2015年10月25日日曜日

圧巻のシネマティック・プログレッシヴ・メタル・サウンド ― Earthside『A Dream In Static』(2015)




 アメリカ、ニューイングランドの新鋭プログレッシヴ・メタル・バンド Earthsideのデビューアルバム。四人組のインストゥルメンタルバンドであり、バンドのキーボーディストであるフランク・サクラモーンは、これ以前にBurning Sidewaysなるモダン・プログレ・プロジェクトで2012年にアルバムをリリースしているという経歴の持ち主でもあります。現在のところ選任ヴォーカルはおりませんが、本作ではSOILWORKのビョーン・ストリッド、SEVENDUSTのラジョン・ウィザースプーン、TesseracTのダニエル・トムキンス、Face The Kingのエリック・ジーリンガーといった強力なゲストヴォーカリストが参加。また、レコーディングはスウェーデンで行われ、プロデュース/エンジニアには、OpethやKatatonia、Bloodbathなどを手がけてきたデヴィッド・カスティロが。そしてマスタリング/ミキシングには、名だたるバンドを数多く送り出してきたイェンス・ボグレンの二人が迎えられております。




 恵まれた環境でデビューを飾るわけですが、それに見合う力量もしっかり兼ね備えており、非常に良好な相互作用が生まれてもいます。"The Closest I've Come" "The Ungrounding"のようなdjent以降の剛直性プログレッシヴ・メタル・インストはもちろん、ヴォーカル曲ではいずれも各ゲストのパフォーマンスの特性を引き出しながらも徹頭徹尾ダイナミックなサウンドに収束していく構成で、10分近い長尺曲がアルバムで半数を占めるのもなるほどといったところです。モスクワスタジオ交響楽団の壮麗なシンフォニック・サウンドをバックに、ラジョンがエモーショナルに歌い上げる大曲"Mob Mentality"はとにかく圧巻で、本作随一の会心曲。PVとともに必見・必聴です。また、モスクワスタジオ交響楽団と、ブルックリンを拠点に活動するハンマーダルシマー奏者のマックスZTをフィーチャーした"Entering the Light"や、9分半にわたる"Skyline"では、ヘヴィネスを間隙を縫うようにしてエピック・サウンドやポスト・ロックの要素が色濃く反映されており、今後の成長も期待させる仕上がり。バンドが標榜する“Cinematic Rock”というコンセプトの説得力も含め、その堂々たる風格は決定的に新人離れしたものがあります。


A Dream in Static
A Dream in Static
posted with amazlet at 15.10.09
Bushwhack LLC (2015-10-23)


http://earthsideband.com/
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