ZABADAKのフロントマンである吉良知彦氏のインディーズ時代の自主制作音源(LP)を盤起こしてCD化したもの。全8曲。この頃の作風はニューウェーヴとかギターポップの類が多かったようで、後のトラッド・ロック/ポップスなザバダックとは全く別の音世界を展開しております。ひんやりとしたシーケンスを淡々と続けるニューウェイヴ・ポップ「Barbarian」や、プログレがかった捻りを加えたギターポップナンバー「After The Matter」があるかと思えば、ギターの爪弾きにひとさじの清涼感と枯れた味わいが同居する老成したAOR/バラード「In The Twilight」「Sunday Morning」や、〈冷蔵庫を開けて男の人は生卵を飲んだ〉 〈ちくわ かまぼこ ハムの類 あればチーズも口に入れる〉 〈ポテトチップスや揚げ煎餅は ひとりの時は少しも食べたいと思わないけど 誰かが食べ始めると食べたくなる〉など、食べ物にまつわる詞が、高橋久美子さんという方のヴォーカルで眠たげというかけだるげに歌われる、生活感とユーモアに満ちた「Yoru」なんてのもあったりして、最初聴いた時は思いっきり面食らいました(笑)。また、後にZABADAKでセルフカヴァーされる「オハイオ殺人事件」「Poland」の原型も本作で聴くことができます。後のヴァージョンよりシンプルなアレンジながら、楽曲の持つしみじみとした情緒はたっぷり。人に歴史ありということを感じさせる一枚でした。ところで、ジャケットの構図はマイク・オールドフィールドの『Crises』のオマージュでしょうかね?
Crises (2013/09/10) Mike Oldfield 商品詳細を見る |
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