2016年8月9日火曜日

祝「デスクリムゾン」20周年――せっかくだから、俺はデスクリムゾンのサウンドを改めて振り返るぜ






 セガサターンの伝説のクソゲーであり、ゲーム史においても燦然とクソゲーとして輝く“デス様”こと「デスクリムゾン」。他の追随を許さないゲーム内容についてはもはや何をかいわんやですが、同作がエコール・ソフトウェアより発売されたのは1996年8月9日。本日、2016年8月9日をもって、発売20周年を迎えました。なぁんということだぁ。同シリーズは1999年に「デスクリムゾン2 ―メラニートの祭壇―」、2000年にアーケードで「2」のリメイク「デスクリムゾンOX」がリリース(その後2001年にDC、2003年にPS2に移植)され、1999年11月には「デスクリムゾン2」のサントラ『デスクリムゾン2 ―Yuri Rosenbergー』が、2001年5月には「デスクリムゾン」と「デスクリムゾンOX」の楽曲をカップリングした『デスクリムゾン ヒストリー』がエコールの公式通販限定で販売されていました。独自レーベル「Crimson Record」の品番「ECAP」をもつカタログは、後にも先にもこの二枚だけです。リアルタイムで入手できなかった私は未だに中古市場にCDが出回るチャンスを待っているのですが、望みは限りなく薄く……。これを手にすることが出来たとき、私の魂は救済されるのでしょう。せっかくだから、まだまだ待ち続けます。





 初代「デスクリムゾン」のコンポーザーはK.Watanabeこと渡辺邦孝氏。真鍋社長に「プログレッシブロックの熱狂的なマニアの作曲家の方」と言わしめた渡辺氏は元々キーボーディストとしてバンド活動をされており、70年代には、後にACTIONを結成する高橋ヨシロウ氏と共にハード・ロック・バンド「山水館」のメンバーとしてプレイされていました。山水館は五十嵐久勝氏や平山照継氏を擁していたSCHEHERAZADEと合流して1979年初頭にプログレッシヴ・ロック・バンド NOVELAになるのですが、渡辺氏はその少し前にバンドを脱退されております。その後、マルチパフォーマー/コンポーザーとして現在も活動されており、〈必殺仕事人〉シリーズ映画「必殺!主水死す」(1996)の劇伴や、「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」の番組テーマ曲("元町チャチャ")も氏による仕事です。また、これまでに二枚のソロアルバム『エスカルゴ・アバンチュール』『エスカルゴ・スーベニール』を出されております(奇しくも今年、再プレスされました)。YouTubeに投稿されている数多くのカヴァー演奏動画も素晴らしいのでぜひ。デスクリムゾンのBGMは思いっきりプログレに寄せた作風であり、EL&PやKING CRIMSONを意識したフシもある仕上がり。ちなみに、2014年に渡辺氏は制作当時のMIDIファイルをバックに、ヴィンテージシンセサイザーの生演奏で同作の楽曲のセルフアレンジを五曲投稿されております。感涙モノの内容であり、クリムゾナー必見です。




"メインテーマ"
"赤の扉"
"デスマスク"
"ファーストボス"
"ムーラ"





「デスクリムゾン2」のコンポーザーは「ソニック・ザ・ヘッジホッグCD」(1993)、「luv wave」(1998)、「ガイアマスター ~神々のボードゲーム~」(2000)、「サモンナイト4」(2006)などにも参加された尾形雅史氏。ハード・ロック、テクノ、シンフォニック調と、ツボを押さえた仕上がり。また、エンディングテーマ"Maybe Someday"は、同作のヒロイン ユリ・ローゼンバーグのCVも担当されていたMOMOさんによるヴォーカル曲。ゲーム本編の内容のアレコレすらも、この曲の前では浄化されてしまいます。道下さんはその後コンポーザーとして「ドリームクラブ」(2009)、「NEWラブプラス」(2012)などを手がけられています。渡辺氏の「1」、尾形氏の「2」の楽曲のリメイクも含む「デスクリムゾンOX」のメインコンポーザーはK.Mizukiこと瑞木薫氏("ザッハウ"のみ如月ゆうき氏)。シリーズの集大成といえる、バラエティに富んだ良曲・良編曲の宝庫です。また、『デスクリムゾン ヒストリー』はゲーム本編で流れたサウンドをそのまま収録しているというわけではなく、収録に際して瑞木氏によるデータアレンジが加えられており、ショボい鳴りのサウンドではなくなっているようです。CD、欲しいなあ(血涙)



[ECAP-0001] Death Crimson 2 -Yuri Rosenberg- - vgmdb
[ECAP-0002] Death Crimson History - vgmdb

「神との対話」99年8月6日 エコール巡礼オフ会レポート
(from デスクリムゾンリンク集|1999.08.10)
エコール真鍋社長との対話。貴重な記録です。

音で綴る歴史。デスサントラ「Death Crimson -History-」
(from Crimson Farityale|2001.04.26)
15年前にサントラを購入された方のレポート。やはり貴重な記録です。

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