エンニオ・モリコーネ、自身を語る (2013/08/27) エンニオ・モリコーネ、アントニオ・モンダ 他 商品詳細を見る |
著者のアントニオ・モンダ氏が2009年から2010年の間に断続的に行ったエンニオ・モリコーネへのインタビューをまとめた一冊。若かりし頃の思い出や監督との交友などの裏話、自身の音楽的な試みや、趣味・思想などが語られており、彼のバックグラウンドを知る格好の内容になっています。実は前に一度読んでいるのですが、つい最近 モリコーネが演奏者として在籍していたGruppo di Improvvisazione di Nuova Consonanzaのアルバムを聴いたこともあって、改めて読み返しました。Nuova Consonanza絡みの記述は本書でもいくつか出てくるのです。モリコーネが記憶に残っている作品としてエリオ・ペトリ監督の『怪奇な恋の物語』(1969)を挙げているのですが、同作のスコアの半分はNuova Consonanzaが演奏していたということも、本人の口から語られております。また、モリコーネがトランペット吹きであるのは、ジャズ・トランペッターであった父親の影響と教育の賜物によるものでもあったのだなと(ローマ音楽院のトランペット科も卒業しています)。ユニセフから子どものための音楽の作曲のオファーをモリコーネが受けたときに、ニーノ・ロータ、エジスト・マッキ、フランコ・エヴァンジェリスティ、ルイス・バカロフの四名を推薦したという話も興味深いものがありました。エジストとフランコは優れたコンポーザーであったと同時に、Nuova Consonanzaのバンドメイトでもありました。ディノ・デ・ラウレンティスに『デューン/砂の惑星』の話を長々と聞かされたという話がちょろっと出てくるのですが、これはもしかしたらモリコーネがスコアを手がけていたという可能性もあったのかなとふと思いましたが、「仕事をもちかけておきながら、そのまま音沙汰がなくなるということも何度あった」(P197より)と言っているところをみると、監督的にはツバをつけていただけなのかも知れませんが。
「特に気に入った演奏はありますか?」とインタビュアーが質問した際、モリコーネがジョン・ゾーンを賞賛するくだりがあるのですが、驚くと同時になるほどなという納得がありました。「たとえば、ジョン・ゾーン。とても優れたミュージシャンだと思います。彼に言ったことがあります、『あなたが演奏すると、自分の曲だとわからない』と。彼の手にかかると、わたしの音楽はひとつのきっかけのようなものになる。―」(P169より)ちなみに、ジョン・ゾーンは2006年に出たNuova Consonanzaの未発表音源BOXセットのライナーノーツを書いております。また、彼の主宰するTZADIKレーベルより、モリコーネの劇伴作品をゾーンが大胆にカヴァーした『Big Gundown』というアルバムが出ています。
Big Gundown Plus-15th Annivers (2000/08/22) John Zorn 商品詳細を見る |
カヴァー/リミックスものの企画盤ですと、2003年に第一弾、2004年に第二弾が出た『ennio morricone remixes』というものもあります。あちこちのコンポーザー/リミキサーが多数参加したオムニバスで、細野晴臣氏も「Evil Fingers(新・殺しのテクニック/次はお前だ!)」のリミックスを提供しています。ちなみに自分はこの"黄金のエクスタシー"のリミックスがお気に入り。
Remixes 1 (2003/10/21) Ennio Morricone 商品詳細を見る |
モリコーネ本人のコンピレーションアルバムだと、『Psychomorricone』というシロモノがあります。60年代のサスペンスもの作品のスコアを中心に選曲しているようです。
https://itunes.apple.com/jp/album/psychomorricone/id193258372