2015年7月30日木曜日

ヴィンテージな志向と叙情性を備えるノルウェーの大編成プログレッシヴ・ロック・バンド ― GENTLE KNIFE『Gentle Knife』(2015)

Gentle Knife
Gentle Knife
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Bajkal Records (2015-05-01)
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 人脈を辿るだけであっちこっちのバンドに繋がってしまうMOTORPSYCHODUNGEN。「1975年以降に製造された機材は一切使用しない」というこだわりのもとにアルバムを制作し続けるWOBBLER。一触即発の熱狂的オルガン・ジャズ・ロックを聴かせるelephant9。昨年、鮮烈なアルバムでデビューを飾った気鋭のバンド SEVEN IMPALEなど、ヴィンテージな味わいのプログレッシヴ・ロックを志向するバンドの層の厚さに定評があるノルウェーのシーンですが、またまた期待のバンドが登場しました。このジェントル・ナイフは、十人ものメンバーを擁する大編成バンド。ほとんどのメンバーがパートを兼任しており、結果的にギタリストが三名、ヴォーカルが三名、キーボーディストが二名という厚みをもった編成。そこにフルートやサックス、トランペット、木管楽器、サンプラーなどの担当が加わり、さらに鮮やかな色合いを成しております。今年リリースされた彼らのデビューアルバムは、バンドのsoundcloudで全曲試聴可能。また、アルバムのミキシングは、ロック、ポップス、フュージョン、メタル、プログレの数多のビッグネームのアルバムを手がけてきた名匠 ニール・カーノンが担当しています。

 70年代をリスペクトしたヴィンテージなサウンドを主軸としていますが、何よりもまずKING CRIMSONからの影響は避けては通れないものだと感じます。黄昏れたサックスとフルートにメロトロンの音色がうっすらと響きわたる"Beneath The Waning Moon"は中期KING CRIMSONの"Starless"をほのめかすかのような色合いですし、"Coda - Impetus"はヌーヴォ・メタル期KING CRIMSONの"ProzaKc Blues"へのオマージュを感じる不穏なフレージングが耳を引きます。AnekdotenやÄnglagårdが築き上げてきた、どこかほの暗さを感じさせる北欧プログレのイメージはやはりこのバンドも備えており、大編成の本領をフルに発揮した厚みのあるアンサンブルをふんだんに聴かせるヘヴィで叙情的な大曲"Eventide" "Our Quiet Footsteps"、練り上げられたスロウな楽曲展開で男女ヴォーカルのデュエットをじっくりと聴かせる"Remnants of Pride"、冒頭三曲はバンドのゆるぎない根幹部を知らしめるにふさわしい仕上がりです。フォロワー・バンドとしては既に一級品のクオリティを示しておりますが、個人的にはもっと彼らの独自色もみてみたいと思います。これからどこまでそれを出していけるのかということも含めて、今後の展開が楽しみなところです。




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GENTLE KNIFE『Gentle Knife』- Progstreaming
全曲フルサイズでストリーミング試聴できます。 ※期間限定

GENTLE KNIFE - Progarchives