2010年4月8日木曜日

DEATH ORGAN『Universal Stripsearch』(1997)


 現SPIRITUAL BEGGARS、OPETHのキーボード奏者であるペル・ヴィバリが90年代に率いていた、スウェーデンのギターレス オルガン・ハード・ロック・バンド デス・オルガンの2ndアルバムにして、最終作。95年リリースの1stアルバム同様、本作でもATOMIC ROOSTERやAARDVARKといった、オルガンがフロントを切ってブイブイ言わせていた70年代のブリティッシュ・ヴィンテージ・ロックを志向した方向性を存分に展開しています。ディストーションやらファズを効かせまくって歪みに歪んだハモンドオルガンサウンド、ビリビリと重苦しいベース、それらに比べてやたら軽く淡々としたドラムス、そしてオルタナティヴ・ロック由来の激情に任せたシャウト(というかガナリ合い)をしまくる二人のヴォーカルのコンビネーション…ぶっちゃけ、ヘヴィというにもテクニカルというにも今ひとつ煮えきっていないサウンドは相変わらずなんですが、ユーモラスでミョーに切り捨てられない魅力のあるバンドであるのも確かなわけで、マジメにやってるのか確信犯的にやってるのかよくわからないこのC級寸前のB級っぷりに突っ込むのはもはや野暮だなあと。重々しいオルガンのイントロからタテノリのハードロックへと誘う「Ahead」や、「Progress」(タイトルに反して歌っていることは虚勢を張る自暴自棄野郎のなのもイカス)の愉快なヤケっぱち具合を聴いてるとどうでもよくなってきます。また、本作ではRUSHの「Tom Sawyer」FEAR FACTORYの「Scapegoat」のカヴァーも収録されております。前者は重心低めになって結構カッコ良くキマっておりますが、後者はなんかマヌケというか情けなくなっててこれはこれで面白いことになってます。誰がこの曲のカヴァーを提案したんだ(笑)。ラストは9分を越える荘厳な長曲「3 D Days」で、広がるハモンドの響きを耳いっぱい腹いっぱいに喰わせて堂々たる〆。アルバム1枚だけ出して1発ネタ…で終わらせなかったことも含めて、90年代にここまで時代錯誤(良い意味で)をやらかしたというだけで素敵だなあと改めて思う次第。このバンドが再結成する日は…くるのか?




DEATH ORGAN:Wikipedia
Per Wiberg:Wikipedia