HAL研究所よりファミリーコンピュータ用ソフトとして「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」が発売されたのは1988年2月1日。今年、2018年2月1日で30周年を迎えます。システム的なベースになったのは、1985年にMSX用ソフトとして発売された「ホール・イン・ワン」「ホールインワンプロフェッショナル」であり、“ジャンボ尾崎監修”というタレントゲームとしてのバリューをつけたうえで、ゴルフゲームとしても大幅なリニューアルを図ったのが本作。近年ではチートバグ動画で様々な「ワンポイントレッスン」が登場し、人気を集めております。いいぞ。
「Hole in One Professional」
(Generation MSX)
「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」
(HAL研究所)
同作のコンポーザーは、〈エッガーランド〉シリーズや「ファミコングランプリII 3Dホットラリー」など、初期のHAL研ソフトタイトルのサウンドを支えた菅浩秋氏と金指英樹氏(『HAL ゲームミュージック』に両名の名前があります)。耳なじみがよく、親しみやすいBGMぞろい。改めて聴きなおしてみるのもよいと思います。1988年8月に徳間ジャパンからCD・LPでリリースされたアルバム『HAL ゲームミュージック』には、比留間雅夫氏によるアレンジヴァージョンと、「エッガーランド」「ファイヤーバム」「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」のオリジナルBGMが収録されていました。8曲目の「エッガーランド組曲」と10曲目の「ファイヤー・バム組曲」のはざま、9曲目の35秒のインタールード的トラックがそれであり、“ワンポイントレッスン”時のBGMです。ちなみにアレンジャーの比留間氏は、細野晴臣氏プロデュースによるデザイナー・テクノ・ポップ・ユニット「テストパターン」のメンバーであった人で、戸川純&三宅裕司の覆面ユニット「アポジー&ペリジー」の『超時空コロダスタン旅行記』(1984)にも楽曲を提供されておりました。1988年7月に同じく徳間よりリリースされた「3Dホットラリー」のアレンジアルバムも氏による仕事です。
株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ (1988-08-25)
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「ジャンボ尾崎のホールインワン・プロフェッショナル」から3年後の1991年2月23日には、スーパーファミコンで「ジャンボ尾崎のホールインワン」がリリース。開発は同じくHAL研。スタッフクレジットはありませんが、サウンドの雰囲気からみて、入社して間もないころの石川淳氏がコンポーザーで関わられているとみてよいと思います。同年8月の「ハイパーゾーン」を経て、翌年に記念すべきシリーズ第一作がリリースされる「星のカービィ」へと連なる氏のメロディのよさが顔をのぞかせており、そういう意味でも興味深いものがあります。
「ジャンボ尾崎のホールインワン」
(HAL研究所)
キーボードマガジン2017年夏号のゲームミュージック特集(すばらしい内容です)には、HAL研の石川淳氏と安藤浩和氏の貴重なインタビューも掲載されていました。それによると、「ジャンボ尾崎のホールインワン」の開発はHAL研の山梨開発センターの建設とほぼ同時期の出来事であり、国分寺にあった六畳間のアパートから山梨開発センターへの引っ越し作業が、安藤氏がHAL研に入社して最初の仕事だったという、当時の苦労話もこぼれていました。
『星のカービィ』シリーズを手がけた石川淳&安藤浩和(HAL研究所)に話を聞く!|キーボード・マガジン 2017年7月号 SUMMERより【PICK UP】
(リットーミュージック)
※インタビュー冒頭部が試し読みできます。
リットーミュージック (2017-06-09)
※なお、HAL研以外の「尾崎ゲー」では、1989年6月にセガがアーケードで稼働させた「ジャンボ尾崎スーパーマスターズ」。9月にリリースされた同作のメガドライブ移植版「尾崎直道スーパーマスターズ」があります(アーケード版BGMは中林亨氏、メガドライブ版BGMは上保徳彦氏がそれぞれ担当)。アーケード版BGMはサイトロン・デジタルコンテンツよりリリースされた『レジェンド オブ ゲームミュージック2 プラチナムBOX』(2006)、ウェーブマスターよりリリースされた『SEGA SYSTEM24 SOUND COLLECTION』(2015)に収録されております。