you! (2014/10/15) ThunderYouPoisonViper、内田雄一郎 他 商品詳細を見る |
内田雄一郎(b)、三柴理(kbd)、長谷川浩二(ds)、筋肉少女帯のメンバーとして、もしくはレコーディングメンバーとして活躍する三名によるテクニカル・トリオ Thunder You Poison Viperの初のフルアルバム。結成は数年ほど前までさかのぼり、スタジオでのセッションが高じてこのアルバムのレコーディングにまで至ったのとのこと(その少し前の2008年には、Rolandのイベントで長谷川氏と三柴理氏のデュオ編成による実験ユニットのライヴがあったりもしましたが)。ライヴもこれまで複数回行っており、そこではTHE金鶴(三柴理/佐々木貴/Clara)や新東京正義乃士(三柴氏の初期のバンド)のレパートリーのほか、YMO、山口百恵、THE DOORS、山口隆夫とセルスターズのカヴァーなども演奏しております。息抜き的なバンドということでおおらかな空気は感じますが、プレイヤーはいずれも実力者揃いなので、多分にストロングなパフォーマンスが炸裂しております(特に長谷川氏はスキさえあれば手数を増やしたりドコドコとツーバスを踏んでるような気も)。
アルバムの楽曲はメンバーがそれぞれ持ち寄ったオリジナル曲と、空手バカボン/筋肉少女帯時代から幾度となくリメイクが繰り返されてきた"孤島の鬼"、ザ蟹(三柴理/塩野道玄)が手がけたOVA版「戦闘妖精雪風」のサウンドトラックより"Engage" "零のテーマ"、そしてプログレッシヴ・フュージョン・バンド ExhiVision(難波弘之/和田アキラ/永井敏己/長谷川浩二)の胸に迫るインストゥルメンタル・バラード"Life"といった、メンバーが在籍している(していた)バンドのレパートリーのカヴァーも含む全8曲。ヴォーカルはありませんが、部分部分でコーラスが入り、妙なユルさを醸し出しています。内田氏の作曲による、アコースティック・ピアノとヘヴィなリズムが交錯する"ユー!"での威勢のよい「サンダー!ユー!」の掛け声(どうやら長谷川氏のお弟子さんによるものだそうで)や、"孤島の鬼"での「よいしょ よいしょ」という謎の挿入は頭にこびりつきます。長谷川氏の作曲による"Politician"は、トリッキーなリズムの上を三柴氏のピアノが縦横に走り回る複雑にして軽快な一曲。三柴氏の作曲による"戦え!サンダーユー"は、タイトルよろしくトリオのテーマソングといった出色の鍵盤プログレッシヴ・ロックで、筋肉少女帯の"夜歩く"や特撮の"ヤンガリー"を彷彿とさせる一面も。三柴氏の無駄に大仰なマッチョ・コーラス(?)も飛び出します。ラストを飾る"ホワイトチョコレート"は、'84年の楽曲。当時、内田氏が自主制作映画のために書き下ろしたものを三柴氏が編曲したものの、映画自体がポシャってしまったのでお蔵入りになってしまったというシロモノで、ザ蟹の'01年発表のアルバム『サウンドギャラリー』で一度リメイクされております。シンセサイザーによるレトロなイメージの小品曲という印象だったザ蟹版とはまた趣を変え、トリオ版はセンチメンタルな情感をたっぷりと感じさせる静かなインストゥルメンタルに仕上がっています。
YUKIKAZE OP -Thunder You Poison Viper-
http://youtu.be/KbekVaEs9U8
ライヴ映像です。
●THUNDER YOU POISON VIPER INFORMATION