父 ジョン・カーペンターの音楽的な右腕としてアルバムの作曲やレコーディング、ツアーなどに参加するかたわら、プログレッシヴ・ロック・ユニット「Ludrium」でも活動を続けているコーディ・カーペンター。2012年発表の1stアルバム『Zeal』を皮切りに、2ndアルバム『Pleasure of a False Past』(2015)、3rdアルバム『Unity』(2016)、4thアルバム『Through Sentinent Eyes』(2016) でプログレ、フュージョン、ゲームミュージックの要素を併せ持った良質なインストゥルメンタルを次々と生み出し、昨年頭にコーディ・カーペンター名義で発表した5thアルバム『Alternate Universe』では初のヴォーカルアルバムに挑戦するなど、コンスタントにクリエイティヴィティを発揮するとともに、着々と次のステップへと歩を進めていました。また、オムニバスホラーシリーズ〈マスターズ・オブ・ホラー〉の第一期作品としてジョンが手がけた「世界の終り/Cigarette Burns」(2005)のコーディ作曲スコアや、SUPER R-TYPEの3面BGM「We Wet You」(海外版では「As Wet as a Fish」)のピアノアレンジ&演奏の公開。イギリスのチップチューンユニット Electric Cafe(マーク・デイ)とのコラボレーションや、イタリアのエレクトロユニット CONFRONTATIONALのアルバム『The Burning Down』へのゲスト参加。ここ数年間にsoundcloudなどに単発的にアップしていた楽曲をまとめたEP『Infiltrate the Mothership』のリリースなどもトピックとしてありました。
Cody Carpenter
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https://www.bluecanoerecords.com/codycarpentersinterdependence.html
ジョン・カーペンターのセルフカヴァーアルバム『Anthology: Movie Themes 1974-1998』のレコ発を兼ねた14公演の北米ツアー(2017年10月29日~11月19日)への参加を挟んでリリースされた通算6thアルバムとなる『Cody Carpenter's Interdependence』は、ミキシングとマスタリングをジョンのツアーバンドの一員でもあるジョン・スパイカーが担当。リズム隊には、YELLOWJACKETS、JING CHIなどの活動や、トミー・ボーリン、アラン・ホールズワースなどとの共演で知られるベーシストのジミー・ハスリップ。TENACIOUS Dのサポートメンバーであり、エイミー・マンやジェイソン・ムラーズなど数多くのレコーディングに参加しているスコット・セィーバー(彼もまたジョンのツアーメンバーであります)を迎え、オーストリア/イタリア系のシュレッドギタリスト P・J・ディアトリがギターソロで客演し、さらにスペシャルゲストとしてヴァージル・ドナティが参加しています。PLANET XやRING OF FIRE、2010年のマイク・ポートノイの脱退に伴うDREAM THEATERのドラマーオーディションの参加者の一人であり、近年は渡辺香津美とジェフ・バーリンとのトリオなどでその腕を振るう、言わずと知れたスーパードラマーであるヴァージルの参加は本作の大きなトピックでありましょう。音楽的にも、これまでのソロアルバムで着々と積み重ねてきたプログレ、フュージョン、ゲームミュージックのクロスオーヴァーの集大成と言える内容になっています。
冒頭を飾る「Jinrai Fuuretsu(迅雷風烈)」は、生バンドスタイルを知らしめるに格好のタイトなプログレッシヴ・フュージョン・チューン。「Face The Future」「Overlooking The Divide」では80年代のプログレやゲームミュージックの憧憬と親和性の高さを再提示し、メロディアスなシンセウェイヴ「The Divide」、ポップなフュージョン「Heart of Slag」「Thinking Of What Might Be」を経て、今から5年ほど前に書かれた「The Procession」は、全パートをコーディが演奏。レコーディングはAMBROSIAのバーレイ・ドラモンドのスタジオで行ったとのこと。ポップ・プログレ「Premonition」「Her Precious Youth」、シンセサイザーによるサウンドスケイプ的な小品「A Simple Sustenance」を挟み、ラストはヴァージルの圧巻のドラミングと、ディアトリのギターソロがここぞと炸裂する「Nebulous Is The Power」でアルバムは幕を閉じます。「相互依存」のタイトルを冠した本作は、コーディとレコーディングスタッフ陣との良好なケミストリーを示しているだけでなく、LudriumとCody Carpenterの二つの名義での活動の関係をも示す一枚であるともいえます。インタビューによると、今後はLudrium名義ではヴォーカルプロジェクトを、Cody Carpenter名義ではインストプロジェクトをそれぞれ行っていくだろうとのこと。コーディの「新章」は、今ここに開幕しました。
「Interview - Cody Carpenter」
(from Dreadcentral|2018.02.02)
「Interview - Cody Carpenter」
(from Cryptic Rock|2018.01.24)
▼Ludrium『Zeal』(2012)
▼Ludrium『Pleasure of a False Past』(2015)
▼Ludrium『Unity』(2016)
▼Ludrium『Through Sentinent Eyes』(2016)
▼Cody Carpenter『Alternate Universe』(2017)
▼John Carpenter『Lost Themes』(2015)
▼John Carpenter『Lost Themes II』(2016)
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