2018年2月28日水曜日

『ROCKET KNIGHT ADVENTURES【Soundtrack LP】』(1993/2018)



https://www.shiptoshoremedia.com/store/albums/rocket-knight-adventures


「ロケットナイトアドベンチャーズ」は、1993年にメガドライブ用アクションアドベンチャーゲームとしてコナミからリリースされた作品。素晴らしいBGMをもったタイトルでありながら、これまで一度もサントラ音源化などはされてきませんでした。しかし、今年に入ってアメリカのサウンドトラック専門の再発レーベル「Ship to Shore」がサウンドトラックLPをリリース。ソフト発売からじつに25年目にして本邦初の音源化をやってくれました。もちろん、コナミデジタルエンタテインメントの公式ライセンス商品です。まことにグッジョブというほかありません。Ship to Shoreはこれまでに「MOTHER 2」のサントラや、タイトーのサウンドチームZUNTATAのコンピレーション盤『Arcade Classics』(Volume 1 & 2)、コナミものでは「The Adventures of Bayou Billy(マッド・シティ)」「ラグランジュポイント」「スナッチャー」「悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん」のサントラも公式ライセンスのもとにLP化しております。ほかには、メトロイドヴァニア系アクションアドベンチャーゲーム「Axiom Verge」や、ジョージ・A・ロメロ「マーティン/呪われた吸血少年」のサントラLPなどもラインナップされています。

「Ship To Shoreからレトロゲームのサントラレコードが続々登場!」
(HMV Online)









 ゲームスタッフロールでクレジットされている本作のコンポーザーは大内正徳氏、畑亜貴さん、安達昌宣氏、小林ひろし氏、山根ミチルさんの5名。厳密に誰がどの楽曲を担当したのかまではわかりませんが、それにしても改めて錚々たるメンツです。「悪魔城ドラキュラ」シリーズの看板コンポーザーであった山根さんは現在フリーで国内外のタイトルに楽曲を提供され、「魂斗羅スピリッツ」や「魍魎戦記MADARA2」なども手がけられた安達氏はラブデリックを経て、現在はバンプールに所属。大内氏は近年、さんみゅ~ や 私立恵比寿中学などの楽曲を手がける作詞家・作編曲家に、畑さんはアニソンの作詞家として押しも押されぬ存在となり、小林氏は「小林でび」として映画監督や俳優として、それぞれご活躍中です。




 ハードこそ異なりますが、ジャズ、ロック、ポップ、テクノが景気よくミックスされたサウンドの多彩さと骨太さ、そして楽曲の雰囲気という点で、ティム&ジェフのフォリン兄弟がサウンドを手がけたスーパーファミコン用ソフト「PLOK!」とかなり相通ずるものがあると思います。何の因果か、両作品とも1993年に発表されているというのがまた面白いところ。また、Ship to Shore商品ページのキャプションに「that sound as if they were pulled directly from a classic Yellow Magic Orchestra album.」とあるのは、6面BGMがYMOの「Technopolis」のちょっとしたオマージュとなっていることを踏まえてのものです。海外での人気も高い一曲。





 ちなみに、メガドライブ海外移植版「ゼロウイング」に登場したヘンな英語と海外圏でしてインターネットミーム化した「All your base are belong to us」をネタにした音MADを制作したアメリカのテクノユニット The Laziest Men on Marsが、2000年前半ごろに「Happy Softcore (Bleeding Ears Mix)」のタイトルで6面BGMのリミックスをネット上に発表していたこともあります。メガドライブつながりでのチョイスともいえますね。





 ロケットナイトアドベンチャーズには続編タイトルとして「スパークスター」(1994)がメガドライブとスーパーファミコンで出ていたのですが、こちらのサウンドもまた骨太の素晴らしい仕上がりであります。メガドライブ版は山根ミチルさんと山岡晃氏、スーパーファミコン版は山岡晃氏、上原和彦氏、碇子正広氏、松平美奈子さん、山根ミチルさんという、こちらも錚々たる顔ぶれ。山岡氏が活動初期に参加されたタイトルのひとつであるという点でも興味深いです。

【メガドライブ版】






【SFC版】