2016年8月15日月曜日

スーパーファミコン〈スーパーボンバーマン〉シリーズのサウンドを振り返る

 1983年にリリースされた「爆弾男」から数えると実に三十年以上の歴史を誇る長寿作となった〈ボンバーマン〉シリーズ。派生作品やメディアミックスも含めるとその数は膨大になります。すべてのタイトルを掘り下げていくのも一興ではありますが、今回はスーパーファミコン(SFC)でリリースされた7タイトルのサウンドにクローズアップさせていただきます。〈ボンバーマン〉シリーズのサウンドの重要人物といえば、アラブ音楽の演奏家/ナイ(民族楽器)奏者であり、ハドソンの数多くのゲームタイトルのサウンドも手がけられた竹間ジュンさん。コンポーザーとしてはもちろん、アレンジャーとしても素晴らしい仕事をされており、ひとつのテーマメロディを数多くのヴァリエーションでカラフルにアレンジする手法は、まさに職人的であります。


スーパーボンバーマン (1993年4月) 
スーパーボンバーマン2 (1994年4月) 
スーパーボンバーマン ぱにっくボンバーW (1995年3月)
スーパーボンバーマン3 (1995年4月)
スーパーボンバーマン4 (1996年4月)
ボンバーマンビーダマン (1996年12月)
スーパーボンバーマン5 (1997年2月)



「スーパーボンバーマン」のコンポーザーは竹間ジュンさんと濱田智之氏(現 5pb.)。ファミコン版から連綿と受け継がれてきたメインテーマとボーナスステージBGMはハードも代わったことでグレードアップ。ボス戦BGMは戦隊ヒーローもののようなアツいメロディラインが印象的です。





「スーパーボンバーマン2」は、当時「エメラルドドラゴン」(PCエンジン版)のサウンドを担当され、作編曲家のみならずマルチな方面でも活動を展開され始めていた福田裕彦氏がメインコンポーザーを務められたタイトル。テーマパーク的なニギニギしさにあふれ、オーケストラヒットがガンガン炸裂するなど、高い密度とテンションがキープされたエキサイティングな異色作。ボスバトルBGMやステージ5BGMは、半ばプログレかネオクラシカルメタルかというほどに怒涛の展開が炸裂。






スーパーボンバーマン3
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「スーパーボンバーマン3」は、再び竹間ジュンさんがメインコンポーザーに(ハードなスピードチューンである二曲のボス戦BGMは、サウンドプログラミングも担当された星恵太氏の作曲)。わりあいストレートなメロディとサウンドだった1から大きく趣が変わり、オリエンタルなテイストも織り交ぜたテクノサウンドで、チルアウトできる仕上がり。また、〈スーパーボンバーマン〉シリーズで唯一、単体のサントラCDがリリースされたタイトルでもあります。CDは現在もなお中古市場で超プレミア価格なのですが、竹間さんのsoundcloudアカウントにて、星氏の二曲を除くすべてのBGMを聴くことが可能。再生リストの最後には、サントラCD未収録のデモトラック/ミックス「Super Bomberman 3 Private Remix」が追加されているという嬉しいおまけも。





コンポーザーに竹間ジュンさん、アレンジャーに福田裕彦氏に迎えた「スーパーボンバーマン4」は過去作のアレンジが中心であり、五つのステージBGMはPCエンジンの「ボンバーマン'93」「ボンバーマン'94」、スパボン1とスパボン3のアレンジとなっています。単体サントラCDこそ出なかったものの、オムニバスCD『1996 ハドソンゲーム音楽全集』にステージBGMが全て収録されています。





SFCシリーズ最後のタイトルとなった「スーパーボンバーマン5」もアレンジが中心ですが、スパボン1(ステージ1)、スパボン2(ステージ1、バトルステージ1)、スパボン3(ステージ2)、スパボン4(亜空間ステージ)アレンジなどを含む、SFCシリーズの集大成的な内容。アレンジャーは松前公高氏です。非売品のハドソンオムニバスCD『Caravan on the Radio』には、"ゾーン5 競技場"と"ラストボス"の二曲が収録されています(同CDはほかに「ボンバーマンビーダマン」からも二曲収録)。





 派生タイトルの二作について。1994年にエイティングが開発を手がけたアーケード版にオリジナル要素を加えたSFC移植版(開発・移植はハドソン)であり、落ちモノパズルゲーである「スーパーボンバーマン ぱにっくボンバーW」のコンポーザーは竹間ジュンさんと、小谷野謙一氏。小谷野氏によるメタルボンバー戦BGMは秀逸なスーファミメタルです。また、マニュピレート・SE周りは崎元仁氏が担当されており、スタッフロールでは「YmoH.S」名義でクレジットされています。近年も玩具展開されている「ビーダマン」の一番最初のゲーム化タイトルである「ボンバーマンビーダマン」のコンポーザーは、アニメ「Bビーダマン爆外伝」の劇伴も手がけられた(竹間ジュンさん、安西史孝氏と共同)、KENYUこと貫田顕勇氏です。





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《余談》

 2005年にサイトロンからリリースされた(現在は廃盤)『ボンバーマン ザ ミュージック』は、PC-6001MKIIの「爆弾男」「三次元ボンバーマン」から、ニンテンドーDS版「ボンバーマン」まで。いくつか割愛されたタイトルがあるため完全とはいきませんが、シリーズのサウンドの変遷をある程度俯瞰できる内容です。


ボンバーマン ザ ミュージック
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 竹間さんのsoundcloudアカウントより、1990年にファンハウスからリリースされたCD『ボンバーマン名曲集』に収録された3曲のアレンジヴァージョン。竹間さん(keyboard, accordion, programming)を筆頭に、太田恵資氏(violin, vocal)、葛生千夏さん(vocal)、大坪寛彦氏(bass)、川口雷二氏(drums)、高木潤一氏(guitar)、菱田吉美さん(programming)といった面々が結集しての民族音楽ヒップホップハウスミクスチャー。バツグンの強度を誇るアレンジです。





《クレジット》

スーパーボンバーマン


スーパーボンバーマン2


スーパーボンバーマン ぱにっくボンバーW


スーパーボンバーマン3


スーパーボンバーマン4


ボンバーマンビーダマン


スーパーボンバーマン5