用されているヴィンテージなアルバムジャケットは、パルプ雑誌時代にサイエンス・フィクションもののイラストを数多く手がけたフランク・R・パウルによるもの。1939年に刊行されたパルプマガジンの表紙カヴァー・イラストが元になっています。
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■The Osiris Club『Blazing World』(2014)
ドラムスのAndrew Prestidgeが在籍する幻想怪奇プログレッシヴ・ロック・バンド