2015年12月20日日曜日

ヌッチリと音とリリックの詰まった、病みつきアヴァン・ヒップポップ・デュオ ― Ontologics『Drones from Home』(2015)



 アメリカ・ロードアイランドを拠点に活動する Ontologicsは、シンガーソングライター&マルチインスト奏者のイアン・カンポピアノと、ドラマーのマシュー・ウォルシュの二人によるマルチ・デュオ。活動歴は長く、2000年代初頭にはプログレッシヴ・ロック・バンド Moments of Imaginationのメンバーとして活動を行っていたとのこと。同バンドは2003年に3曲入りEP『Lakeffect』をリリースし、続くフルアルバムの制作も構想していたものの、それは果たせなかったようです。その後、数年のインターバルを経て、2010年に3曲入りデモEP『Part 1』を、2013年の末に1stフルアルバム『Something to Needle Over』をリリースし、Ontologicsとして再出発を果たすことになります。一方で、MOI時代の縁は続いているようで、バンドの元ベーシストであったスティーヴ・ジョンソンはレコーディングで一部参加しています。



 本作『Drones from Home』は二作目のフルアルバム。ヒップホップをベースに、プログレッシヴ・ロック、ワールドミュージック、ジャズ、エレクトロをミックスしたOntologicsのサウンドは、デュオとは思えぬほどにヌッチリと音とリリックの詰まったユニークなアヴァン・ポップに仕上がっております。レゲエからストレンジ・ポップへと徐々に傾いでいく"Drones from Home"や、スペース・ロック調のインストゥルメンタル" Stretch Armstrong"、辛口スラッシュ・ポップ"A Wizard's Touch For All You Skeptics"など、病みつきになる明快さ。また、ミクスチャー・ロック・バンド 311(スリー・イレブン)のベーシスト P-Nutが"Primal Discourse"にスペシャルゲストとして参加しているのですが、彼とユニットにまつわるエピソードはなかなか面白いものがあります。過去にOntologicsは311のデモ曲"Go"をカヴァーして公開していたのですが、それをP-Nutが耳にし、いたく感激。彼らに触発されたことも一因となって"Go"がリ・レコーディングされ、311のアルバム『Stereolithic』(2014)に"Ebb and Flow"として収録されたのです。

「A Conversation with P-Nut of 311 and Wil-Dog of Ozomatli」 (from POPDOSE.com | 2014.02.27)



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