インヴィシブル・セッション (2006/03/21) インヴィジブル・セッション 商品詳細を見る |
イタリアのジャズ&ラウンジ専門レーベルSCHEMAの創設者であるルチアーノ・カントーネと、パオロ・フェドレジーニ&マルコ・ビアンキ、この3人を中心にして結成されたクラブジャズ・ユニット インヴィジブル・セッションの1stアルバム。イタリア出身の女性シンガー ジェニー・Bによるやや憂いを帯びたヴォーカル、淡く塗り重ねていくようなピアノ&ホーン・セクション、そしてそれらを静かに追うかのように、まろやかな濃いグルーヴを生み出すべースと、小気味良く心地いい刻みを加えていくドラム&パーカッション。ラテンの野生的な色合いを感じますが、アンサンブルが一貫して喚起させてくれるのは薄く霧がかった夜のイメージ。グイグイと押して訴えかけてくるというよりはゆっくり奥へ奥へと引き込んでいくといったところです。時折織り込まれるエレクトロニカのシーケンスも、爽やかな冷たさをささやかに演出、特に「Heroes Of Sponge Cake」では、ビヨビヨとしたシーケンスの溶け込み方が妙味、さりげないアクセントになっています。「I Knew The Way」の終盤、徐々にアンサンブルがほどけて薄いバッキングとピアノのみになったときのなんともいえない美しさや、ホーンの音色がまどろむように鳴り響く序盤から、静けさを徐々に徐々に塗り変えていくかのようにアンサンブルが盛り上がる「The Teacher」など知らず知らずのうちにグっとくる楽曲が多いのが非常に魅力的。また、最後まで霧の中にたたずむような雰囲気が崩れることがないのには唸らされます。SLEEP WALKERのような狂熱のクラブジャズとは対極に位置していますが、彼らが好きならこちらも確実にハマるのではないかと。
●日本コロムビア - The Invisible Session